※この作品はR-18です。

小宮果穂とちょいワル男子のオトナ甘くてコドモ苦い   作:形のない者

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後日談



pSSR【こみや様は襲わせたい】小宮果穂

 

 アルファは夢を見ていた。

 

 小宮果穂と春を楽しむ。夏を楽しむ。秋を楽しむ。冬を楽しむ。あっという間に四季が過ぎて一年が経つ。とうとう次の春が来て、小宮果穂は小(・)学(・)六(・)年(・)生(・)に(・)進(・)級(・)した。

 

 桜吹雪の中、アルファは拍手する。

 

「果穂! 進級おめでとう! これで小学六年生だな! でも、そろそろお淑やかになれよ。なんたって俺は来年、中学生になった果穂に告白したいんだからな!」

「はいっ! ありがとうございますっ! あたし、大人な女性になるため、おしとやかになって見せますっ! だから、あともう少しだけ待っててくださいね! 絶対ですよ!」

 

 アルファは、小宮果穂と春を楽しむ。夏を、秋を、冬を────そして次の春が来た。

 

「果穂! 進級おめでとう! これで小学六年生……だな? でもそろそろお淑やかになってくれよ。なぜって俺は来年……来年? 果穂が中学生になったら────告白……」

「……アルファさん? どうしたんですか?」

 

 桜吹雪の景色は一転、銀河級の宇宙の広がりを見せる。

 

「────あれ? 俺、この世界にいたら……たぶん一生、成(・)人(・)で(・)き(・)な(・)く(・)て(・)就(・)職(・)で(・)き(・)な(・)い(・)んじゃね?」

 

 

 

          ………………

          …………

          ……

 

 

 

 アルファはガバッと飛び起きる。ぜぇはぁと息せき切って大量の汗を流していた。

 

「ハァ、ハァ……さ、サ■エさん時空とか……こんな世界なら、俺は死んだほうがマシだ!!」

「えっ!? アルファさん! 死なないでくださいっ!!」

 

 ソファの上で叫んだアルファ。

 その横で寝ていた小宮果穂が必死に止めに入る。

 

「嫌だ離せ! 今ベランダから飛び降りればたぶん間に合う!! 果穂と恋して幸福そうに見えるけど、実は悪夢なこの世界から目覚めるんだ! そして俺だけでも大人になって『就職』して四人分の働きをしなきゃならないんだっ!!」

「お、落ち着いてください!? アルファさーんっ!!」

 

 

 

          §

 

 

 

 夕方。

 アルファはソファベッドから、恐ろしい勢いで飛び起きる。

 

「はぁっ……はぁっ……ッ! ゆ、夢の中の夢、だと……!? とんだ悪夢を見た……まさかこれは、実質小三、いや小一、なんなら五歳児の精神年齢を相手に手を出した報いか……心の中では無意識に罪悪感でも覚えているのか……そうなのか……?」

「────……んぅ? アルファさん……?」

 

 アルファの隣で寝ていた小宮果穂は、目をこすりながらシーツをめくって、むくりと起き上がる。

 

「どうしたんですか?」

「いや、非現実的な夢を見た……夢ってのは大抵そうなんだけどさ。俺、あまり夢を見ないから……ちょっと驚いた」

「…………」

 

 小宮果穂はアルファのそばに寄り添うと、その肩に頭をあずけて微笑む。

 

「だいじょうぶです。あたしも、『ヒゲンジツテキ』な男の人に、恋をしましたから……!」

「それは俺の生き方に対する皮肉か? 自分がサバイバーズギルトなんてこたぁ、とっくの昔から診断されてんだよ。つか、お前も言うようになったもんだな」

 

 アルファは、悪夢で味わった嫌な気分を払拭するべく、後ろに倒れて横になる。そのとき小宮果穂の体も抱いて連れ戻し、ふたりして添い寝した。

 

「えへへ……」

「……まったく。今は添い寝で満足しているようだが……いったい、いつになったら抱けるようになるのかねぇ……」

「……?」

「それこそ、お前が中学生になったり、高校生になったり、かな? 俺としては、会うたび一発やりたいんだが」

「…………」

「なに言ってるか分からねぇよな。でもそれは記憶がブッ飛んだお前が悪いんだぜ。いや、百パー俺が悪いんだけどさ……」

 

 アルファはあくびする。

 対する小宮果穂は伏し目がちで頬を赤くしていた。その赤みが西日に隠れてしまい、アルファは気付かない。

 

「……あのっ、アルファさん……お耳を、貸してくださいっ……」

「ん?」

 

 小宮果穂は、恋の色をした吐息をついて、こしょこしょ話を始めた。

 

「────実は、ちょっとだけ……覚えてるんです」

「────……え……?」

 

 アルファは驚いたように、赤面する乙女を見つめる。

 

(いや、そうだ……さすがに、おかしいとは思ってたんだ。あの時、なんの恥ずかしげもなく下着が真っ赤なことを報告してきたし、なんで血で汚れてるのかも聞いてこなかったし────)

 

 まさか小宮果穂は、あの日、激しく求めあったことを思い出すと恥ずかしいため、『自分が純粋無垢だと思われていることを利用して、忘れたフリを通していた』のか。となると小宮果穂は、ちょっとどころか、『全部』覚えて────

 

「……果穂、お前……」(これはもしかすると、魔性の女に育つかもしれない……主に、俺のせいで……)

「えへへっ。だから次はぁ……もっとも~~~~っと……優しくお願いしますね? アルファさんっ!」

 

 大人っぽいお願いをしたかと思いきや、子供っぽい笑顔で名前を呼んでくる。

 思わずアルファは両目を覆うと、もう降参、と言いたげに白旗を振った。

 

「やっぱり小宮果穂は、バグってる────」

「えへへ! それはきっと、お互い様です!」

 

 

 

          おしまい

 

 

 

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