テラコマリが、実家に任務の失敗を知らされただろう現場を見てから、数時間後。
俺達の眼前では、未だに体育座りをしたまま落ち込んでいる少女がいた。
テラコマリである。
彼女は先ほどからずっと、「うぅぅ」「ぐすっ」「うわーん」などという声を発していた。
さすがに、このままの状態で放置する訳にはいかない。
どうしたら良いのか、悩んでいる時だった。
「泣くでない」
「ふぇ」
そんなテラコマリに優しく声をかけたのはキスショットだ。
表情は、とても慈愛に満ちていた事もあり、きっとテラコマリを慰める為に言うのだろう。
だが。
「すぐに楽にしてやるからな」
「「殺される!!」」
キスショットは、優しい言葉でテラコマリを殺す気満々の台詞を言った。
俺とテラコマリは同時に叫ぶ。
ていうか。
「お前、テラコマリのこと嫌いなのか?」
「別に嫌いではないぞ。ただ、鬱陶しいだけで」
それはそれで酷い言い草だとは思うが、まあ確かに、ここまで泣かれると鬱陶しく感じてしまうかもしれない。
「第一、すぐにでもこいつの家から別の吸血鬼が来るのだろう。ならば、お荷物が一人増えたところで何の問題もないではないか」
「問題ありまくりだよ」
俺は思わず、呆れたように言う。
「けど、お前だって、あの時の吸血鬼を殺した際には何も言わなかったのに、そのテラコマリの奴はなぜそこまで庇うんだ?」
「・・・まだ、何も悪い事をしていないのに、殺してしまっては可哀想だろう」
キスショットにそう答えた。
すると、キスショットは呆れてため息を吐くと。
「全く、本当に面倒な奴だな、お前も」
と言ってきた。
しかし、キスショットはそれ以上、テラコマリに対して何かを言うことはなかった。
それからしばらく、泣き続けていたテラコマリだったが、少し落ち着いたのか、ようやく口を開いた。
「・・・ごめんなさい。取り乱しました」
「気にするな。誰だって、死ぬのは怖いものだ」
「えっと、はい。ありがとうございます」
俺の言葉にテラコマリは答える。
「まぁ、とりあえずはこれから来る吸血鬼に対抗する為になんとかしないと」
「というよりも、どんな奴らが、来るのか分かるのか」
そう、俺達はテラコマリに問いかけると。
「あぁ、実は、私ってば結構長い間にひきこもっていて、私を気に入らない他の勢力がいるからね」
「それって、そいつらが俺の方に送り込んで、それを機に暗殺する気じゃないのか」
「・・・やっぱりそう思う」
俺の言葉に対して、テラコマリは冷や汗を掻きながら言うと。
「やっぱりここで殺せば、問題解決するか」
「「おいいぃぃ!!」」