戸惑いを隠せない俺を余所に、紅さんは、そのまま迫る。
先程までは、真面目な様子を見せていたはずの紅さんがゆっくりと俺の上に乗る。
拘束されている為に、身動きが取れない俺に対して、紅さんの艶めかしい笑みが見える。それはまるで蛇のようにも見えた。
紅さんはその身に纏っている妖気を解き放ちながら、さらに言葉を続ける。
そして、俺の体に覆い被さるようにしながら顔を寄せてくると耳元で囁いてきたのだ。
その声は今まで聞いたことがないくらいに艶っぽくて……
「くっ紅さん、いきなりなんで」
「もしもの保険かな、心配するな。君の事は死なせないのは本当だ。けれど今は」
耳元で囁かれながら、ゆっくりと甘噛みをされてしまい俺は息を飲む。
その甘く痺れるような感覚に思わず俺は腰を引いてしまうのだが、紅さんはそれを追いかけるかのように再び体を密着させる。
彼女の身に纏っている身体のラインがはっきりと見える程の薄いスーツ越しに伝わってくる体温や柔肌の感触。特に女性特有の柔らかさと熱は否応なく心臓の動きを強めるには充分だったのだ。
ドクンドクンと早鐘を打っているかのような脈拍音。それが紅さんにも伝わっているだろうと思うと恥ずかしさが込み上げてきたが、この状況ではどうする事もできない。
「ふふっ、気になるのかい、ここが」
俺が、顔を赤くしているのか分かり、俺に押しつけているおっぱいに目を向けている事に気づいている紅さんは、そう言いながら、胸を押しつけるように擦り付け始める。
柔らかく形を変えて変形していく服の向こう側でむっちりと柔らかい物が押しつけられていくうちに、俺の肉棒に血液が集まり出す。
当然のことながら、それを察した紅さんは悪戯っ子のような笑顔を浮かべるとわざとらしく俺の方を見つめてきたのだ。
「興奮しているかい」
「それは、興奮していますけど、これは一体」
疑問の声と共に尋ねると、紅さんは。
「私は確かに吸血鬼を狩る存在でもある。しかし、その血の半分は奴らと同じ吸血鬼でもある」
「っ」
その告白に、俺は目を見開く。
「君を殺すつもりはないし、人間を守るのも本当だ。君が言っていたテラコマリとトガに関しても、何も悪事をしなければ、守る。けれど、吸血鬼の王の力なのか、それとも君自身なのか。どうにも君への欲求が止まらないんだ」
紅さんは、そう告白し、俺に覆い被さってきたまま顔を近づけていく。
「だから、君を守るからこそ、今は私に君の時間をくれないか」