「・・・本当に、お前はこうやって、何度も攫われて」
そうしながら、キスショットは、俺の血を吸いながらゆっくりと語る。
それと共に、ゆっくりとその手には既に刀を持つ。
周囲の奴らを見る。
「ほぅ、まさか、こんなに早いとはな、キスショット」
「・・・」
雅が、笑って見上げる先では、明らかに殺意に満ちた視線を向ける、キスショットがいた。
それに反応するように周りにいた連中も警戒を強めると同時に、それぞれが武器を手に取る。
だが……、それを全て無視して、彼女は睨みつけていた。それはまるで威嚇をするように……。
「雅、貴様、分かっていないようじゃな」
「なっ」
その呟き。
それと共に、周囲を見ると、そこにいた連中は。
全て、斬り裂かれていた。
何が起きたのか、分からない顔のように。
「これまでの奴らは、こいつに対して、最低限、人として接していた。こいつと過ごすとなかなかに面白いから、こいつの生活を壊さない為に、そういう奴らは殺さなかった」
キスショットは、呟きながら、雅を睨む。
「しかし、貴様は、それらを壊すだろう。だから殺すのだ」
「そ、そんな理屈で殺されてたまるものか!」
雅が叫ぶように言った言葉にもキスショットは応じず、ただ、こちらに手を伸ばしてくる。雅はそれから、真っ直ぐとキスショットに向かって行く。
だが。
「今の儂は、こいつの血を限界まで飲んだ。故に、多少だが、全盛期に近くはなっている」
呟く度に、雅の身体はバラバラになっていく。
ゆっくりと、まるで最初から。
バラバラになっていたように。僕の視界の中で、雅は――
消えた。
跡形も残さずに。
ただ一つ、首だけになって転がった。
その顔は驚愕であり。
「ふん」
キスショットは、そのまま簡単に、雅を踏み潰した。
これまで、キスショットの力を見てきたはずだが。
ここまで圧倒的だったとは。
「キスショット」
「なんじゃ?」
「今、全盛期に近いと言ったよな」
それと共に、俺は少し恐怖した。
これまで、キスショットは全盛期以上の力を求める為に。
俺の血を飲んでいた。
けれど、その力が今、全盛期以上の力を持っている。
それはつまり、俺の血がもう必要なくなった事を意味する。
それでも、飲み続ければ、きっとそれ以上の力を得る。
だからこそ、確かめたい。
「キスショットにとって、俺はもう必要ないのか」
「・・・」
その一言に対して、キスショットは俺を見下ろしながら。
「そうじゃな、儂にとっては、全盛期の力を手に入れた以上はな、けど」
それと共にキスショットは止まる。
「今の儂にとっては、欲しいのが、この生活で手に入れたいのが、あったからな」