2回目の人生はファンタジーの世界であった。余り詳しくは覚えていないが、死んだのだという確信は心の中にしっかりとある。だから1度目の人生は終わっている筈だ。
新しい体の持ち主、
「チイト君。意識ははっきりしているかな?」
「はい。かなり落ち着いてきました」
「それは良かった」
今いる場所。自分の名前。知らない人物。まだこの体の人格と上手く交わっていない時は、大層混乱した。幸い頭を打った事で、記憶が可笑しくなっているのだろうと様子を見てくれた時間で今の状況は大体把握出来た。
先生、ジョーンズさんに軽い質問と触診を受けながらもう一度頭の中を整理する。
此処はセルフィアという町。俺は其処に住んでいるチイトという青年だ。両親は居るが、旅行好きなのか家に居る事は稀。偶にふらっと帰って来て顔を見せるくらいだ。
職業は騎士兼農家。とは言っても基本は平和な町であるため農家としての仕事が主か。育てた野菜や果物を売り、生計を立てているらしい。
「それにしても、急に嵐が来るとは不運だったね…」
「はは、そのせいで足を滑らしちゃいましたよ」
検査が終わり。問題無いとの診断を受ける。そう。今回はパトロールの一環として町の外へと出た事でこんな目に合った。記憶の中では行きは晴れていたのに、急に雲が怪しくなったかと思うと雷雨だ。これは大変、作物も心配だと急いで踵を返したが、運悪く泥濘んだ土を踏み転げてしまう。後はころころ転がり崖の下だ。幸い帰りが遅いなと町の住人が助けに来てくれた事から、命には別状がなかったが、後は知っての通り。結局数週間の入院生活を送ることになる。
「…え、ええと…支払いはぶ、分割で良いですか…?」
「勿論。君ならすっぽかす事なく、支払ってくれると信じているよ!」
「は、ははは…」
退院の日。空は晴れて農業日和ではあったが、心の中はどんより曇り模様。何となく高いんだろうなとは薄々察してはいたが、実際に見るのとでは全然違った。桁が一、二個くらい予想と異なる気がするが、命を助けられた手前大人しく従うしかない。
「チイトくん。お大事にね!」
「はい、お世話になりました。先生、ナンシーさん」
病院の出入り口。受付にて腰を降ろしている先生の奥さん。ナンシーさんに別れの挨拶とお礼を告げてから扉に手を掛ける。最後まで手を振ってくれる姿に、自身も手を振り返すと記憶の中にある帰り道を歩み出した。
「ああ、久しぶり!大丈夫だよ!じゃあなー!」
帰り際、見慣れた顔つきが調子はどうだと沢山話し掛けてくる。最早半分自分の事とはいえ、随分顔が広いんだなと元々の自分に感心する。この町の住人が接しやすいのか、それともこの体の持ち主が接しやすいのか。はたまた何方もか。まあ、住人との関係が良好な分には構わない。余り気にしなくても良いだろう。
「まあ、そうなるわなー…」
嵐が来て、それを防ぐ者がいないとくればこの荒れようも納得の様。どれだけ親交があろうと、他人の畑を勝手に弄るのは御法度。頼まれでもすれば違ったのかもしれないが、その時の自分は前後不覚、記憶混乱と畑の事に気をやる余裕が無かった。余裕を取り戻した時には時すでに遅し。素直に諦めて現状を維持するしかなくなった。
「ふー、懐かしき我が家よ、っと」
一階建ての小屋のような形。リビング。寝室。トイレ、風呂。最低限の設備が整っているのが我が家だ。玄関を過ぎて、少し歩けばリビングに出る。入院中の着替えや小物をそこら辺に一旦置き、ソファの上にボスンと座った。
「ルーンファクトリーかぁー」
ソファ背を掛けて天井を身上げながら一言。記憶に混乱が無くなってから、薄々そうなんじゃないかと察してはいたが。真逆2度目の人生が一度プレイした事のあるゲームの世界とは思わなんだ。正確には、ゲームに似たような世界かもしれないが、それは些事。
(何となーく見たような人がチラホラと…)
記憶の中のものと、画面越しに見ていただろう映像が頭の中でリンクし不思議な感覚に陥る。目の前に居たのに、絵の中で見た人物のような、何とも言葉に言い表せない妙な感覚。
「まあ、それはいい。問題はこれからの生活だよなー…」
モヤモヤとしたものは残るが、今は切羽詰まった課題があるのだ。貯金はある程度ある。しかし今回の入院生活でかなりが溶けた。しかもそれで完済ではないのだから恐ろしい。
かといって農業に精を出そうにも、畑で育てていた作物は嵐でボロボロ。先ずは瓦礫物の撤去から始めにゃならん。
「ファンタジーの世界に来ても、金銭に悩まされるのか……」
完済のお金までは貯金込みでもう少しといったところ。出来るならばさっさと金を払って済ませたい。しかしそうなると即金で金が貰える仕事をやりにゃならん。農業は再び作物を育てるから時間が掛かる。騎士の仕事は殆どボランティアに近い。お裾分けくらいは貰えるが金銭となると難しい。
「う〜ん、どうすっかな…やっぱり安定策で農業を…ん?」
金の工面に頭を悩ましていると、ふと玄関のボックスに入っていたチラシ群が目に入る。普段は仕事がある為余り目を通してなかったが、確か金銭が生じるアルバイトみたいな物も混ざっていた筈。頭の中にある情報を頼りに、紙面の中身に目を通していく。
「お!?」
旅館【小鈴】お手伝い募集中!細かい内容は旅館主リンファにお聞きください!
手書きなのか、所々にパンダらしき生物のイラストが書き加えてあるのが、可愛らしい。旅館【小鈴】と言えば美人な女将さんと可愛い娘さんがいる。どうせ働き、給料を手に入れられるというのであれば少しばかり下心が満たせる場所が良い。
「よし!一旦聞いてみるか!」
そうと決まれば取り敢えず今日は就寝。下手したら当日働かされるかもしれないのだから、なるべく体力は多めに保っていた方が良いだろう。自分からしたら新たな寝床であるが、住み慣れたかのようにうとうとと直ぐに寝息を立て始める。体は此方のもの。慣れた場所での睡眠はお手の物といったところか。
「宜しくお願いしますね!チイト君!」
「早っ!?え?い、良いんですか二つ返事で!?」
「チイト君なら悪い人じゃないですし、シャオちゃんともお友達ですから〜」
次の日。朝早く、旅館が開く前に入り口付近を掃除していたリンファさんに声を掛ける。元気になって良かったです、と言った軽い小話を終えてから、本題である内容を切り出したら思いの外早く決断なされた。知人補正というのはこんなにも強く働くのか。元々自分に心の中で感謝をしつつ、旅館の中に案内されたので足を踏み入れる。
「チイト君に頼むのは荷物の運搬と男湯のお掃除ですね。男手が少ないので期待してますよー」
「はい!」
内容自体は至ってシンプル。大体の説明が終わったら、出来れば今日の終わりから来て欲しいとの事で此方も了承。金銭に関しても此処で暫く働けば目標の金額にも届く。気合いを入れて望むとしよう。
「チイ兄!ソレ運んどいてくれ!」
「了解!」
「チイト君ー!空いたお部屋の掃除お願いしますねー!」
「はい!今行きます!」
昼間のうちに軽く顔合わせはした。元々知り合いばかりの町の中の旅館なので、改めてと言った雰囲気が濃かったが一応はだ。リンファさんの娘シャオパイは顔を合わせる機会が多かったのか、チイ兄と言って慕ってくれている。
とは言ってもそれはプライベートの間だけ、新人であるが容赦なく立て続けに来るお願いをこなし続け、何とか一日目の業務が終わる。
「入院してたって聞いたけど、元気だな!チイ兄!」
「一応鍛えてるからな」
「おー、頼もしいなー!」
思ったよりも働きぶりが良かったのか、シャオの機嫌が良い。人手不足だとリンファさんも溢していた通り、今日の忙しさは半端じゃなかった。騎士として、農家として汗水流して動かしていた丈夫な肉体に感謝である。
「お疲れ様でしたチイト君。これ、余り物ですが良かったら食べてください♪」
「あ、ありがとうございます!」
現代風に言うならば賄いとでも言うのだろうか。余った炒飯のお裾分けだ。夕飯は何しようかと思っていた所だ。有難く受け取り頂くとしよう。
「職は見つけたし、後は慣れるだけだな」
どうせだしという事で、自分も軽く鍋を振るい炒飯を自作。食べ比べる形でもぐもぐと口を動かすが、矢張りリンファさんに貰ったもののほうがとても美味い。こればかりは経験の差だな。
「………」
カチャカチャとスプーンを動かす音が無人の部屋に木霊する。この世界で目を覚ましてから今まで、気にはなっていたが考えていなかった事に思考を向けた。
「うーん?何だろこれ…?」
何時もチラチラと視界の隅に映っていた四角いプレートのような物。触ってみたら触れられて、持とうとしたら持てる。他の人には見えなく、取り敢えず邪魔だからと部屋に放っておいた。
「触っても……あら?」
何も映さない白いプレート。ベタベタ触っても反応等無かった。しかし今日、改めてペタペタと触るとよく分からない文字が画面を埋め尽くす。まるでコンピューターを立ち上げる時みたいだなと、その文字列を眺めていると、
「なかよし度?」
リンファ。なかよし度2。シャオパイ。なかよし度1。プレートの中に形成された文字は、なかよし度なる題目を作るとその下に人の名前を記載していく。この一覧は今日出会った人達の名前だ。はてさて、なかよし度とはと頭を捻らせていると。
「ああ、あったな。確かゲームのステータスだっけ?」
確かルーンファクトリーには、住民との関係性を表すなかよし度なるものがあったのを思い出す。好物や好みの行動を取ると上がるメタ的なステータス。ある一定の値まで上げると特定の人物に限り恋仲になれるんだったか。
「お?じゃあもしかすると……いや、それはないか」
一瞬。じゃあこのステータスを上げていけばもしかしたら…と。下心とムフフな欲望が出たが、流石にそう都合よくはいかないだろう。あれか、不思議な能力として住人との間柄が分かる異能に目覚めたとかそんなのか。
「……でも気にはなるな」
もしそれ以外の機能があり、このステータスを上げまくれば想像の通りの事が出来るとしたら、それはとても魅力的だ。
「うーん、ま、暇つぶしがてら気にはしとくか」
結局。確信はないからそうするしかない。明日の事も考えて飯を片付けたらさっさと寝よう。幸い風呂は旅館で貸してくれたのでもう入っている。無料で風呂に入れるのはこの仕事の特権かもしれない。しかも独り占め!
「おはようございます、チイト君」
「また明日も宜しくお願いしますね〜」
「また明日な〜」
リンファ。なかよし度2。シャオパイ。なかよし度2。
2日目終了。
リンファ。なかよし度3。シャオパイ。なかよし度2。
3日目終了。
リンファ。なかよし度3。シャオパイ。なかよし度3。
4日目終了。
リンファ。なかよし度4。シャオパイ。なかよし度3。
リンファ。なかよし度5。リンファ。なかよし度6。リンファ。なかよし度7。リンファ。なかよし度8。リンファ。なかよし度9──
リンファ なかよし度16
「チイト君も
リンファ なかよし度36
「……チイト君って好きな子とかいるんでしょうか?いえいえ、シャオちゃんが気にしてるようでしたから〜」
リンファ なかよし度55
「…もし良かったら
リンファ なかよし度77
「──大丈夫でしたか!?……良かったぁ…もし怪我したらって…私…」
リンファ なかよし度83
「病人は静かに寝てなきゃ駄目ですよ?ふふ、お粥を作ってきましたから。はい、あーん……うん、よろしい♪」
リンファ なかよし度91
「…少し遠いかなって思っただけですよ?一室、丁度空いてますから、其処で寝泊まりしたらどうかな〜って思いまして……」
季節が何度か変わり。旅館での仕事もすっかり慣れた頃。兼ね兼ねより目標としてきた事に到達する。
なかよし度100。ゴクリと唾を飲み込みながらその表記を見つめる。このステータスが何かしらの効果を発揮しているのは確かだ。上げれば上げるほど、露骨にリンファさんやシャオの態度が変わるのを何度も見てきた。
「途中からはリンファさんに集中したけど、結構掛かったな…」
前半の数字まではポンポンと上がってはいたのだが、数字を重ねる毎に伸びは比例的に悪くなっていく。となると数を絞り上げていくのが効率が良いだろう。
「これで挑戦出来る…!」
自分の目的からして、なかよし度は高ければ高い程に良い。常識的には許されないお願いも、好感度により揺らいだ判断力ならば通る可能性が高まる。
「明日…明日だ」
リンファさんを呼び出し2人きりになる。今のなかよし度ならばこの点は大丈夫。問題はその後、こればかりは明日にならなければ分からない。興奮と緊張感を抱きながら、その日は眠りについた。
「お話とは何でしょうか?何かお願いがあるなら、チイト君の頼みですし聞いてあげますよ♪」
「実は……」
ニコニコと笑いかけながら、こうして接してくれるだけで前との違いをヒシヒシと感じる。実際、お金を貸してほしいと今言っても、二つ返事で頷いてくれそうな程にリンファさんからの好感度は高い。
「好きです!俺、リンファさんの事好きなんです!」
「──え、ええ!??そ、それってあの…」
「勿論、女性としてです!」
「で、ですよねぇ…」
告白するや、頬をみるみる赤く染め、リンファさんは驚きながらも少し照れ臭そうにぎこちない笑みを作る。こまりましたね…と頬を掻きながらチラチラと此方を見るが、その顔は満更でもなさそうだ。
「え、ええと…ですね!も、勿論私が結婚してるのは…」
「…知ってます。…だから気持ちを伝えたかっただけです。すいません…迷惑でしたよね…」
「い、いえそんな!…う、嬉しい……うん、うれ、嬉しかったですよ?き、気持ちはですからね?はい…」
(可愛いな…)
珍しく、しどろもどろになりながら、何とか自分を傷付けないようにと言葉を選んでくれているのがわかる。あたふたと手をバタつかせて、いつの間にか顔を真っ赤にして弁明をしているリンファさんは新鮮で可愛らしい。
(ど、どうしよう…気持ちは凄く嬉しいけど…私既婚者ですし…。だ、だからシャオちゃんと付き合わなかったんですねー……な、成る程…)
可愛い娘とお気に入りの男の子。この二人が結婚したらとても幸せだなーと、陰ながら2人の動向を見守っては来たが、中々進展が訪れない。娘は憎からず想っているようだからアタックはしているのだが、彼はそれに応えてくれない。好きな人が居るのかなと前に聞きはしたが確証には至らず。そうしてモヤモヤしていた答えが、真逆自分だとは思いもしなかっただろう。
(ま、不味いです…シャ、シャオちゃんには申し訳無いですが笑みが……!)
もしリンファが結婚しておらずにこの告白を受けたならば、迷わずにOKを出すくらいにはリンファからのチイトへの好意は大きい。しかし今の彼女には愛する人がいる。だからどれだけ嬉しくてもこの告白は断るしか無いのだ。
「……俺の告白、聞いてくれて有難う御座いました」
(う、ううううぅぅぅ…!!そ、そんな顔をされるとぉ…)
断りづらい空気を察してか、チイトは頭を下げて申し訳無さそうにする。その対応が、リンファに罪悪感と何処か寂しそうにしている彼への母性のようなものを感じさせた。
「ハ、ハグしませんか!?ギューってしてあげますよ!」
「え?」
何を言っているのかとも思うが、これが今のリンファの精一杯だ。女としてチイトを受け入れる訳にはいかない。だがこのまま何もせずにチイトを返すのも可哀想だ。そんなせめぎ合いの中生まれたのがこの妥協である。
「あの…俺からも抱き締めて…」
「はい!良いですよー、ギューっとし合いましょう♪」
「じゃあ…お言葉に甘えて」
(──あわわわ!!?ひ、久しぶりに男の人から抱き締められてます!)
ぎゅうっと正面から抱き締めると、チイトは許可を取ってからぎゅうっと抱き締め返してくる。自分の非力な力とは違う男性の力強い抱擁に、顔が熱くなり思考が纏まらなくなっていく。
「は、はあああ……♡」
「リンファさん…!リンファさん…!」
耳元で熱烈に自分を求める声を聞きながらのハグは最早麻薬。そろそろ終わり、もう駄目という理性を跳ね除けて力強く抱き締めてくる彼に抱擁を返す。ぽかぽかと温まる胸の中は多分気の所為ではなく。抱き締めれば抱き締める程に抜け出せなくなっていく。
「………──!?あ、あの…?チ、チイト君…あ、当たって…」
「リンファさん…リンファさん…」
(き、聞こえてないみたいね…)
ムクムクと、強く抱擁をする度にチイトの下半身から盛り上がって来るモノを感じる。薄々感づいてはいたが彼の方から気付く方に祈った。女性の方から指摘すると気にするのかなと、気を利かしたが未だチイトはリンファを求めて抱擁を続けている。
「ふーっ…!ふーっ…!」
(こ、興奮してる…こ、このままだと…♡)
リンファの匂い。リンファの体を抱き締めると感じる女の感触。それが際限なくチイトの情欲を煽っていく。ビキビキと上に上に勃起していく肉棒は、リンファの腹部を突いていた。
このままでは暴走したチイトに襲われ、何度も何度も犯されてしまう。恐らく駄目だと言っても、許してと言ってもチイトは止まらないだろう。それはいけない。もし自分を襲っている所を見られでもしたら、彼は大変な事になってしまう。だからリンファは…
「手…手でしてあげましょうか…?」
「…え…?」
「こ、此処…辛そうだから…」
「………い、良いんですか…?」
「…ええ。だけど、手…だけですからね…?」
コクコクと頷くチイトの手を引き、リンファは人目に付かなそうな場所へと再度移動するのだ。
「うう…き、気持ち良いです…!」
「久しぶりだから…下手だったらごめんなさいね…」
「いえ!さ、最高です…!うっ…!」
椅子に座り足を広げた間に体を滑り込ませる。下半身からは雄々しく起った肉棒が反り返り、てらてらと艶を放っている。最初こそそのサイズに気圧されたリンファだが、持ち前の経験から立ち直り、しっかりと根元付近を掴んだ。
(うう…大きい…それに硬くて…ど、どうしよう…ドキドキする…♡)
「はあっ…!はあっ…!」
(あ、あれ?そ、そういえば出す時どうしましょう…此処で出したら、片付けが大変そうだし…)
「うっ!出る!出ます!リンファさんっ!」
頭の中が上手く働いていないのがよく分かる。始めてから今更、射精の心配をするなんて遅すぎる。気付いた時には既に遅く。気持ち良さそうな声を出すチイトの肉棒はもう限界だ。
「あ、あ!ど、どうしよう…!えと、ええと……………あ、あむっ!!」
「!?──出るっ!!」
「んん〜〜〜〜っ!!?」
オロオロとしながらも手を縦に動かすのは辞めない。ビクッ、ビクッと反応を早める肉棒を見て、決意を決めたリンファはその先端をパクリと咥え込んだ。途端決壊する限界から肉棒は大きく跳ね、ビクンビクンと震えながら快感の証を放出していくのだ。
「はぁ、はぁ…リ、リンファさん…」
「んん…んくっ…んくっ…ぷはっ!……の、飲んじゃいました……つい…」
「───っ!!」
「あ、あらら?また元気になっちゃいましたね…」
口の中にチイトの雄が感じられた瞬間、リンファの頭は考えるのではなく本能で動いてしまう。好ましい男の種を飲みたい。その本心に抗わずに行われた飲精は、再びチイトの欲望を刺激し、肉棒は復活を果たす。
「…こ、このままじゃ仕事に集中出来ませんからね…」
「うっ……!」
「今日の事は、秘密…ですよ?」
その後は何処からか取り出したゴムのようなものを肉棒に装着され、再びリンファさんがチイトの精液を飲む事は無かった。しかしこの日の出来事は、ただの仲の良い関係から何歩も先に進んだ関係になったのは間違いない。
リンファさんとの関係性はあの告白により大きな一歩を遂げた。しかし冷静になると、あの時のやらかしが頭を過るのかあれ以来まともに顔を合わせていない。とは言っても業務上のやり取りはする。単に2人きりになるような状況を作らないようにしているのだ。
なら、どうするか。あの日の手応えからリンファさんの好感度は相当高いと見た。プレートを見てもなかよし度が下がるどころか上がっている。100を超えるのかという純粋な疑問はあったが、高い分には良いという考えは変わらない。
なので、
「チ、チイト君。こういう事は辞め…」
リンファさんの行動を予測し、偶然鉢合わせたように居合わせる。すると直ぐに、リンファさんは逃げようとするがそれを後ろから抱き締めて拘束。普通こんな事をすれば本気で嫌がるだろうが、リンファさんは口だけで本気の抵抗はしない。
リンファさんの温もりが忘れられない。あの日、何であんな思わせぶりな行動を取ったんですかと言うと、リンファさんも思う所はあるのか口を詰まらせる。
「手だけ、手だけで良いですからもう一度お願いします…」
「あ、ああ…!それは……」
グリグリと硬くなった肉棒を押し当てながら、懇願するように何度も何度も呟く。押し当てる度にリンファさんの声は別種の色を付けていき、何時もは聞けない艷やかな声へと変化していった。
「……内緒、ですからね…?」
出て行こうとした扉に鍵をかけ、リンファさんはか細い声でボソリと呟く。その返答にニヤリとほくそ笑むと、俺は自身の肉棒を取り出した。
ボロンと突き出る肉棒を見て、リンファさんはゴクリと生唾を飲み込む。そしてその白やかな手をあの日のように伸ばして来た。
「うっ…!くおっ…!?」
「あ、あんまり我慢はしないで下さいね?仕事に戻らなきゃ行けないので…」
この日。リンファさんとは暗黙の了解が出来た。2人きりの時だけ手を使って肉棒の性欲処理をする。自分に取っては都合の良過ぎるそんな約束が。
「はあっ…!はあっ…!」
リンファさんはあれから、ゴムのような射精用の持ち物を懐に忍ばせるようになった。何時自分から求めが来ても直ぐに応対が出来るようにだ。リンファさんの持ち物の中に自分専用の射精用具がある。この隠れた関係だけでも背徳感で興奮するのに、その持ち物を意識すると更に興奮は加速した。
「また切れちゃいましたね。…仕方ありません、今日も口で…♡」
(……今だ!)
持ち歩けるゴムには限りがある。だからここ最近は射精回数と量に間に合わず、消去法でリンファさんの口の中に射精する事も増えた。初めて口の中に精液を受け止めた時から、回数を熟す事に、リンファさんの罪悪感のようなものが消えていくのは感じていた。
「──んんっ!??」
「くうっ…!ヤバい、直ぐに出そう!」
興奮に身を任せ、肉棒からの射精に備え咥え込んだ頭を掴む。そしてリンファさんの口を使い肉棒を扱いていった。瞳が自分に対して辞めるように訴えかけて来ていたが、それを無視して射精まで頭を掴むのは辞めなかった。
「んん〜〜〜っ!!?」
「ふーー……出たぁ……」
頬を膨らませ突然の精液の波をリンファさんは受け止める。後で怒られはするだろう。しかしリンファさんとの関係を深めるには、こうした強引な行動も必要。
「………チイト君?」
精液を飲み終え、落ち着くと如何にも怒ってますと言いたげな顔を見せる。その日はそれからリンファさんに謝り通したが、次の日までまともに口を聞いては貰えなかった。
それでもなかよし度は下がって無かった辺り、致命的では無さそうで安心した。
こうして時折リンファさんには強引に迫り、その後は日常的に肉体的な接触を取る事を繰り返す。いきなりハードルの高い行為を要求するよりも、こうして少しづつ慣らしていき、偶にハードルを上げる方が心理的難易度も下がる。
その証拠に、あれからは口で抜いてくれる事も増えたし、いつの間にかその行為が常態化していく。となると今度は胸を…と少しづつ少しづつ、自分が手を出しても許される範囲を広めていく。
リンファさんに告白をしてから数ヶ月。毎日のように求めた行為はどんどんエスカレートしていき、始めに抵抗していたのが嘘のような行為まで行った。
「…じゃあ、挿れますよ。リンファさん」
「はい…来てください。チイト君」
そしてとうとう、念願のリンファさんとの初体験まで漕ぎ着けた。旅館にある私室。其処に夜に来たリンファさんを出迎え、軽いキスを交わしながら衣服を取り合う。リンファさんへの猛アタックは功を成し、今ではまるで恋人かのように腕を首に回して甘えてくる。
妄想の中でだけ存在していた裸体も今では直ぐ目の前。いきり立った肉棒を秘肉の入り口に添えると、リンファさんは期待したような瞳を肉棒に向けてくれる。
「んん……っ!ああ、ああっ!は、入りました…チイト君のが…!」
気持ち良い。念願の人の女陰はとろとろに蕩けており、侵入してきた肉棒を、迎えてくれるかのように絡み付いてくる。挿入が完了し、奥の奥まで先端が行くと、再び唇を交わして今度は舌を絡める。
「──んっ!──んぢゅるる!ぢゅるる!」
腰を振ると、常についてくるかのように膣壁は肉棒を離さない。口からは淫猥な水音と、漏れ出る女の喘ぎ声が聞こえる。
「チイト君!チイト君っ!好き!大好きです!」
射精の瞬間は狂うように自分を抱き締めて、何度も何度も自分の名前を連呼しながら愛を叫ぶ。心に誓った人が他にも居た筈なのに、今のリンファさんには自分の姿しか見えていないようだ。
「もっと!もっと突いてくださいっ!♡♡」
一度だけの種付けで終わる筈もなく。2度目の行為は獣のようにリンファさんを後ろから突く体位。首元に唇を落として、ガンガン腰を突き立てると、荒ぶるように靡く長い髪が興奮を助長する。
「あ〜〜〜っ!!♡♡♡♡」
2度目の種付けもしっかり奥深くまで注ぎ、根元まで栓をするように肉棒をグリグリ差し込む。ビクン、ビクンと肉棒から性を吐き出すと跳ねる裸体が、どうしようもなく自分の征服欲を擽った。
「──はっ♡──はっ♡──はっ♡♡」
寝転ぶ自分に跨り、腰を振り下ろすリンファさんと両の手を繋ぐ。こうすると、まるで恋人同士のように愛し合ってると思えるから、何だか幸せな気分になれる。それは同じなのか、時折浮かべる笑みはとても嬉しそうだ。
この日はそれから、数発の種付けを終えてお別れとなる。深夜。こっそりと2人で入ったお風呂でもう何発かしてしまったが、バレずに済んで良かった。お互い求めるのを躊躇したくなると、周りへの警戒が怠るのは悪い癖だ。今まではリンファさんが気を払っていたが、自分との行為にのめり込むようになってからはその警戒もかなり緩んでいる。
「ん…ちゅ…ちゅる…きゃん♡もう…チイト君ったら〜♡セクハラですよ?」
「すいません…我慢出来なくて…」
「ふふ、夜まで我慢してください♡そしたら沢山触っても良いですから♡」
昼間。人の目から隠れてこっそりとリンファさんを抱き締める。その抱擁にリンファさんも嬉しそうに抱き着き返して、深い愛情の籠もった熱烈なキスをくれる。目の前で好き好きオーラを隠さず甘えてくる、可愛らしい人妻に堪えが効かなくなり、堪らず夜のようにその桃尻に手を出してしまった。
夜が来るまでの他愛もないイチャつき。こうして昼間はリンファさんに誂われる事が多いが、夜になると主導権を自分が握り、上になって責め立てる事の方になる。今日の蜜月への興奮を高めつつ、リンファさんとの戯れを続けるのだった。
た。
取り敢えず完成はしたが、何か思ったことは違う。やっぱり長く書くと調子が狂う。とは言っても折角こんなに書いたし変に弄くらずこのまま出します。
リンファさんとのプレイは色々思いついたけど、終わらなそうなので一旦キリ。その過程で色々中略。まあ書きたくなったら続き書けば良いしね。
思う所は、単純にルンファハーレムモノでも書くかと書き始めたのに、いつの間にか人妻に横ずれしていた事。ごめんね、シャオパイちゃん。
続き書くとしたらもっと落とす過程は省略して、エロだけ書こう。
では、この辺で終わり。