【小宮果穂とちょいワル男子のオトナ甘くてコドモ苦い】ぷらすえっくす! 作:形のない者
単身敵地に乗り込み、多勢に無勢を切り抜けて、ラスト一匹。
満身創痍の銀髪少女は、最後のモンスターボールを握り締める。
眼前に屹立するはドリルポケモン。陸上怪獣の名はドサイドン。
その傍らには、大地の首魁が半裸で仁王立つ。
(頭が、クラクラする……血が、足りない……流しすぎた……)
頭からボタボタと、粘ついた血溜まりが落ち続ける。
その代わり思考は明敏となり、今まで沸騰していた憤怒は通り過ぎた。
「……冬優子ちゃんを返せ。円香ちゃんと羽那ちゃんも……そして────」
モンスターボールのスイッチを押す。
飛び出したるは、くっつきポケモン。
高さ0.1mもない極小生物にして、最強の切り札。
「果穂ちゃんと────」
昆虫
「────ハナワカの仇だ」
白銀の前髪が靡き開かれ、光跡の炯眼が昇る。
射抜くべき強敵を、切り札と共に睨めつける。
刹那、男と少女の鋭く冷たい声色が交差した。
殺し合いの始まりだ。
「
「降らせ、
怪獣は体内から莫大な岩・地面エネルギーを放出。周囲に
(ドサイドンの種族は特防が低い。その弱点を砂嵐でカバーした────)
電蜘は体内から大量の水・無エネルギーを放出。上空に雨雲を形成し、雨を降らせる。続いて頭上に五つの
「
「戦術シークエンス・
怪獣は
(ドサイドンは片腕に三発装填の生態……だから残弾一発────)
電蜘は複合技に複合技を重ねる。まず口から速射した
「
「跳べ、
少女疾走、電蜘跳躍。対する怪獣は砂嵐の中、極小生物を見失わず、恐ろしいことに照準を狂わせない。残弾一発しかないはずの両腕から発射された六発の岩石砲。少女の瞳孔と電蜘の複眼は共に動揺する。というのも首魁は先ほど
(さっきのステルスロックを装填していた────!?)
迫り来る
初撃は、少女の疾走前・電蜘の跳躍前、それぞれの地点の中間に着弾、地面爆砕。破裂した砲弾は手榴弾の如く。岩石の破片を撒き散らし、少女の胴体側面に多数被弾。苦悶の声と共に鮮血と肉片が飛び散る。
一方の電蜘は命令通り一本目の糸を速射、岩肌に付着、糸を吸い込んで高速移動、二発目の岩石砲を躱す。迫り来る三発目の岩石砲に対し、すかさず糸を噛み切って直線軌道を解除、空気抵抗に従ってふわりと浮上し躱す。滞空したまま二本目の糸を速射、地面付着、吸収移動、四発目の岩石砲を躱し、糸切断、下降の軌道変化で五発目の岩石砲も躱す。落下ざまに三本目の糸を速射、怪獣の胴体に付着、高速吸収、最後の岩石砲が糸上に沿って発射されたのに対し、糸を切────
「ヅッ……!!
────血を吐く少女の朱き叫令。
電蜘は覚悟した。糸越しに
電蜘に岩石砲が直撃する。四肢で受け止めるも効果抜群、岩エネルギーの大衝撃が矮躯に駆け巡り、岩石は電網を巻き込んで地面に着弾、電網の一部が
なおも怪獣の胴体に緑色発光する糸は付着したまま。怪獣の生命力が吸い尽くされていった。
「■■■■────!!!!?」
怪獣の断末魔が上がる。たかだか全長0.1mの死神に命を吸い尽くされた巌の怪獣は両膝を着いて沈黙。たとえ四倍弱点を特性ハードロックで三倍弱点に低減した上で、砂嵐による特防上昇効果を得てもなお、電蜘との属性不一致とはいえ草エネルギーの大火力を喰らっては無事で済むはずがない。結果、一撃瀕死に追い込まれた。
首魁は目を瞑り、片側の口角を釣り上げて拍手。惜しみない賞賛を送った。
「ドサイドンの
首魁は二個目のモンスターボールから毒蜂ポケモンを繰り出す。
昆虫槍王の名はスピアー。Rと赤く刺繍されたメガストーン付きのスカーフを首に巻いている。
「
二本の針槍で、少女の両眼あるいは脳髄心臓を穿つべく、毒蜂は高速飛翔突貫。
地に伏す少女は死を覚悟────
「何を勘違いしてるっすか?」
────電蜘、雷速の
電網の上を落雷の如く迸った閃光は、音速900号を叩き出す超速を以て、戦場を縦横無尽に蹂躙走破し、毒蜂を文字通り八つ裂きにした。
超高圧の電気エネルギーによる自然発火によって焼き尽くされた翅が、儚く舞い散る。
「────なん……だと……っ!! 何が、起きた……!!?」
「落雷の速度は
「……ッ!!」
「岩石砲の着弾時、瀕死になる瀬戸際で、運良く電網に引っ掛かって、落雷の速さで逃げ切ることができた。つまり岩石砲に押し潰されてないんすよ。破片爆風も全部躱した。特性・複眼を使えば良く視えるから、速度さえ伴っていれば当たるわけないっす。あんなデカイだけのヒョロ玉……。──もちろん瀕死寸前だから危なかったっすけど、そのぶんギガドレインで体力回復したから差し引きゼロ……あとは、もう分かるっすよね? もう負けを認めたほうがいいっすよ。体力全快したバチュルに、殺し返されたくなければ……」
電網の持続時間は
首魁は三個目のモンスターボールを取り出そうとするが、雷速を相手に間に合うはずがない。
「
電蜘は無エネルギーを大量に放出し、九つの
電網に沿って速射。
首魁は苦悶の声を上げる余裕もなく絶命────否、命までは取っておらず気絶を強いる。
対する銀髪の少女も、自らの血で作られた池の上に、ゆったりと顔半分を沈ませていった。
(ああ……勝ったっすよ……冬優子ちゃん……みんな…………────────)
§
あとがき
【芹沢あさひのバチュル】
反応力A→S 記憶力C→B 学習力B→A 応用力B→A 協調力B
※捕獲時→育成時のランク変化。
生態:蓄電袋・電気吸収
特性:複眼 ※緊張感・虫の知らせは未保有。
習得技:
※芹沢あさひは「れんぞくぎり」と「
※スピードスターは
・複合技
いとをはく×でんじは=
スピードスター×エレキネット=
スピードスター×でんじは=
スピードスター×あまごい=
スピードスター×いえき=
いとをはく×ギガドレイン=
・応用技
いとをはく:《立体機動》《網作り》《
でんじは:この技を駆使して雷雲を形成する手順が存在する。地面加熱や空気中水分の振動、特性プラス・マイナスの電荷付与や放電誘発など、様々な要素を複合させて作り上げる小雷雲とのこと。
・戦術シークエンス
雷雲形成 電磁波を駆使して自然雷雲を形成。自然雷を誘発して蓄電袋に電気タイプのエネルギーを貯める。
雷速領域 バトルフィールドにエレキネットを張り巡らし、広大な陣地を形成。でんじはの応用で、特性プラスの電荷・特性マイナスの電荷を、エレキネットの局所に付与。同極反発・異極引力を駆使し、雷速級の移動を実現する。それは実質的な高レベル個体のこうそくいどうor高レベル個体のしんそくに匹敵する。また、雷速領域にスピードスターを乗せることでレールガンのように打ち出すことも可能。本来なら雷速に耐え切れず消滅する通常物体も、タイプエネルギーによって形成された特殊物体であるなら、あまり壊れることはない。
【サカキのドサイドン】
反応力C→B 記憶力B→S 学習力C→A 応用力B→A 協調力B
※捕獲時→育成時のランク変化。
生態:掌孔岩石射出・鼻先ドリル・
特性:ハードロック・捨て身 ※避雷針を敢えて省いた二重特性。破格個体。タマゴから厳選・育成した。
習得技:ステルスロック・ドラゴンテール・のろい・かみなりのきば・がんせきほう・やけっぱち・じだんだ・ゆきなだれ・すなあらし・つのドリル
短縮技名:
・複合技
ステルスロック×すなあらし=撒け ※特防強化と布石強化の一発命令。
掌孔岩石射出×ステルスロック=穿てor備えよ ※射出指示or即時装填。即時装填と大量射出の観点から、実質的なロックブラストorがんせきふうじorうちおとし。なお装填する岩石はステルスロックに限らない。通常の大岩やイシツブテ・ダンバルなど、装填可能な存在を見つけ次第、なんでもかんでも両腕内部に装填する。
がんせきふうじ×つのドリル=降せ ※岩石の大量射出で逃げ道を塞ぎ、一撃必殺の技で仕留める。この決め技で数匹の伝説ポケモンを倒してきた実績を誇る。
◆
────強いポケモン、弱いポケモン、そんなの人の勝手。
────
────本当に強く弱くなるかはトレーナーの
────訓練と戦術性であらゆるポケモンは手強く化ける。
────だから、ポケモンバトルは面白い……!!!!!!
────好きな手持ちで勝てる余地がある……!!!!!!
────だから甜花、アルセウス使うね……!!!!!!!
§