※この作品はR-18です。

【小宮果穂とちょいワル男子のオトナ甘くてコドモ苦い】ぷらすえっくす!   作:形のない者

116 / 125

 まえがき

 オチなし。





pR【ダジャレウィッチ!!】小宮果穂・篠澤広〔合世界(マージドワールド):ウィッチクラフトアカデミカル〕

 

 そこは魔法魔術が実在する世界。

 

 普通の学校が放課後を迎えた頃。

 教室の掃き掃除を済ませた魔女っ子アイドルは、いざ窓を開け放って箒に跨り、夕空の向こうへレッツゴー!

 

 飛び立つは魔女のタマゴ。

 箒の助けがなければ空も飛べない魔女の雛鳥は、夕闇の海を越えた魔女学園に訪れる。

 

「おっはよーございまーすっ!」

『おはよう!!!! 果穂!!』

 

 既に魔女教室に揃っていた魔女(クラスメイト)たちが声を揃える。

 

「みなさん! いつもの顔ぶれですねぇ……では! あとは先生を呼ぶだけですっ!」

 

 小宮果穂のセリフに一同はうなずく。

 

『せーのっ────α(えー)年B組! 天八(てんぱち)先生ーっ!』

 

 廊下側の引き戸がガラガラと開かれた。

 黒い生徒名簿を持った天八先生が入ってくる。

 

「はーい。えー朝起きたらこの魔女学園の教師になっていました、君たちの担任の天八先生です。よろしくする気はないので自習ですね~」

『エェ~っ!?』

 

 魔女生徒一同は驚愕する。

 対する教壇側からの眺めは壮観だった。

 

 最前列の席には、小宮、園田、西城、杜野、有栖川。

 二列目の席には、佑芽、倉本、篠澤、秦谷、樋口。

 三列目の席には、風野、田中、甜花、甘奈、千雪。

 四列目の席には、咲季、月村、藤田、葛城、紫雲。

 五列目の席には、芹沢、有村、七草(にちか)、浅倉、鈴木。

 六列目の席には、福丸、市川、幽谷、白瀬、賀陽。

 

 天八先生は、魔女生徒の顔ぶれを見て苦笑する。

 

(……めんどくせぇ集まりだなぁ……)

 

 そこで放クラが叱咤した。

 

「天八先生! ちゃんと授業やってくださいっ!」

「天八先生の教えがないと、私たち一人前の魔女になれません!」

「でも……もしかして疲れてんのか?」

「教師職は……多忙を極めると、お聞きします……」

「なら放課後はきちんと休養に努めましょう! 心身を癒す魔術魔術とかあるかしら? 先生を実験台にして、新しく覚えた魔術を掛けてみたいわ!」

 

「勘弁してください」

 

 いきなり訳の分からない世界が始まって混乱している。

 しかし期待されているのなら応えねばならぬのがヒーローの役目。

 

(あ、そうだ)「──実は誤って忘却魔術に掛かったらしく。みなさんの顔と名前は覚えていますが、今日の授業内容をまるっと忘れてしまいまして」

『────えぇーっ!?』

「その代わりテキトーな魔術講座を考えてきたので、今回はそれを教えましょう」

 

 天八先生はチョークを手にして黒板に書き記す。

 

「さて、今日お教えする魔術は────ダジャレ魔術です」

『だ……ダジャレ魔術……!?』

 

────────────

 属性 地 水 火 風

 特性 各種、単語概念

 

 『属性』とかけて、

 『特性』と解きます。

 その心はどちらも、

 『魔術効果』でしょう。

────────────

 

「たとえば────風属性とかけまして、記憶と解きます。その心はどちらも『流れる』ものです」

『……』

「はい。では、なぜ『記憶は流れるもの』なのか、分かる人ー」

 

 杜野凛世が挙手する。

 

「はい……」

「よし杜野。答えてみろ」

「では……記憶とは、変化し続ける情報網……覚え、忘れ、常に変化を続けるもの……故に、記憶とは移ろうもの……その流動性を、風と照応させたので、ございましょう……」

「及第点だ。ちなみに流動性との照応であれば水属性でも構わない。反面、その観点では地属性と相性が悪い概念だな。──では、この照応で形成できる魔術効果とは何か? 分かる人~というか、自分ならこんなの作る~って人ー」

 

 風野灯織が挙手する。

 

「はい!」

「よしいいぞ、風野。起立」

「──私は……『対象の記憶を風化』させます。忘却や希薄化が可能かと……また、腕の立つ魔女なら記憶の改変も可能でしょう」

「なるほど。そこに先生の意見も付け加えると、自分の記憶を風で固定化し、忘れないようにする応用も可能だな」

「え……し、しかし、風は流動性が強くて……? いえ、不可能ではないと思いますが……」

「たしかに風は動くものだが、風は容易に起こせるものでもある。風とは空間の移動だ。腕を振るっただけで微風が発生する。なら逆風を当てて相殺すれば、それは実質“固定”と同義だろう? ──『固定』という言い方が良くなかったな。風起こしによる『相殺』や、流動性に対する『拮抗』『制御』などと換言してみよう」

「……っ! な、なるほど……勉強になります……!」

 

「────では、今の例をもとに、自分だけのダジャレ魔術を作ってみろ」(本当にできるかは知らんけど。まぁ魔女ならできるだろうたぶん)「そして完成した奴からグラウンドに出てお披露目だ。先生これから見守るだけだから、あとは勝手にやってろー」

 

 天八先生はデスクの椅子に座って暇をつぶす。

 そのあいだに魔女たちは互いに語り合って意見を交換し、ダジャレ魔術を作り始めた。

 

          §

 

 魔術施行が可能な校庭のグラウンドにて。

 

「ヒーロー魔女、小宮果穂! 行きますっ!

 風とかけて、ヒーローと解きますっ! その心はぁ……どちらも『駆けつけるもの』ですっ!

 ゆえに、わが魔術は────『英雄疾走』────ッ!!」

 

 クラウチングスタートを切った小宮果穂は、100mの距離を風のように一瞬で駆け抜けた。

 高速移動系魔術の完成である。

 

「すごい果穂!」

「やったな!」

「お見事……」

「素晴らしいわ!」

「えへへ……! ありがとうございますっ!」

 

 続いて篠澤広がチャレンジする。

 

「強風とかけて虚弱と解く。その心はどちらも『すぐ倒れるもの』……

 故に我が魔術は────『虚風転倒』────」

 

 突風が校庭の芝生をなびかせ、虚弱の風に触れたもの全てをすっ転ばせた。

 

『わぁあっ……!?』

「ふふっ。わたしのダジャレで、みんな滑(・)っ(・)ち(・)ゃ(・)っ(・)た(・)、ね……?」

『……っ!!! ────あははっ……!』

 

 校庭に多くの笑い声が咲く。

 それからも魔女っ子アイドル達は、実に楽しげに魔術の修行に打ち込んでいた。

 

          §

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。