【小宮果穂とちょいワル男子のオトナ甘くてコドモ苦い】ぷらすえっくす! 作:形のない者
pR【アジアンタム・ロストシアター】小宮果穂
(……えっ?)
────暗闇。
いつかは解らない。
廃館に訪れている。
(えっ……と)
────既視感。
そこはどこそこの映画館。
小宮果穂は迷子になった。
(あれ。
どう、したいんだっけ……)
思い出す。映画を観に来た。
知らない男の子と。約束がある。
────遠く。遠く。遠くから。
────ロードムービーの映像が聴こえる。
物で散らかった廊下を歩く。
明かりがない。何にもぶつからず、まっすぐ進む。
────体験入学で出会って、同好の士だと分かって。
────いっしょにいると楽しくて、やさしくて、なんでもできて、かしこくて。
少し暗くて心臓が高鳴る。
なんだかイケないことをしている気分。
────ヒーローみたいだと思って、本当にスゴくて、負けたくないとあこがれて。
────ちょいワルなところが、ちょっとイケないけれど……
(えっと……あの……
……ごめんなさい……気付いたら、こうなってて……)
────いつしか、好きだと気がついて。
────だから、好きだよって伝えて。
────両思いには、なれたけど……
進んでいってしまう。
蹴り飛ばそうとしても、物の方から避けていく。
────恋人じゃ、なくて。
────友達の、ままで。
なぜ蹴り飛ばそうと思ったのか。
わからない。ただ、突然の攻撃性の発露に、動揺する。
────なのに、恋人だからすることを、しちゃってて……
────でも、好きだからすることに、あたしもしてて……
「……
────それって、あたしも
急ぐ。
約束の時間に遅れてしまう。
────ダメだよ。その一言が言えない。
────押されちゃう/押してほしい。流されちゃう/流してほしくない。
(あっ……
トンネルです……! ……………………出口のない……)
────好きな人は恋愛が好き。たぶん。
────恋人が多い。愛人が多い。イケないことをする友達も多い。
────相手の人達は、なんとそれを受け入れている。スゴい。自分はモヤっとするのに。
(ふつうとちがうところに……!
どうして、こんな……)
────恋愛のことになると振り回されてばっかり。
────なら、このまま友達の方がいいのかな。そっちの方が楽なのかも。
上映場所が見つからない。中に入る扉すらない。
観に行くべき居場所はどこにある。
────本当は白黒つけたい。はっきりと。一番になりたい。自分だけを見てほしい。
────でも、この前はイイ落としどころを見つけた。自分に振り向かせればいいんだ。
────アピール!
────…………本当に? 本当にそう思ってるの?
────あれは、
ずっと迷子。
迷子じゃないと言い聞かせていた。
そろそろ上映が終わってしまう。
なぜドタキャンしたのかと、怒られてしまう。
────不公平だ。
そろそろ覚醒しよう。
決着を、つける時だ。
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