※この作品はR-18です。

【小宮果穂とちょいワル男子のオトナ甘くてコドモ苦い】ぷらすえっくす!   作:形のない者

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sR【一時限目:夢占い】風野灯織

 

「えっ……夢占い?」

「はいっ!」

 

 昼過ぎ。283事務所のリビング。

 L字型ソファの上では、風野灯織と小宮果穂が相談事をしていた。

 

「私が、果穂の夢占いを……! で、できるかな……?」

「灯織さんならできますっ! だからどうか、よろしくお願いしますっ!」

「っ……! ……わかった。本気なんだね、果穂。そして気になるんだね? 果穂が見た夢に、どういう意味があるのか……」

「そうなんです……!」

「それじゃあ、まず……どういう夢を見たの?」

「えっと……」

 

 小宮果穂は思い出す。

 

「映画館で、迷子になっていたんです!」

「映画館で迷子ね……」

 

 風野灯織はスマホを取り出すと『夢占い』で検索する。

 

「……その映画館って、どんな感じだった?」

「えっと……暗かったです! 明かりがなくて……あ、ゴミもたくさん散らかってました! くしゃくしゃに丸めたポスターとか、工事現場で見る赤いコーンのようなものとかが倒れてて……!」

「そうなの? 随分と汚いんだね……」

「汚い……あっ。ハイキョだったような気がします……!」

「廃墟? 廃館ってこと? じゃあ映画はやってなかったんだ」

「いえ! やってました!」

「え……! ……じゃあ、どんな映画が流れてた?」

「うーん……それが、見れなかったんです……」

「それは……どうして?」

「迷子になってました!」

「あ、そこに繋がるんだ……」

 

 ふいに小宮果穂は思い出す。

 

「あ、でも……映画の内容は覚えてます!」

「え!? 観れなかったのに……?」

「はい! 見れなかったけど、どういう映画をやってたかは、分かってたんです! それは……最近のあたし? でした!」

「……自分の過去を映画で観たんだ……ちなみに、それはひとりで見たの?」

「えっと……あっ! ううっ……そういえば、約束を破っちゃったんでした……」

「約束?」

「その……知らない男の子と、映画を見る約束をしていたんですけど……迷子になって、間に合わなくて……」

「……そうなんだ……ほかには、特にない?」

「うーん……たぶん、ありません……?」

「そっか。ちょっと待っててね」

 

 風野灯織は険しい顔でスマホ画面をスライドしつつ唸る。

 あーでもないこーでもないとつぶやき、閲覧しているサイトの上下を行ったり来たり。

 

 対する小宮果穂は瞳を輝かせて待ち続ける。

 わくわくが抑えきれないのか、体を左右に揺すっていた。

 

「……なるほど……」

「何か分かったんですかぁ!?」

「うん。果穂、心して聞いて」

「……!」

 

 小宮果穂は、真剣な風野灯織の真顔を見据えて、思わず居住まいを正す。

 背筋がピンと伸びた。

 

「もしかしたら果穂は、このあと人生を左右するレベルのトラブルに遭うのかも……」

「────えぇっ……!?」

「しかも、そのトラブルを解決できなかった場合、果穂は自分を責めてしまって、ストレスが溜まる……」

「……っ!!」

「でも、たぶん大丈夫。災難な目に遭うかもしれないけど、その代わり恋愛運は上昇中だから……!」

「……!?」

「かといって、トラブルは避けたいよね。そこで、果穂は何か……“果たしていない任務”とか……ない?」

「……任務?」

「うん。それが原因で、トラブルに遭うかもしれないから……」

「…………────」

 

 果たしていない任務。

 それはヒーローとして、すべきことをしていない、ということか。

 

 そういえば夢の中で、小宮果穂はヒーローとして何かの決着をつけるつもりでいた気がする。しかし、それがなんであったか、なかなか思い出せない。

 夢とは起きたらキレイさっぱり忘れるものだ。むしろ、よくここまで覚えていたと言ってほしいくらいである。

 

「最後に質問なんだけど……果穂のことだから、きっと焦っていたよね?」

「?」

「知らない男の子と待ち合わせの約束をしていたんでしょ? なら……」

「あ、いえ……急がなくちゃ、とは思ってたんですけど……途中から“別にいいかなぁ”って……」

「え……? そ、そうなの……? じゃあ、そうか……もしかしたら、そんなに深く考えなくていいトラブルなのかも……」

「そうなんですか?」

「うん。焦ってたら、落ち着いた方がいいけど……焦ってないなら、首を長くするつもりで……って」

 

 小宮果穂は腕を組んで考える。

 人生に関すること。トラブル。自分を責める。それについてストレス。恋愛運は上昇中。ヒーローとして果たすべき任務。決着をつける。しかし特に焦ってはいない。

 

「────う~~~~~~ん…………」

「……あ、あの、でも、ネットの夢占いの記事を見て、私なりに考察しただけだから……全然当たらないかもしれないわけで……そもそも占いっていうのは、私としては、験担ぎくらいの意味合いとして使っているから、そこまで絶対的なものではないというか……」

「……! わかりましたぁ!」

「え、何が!?」

「もしかしたら、アルファさんのことかもしれません!」

「……? アルファさんって……天道唯我さんのこと?」

「はい! 恋愛運で、人生に関することで……トラブルで、ストレス! 全部当てはまりますっ!」

「……えぇっ!?」

 

 風野灯織は、それはどうなんだ、と思わなくもない。というか、恋愛運で天道唯我を想起するということは、つまりそういうことなのでは? ……乙女心が訝しむ。

 

「ありがとうございます、灯織さん!! それで、あたし……ちょっとアルファさんと、決着を付けに行こうと思います……!!」

「へ……? 決着ぅ!?」

「はいっ! クライマックス、ですっ!」

 

          §

 

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