【小宮果穂とちょいワル男子のオトナ甘くてコドモ苦い】ぷらすえっくす! 作:形のない者
「
つい先日まで虹の代理戦争をやっていた。
sSR【十年“前”バズーカ!】小宮果穂
ある日の283プロダクション。事務所二階のリビング。
小宮果穂は、プロデューサーのデスクワークを、じっと見つめて観察していた。
「じー……」
「…………────果穂? 何してるんだ?」
「! 修行してますっ!」
修行。いったいどういうことだろうか。
担当アイドルの視線と目的が気になるプロデューサーは聞き返す。
「それは……なんの修行なんだ?」
「はいっ! 大人になるための修行ですっ! そのためには、プロデューサーさんのお仕事を見るのが一番だと思いましたー!」
「……! はは! なんだ、そういうことか……! でも、俺でいいのか?」
「はい! プロデューサーさんは、尊敬できる大人ですからっ!」
「そ、そうか……!」(そう面と向かって言われると、なんだか身が引き締まるな……!)
「なのでっ……もしお邪魔じゃなければ、何をしているのか見ててもいいですか……?」
「もちろんだ。邪魔なもんか。──でも、見ているだけでいいのか? たとえば今、俺が何をしているのか……果穂は分かるかな?」
「えっと……わかりませんっ……」
「はは。ならこっちにおいで。知りたいことは説明するからさ」
プロデューサーは手招きする。さらに今までやっていた退屈な書類整理を切り上げて、別のデータを起こした。それは小宮果穂のために選んだ別の
対する小宮果穂は、プロデューサーに言われて七草はづきの椅子を借り受け、プロデューサーのとなりに椅子を持ってきてちょこんと座る。パソコン画面を覗き込むと、まず“案件整理”というタイトルが目に飛び込んだ。
「今からやるのは、案件の審査だ」
「案件の、審査……?」
「最近の283は人気になってきただろう? そうなると色んなところから『うちで仕事してくれないか』って依頼が舞い込んでくる。これは分かるよな」
「! はい、わかりますっ! 『街おこしのためにアイドルの人気を借りたい』とか……『作った洋服を、似合うアイドルに着てもらうことで、その洋服を売り出したい』とか……!」
「そうそう。でも中には、ちょっと283のブランドイメージと合わない仕事だったり、アイドルに危険が及ぶような仕事も舞い込んでくる。それを今、ここで落とすんだ。……書類選考って言葉、聞いたことあるか?」
「! はい! ありますっ! そっか……書類選考!」
「ああ。それと同じようなものだ。じゃ、試しにやっていくぞ!」
今日は七件の依頼が舞い込んでいる。最初の一件目となるメールを閲覧。
内容は、都心部にある並盛町の町おこしのために、アイドルのライブを開催してほしい、というもの。ライブ会場は並盛町が提供する。その代わりアイドルが歌って踊って盛り上げてほしい。具体的な活動内容は、283のプロデューサーに一任する、とのこと。
「……並盛か……」
「?」
プロデューサーは難しい顔で考える。
小宮果穂は、そのワケを問いかけた。
「どうしたんですか? あたし、これ受けてみたいですっ! 町おこしといえば、放クラですっ!」
「うーん……でも……並盛町の人達には悪いけど、これは心を鬼にして没だなぁ……」
「えっ!? ど、どうしてですかぁ……?」
「業界でも有名なんだ。没にする理由は“とにかく治安が悪い”の一語に尽きる……」
「治安が、悪い……」
「噂レベルで、という話ではなく……警察も手を焼くほどの……という実績が積まれてしまっている」
そこでプロデューサーは遠い目をする。
まるで昔話をするように、天井を見上げて語り始めた。
「俺も新人時代に一度、当時お世話になった上司に“揉まれてこい”とだけ言われて、外回りで並盛町の営業所に足を運んだことがあるんだけど……その時は普通に“黒い噂とは違ってイイ町だなぁ”と思ったんだ。商店街の人たちも優しくてさ。コロッケ屋の御夫婦が、通りすがりの俺にコロッケを半額で売ってくれたんだ」
「……──」
「でも帰り道に突然、黒曜中? の中学生の男の子達に絡まれて、カツアゲされそうになっちゃってさ……」
「……!?」
「その時は、並盛中学校の風紀委員長? の男の子が──たぶんおもちゃだとは思うんだけど──トンファーで、そのカツアゲ男子達をボコボコにしちゃって……」
「……!!?」
「たぶん俺のことを助けてくれた……? とは思うんだけど……お礼を言うと『並盛の風紀を汚す奴は許さない。君もそうやってガクブルと震えているなら……咬み殺すよ?』って脅されたもんだからさ……情けないことに、俺はその場から逃げ出して、なんとか無事に帰ることができたんだ」
「…………」
小宮果穂はホッとする。
とてもびっくりな話だったが、とにかくプロデューサーさんに大事がなくて良かった。
「そういうわけで、並盛町からの案件は……丁寧な文面を書いて、お詫びとともに却下とさせていただきます……と」
プロデューサーは、丁重なお断りのメールを書き上げて送信する。
もし並盛町で仕事した結果、担当アイドルの身に何かあれば大問題だ。いくら優しい人達がいても、一部の悪童のせいで、安全面を考慮せねばならない。そのあたりを加味して苦渋の決断を下す。それが大人の判断というものだった。
「なるほど……あたし、並盛町がどういう場所か分からないまま、お仕事を受ける気でいました……」
「……」
「つまり、前もって調べておくのが、大事なんですね!」
「そうだな。俺も噂だけで判断したくはないから、前もって仕事現場に足を運んで雰囲気を確認するし……」
「あ、それって……
「ああ。仕事で下見は大事だぞ!」
「はい! 勉強になりましたっ! プロデューサーさん、ありがとうございますー!」
§
その後。日没間近のアルファ邸リビング。
食卓でデスクワークするアルファのそばでは、机に両手をついてぴょんぴょんと跳ぶ小宮果穂が笑顔で話していた。
「────ということがありましたー!」
「ふーん。並盛町かぁ。面白そうだな」
「……へ?」
「活きのいい奴がゴロゴロいるんだろ? 遊び
「──え……えぇっ!?」
小宮果穂は、てんやわんやとする。
対するアルファは作業を済ませてノートパソコンを閉じ、さっそく席を立つ。
「ちょ……ちょっと待ってくださいっ!」
小宮果穂は、玄関に向かおうとするアルファの肘を掴んで引っ張る。食い止める。
「なーに心配すんな。以前、恋人体験で繁華街をデートしたことあるだろ? あんときみたいなもんだ。治安が悪くても、相手が不良集団程度なら余裕の無傷で楽勝よ。仮に極道関係と
そういう問題ではない。なぜわざわざ危険そうな場所に出向くのか。
「そんなの、美人が俺を待っているかもしれないからだろ?」
「っ……!!」
きれいな人を口説き落としてタダ飯にありつく。
それがアルファの処世術。アルファさん
「……また恋人、作ってくるんですか……」
「どうかな? 気の強い女は好みだが、治安の悪さを聞くに品性は低そうだ。俺好みの女は少ないかもな」
「…………」
「離してくれよ。下見のつもりで行くからさ。もし俺がいるだけで果穂を守れそうなら、今度、並盛町でデートしようぜ。イイ店を探してくるからさ!」
そういう問題ではないのだが。別の女にうつつを抜かすな、という話なのだが。
小宮果穂は、疲弊のため息をつく。それはとても重たくて深くて長い吐息だった。そして頬をぷっくりと膨らませる。
「ハァ……言っても聞かない人だから……もう慣れましたっ! 気をつけてくださいね!」
「おう! 折れてくれてありがとな!」
「っ……!? ……お、折れてませんっ! ……許してないけど、許したんですっ!」
複雑な負けず嫌いの心地。
アルファは笑って背中を見せ、行ってきますと手を振った。
§
後日。
休日の並盛町。真昼の商店街。
そこには“並盛りパスタ”で有名なファミリーレストランが存在する。
近くには竹寿司という人気店もあり、食事処には事欠かない町だ。
「あ……! アルファさん! あそこでくじ引きやってます!」
「おっ。コロッケ屋でもらったくじで引けるのかな。いっちょやってみっか!」
アルファと小宮果穂は並盛観光を楽しむ。
昼前には、意外と量が少なかった並盛りパスタを軽食として済ませて、その後は商店街を歩きながらコロッケを買い食い。
正午には、竹寿司でマグロやサーモン、たまごやイクラなどを食べて満腹。再び商店街を歩いていると、くじ引きでクーポン券とポケットティッシュが当たる。クーポン券はおもちゃ屋の割引券だった。
おもちゃ屋に入った小宮果穂はお小遣いと相談して、自分のクーポン券とアルファがくれたクーポン券の助けもあり、かなりの安値で──前から欲しかった──ヒーロー系ソフビを購入する。
「えへへー」
「よかったな」
にこにこの小宮果穂は帰路に就く。今日は良い買い物をした。ヒーロー部屋のコレクションがまたひとつ増えたのだ。
「家に飾るのか?」
「はい! これでヒーロー部屋が、また豪華になります!」
「……え? 俺んちに飾るつもりだったのか?」
「? はい! だってこのシリーズのソフビ、一個だけ足りなかったから……!」
「……! そういえば、そうだったな……。なんだ果穂。お前、もう俺より俺のヒーロー部屋の状況に詳しいじゃねぇか。言われるまですっかり忘れてたぞ! てっきりもう揃えているもんだとばかり……」
「いいえ! このソフビだけ無かったんですっ! だから、ここで買えてうれしかったですっ!」
「……そうかい。ありがとうよ」
つまり小宮果穂は、アルファのコレクションを充実させるために購入した。アルファのために買っていた。
しかしそれは些か異なる。アルファのために買うことは、小宮果穂のためでもあったのだ。
「……あんま貢いでくれるなよ?」
「へ?」
「ま、俺になんかあったら、ヒーロー部屋のコレクションは果穂にくれてやるつもりだったし……別にいいんだけどな」
「……────」
それは、どういう意味だろうか。
小宮果穂が問いかける直前、どこからか悲鳴が響いてきた。
「ひぇええええ~! おたすけぇ~!!」
その情けない悲鳴は、閑散とした住宅街から叫ばれた声。
「果穂、俺の後ろから離れるなよ! ちょっと様子を見に行きたい!」
「あ、はい……!」
悲鳴が聞こえた瞬間、臨戦態勢に入っていたアルファは、小宮果穂を背後に置いて守りながら、目的地まで走り出す。住宅街の十字路を曲がっていき、悲鳴の場所に到着。空き地の中に数名の人影。様子を見るに、下校中のふたりの男子中学生が、強面の不良男子二名に絡まれている光景だった。
「よぉ
「
「ひぃいいいい! ごめんなさいごめんなさい! 殴らないでぇ……!」
「ぼ、ぼく、アーデルからあまり、お小遣いもらえてないんだけど……五十円しか、ないよ……」
明らかにカツアゲである。今時こんな古典的なカツアゲがあるのだろうか。
しかし目の前で実践されているのだから、これはもう止めるほかあるまい。
「果穂。俺の代わりに後方警戒よろしく」
「! はい……っ! あのふたりを、助けに行くんですね……!」
「まぁな。ただ、ぶっちゃけ助けるって言うより……単に俺が暴れたいだけなんだけど」
「え……?」
それは、人助けをする自分を卑下してそう言っているのか。
それとも本当に暴れたいだけなのか。
どちらもなのか。
いずれにせよアルファは、空き地の中に侵入して、泰然自若と声をかける。
「お取り込み中しっつれい! ぐだぐだしてるけど、もしやカツアゲの真っ最中かな?」
「あ? なんだてめぇ……」
「だとしたらどうしたごるぁ!?」
「だとしたらおまわりさん呼ぶだけだゴルァ~」
アルファは煽るように相手の口調を真似る。
すると二名の不良男子は、沸点が低すぎるのか、途端にブチギレた。
「上等だゴルァ!」
「なめてんのかゴルァ!」
二名の不良は、アルファと背丈が同じくらい。体格は相撲部も顔負けレベル。
一方の沢田と呼ばれた少年は、アルファの身を案じて叫ぶ。そして慌てながら、懐から
「あ……危ないよ、君! すぐ逃げないと……!」
沢田は、懐から何かを取り出そうとして慌てる。そして丸薬のような物が入った小瓶を落としてしまい、拾おうとしたら足で蹴ってしまい、ついでに小石につまづいて派手に転んでアゴを打つ。
「ふぎゃ!?」
その様子を見て、アルファは思った。今たしかに沢田という少年は、アルファの代わりに戦うつもりで“覚悟”を決めていた。アルファを助けようとしていたのだ。
今まで自分が襲われてビビり散らかしていたくせに、いざ他人が危険な目に遭えば覚悟を決めて戦おうとする。それはなんとも、大空のように寛大な、優しすぎる精神性を発露していた。
「それはこっちのセリフなんだけどなぁ~?」
ふたりの巨漢にガンを付けられ続けているアルファは、ひょうひょうと振る舞いながら、沢田の“危ない”“逃げろ”という言い分に失笑する。つまり完全に、恐れるべき二名の巨漢を無視している。
「てめぇマジで……おれたち双子の……」
「巨漢兄弟の恐ろしさ……なめてんじゃねぇぞぉ!」
二名の巨漢が豪腕を振るう。
半歩すり足で紙一重の回避技を見せたアルファは、指を鳴らして合図した。
「はい。正当防衛成立」
合図とは、過剰防衛の宣戦布告である。
一撃、巨漢・兄の腹をめり込ませ、
一撃、巨漢・弟の顔面を殴り抜く。
土の上に背中を付ける二名の巨漢。勝負は一瞬。アルファの無傷完勝で幕を下ろした。
「あ、忠告しとくけど。腹殴られた方は胃薬飲めよ。ツボも狙って押したから、しばらくトイレが止まんないぞ~。顔殴られた方は歯医者に行け。放置するとボロボロと歯が抜け落ちてくからな~」
「なにその怖すぎる攻撃ぃー!?」
すかさず沢田のツッコミが入る。
思わぬ的確なツッコミに驚いたアルファは、愉快そうに手を叩いて笑った。
「はっはっ! お前さん面白いな! 立てるか? ──あ、そっちも無事か?」
「あ、ありがとう……助けてくれて……」
「うん……僕からも、ありがとう……」
アルファは沢田の手を取って引っ張り上げる。
沢田と古里は、不良のカツアゲから助けてもらったことを感謝して会釈した。
そこに小宮果穂も駆けつける。
「あ、あのっ! キズが……!」
「え?」
沢田と古里は、既に何発か殴られていたのか、顔面がボコボコである。
アルファは懐から絆創膏を取り出すと、その半分を小宮果穂に分け与えた。そして最寄りの公園まで連れて行き、傷口を水道で洗って消毒。アルファが沢田に、小宮果穂が古里に、絆創膏を貼り付けて治療する。
「あ、ありがとう……ここまでしてくれて……」
「なんのなんの」
「君たち、やさしいね……」
「えへへ! ありがとうございますっ! あたしとアルファさんは、ヒーローですからっ!」
そこで自己紹介。
「あの……オレは、
「僕は、
「俺はアルファだ。中学一年生」
「あたしは小宮果穂ですっ! 小学六年生ですっ!」
中一と小六。
その情報に、沢田綱吉と古里炎真が目を見張る。
「えぇ!? 中一に小六って……ほんと!? ふたりとも、高校生にしか見えなかったよ……!」
「随分と背が高いんだね……いいなぁ……」
「えへへ! 自慢ですっ!」
「よく言われます」
そしてアルファは、相手の年齢に対して、無礼を謝罪する。
さらに、少し
「しかしまさか年上だったとは……これは大変失礼しました。
「えぇっ……!? ちょ、やめてよ……! 学年とか気にしなくていいから……! た、タメ口でいいよ……!」
「……ところで、ふたりって恋人なの?」
「……っ!!」
突然の古里炎真の問いかけ。
赤らむ小宮果穂。
沢田綱吉は「え、炎真! いきなり何を聞いてんの!?」とツッコまざるを得ない。
「あ、そう見えますー? 実は関係上は友人でして!」
「そうなんだ。お似合いだと思ったんだけど……」
「っ……! あ、ありがとう、ございます……!」
「……!」(あれ、この感じ……なんとなくだけど……この子──果穂ちゃん──は、アルファさんのことが好きなのかな……?)
沢田綱吉の超直感が発動する。
その時、予期せぬ人物が登場した。ゾウさんとボクサーのコスプレをした赤ん坊が、樹木の幹に抱きついた状態で、ぱおーんと鳴く。
「ちゃおっす。お前ら青春してるな」
「げっ!! り、リボーン……!?」
突として現れた赤ん坊。
アルファはひと目で見抜く。赤ん坊にしては、なにやらおっかない精神性をしている。沢田綱吉とは対極にあると言っても過言ではない。いつなんときでもふざけ倒す部分は共感できるが、それ以外の部分が合理的で冷徹。まるで殺し屋のような風格を感じる。
「……ニッ。お前、やるな。ひと目でオレの本性を見抜くなんて、大したもんだぞ」
「…………」(こいつは……なにかおかしいぞ……ただの赤ん坊じゃないのか……?)
「え、リボーン? アルファさんに何を言ってんだ?」
「アルファか……
「────なんて?」
「り、リボーン! いきなり一般人相手に何言ってんだよー!?」
すかさず沢田綱吉は、リボーンの口を封じようとする。しかしリボーンのひっさつ“
「ごはっ……!?」
「え────! だ、大丈夫ですかぁ……!?」
小宮果穂が看病する。
一方のアルファは驚いていた。リボーンの発言が嘘に聞こえない。しかし相手は赤ん坊だ。その頃の子供というのは、妄想の話を真実のように語るもの。本人は嘘をついている自覚がない。悪気もない。イマジナリーフレンドという言葉があるように、まだ現実と夢の区別がつかない、物心がつかない段階の年齢だ。そのためアルファの読心術も有効ではない。つまりマフィアという話は、おそらく
しかし子供は、いつだって遊びに本気だ。そのため、その本気には本気で応えねば失礼というもの。アルファは真面目に答える。
「断る。俺は表社会や裏社会、どちらにもケンカを売る立場の人間になる予定でね。マフィアなんかにゃならないよ」
「そうか……残念だ。──なら自分だけのファミリーを作るってのはどうだ? そんでツナのファミリーと戦って、負けたファミリーが勝ったファミリーの
それを聞いた沢田綱吉は、どこか怒るように「リボーン!? ほんとにいきなり何を言い出してんだよー!」と叫ぶ。
「悪いが、興味ないね」
「ふむ……惜しい人材なんだがな……これほど手放したくないと思ったのは久しぶりだ。さっき巨漢ふたりを一瞬でのしちまったことと言い、山本武の次に才能があると見込んだんだが……」
すると沢田綱吉は目を見開いて「え……山本の次に……!?」(リボーンがそこまで言うなんて……どれだけスゴい人なんだろう……?)と驚く。
「その山本武がどういう奴かは知らないが、俺の才能は平々凡々、下手すりゃそれ以下だよ」
「だろうな。俺が言ってるのは
「八つの地獄を巡ってきた。そう言ったら信じるかい?」
沢田綱吉は“地獄”というキーワードに「えっ……」と反応する。そして、とあるパイナップル頭の男を連想する。それはリボーンも同じようだった。
「……フッ。まるで六道骸のようなことを言う奴だな。ますます気に入ったぞ」
「そりゃどうも。じゃ、俺たちはそろそろ帰るから。──でもマフィアごっこは楽しそうだから、また機会があったら遊んでやるよ。またな、リボーン」
「ニッ……生意気な小僧だ」
アルファは帰路に就こうとする。それを追いかけようとする小宮果穂。
その時、小さな男の子のはしゃぐ声が、公園中に響き渡った。
「ランボさんとうじょー! へへーん! リボーン! 今日こそお前をころちてやるー! くらえー!」
「む……またお前か、ランボ。懲りない奴だ……」
アフロ頭に牛の角を付けて、牛柄の
「────っ!?」
アルファは瞬発考察。ランボは“ころちてやる”と言った。その発言は嘘ではない。五歳児ともなれば物心の付き始めだ。かといって未だ夢現の区別が半々といった程度の年齢。しかし実際に放たれたバズーカ砲は、おもちゃというにはリアリティがありすぎた。かといって本物ではないだろう。だからといって飛んでくる弾頭は、速度的に当たれば無事では済まない物体でもあった。
とっさにアルファは、
「!!」
一切の躊躇が存在しない、即断即決の庇い立て。それにはリボーンも目を見開く。そういえば小宮果穂は、自らとアルファのことを“ヒーロー”と言っていた。たしかに今の行動を見れば、その素質は十二分にありすぎると言える。
「──っ! アルファさん!?」
「危ない!」
小宮果穂と沢田綱吉が同時に叫んだ直後、バズーカ砲の一撃が、リボーンを抱きしめて庇ったアルファの背中に激突した。すると“ボフン!”という音が上がり、大量の白煙がモクモクと周囲に広がる。
『ケホッコホッ……!』
大量の煙のせいで咳き込む古里炎真たち。
そこへ、UFOのような円盤型の乗り物に搭乗する変人の男性と、頭に仔猫を乗せた銀髪の不良男子が駆けつけてきた。
「あああ! 私が改造した“十年後バズーカ”が……! 使われてしまった……!」
「ご無事ですか! 十代目ぇ────!? お願いです、返事をしてください!! 十代目────ッ!!」
「シャー!」
モクモクと広がる白煙が、徐々に収まっていく。
さらに一部の煙が風に流されたことで、沢田綱吉・古里炎真・小宮果穂の三人が、白煙の中から脱出した。
「ゴホッ……! お、オレは平気だよ!
「は、はいぃ……今度こそは、うまくバージョンアップできたと思うんですが……!!」
「ンなわけねぇだろ!! またこの前みてぇに、オレを
「そんな! じゃあ、アルファさんは……どうなっちゃうの!? おい、リボーン!」
白煙を切り裂いて、黒スーツを着た赤ん坊・リボーンが拳銃を構えて飛び出てくる。くるくると旋回してスタッと着地。すかさずランボのアフロを撃ち抜いた。
「ぴぎゃっ!?」
「アホ牛。カタギに手を出すとは、マフィアとしてやっちゃいけねぇことをしたぞ……」
「……っっ!! だ、だって……ランボさんは、リボーンを狙ったんだもんねー! オレっち……し、知らないもんねー!」
ランボはトンズラこいた。
すかさず獄寺が追いかけようとする。
「あ、こら待てアホ牛ー! くそっ……! 十代目、どうしましょう!?」
「え……オレぇ!?」
「当たり前だぞ。お前の部下がミスしたんだ。ボスであるツナの責任だ。さっさと尻拭いしろ」
「くっ……こうなったら、目撃者は始末するしか……女を殺すのは気に食わねぇが、これもファミリーを守るためだ……喰らえ! 二倍ボム!」
「ちょ────ダメダメ! そんなの────ダメェえええ!」
「当たり前だぞバカデラ!」
「ぐぼはっ!?」
沢田綱吉が叫ぶと同時、焦るあまりボムを取り出そうとした獄寺の顔面に、リボーンが蹴りをぶちかます。
一方、モクモクとけむる白煙が、あと少しで晴れていく。
固唾を呑んで見守る沢田綱吉とジャンニーニ。いったい何が起きたのかまったく理解が追いつかないため硬直している小宮果穂と古里炎真。蹴られた額を抱えて起き上がる獄寺。リボーンは冷静に状況を見守る。
やがて────煙が晴れた。そこには、
「え────だれも、いないって……」
「……つまり、さっきの野郎は……
「────いや、待て獄寺。その判断は、少し早そうだ」
青ざめる沢田綱吉と獄寺。それに待ったをかけるリボーン。
次の瞬間、地面近くまで落ちていた白煙の中から、黄色い帽子が現れる。
『────!?』
リボーンより身長は高いが、ランボより身長はやや低め。
赤ん坊と五歳児の中間といった背丈の子供が────その全身を、ようやくあらわにした。
「──……?」
こてん、と首をかしげる、小さな子。
身長は90cmも無いだろう。
幼稚園児がかぶる黄色帽。よく梳いてある髪の毛。
可愛さのあまり抱きしめたくなる、まあるい顔つきは愛らしさ全開。
小さなおてて。寸胴の幼児体型。ふっくらとした園児服を着ている。
とてとてと歩く小さな子は、まだ歩き慣れていないのか、すぐこけて地面に両手をつく。歩き疲れたのか、その場で座り込む。
その容姿を見て、沢田綱吉が叫んだ。
「えっ────お……
将来は美少女に育つであろう女の子。そうとしか見えない紅顔の美貌を有する小さな子が、またまた首をこてんとかしげていた。首をかしげるたび、何も考えていなさそうな無垢な瞳が、なんとも愛らしく感じられて、つい周囲の人間の頬に赤みが差す。庇護欲を掻き立てられて守りたくなる。
(((────かわいい────!!)))
そこで唯一、冷静なリボーンが問いかけた。
「おい、お前。自分の名前は分かるか?」
「……いろはちゃん、さんさい! おまえはー?」
「リボーンだ。よろしくな」
「よろしく!」
「しかし……“いろは”だと? たしかお前は“アルファ”って名前じゃなかったのか?」
「ちがーう」
いろはと名乗った小さな子は、大きく右手を上げて
そこで沢田綱吉が疑問を抱く。
「っていうか……なんで十年後バズーカに当たったのに、子供が出てくんのー!? ちょっとジャンニーニ!? これどういうことか説明してよ!」
「そ、それはですね、十代目! おそらく、私が改造した結果……十年後バズーカは、十年“前”バズーカに、性能が変わってしまったのだと思われますー……!」
「────はぁ!? 十年後じゃなくて……
沢田綱吉は口をあんぐりと開けて、小さな子を指差し、絶叫する。
「あの──超背が高くてカッコいい──アルファさんの、
続けて沢田綱吉は「全然違いすぎるんですけどぉおおおおおお!?」と、今日一番の渾身のツッコミをかまして、頭が痛くなったのか後ろに倒れた。
§
それからボンゴレファミリーの面々は、小宮果穂や古里炎真──そして、いろはと名乗る三歳児のアルファ──に詳しい事情を説明する。
「────と、いうわけで……ランボの十年バズーカをジャンニーニが改造して十年前バズーカにしちゃって、それをアルファさんが受けちゃったことで、アルファさんは十年前の姿になっちゃったんだ。……果穂ちゃん……意味、わかるかな……? 信じられないと思うけど、いま目の前にあるのが真実です……なんか、ほんとにすみません……ごめんなさいぃ……!!」
沢田綱吉の猛烈謝罪。お辞儀を高速で繰り返している。
対する小宮果穂はベンチに座っており、目をぱちくりとさせて、となりに座る小さな女の子? を凝視する。
(────…………沢田さんやリボーンくんに説明されて、なんとなく理屈は、分かったけど……)
非現実的すぎて受け入れがたい。
(ほ、ほんとに……こんなこと、あるんだぁ……マジック? とは違うようだし……ジャンニーニさんによれば、科学の力みたいだし……スゴい────科学の力って、スゴいなぁ……!)
たしかに受け入れがたいが、目の前の出来事が真実である。ならば適応して対処するほかあるまい。
そのため、思ったより割とあっさり受けれていた小宮果穂は、科学の偉大さに瞳を輝かせる。
「あれ……果穂ちゃん……? 大丈夫……?」
「はい! まだ分からないことは多いですけど、
「……! そ、そうか……! それはよかった、けど……──こ、これからどうすんだよ、リボーン!!」
沢田綱吉の悲鳴。
リボーンはキレ気味に、軟弱な十代目候補のすねを蹴り飛ばす。
「情けねえ声を出すな、ダメツナ!」
「いっでぇ!?」
「こうなったら仕方がねぇ。十年前バズーカの効果が終わるまで、このままでいるしかないだろ」
「っ~~~~~! ……お、終わるまでって────あれ? 待てよ……十年後バズーカの効果は、五分だけのはずだ……もうとっくに五分は過ぎてる……! どどど、どういうこと!?」
沢田綱吉の同様。
それに獄寺が激昂して問いかける。
「それはオレも気になってました! おいジャンニーニ! こいつはどういうことだ!?」
「おおお、おそらくですが……! 私が効果時間を調整したばっかりに……! 十年前バズーカの効果が終わるまでの期間は────約、
「なっ!? に────二ヶ月、だとぉ!?」
おどろきのあまり獄寺は、咥えタバコをぽとりと落とす。
ならば仕方あるまい。リボーンは冷静に申告する。
「つまりアルファは二ヶ月間……いや、この“いろは”って小僧は二ヶ月間、このままってことなんだな。どうするんだ?」
「……へ?」
リボーンは、小宮果穂に問いかける。
「オレたちボンゴレが預かってもいいぞ」
「え……で、でも……」
「たしかに、そいつにも家族や友人がいるだろう。いきなり消えたら心配させる。だが安心しろ。ちゃんと面倒は見る。────ここに立ってる、ひょろくて弱そうだが、いざって時には頼りになるかもしれない、このダメツナが」
「ちょ、まさかのオレに丸投げですかぁ!?」
沢田綱吉の鋭いツッコミが飛ぶ。
動揺する小宮果穂は、ひとつ名案を閃いた。
「あのっ……警察に届け出るってのは……どうでしょうか!?」
「そいつは絶対にやめとけ。サツなんて信用ならねぇぞ」
「マフィアの方が信用ならないでしょーが!!?」
沢田綱吉は怒るようにツッコむ。
すると小宮果穂は首をひねった。
「ど、どうして……?」
「当てにならねぇからだ。というのもマフィア絡みの事件に巻き込まれてサツを頼ると、口封じに暗殺されたり、情報を得るために拷問されて吐かされて最後には始末されたり、あんまりイイことねぇぞ」
「き……急にそれっぽいこと言うなよ、リボーン……」
もちろんボンゴレファミリーは口封じのための暗殺などはしない。
ただしボンゴレと敵対するマフィアがどう出るかは分からない。少しでもボンゴレの弱点を探るべく、警察関係者に潜り込ませていたスパイから情報を得て、小宮果穂やいろはちゃんを誘拐・拷問・暗殺するかもしれない。
その危険性についてリボーンが語ると、なんと古里炎真がそれに同意した。
「僕も……警察はやめておいた方がいいと思う……どのファミリーに目を付けられるか分からないし……」
「えっ……! 炎真までそう思うのー!?」
「さすがシモンファミリーのボスだ。分かってんじゃねぇか」
「うん……ボンゴレやボヴィーノの敵対マフィアとなれば、情報を得るために一般人を殺すくらいは平気でするよ」
「そ、そんなーーーー!? じゃあどうすればいいんだよーっ! 警察を頼れないなんてさー!!」
「うだうだうるせぇぞ!」
リボーンは
「あのっ……リボーンくん……マフィアって、悪い組織だよね……?」
「そうだぞ。でもボンゴレは
「マフィアに
「……じゃあ、良いマフィアでも……ヒーローとは、戦うよね……?」
「そうだな戦うぞ。なんだかんだ言ってヒーローとマフィアは相容れないからな」
「ガーン! そ、そうなんだ……」(オレ、小さい頃はヒーロー系のロボットとかに憧れてたんだけど……もしそんなロボットと出会ったら、オレって倒される側なんだ……じゃあもっとダメじゃん! オレ、死んでも絶対、マフィアのボスなんかにはならないぞ……っ!!)「あっちょっ! リボーン!! 痛い! 痛いってー!! そろそろ放せよー!!」
リボーンは
「つーわけで、サツには頼れねえ。ならボンゴレが預かるか、お前がなんとかするか、その二択になってくる」
「────!」
小宮果穂の脳裏に様々な思考がよぎる。
それは、二ヶ月間どうやって“子供になったアルファ”の面倒を見ながら日々を過ごすのか、ということ。
「……どのみち答えは一択みたいだな。ま、ランボの面倒事はいつものことだ。すぐボヴィーノファミリーが謝礼の品を送るはずだ。それでなんとかしろ」
「え……ちょ、リボーン! それ本気で言ってるのかよ……!」
「ならツナがこいつを預かるか?」
「えっ……」
「子守りは慣れてるだろ。だがその場合、ボンゴレが全責任を背負うことになる。その手筈を整えたり、後始末をしたり……ボスの力量が問われるな」
「お────お前! そうやってオレに、ボンゴレの組織力を使わせて、またオレをマフィアのボスに仕立て上げるつもりだな!? そうはいかないぞ!」
「じゃあ、この小僧は見捨てるのか? 丸投げにするのか」
「うっ……! ──つーか最初に丸投げしようとしたのは、どこのどいつだよ!」
「生意気だぞ」
「ぶべっ!? 理不尽……!!」
リボーンに蹴り飛ばされた沢田綱吉は地を転がる。
その時、小宮果穂は決心したように立ち上がった。
「あ────あたしが、この子の面倒を見ます!」
『…………!!』
この展開を見越していたリボーンは、一瞬ニッと微笑んでから問いかける。
「できるのか? 二ヶ月間の育児だぞ」
「や……やるしか、ありませんから……! みなさんにも迷惑、かけたくないですし……」
「そんな! 先に迷惑をかけたのはこっちのほうで……!」
沢田綱吉は改めて謝罪したいが、謝ったところで状況は好転しない。既に何度も謝っているのだ。ならば、具体的な策を打ち出さなくては。
リボーンは最後の質問を繰り出す。今度は黒いハットのつばを掴んで調整。声を低く問いただす。
「
「──……! ……覚悟なら、ありますっ!!」
リボーンは「ニッ」と微笑む。
「たしかに、死ぬ気の炎が灯るような覚悟だな。分かったぞ。ま、がんばれ」
「お、おい! リボーン!?」
リボーンは立ち去る。
沢田綱吉は、本当にそれでいいのか、と未だに悩んでいるが……たしかに小宮果穂の覚悟は本物だった。ならば止めても聞かない。それならばと、自分にできることをする。
「じ、じゃあ……なにか困ったことがあったら、すぐオレたちに教えて! オレなら、このグローブでカッ飛んでいって、すぐ助けに行けるからさ!」
「……! あ、ありがとうございますっ……でも、大丈夫だと思いますっ! あたし、いっしょうけんめい、がんばりますっ!!」
小宮果穂は決めポーズを取る。
しかし胸の中では不安でいっぱい。たくさんの胸騒ぎもしている。
そして気づけば日は傾き、夕暮れの時間帯になっていた。
そろそろ帰らなければ家族を心配させてしまう。
「あ……じゃあ、あたしたちは、これで! ──あ、アルファさん! あたしと、いっしょにかえろ……?」
「……」
「アルファさん?」
「? ……?? …………いろはのこと? いろはのなまえはいろはだよ!」
「あ……そ、そうだったね! ごめん! ……じゃあ────いろは、ちゃん? あたしとおうちにかえろ?」
「なんでー?」
「えっと……だって、もう夕方だし……」
小さな子は首を横に振る。
「んーんー。おかあさんといっしょでかえるー。しらないひととかえっちゃいけないー」
「──……!!」
小宮果穂は気づく。
とても簡単なことを見落としていた。
(そっか……十年前のアルファさんは、まだあたしとは知り合いじゃないから……)
その時、再び木の上から“ゾウさんのコスプレ”をしたリボーンが現れて助け舟を出す。
「じゃあ坊主。お前の母親はどこにいるんだ?」
「しらなーい。どっかいったー。……まいご!」
「そうか。でな、お前の母親を捜すのは二ヶ月かかりそうなんだ。それまで、この小宮果穂っていう女の子が、お前の世話をしてくれる。だから今日のところは、ふたりでいっしょに帰れ」
「えー? …………ほんと?」
「ああ。ほんとのことだ。嘘だと思ってもいいが、その場合はお前が夜の公園で腹減らすだけだぞ」
「……おなかへった~……」
「なら、お前を守ってくれるお姉ちゃんを、あまり困らせないことだな」
お姉ちゃん。それは小宮果穂のこと。
小さな子は、小宮果穂の不安げな表情を見上げて、しばし見つめ合う。
「……うーん……────」
「……っ……!」
小宮果穂は不安がる。
信頼されるだろうか。小さな子からしてみれば、いきなり見知らぬ世界に放り出されたのだ。普通の子なら両親を探し求めて泣き出してもいい頃のはず。しかし小さな子は、どこか楽観的なのか。
「まぁいっか!」
「っッ!!?」
「だっこー」
「あ────う……うん! ありがとう……あたしを信じてくれて……! じゃあ、お姉ちゃんと一緒に帰ろっか!」
両手を伸ばしてきた小さな子。
その小さな体を小宮果穂は抱き上げると、小宮果穂の片腕の中にスッポリと入った。なんて小さな体なんだろうと、少し怖くなる。ほんの少しでも手荒に扱えば、脆くも崩れ去るような肌の柔らかさ。腕やお腹のもちもち感。
「よるごはんは?」
「……え?」
「カレー?」
「……カレーが、好きなの?」
小さな子は首を横に振る。
「? どういうこと?」
「しらん!」
「え……」
独特な言葉遣い。小さな子の思考回路が読めない。
しかし今はおとなしくだっこされてくれている。
「今のうちに帰ったらどうだ」
「あ、うん……! ありがとね、リボーンくん! じゃあ、えっと……みなさん、さよなら!」
小宮果穂は、小さな子を抱っこしたまま駅に向かい、大急ぎで家路に就いた。
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