【小宮果穂とちょいワル男子のオトナ甘くてコドモ苦い】ぷらすえっくす! 作:形のない者
春先の日中。
プチパレスの玄関にて。
「ただいまー」
アルファが帰宅した。
「おかえりなさいっ!」
小宮果穂が出迎える。
「おかえりなさ~い、天道さーん」
「あ、天道さんだーっ。やっと捕まえた~」
たまたま通りすがった郁田はるきと、遊びに来ていた客人の鈴木羽那までもが出迎えた。
「おや、鈴木さんお久しぶりです。それではさようなら」
「さーて、罰ゲームのお時間でーすっ」
「おやおや。あれから半年以上。すっかり忘れていました。それで? 成長のほどは?」
「まずはあたしの話を聞いてくださいっ」
「はい」
「じゃあ場所を変えよっか?」
「……──そういう意味ではないと分かっていても、心の声がありのまますぎてちょっと怖い今この瞬間」
「えーなにー? またよくわかんないこと言ってー。早く行こっ?」
「はぃ……」
鈴木羽那に連れられたアルファは、二階の廊下にある憩いの間に到着。
何事かと思った小宮果穂と郁田はるきは尾行して覗き見していた。
「あはっ、ここのソファふかふかで気持ちいいよねー!」
「そうですねー」
「春で暖かくなってきたし、つい寝落ちしちゃいそうでさーっ」
「そうなんですねー」
「天道さんも寝落ちすることってある?」
「罰ゲームの話はどこへ……?」
「あ、そうだった~! それがさー? なかなか思いつかなくって~」
「ハハッ」(あ、やべっ。呆れすぎて思ったより乾いた笑いが出ちまった……)「なら無しで良いのでは?」
「えーっ? それはなんかモヤモヤするな~?」
「なぜです?」
「だって君、いじわるなんだもーん」
「つまり仕返しがしたい」
「そう!」
「では好きでもない女の長話は男の嫌がる典型的な罰ゲームなんで、そうされては?」
「あーほらまたそうやって最悪なこと言うー。この生意気小僧さんめーっ!」
「あなたも色々と成長なされたようでお父さん嬉しいです」
「誰が娘じゃっ!」
「それと仲直りされたようで何よりです」
「? ……え、だれと……?」
「なんとなくです。顔見れば分かります。──まっ、罰ゲームなんていつか思いつきますよ。それに俺は頭の弱い人間は少し苦手でね」
「むっ。まーたまたそうやってー」
「昔の自分を思い出す」
「──……え?」
「言葉足らずは不幸の素だ。──ですので、まぁ、はい。いつか俺が困ったら助け返してください。それが俺にとって最高に最悪な罰ゲームですよ。だって悔しいですもん。舐め腐ってた相手に助けられるなんて屈辱以外の何物でもない」
「…………」
「じゃ、そんなわけで。すたこらさっさ」
「あ、逃げたーっ!」
小走りで逃げるアルファは、覗き見していた小宮果穂と郁田はるきのそばを駆け抜けていく。
「もーっ!」
牛のように不満を漏らす鈴木羽那。
そこで緊張した面持ちの小宮果穂が問いかける。
「あ、あのっ! 羽那さん! いつの間にアルファさんと、仲良くなって……いたんですか……?」
「えー? 仲いいかなー?」
「は、はい……! あたしには、仲良く見えました……!」
「えーっ、ほんとー? そうかな~?」
「……っ? 羽那さんは……仲いいと思わないんですか……?」
「あはっ、だって、あんな感じの天道さんだよーっ?」
「……? アルファさん、だから……?」
「うん。困った時に助けてくれるのは嬉しいけど、なんかなー?」
「なんか……?」
「えっと、天道さんってたくさんのこと考えてるよね? でもすっごく! すーっごく! いじわるなんだ〜」
「は! それはそうです! あたしのアルファさんが失礼しました……っ!」
「いいえーっ。果穂ちゃんが謝ることじゃないよ~?」
小宮果穂は判断する。
おそらく鈴木羽那は、ちょこ先輩と同じ枠であると。
一方、郁田はるきは色々と空想していた。
(……天道さんと知り合って恋バナができるようになった果穂ちゃん……天道さんと知り合って特に変わらない羽那ちゃん……同じ無垢でも対照的だ~。これは面白い対比になるかも? 材料や題材は何がいいかな~。絵画なら白銀と真紅の塗料で────)
かくして三人は井戸端会議に花を咲かせる。
今日も今日とてプチパレスは賑やかに、何かが少しずつ変化していくのであった。
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