時系列は原作2年前から始めます。
転生
光に包まれて次に目を開けるとそこは石造りの家が並ぶ街だった。
「ここが異世界…」
実感は湧かなかったが剣や斧などの武器を装備している者が街を歩いているのを見るとやはり異世界だと再確認できる。
「まずはギルドとかあれば…すみません、この街に冒険者のギルドってありますか?」
ケントは歩いている人に聞いた。
「あんた、アクセルは初めてかい?」
「はい(アクセルというのか)」
ケントは街の名前を覚えた。
「ギルドならこの道を真っ直ぐ行ったところの一番大きな建物がそうだよ。なんだ冒険者に興味あるのか?」
「ええ、まあ」
「あんたも命知らずだな。まあ頑張れよ」
ギルドの場所を教えてくれた通行人は心のこもってないエールを送った後に去っていった。
◇◇◇
通行人に教えてもらったギルドに辿り着いたケントは入り口に入る。
「ようこそ!地獄の入り口へ!」
入り口近くにいたモヒカン頭の荒くれ者に何か言われたがケントは無視して受付らしきところへ向かう。
「すみません。冒険者になりたいんですけど受付はこちらで合っていますか?」
「はい、合っていますよ」
対応してくれたのは胸元が開いた服を着た綺麗な受付嬢だった。
ケントは失礼のないように胸から目を逸らす。
「はじめまして。私は受付嬢のルナと申します。冒険者のご登録ですか?」
「はい」
「登録料が1000エリスになります」
「はい」
おせっかいなロキが用意してくれたのだろう。
腰に下げてあった魔法の道具袋に手を伸ばす。
この道具袋はどうやら中が四次元空間となっていて中にあるものはイメージすれば取り出せるようだ。
転生特典でお願いしたお金、初任給くらいの20万エリスから1000エリス取り出してルナに渡す。
「ありがとうございます。それではこの冒険者カードに触れてください」
ルナが差し出したのは免許証サイズのカードだった。
「このカードはあなたのレベルとステータスを表示しそれに適した職業を選ぶことができます。モンスターを倒して経験値が貯まるとレベルが上がりスキルを覚えるポイントが加算されます。身分証にもなりますので紛失した場合、再発行に手続きがいりますのでご注意ください」
「分かりました」
ケントは冒険者カードに手で触れる。
「ホサカ…ケントさん、筋力は普通…幸運がやや低いですね」
「(前世で刺されているからな)」
「ってこれ!知力、魔力、生命力が凄い数値ですよ!」
今まで事務的に対応していたルナが興奮した口調で言った。
「この数値ならアークウィザードも選べますよ!」
「アークウィザードだって!?」
「マジかよ!」
「すげぇ新人が現れたな!」
ルナの声に聞き耳を立てていた冒険者達が盛り上がる。
しかし、ケントのリアクションは薄く落ち着いていた。
「(最終的にカンストするならステータスの偏りは関係なくなる。それなら…)すみません。ステータスを均等に鍛えられるのはどの職業ですか?」
「え、冒険者ですが…」
「では冒険者で」
「えぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
ルナが大声を上げる。
「いや冒険者は最低職って言われててスキルポイントも他の職業より消費するんですよ!」
「いや大丈夫です」
ルナの説得をケントは聞き入れなかった。
「そう…ですか…」
ルナはこれ以上の説得は無駄と悟って肩を落とす。
周りの冒険者達はケントのことを頭のおかしい者だと見ている。
「心配してくださってありがとうございます。でも私は大丈夫です」
ケントはそう言ってルナを安心させるように微笑んだ。
その顔を見たルナがフリーズした。
「ルナさん?」
「え?あ、いやすみません!それでは冒険者ホサカケントさん、頑張ってください」
「はい」
ケントはそう応えて踵を返してギルドを出た。
「…(…何あの人かっこいい!)」
ケントの後ろ姿を見送ったルナは何故かケントに惚れてしまったのだった。