ギルドを出たケントはまず武器屋に向かった。
最低限の武器だけは持っておこうと考えたのだ。
武器屋で片手剣を1本買って右腰に納める。
アクセルを出て東の森に向かった。
なぜか道中モンスターには遭遇せず、無傷でロキが言っていたダンジョンに辿り着いた。
入り口はインディージョーンズに出てきそうな遺跡で、石造りの両開きの扉の前には腰の高さくらいの台座があり両手の手形のような窪みがある。
「もしかしてこれは…」
ケントは両手を窪みにはめる。
すると、扉が重い音を響かせて開いた。
中に入ると扉がゆっくりとひとりでに閉まった。
もう後戻りはできない。
「先に進むか」
下へ降りる階段が目の前にあったので1階から地下1階へ降りていく。
ダンジョンの中は石造りの迷宮でいかにもという感じだった。
「ようこそ!ダンジョンへ!」
背後から声が聞こえたので振り返ってみるとそこにはロキが宙に浮いていた。
ただし、そのサイズはぬいぐるみくらいでキャラクター感がある。
「その姿はどうした?」
「いや~僕がこの世界にいることがバレるとうるさい奴らがいるからね。力を制限してきてるんだ」
内面はともかく見た目だけは子供とかに人気がありそうだ。
「話を戻そうか。ここは君のために僕が作ったダンジョンさ。地下1階から100階まであって全てのモンスターを倒すと君のレベルがカンストするように計算してある。モンスターの種類は多種多様、宝箱やアイテムも用意してある。序盤は僕がアドバイザーとして君に色々教えてあげるよ。あとは君1人で頑張ってね。それじゃ異世界冒険のチュートリアルを始めようか」
そう宣言してロキはケントの背後でプカプカと浮遊している。
ケントは先へ進んだ。
異世界転生初のモンスターが現れた。
短い鼻、長い耳、緑色の小柄な体、
「あれはゴブリン、集団ならめんどくさいけど単体なら雑魚だよ。ちなみにスライムはこの世界では強敵だよ。物理攻撃は効かないし粘液で体を溶かしてきてたりする」
ロキの説明を聞きながらケントは目の前の相手に集中する。
ゴブリンは「ギャギャッ!」と鳴き声を上げている。
ケントは腰の鞘から片手剣を抜いて構える。
深呼吸して攻撃の機会をうかがう。
これがゲームなら死んでもやり直せるがここは現実、命は1つしかない。
棍棒を持ったゴブリンが獲物を見つけて襲いかかってくる。
素人のケントが初めから上手く戦えるはずもない。
片手剣を両手持ちに切り替えてゴブリンの棍棒とぶつけ合う。
ケントの方が少し押されたが気合いで踏ん張って思いっきり踏み込んで突進する。
狙いは一ヶ所。
力いっぱい振ってゴブリンの首を斬った。
ゴブリンの首から血が噴き出して絶命した。
パチパチパチパチ
ロキが偉い人みたいな拍手をしていた。
「異世界転生初戦闘勝利おめでとう!」
ロキの称賛をよそにケントは死んだゴブリンを見ている。
「このモンスターもあんたが作ったのか?」
「その通り。僕にかかればこの程度の生物を作り出すなんて簡単さ。ああ、命の在り方について考えているのかい?気にしなくていい。これらは所詮本能に従って動くだけの存在だ。感情なんてものはない」
「…そうだな」
ケントは目を瞑って考えた後、目を開いてそう言った。
覚悟を決めて先へ進むことを選んだ。
ゴブリンを何体か倒して次は地下2階へ降りていった。