覚えにくいかもしれませんがよろしくお願い致します。
神の子
アクセルを出たケントはスーツ姿で草原を歩いている。
道中にモンスターが出たがケントの敵ではなかった。
ケントはこの世界に転生してからあることを考えていた。
この世界には保険というものが無さすぎる。
生命保険、労災保険、火災保険、健康保険など。
だからケントはこの世界で保険会社を設立しようと考えていた。
その為には必要なものがある。
資金。
これは問題ない。
ダンジョンで稼いだし、ギルドからの分割払いも残っている。
次に国の認可。
勝手に営業したら違法になってしまうのでこれも必要。
ケントはアクセルで会社を設立するつもりなのでその国の認可を取らなければならない。
ちなみにこの国はベルゼルグ王国というらしい。
アクセルを出る前に図書館で調べたところ、この世界では保険という概念がないようなので上手くプレゼンすることが重要である。
最後に人員。
会社としてやっていく以上、社員が必要だ。
最悪の場合はケント1人でやっていくしかないが効率が悪くなってしまう。
そして、ケントがアクセルを出たのもこれが主な理由である。
ケントは17歳、しかもギルドで依頼をこなしていないのでほぼ無名の冒険者である。
認知度もない少年に大人をスカウトするのは難易度が高い。
そこでケントはあるアイデアを思い付いた。
地図で調べたところ近隣の街に、親のいない子供達が暮らす孤児院があるそうなのでケントが里親になって本人の意思を尊重した上で社員に育てていこうというのだ。
つまり即戦力ではなく育成である。
「ついた」
ケントが辿り着いた街の名前はエルサレス。
街に入ってまずは街の中を一周した。
小さな街だが商店街があって活気がある。
しかし、そこから離れていくとスラムのような場所がありその日のパンを食べるのに必死な住人もいる。
途中で不良に絡まれたがまあ相手にはならなかった。
そして、ついに目的の場所に辿り着いた。
「ここか」
古い教会のようで元々エリス教の教会だった場所を孤児院としてやっているようだ。
敷地内に入って歩いていく。
こちらを覗く視線がいくつもあったがとりあえずはスルーした。
扉の前に来て、ひもがついたベルがあったのでそれを鳴らす。
「はい」
中から出てきたのは90歳は超えているであろうシスターだった。
「すみません。はじめまして私、アクセルから来たケントと申します。こちらの孤児院で里親を募集していると伺ったので参りました」
ケントは丁寧に挨拶した。
「そうですか…とりあえず中へ」
「はい」
ケントはシスターに教会の部屋へ案内された。
「私はシスターのマリアと申します」
「よろしくお願い致します」
「改めて話を聞かせてくれませんか?」
「はい」
ケントは自分が保険会社を設立しようとしていること、その為の人員を孤児院から引き抜こうとしていること、その際本人の意思を尊重することを話した。
「そうですか…」
「里親になったらその子が自立できるように知識と術を身に付けさせたいと考えています」
「なるほど。あなたの考えは分かりました…ですが何より子供達の気持ちが大切です。まずは会って話してそれから時間をかけて決めましょう」
「はい」
子供の気持ちを一番に考えるマリアの意見にケントは賛成した。
孤児院は何より子供の意思が大事であり、それを蔑ろにしては奴隷と同じになってしまう。
「それからその格好は子供達を怖がらせてしまうかもしれません。役人みたいで」
マリアに言われてケントは自分の姿を見る。
黒いスーツはこの場に適していないようだ。
ケントが指をパチンッと鳴らすと服装がスーツからラフなシャツとズボンに変わる。
「「「わぁっ!すげぇ!」」」
するとドアの隙間から覗き込んでいた子供達の内の3人が部屋に入ってきた。
「今のどうやったの!」
「カッコいい!」
「ヒーローみたい!魔法?」
小学生高学年くらいの3人が目をキラキラさせている。
「魔法じゃないよ。これはスキル、換装スキルって言うんだ」
「「「へぇ~すごい!」」」
3人の反応はまるで三つ子のようだ。
「私の名前はケント。君達は?」
「アポロン、11歳!」
「ホルス、11歳!」
「マリナ、11歳!」
赤い髪の少年2人と少女1人がが手を上げて名乗る。
「(神の名前…それも3人とも太陽を司る神…)」
「ちょうどいいわ。みんな入りなさい」
ケントがそんなことを考えているとマリアがドアの向こうへ呼び掛ける。
ドタドタと部屋に入ってきたのは先程の3人を合わせて総勢24人の子供達だった。
「ではまず男の子から」
マリアが場を回し始める。
「トール、14歳!」
金髪の少年が名乗る。
「クロノス、13歳」
クールな逆立った髪の少年が名乗る。
「ダグザ、13歳」
黒髪で目元の隠れた少年が名乗る。
「フレイ、12歳!」
緑色の髪の少年が名乗る。
「ウル、10歳!」
おもちゃの弓矢を持った少年が名乗る。
「オーディン、9歳!」
金髪でつり目の少年が名乗る。
「インドラ、9歳!」
黒髪パーマの少年が名乗る。
「ポセイドン、7歳!」
青髪の少年が名乗る。
「シン、7歳」
静かで口元をマフラーで隠した少年が名乗る。
「アグニ、6歳!」
真紅の髪の少年が大見得のようなポーズを取って名乗る。
そして、男子最後の1人は、
「?」
ケントはズボンを引っ張られる感触がしたので下を見る。
すると、白髪で天然パーマの子供がこちらを見上げていた。
ケントは屈んで目線を合わせる。
「ぜうす…さんしゃい!」
3歳のゼウスは指を立てて名乗ってくれた。
「じゃあ、次は女の子ね」
「ティアマト、16歳です」
包容力がありそうな少女が名乗る。
「イシュタル…15歳です///」
黒髪ポニーテールの少女が恥ずかしがりながら名乗る。
「アルテミス、14歳!」
ウルも同じおもちゃの弓矢を持った少女が名乗る。
「ミネルヴァ、14歳!」
気が強そうな少女が腰に手を当てて名乗る。
「…フェンリル…12歳…」
フードで顔を隠した少女がティアマトの後ろに隠れて名乗る。
「フレイヤ、12歳よ!」
フレイと同じ緑色の髪の少女が腕を組んで名乗る。
「メルクリウス、10歳です」
笑顔が素敵な少女が名乗る。
「オシリス、9歳」
紫の髪の少女が名乗る。
「シヴァ、8歳で~す!アハハ!」
笑い声の絶えない少女が名乗る。
「ヘラ、4さいよ!ゼウスよりおねえちゃんなんだから!」
最後に2つの輪っかのような髪型をした少女が名乗った。
「みんな、血は繋がってないけどきょうだいのようなものよ」
マリアが優しい笑顔でそう言った。
ケントは思い出した。
ロキが言っていた神の名前の子供達に会ったら力になってあげて欲しいと。
「(こういうことか…)」
ケントは運命を感じたような気がした。
子供達の名前、覚えづらいかもしれませんがよろしくお願い致します。