※この作品はR-18です。

異世界転生した俺は、原作展開を壊して自由に生きる   作:龍いち

111 / 130
盗賊団の殲滅2【Side 主人公】

小部屋で休憩しながら盗賊たちの装備品を確認していると、その中に見覚えのある指輪を見つけた。

ん?この指輪って決意の指輪じゃ......

 

まさかと思って鑑定してみると、やはりそれは決意の指輪だった。

マジか!ボーナスポイントの装備品って実在するのか!

驚いてカエデに見せると、彼女は「凄い!伝世品じゃない!」と言って驚いていた。

 

「えっ? これってボーナスポイントで出す装備品じゃないの?」

「ああ。満男君は知らなかったのね。

あのね、ボーナスポイントを割り振って出せる装備品は、ちゃんと実在するものなのよ。

伝世品って言われていてかなり珍しいものなんだけど、確かギルド神殿で固定の祝福を受けると、ごく稀に出現するらしいのよ」

 

「そうなのか」

「普通スキル付きの装備品の名称は、スキル名+装備品名になるんだけど、伝世品は固有名称がついているの。

だから、逆に考えると装備品を鑑定したときに固有名称がついてたら、それは伝世品で希少な装備品であり、何かしらのスキルがついてるってことになるのよ」

 

「そうすると、デュランダルも存在しているってことか」

「うーん、どうだろう。

そもそも固定なんて受ける人自体少ないと思うし、そんな凄い装備品なんて出せる人はいない気がする。

伝世品のスキルの数は、そのジョブでの活躍具合によって変わるらしく、確か30年騎士として第一線で戦った人でも固定の祝福で出した装備品にはスキルは2つしかついてなかったって話を聞いたわ。

デュランダルはスキル6つだから、単純計算で90年間そのジョブの第一線で活躍しないと出せないわね」

 

「そりゃ無理だな」

「因みに村人はギルドのあるジョブじゃないから、老人をどこかのギルドに連れて行って無理やり祝福を受けさせても、固定されることはないし伝世品も出ないからね」

「そんなことするヤツがいたのか」

「むかし、大商家の当主でどうしても伝世品が欲しい人がいてね、近所の長生き老人をつれて色々なギルドを行脚した人がいたのよ。それで、馬鹿みたいに散財したけどどこのギルドでも固定は出来なくて、結局最後は商家がつぶれたの」

「初めて聞いた」

「結構有名な話よ」

 

「ところでさっきから言ってる固定って何?」

「固定はギルド神殿で受ける祝福のことなんだけど、その祝福を受けると能力が強化される代わりにそれ以上成長しなくなるの。それにジョブが固定されて、どのジョブにも転職できなくなるらしいのよ。

但し、さっきの散財の話につながるけど、ギルドに対してかなりの功績が認められないと固定の祝福は受けさせてもらえないらしいわ」

 

「功績?」

「寄附金とか御布施とか。

ようはギルドにたくさんお金を支払えってことね。

それで祝福を受けても伝世品が出ること自体が稀らしいから、それ目当てで寄附する人なんていないわ。

そうなると、固定の祝福自体一部の人しか受けないから、ますます伝世品が世の中に出回ることが少ないのよ」

 

「そういうことか」

「だからこの指輪。曰く付きかも知れないわね」

「売るわけにはいかないよな?」

「盗品だったら大変なことになるし、やめといた方がいい気がするわ」

「じゃあどうするか......」

 

助けがいるわけじゃないけど、なんとなく周りを見回すと、少し元気がなさそうなミリアが目に入った。

盗賊とはいえ目の前で何人もの人が斬り殺されていくのを見て、気分が悪くなったのだろう。

そういえば、確か決意の指輪のスキルは攻撃力上昇と対人強化だったな......

 

「ミリア。ちょっといいか?」

「はい。何でしょうか?」

「この指輪には攻撃力上昇と対人強化のスキルがついている。今のミリアにちょうど......」

「それはダメ!身代わりのミサンガの方が大事だから」

 

とりあえずミリアに押し付けようかと思ったけど、言いきる前にカエデに阻止されてしまった。

 

「う... 確かにそうだな」

「使い道は無い気がするけど、取り敢えずアイテムボックスに仕舞っておいてね」

 

カエデはニッコリと微笑むと、そっと俺の手に決意の指輪を握らせた。

しかし、彼女の目は笑ってない。

これはアカンやつや......

 

俺は黙ってアイテムボックスを開いて、“2度と取り出すことはないんだろうな”と思いながら決意の指輪をそっとしまった。

 

一息吐いて気を取り直し、盗賊たちの装備品を軽く拭いてアイテムボックスに仕舞い直していると、奴等の手からインテリジェンスカードが迫り出してきた。

俺は袋から一人ずつ奴等の手を取り出して、カードを回収して余った手は部屋の端に投げ捨てた。

そしてそれを繰り返し、最終的に10枚の盗賊のカードを回収した。

 

◆ ◆ ◆

 

「みんな。そろそろ再開するぞ」

 

立ちあがって声をかけると全員了承したので、俺たちは盗賊退治を再開した。

 

途中で魔物の群れを殲滅して盗賊が溜まっている場所に近づくと、先ほどと同じようにカエデがピタッと止まった。

しかし、今回は引き返そうとはせずに小首を傾げ、そして小声で話しかけてきた。

 

「満男君。集団の少し手前に何人かいるみたいなんだけど、動く気配がないわ。

どうしよう。もう少し近づく?」

「動く気配がないんなら、見えるとこまで近づこう」

「なんか違和感があるんだけど、大丈夫かな......」

 

「盗賊どもが向かってきたら、オーバードライブを使ってカウンターを仕掛ければ大丈夫だろう」

「視認できても向かってこなかったら?」

「ギリギリまで近づいて、そこからオーバードライブだな」

 

「ふふっ。そうね。

ただ、なんとなく嫌な予感がするから、突っ込む前に周りを含めてちゃんと鑑定しようね」

「了解した」

 

そう話してから盗賊たちに近づいたけど、カエデの懸念通り奴等は俺たちが見えても動こうとしなかった。

 

通路を塞いで立ちはだかっているのは 4人。

前衛は真ん中のヤツが突出していて、左右の2人が少し下がった位置にいる。

そして、左のヤツの後に後衛の一人がたっている。

 

鑑定すると、前の3人は右から盗賊Lv21、盗賊Lv28、山賊Lv23で、左右2人は女だ。

そして、左の女の後ろからこちらを覗き込んでいるヤツは海賊Lv33でこの場では一番レベルが高かった。

 

厄介な布陣だな。

これではオーバードライブで奇襲を仕掛けても、最初の一撃で後のヤツまで倒すのはかなり厳しい。

かと言って俺には他に戦術がない。

 

取り敢えず前の3人を倒して、あとは出たとこ勝負とするか。

そう思っていると、カエデが小声で話しかけてきた。

 

「満男君よく見て。罠よ」

「えっ!」

「手前の床に縄が落ちてるでしょ。

あれ、たぶん近づいたらピンと張られるわよ」

「姑息な手を...... 

女の後に隠れてるヤツが縄を引く役か......」

 

「たぶんね。

それと、盗賊たちの後ろもよく見て。

その奥は小部屋になってるでしょ。

死角に何人か潜んでいるみたいだから、弓矢か吹き矢で狙ってるのかも知れないわよ」

 

「クソッ!用意周到だな」

「そこで提案なんだけど、ここから逃げちゃわない?」

「えっ!」

 

「追いかけてきたらさっきの奴等みたいにオーバードライブでカウンターを仕掛けて殲滅。

追いかけてこなかったら、外の騎士団に情報を渡してあとは任せればいいと思うの」

 

「ふむ...... もう少し狩っておきたかった気もするけど.....

まあ、いっか。

かなりレベルが高いヤツも倒したし、カエデの言う通り、追ってこなかったら素直に諦めよう」

 

なんとなく追ってこないと思いつつも、このまま突っ込むのは無謀な気がするので、カエデの意見を採用することにした。

そのことを後の3人に伝え、俺たちは息を合わせてジリジリと後ずさった。

そして、3mほど下がったところで踵を返し、カエデを先頭にして全力疾走でその場から逃げ出した。

 

次の瞬間、後ろから俺の知らない言葉の怒鳴り声が迷宮内に鳴り響いた。

どうやら俺たちが逃げ出すとは思っていなかったようで、背後から罵詈雑言を浴びせているようだけど、言葉がわからんし、奴等から文句を言われる筋合いはないのでサクッと無視した。

 

先ほどの位置から100mほど走り、通路の角を曲がって更に20mほど走ると、不意に先頭を走っていたカエデが立ち止まった。

そして、俺の端まで駆け戻り、「4、5人追いかけてきてる」と言って剣を構えた。

 

俺も振り返って戦闘態勢を整えると、角を曲がって盗賊たちが飛び出してきた。

奴等は待ち構えていた俺たちを見て、一瞬驚いたような表情をしたけど、勢いそのまま剣を抜こうとして、次の瞬間目の前に現れた炎の壁に突っ込んだ。

 

「うげっ!」

「ギャ!」

「んなっ!」

「あギャ!」

「イーッ!」

 

追いかけてきた盗賊たちは全員火達磨になって俺たちの前でのたうちまわったので、俺たちは躊躇なく各自の得物でトドメを刺した。

そして、素早く左手首を切り落として、奴等の服を切って作った袋に詰め込んだ。

 

ファイアウォールが消えた後もしばらく追撃が来ないかその場で臨戦態勢を取っていたけど、結局奴等が溜まり場にしている小部屋の中からは誰も向かってこなかった。

仕方がないので5人の装備品とインテリジェンスカードを回収し、フィールドウォークで入口小部屋に移動して、そのまま迷宮の外に出た。

 

◆ ◆ ◆

 

迷宮の外に出ると、そこは騎士団に半包囲されていた。

思わずギョッとしていると、すぐ端にいた騎士団長から声がかかった。

 

「ミツオ殿。探索を終えるには随分と早い気がしますが、どうかされましたか?」

「ゴスラー殿。

実は12階層で何度も盗賊の襲撃を受けました」

「なんとっ!それは本当ですか!」

 

「はい。まあ、襲ってきた盗賊自体は都度撃退したので問題ないんだけど、奴等の拠点らしき場所を見つけてしまって......

さすがにこの人数では拠点に殴り込むわけにも行かず、かと言って放置するわけにもいかないので、ゴスラー殿に報告しに戻ってきた次第だ」

 

「おお。それはありがたい。早速ですが場所を教えて頂けますか」

 

騎士団長はそう言うと、俺たちを仮設テントのようなところに案内した。

すると、すぐに部下が12階層の地図を持ってきたので、俺たちは盗賊どもが拠点にしていた場所と、その手前に罠を張っていることを伝えた。

 

騎士団長は情報提供した俺たちに対して謝礼を支払うと言い出したけど、俺は貴族とは関わりたくないので、即座に丁重にお断りした。

 

しかし、代わりに倒した盗賊のインテリジェンスカードの確認と懸賞金の支払いを依頼したのだけど、懸賞金の支払いには騎士団のギルド神殿が必要らしく、本日は対応できないので、後日改めてボーデ城に来るよう言われてしまった。

 

城になんて行きたくないけど、今さら他の町の騎士団にカードを持ち込むわけにはいかない。

仕方がないので、騎士団長に「わかりました。では、後日カードを持参します」と返事して、目の前の衝立から

ターヘラの自宅に移動した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。