※この作品はR-18です。

異世界転生した俺は、原作展開を壊して自由に生きる   作:龍いち

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愚か者たち3【Side 主人公】

ボーデ城のロビーに移動すると、目の前にいた騎士団員から声をかけられた。

 

「あっ!あんたはハインツを倒した冒険者じゃないか!」

「ああ、そうだが。

それより狼人族のパーティーが決闘の立ち会いを申し入れに来てないか?」

「えっ?決闘? ちょっと待て」

 

騎士は一瞬驚いたようだけど、すぐに気を取り直して城の奥に走っていった。

そして、5分後に騎士団長を引き連れて戻ってきた。

 

何で騎士団長なんか連れてきてんだよ!

また面倒なことになったらどうすんだよ!

内心で激しくツッコミを入れつつも、何とか平静を保ちながら騎士団長に軽く会釈した。

 

「ミツオ殿。やっと来られましたか」

「えっ?やっと?」

「ええ。なかなか連絡が取れないので、クーラタルに騎士を派遣して探そうかと考えていたのですよ」

「えっと...... どういうことですか?

私は決闘の件でこちらにきたのですが」

 

「決闘ですか?

どうも話が噛み合ってないようですね。

こちらはお預かりしている指輪の件で連絡を取ろうとしていたのですが」

 

指輪? ......あっ!決意の指輪か。

ヤバッ!すっかり忘れてた。

 

「すみません。指輪の件は、すっかり忘れておりました。

私がこちらに来た理由は、先ほどハルバーの迷宮前で狼人族のパーティーに因縁をつけられました。

そして、話の流れで決闘することになってしまったからです」

 

「そうでしたか。

ミツオ殿が決闘されるのですか?」

「いや、決闘するのはこちらの者です」

「ほう、そちらの方ですか」

「それより相手の方が先にこちらに向かったので、とっくに来ていると思っていたのですが......」

 

俺の話を聞くと、騎士団長は即座に周りの団員に確認しはじめたけど、狼人族のパーティーが来たところを誰も見てはいないようで、少し困惑しているようだ。

 

そういう俺も、このまま奴等が現れないと、あからさまに公爵を避けているようになってしまうので、内心少し焦っている。

 

しかし、いったい奴等はどこに行ったんだ?

そう疑問に思っていると、城の入口がにわかに騒がしくなった。

そして、俺たちに決闘を申し入れた奴等がホールに入ってきた。

 

「あっ!貴方たち!こんなところに!」

カエデに決闘を申し込んだ女は俺たちを見つけて叫んだけど、直ぐに周りの騎士団員に気付いたようで、キョロキョロと周りを見回してから居住まいを正した。

 

「冒険者ギルドに来ないので逃げ出したのかと思いましたわ」

「いや、あんたは騎士団のところに行くって言っただろ?

あれだけ偉そうに言ってたくせに、騎士団の居場所を知らなかったのか?」

 

俺の返しに言い返せないのか、女は顔を真っ赤にしながらこちらを睨んだ。

そして、小声で「絶対殺す!」とつぶやくと、騎士団長に向き直った。

 

「私はイザベラ・バラダム。自由民よ。

私はバラダム家を貶めるような発言をしたこの女に決闘を申し込みます。

そして、私が勝ったらその女を性奴隷として我が家がもらい受けますわ」

イザベラと名乗った女は宣言しながら、カエデをビシッと指さした。

 

「ふむ、家を貶めるような発言か。しかし、性奴隷として身柄をもらい受けるとは......

先ずは貴女に決闘を申し込む権利があるのか確認させていただく」

 

騎士団長がイザベラに返事をすると、後ろから一人の騎士が進み出てきて彼女のインテリジェンスカードを表示させた。

騎士団長はそれを確認すると、次いで「公開の場で決闘を執り行うか」と確認したけど、彼女は「非公開で構わないので、今すぐ決闘させて頂きたいですわ」と返していた。

 

向こうの女の要望を聞き終えると、騎士団長はこちらに向き直って宣言した。

 

「ハルツ公領騎士団のゴスラーである。

彼女が自由民であることを確認した。

彼女は貴女の身柄をかけての決闘を要望しているが、異議はないか?」

「あります」

「では、申してみよ」

 

「見ず知らずの人に因縁をふっかけてきて、反論したら決闘と喚く。

そして、負けたら身柄を引き渡せなどと言うなんて。

こんな盗賊のような人たちとは関わりたくはありません。

ですが、放置しておいたら世の中の害悪にしかならないと思いますので、そちらの女性が負けたら彼女の装備品を全て差し出すという条件を付け加えて頂けるなら、決闘をお受けします」

 

カエデが返事をすると、向こうのリーダーは口角をあげてニヤニヤしだした。

カエデを嬲ることでも妄想しているのか、向こうの女が負けることなど全く考えてないのだろう。

 

「相手は貴女が負けたら装備品を全て差し出す条件を加えるなら決闘を受けると申しているが、同意するか?

同意しないのであれば、決闘は不成立とするが」

「私が負けることなどあり得ませんので、問題ありませんわ」

 

「ふむ。そなたらも異議はないな」

「問題ない」

向こうの女が決闘条件を承諾したあと、騎士団長はパーティーメンバーにも条件の承諾を求めた。

 

流石は騎士団長というところか。

これで向こうの女が死亡しても、奴等は装備品の引き渡しに文句は言えないことになったのだろう。

そう思っていると、彼は一歩下がって宣言した。

 

「双方が条件を了承したので、自力救済の原則にのっとって決闘を認める。

被指名者に誰か保護する者がいれば、代理の者とすることが出来る。

代理の者をたてるか?」

 

騎士団長の言葉を聞くと、カエデは肩をすくめて返事をした。

「いいえ」

「相手方は非公開での決闘を望んでいる。それでよいか」

「はい」

 

「それでは、双方のパーティーメンバーのみついてくるがいい」

騎士団長はそう言うと、踵を返して奥に向かって歩き出した。

その後をついて行こうとすると、俺たちの前に向こうのパーティーメンバーが割り込んだ。

 

すると、相手の女は「これでもう逃げられませんわよ!」と俺たちに向けて捨て台詞を吐き、リーダーはカエデに向かって「今夜は俺が相手をしてやるから、しっかり奉仕しろよ」と願望を吐き捨てて騎士団長の後を追った。

 

慌てて俺たちも追いかけると、城の中庭のような場所に辿り着いた。

そして、その端の地面が向け出しの一角に到着すると、騎士団長が振り返った。

 

「ここで決闘を執り行う。決闘を申し入れた者とそのパーティーメンバーは右端へ。被指名者とそのパーティーメンバーは左端に移動し、決闘の準備をせよ」

 

騎士団長の指示に従い、俺たちは左端に移動した。

そして、反対側を見ると相手の女はパーティーメンバーの男から何か怪しい薬を受け取っていた。

 

女はリーダーから何か言われたようで、こちらに背を向け何かをしているようだったけど、何度か頷いてから。

 

「カエデ。向こうの女は何か薬を受け取ってた。

そのあと背を向けて何かしてるみたいだったし、なんか嫌な予感がする」

「わかったわ」

 

カエデは短く返事をすると、相手の女をジッと見つめた。

たぶん鑑定してるだろうけど、俺も女を鑑定してみた。

 

イザベラ・バラダム ♀ 19歳 獣戦士Lv29

装備 睡眠のエストック、耐火の竜革ジャケット、耐風の竜革グローブ、耐水のダマスカス鋼ティアラ、駿馬の竜革ブーツ、身代わりのミサンガ

 

「ちゃっかり身代わりのミサンガを着けているな」

「そうね。満男君が見たっていう薬も気になるし、油断せずに瞬殺してくるわ」

カエデはそう言いながら、アルマスを一振りした。

 

宣言通り、彼女には全く油断がない。

たぶん盗賊を退治する要領で、オーバードライブを使って瞬殺する気だろう。

 

カエデが一歩進み出ると、広場の反対側にいた相手の女も進み出てきた。

そして、10mほど離れた位置で立ち止まると、剣を構えてカエデを威圧した。

 

「その顔をズタズタに引き裂いて、二度と人前に出られないようにして差し上げますわ!」

「ふーん。貴女はその顔で外を出歩いてるのに?」

カエデの辛辣な返しを理解したのか?

相手の女は鬼のような形相になり、身体をワナワナと震わせた。

まるで全身から殺意が噴き上がっているようだ。

 

「それでは両者前へ」

騎士団長が声をかけると両者が近づき、5mほどの離れた位置で再び対峙した。

そして、お互い剣を構えて睨みあっている。

それを見て騎士団長は3mほど後に下がり、片手をあげた。

 

「今日をおまえの命日にして差し上げます。

這いつくばって泣き叫んでも許すことなどあり得ませんわ」

「おばさん。その言葉が遺言でいいの?」

カエデの言葉に相手は返事をせず、代わりに騎士団長をキッと睨んだ。

さっさと始めろということのようだ。

 

騎士団長はひとつ頷くと、「はじめ!」と言いながら手を振り降ろした。

次の瞬間相手の女は駆け出して、カエデに向かってエストックを突き出した。

嬲り殺すなんて考えてない。

一撃でカエデを串刺しにする攻撃だ。

 

しかし、相手の女が剣を突き出した瞬間、カエデの身体がぶれて、女の身体をすり抜けた。

そして、次の瞬間相手の女は「ギャァァァー!」と絶叫しながら前のめりに地面に転がった。

 

俺は相手の女が駆け出すのと同時にオーバードライブを使ったので見えたけど、この場にいた他の人には何が起こったのかわからなかっただろう。

 

先ずカエデは、右にステップして女の突き出した剣を躱すと、すれ違いざまにアルマスで首を撫で斬った。

ある意味定石通りだけど、最初の一撃で身代わりのミサンガを処分していた。

次に、相手の女の背後から両脚をまとめて切断すると、

最後に背中を蹴り飛ばしたのだ。

 

両脚に感じる激しい痛みのせいか、相手の女は剣を放り出して泣き叫び、太腿の辺りを押さえているが、両脚から勢いよく血が吹き出しており、全く止血が出来ない状況だ。

 

直ぐに止血して滋養錠でも飲ませれば助かるかも知れないけど、女自身が敗北を宣言してそれをカエデが受け入れるなんて決闘の手順を踏んでいたら間に合わないだろう。

 

痛みで藻掻き苦しんでいるのを哀れに思ったのか、カエデは女に近づいて剣を構えた。

放っておいても死ぬとは思うけど、介錯して苦しみから解放してやるみたいだ。

 

そう思っていると、突然向こうのパーティーのリーダーが「イザベラ!お前はもう助からん!バラダム家の名誉のためだ!アレを使え!」と叫んだ。

しかし声が届かなかったようで、特に何も起こらず、次の瞬間には女は喉から延髄にかけてアルマスに貫かれ、身体をビクリと震わせた後、瞳の色から光が消えた。

 

「この決闘はハルツ公騎士団のゴスラーが確かに見届けた。両者死力を尽くした、正当な決闘であると証言する。報復などのないように」

 

騎士団長が宣言したので、俺たちはカエデの周りに集まった。

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