※この作品はR-18です。

異世界転生した俺は、原作展開を壊して自由に生きる   作:龍いち

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決闘の後【Side 主人公】

死んだのか?

血だまりの中にサボーが崩れ落ちた光景を見ながら呆然としていると、騎士団長がヤツに近寄った。

そして一瞬瞑目すると、大声で宣言した。

 

「勝負あり!

この決闘はハルツ公騎士団のゴスラーが確かに見届けた。

両者死力を尽くした、正当な決闘であると証言する。

報復などのないように」

 

その宣言を聞いた途端、向こうのパーティーメンバーのうち2人が崩れ落ちた。

衝撃が強過ぎたのか、気を失ったみたいだ。

 

一人は顔面を蒼白にして立ち尽くし、目の前で起こった光景を受け入れられないでいるようだし、もう一人は俯いて「サボーが負けるなんて」とか「ドープ薬で強化していたのに」とか「どう報告すれば」などとブツブツとつぶやきだした。

 

きっと奴等はサボーというリーダーが負けることなどあり得ないと思っていたのだろう。

俺だって正直勝った気がしないのだから、パーティーメンバーの奴等からしたら天地がひっくり返ったような気分なのかも知れない。

 

ヤツは紛れもなく強者だった。 一歩、いや、半歩間違っていたら俺は殺されていただろう。

だからといって、バラダム家の連中には一切同情などしない。

何故ならコイツらは今まで間違いなく、決闘という制度を利用して悪事を働いてきたはずだからだ。

 

俺は向こうのパーティーメンバーに向けていた視線を切ると、カエデたちを呼んで1人ずつ抱き寄せた。

そして全員とキスを交わして、何とか昂ぶっていた気持ちを落ち着けた。

 

それからみんなで手分けして女とサボーから装備品を引き剥がし、汚れを軽く拭き取ったあと、奥のシートに保管されていた装備品や金銭と併せて全て回収した。

 

その間、向こうのパーティーメンバーは恨めしそうにこちらを見ていたけど、女が身に着けていた指輪やイヤリングまで含めて根こそぎ回収していると、ブツブツと文句を言い出すヤツが出てきた。

 

そして、カエデが女の肌着をまさぐっていると、奴等の中の一人が「亡くなった人を辱めるなんて、なんて恥知らずな奴等だ」と、わざとこちらに聞こえるように陰口を叩いた。

 

場に一瞬白けた空気が吹いた気がしたけど、カエデはそれを無視して女の肌着を破き、中から金貨を取り出した。

すると、彼女は金貨を見せつけながら陰口を叩いたヤツに近づいていき、いきなりそいつの顔面を殴り、次の瞬間には股間を蹴りあげた。

 

カエデは泡を吹いて崩れ落ちた男から視線を外すと、「他に文句がある人はいるの?」と言って他のメンバーを見回したけど、3人とも目を逸らして無言を貫いていた。

 

そうこうしているうちに全て回収し終わったので帰宅しようとしていると、少し興奮気味の騎士団長に呼び止められた。

 

生存本能を刺激されたからか、今すぐカエデたちを抱きたい気分だったけど、残念ながら簡単に帰してはもらえないようだ。

 

「ミツオ殿。すごい戦いでした。

これほどの決闘は見たことがありません」

「そうでしたか」

 

「ミツオ殿の前に戦った女性もかなりの腕前とお見受けしました」

「彼女は特別です。

ただ、前回約束して頂きました通り、彼女のことは他言無用でお願いします」

 

「勿論心得ています。

ですが、その意味ではミツオ殿にも自重していただかないと困りますな。

本日の決闘で、彼女がかなりの腕前であることは広まることでしょう」

「......」

 

「それに、たまたま公爵は諸用で出かけていましたが、それでも決闘が行われたことやミツオ殿のパーティーメンバーにかなりの腕前の女性がいることは伝わります。

私から公爵に伝えることは致しませんが、直接ミツオ殿が聞かれた際は、ご自身で対処して下さい」

「わかりました」

 

興奮気味の騎士団長に釘を刺すつもりで約束の話を持ち出したけど、反対に釘を刺されてしまった。

だけど彼の言う通り、公爵に目を付けられたくない俺としては決闘することになってしまったことは失敗だ。

 

奴等の装備品や金銭を得たから勘弁するけど、それが無かったら憤懣遣る方無いといった状況になっていたことだろう。

取り敢えず今から決意の指輪の代金を頂くことになるのだけど、受取が完了したら、さっさと帰宅して二度と騎士団とは関わらないようにしよう。

 

「それではこちらからの話ですが、先日預かった指輪はこちらで探していた決意の指輪に間違いありませんでした。

お約束通り買い取らせて頂きますので、こちらにお越し下さい」

「わかりました」

 

騎士団長に案内されて着いた部屋は応接室というよりは少し豪華な会議室のような感じで、大きなテーブルの左右に5脚ずつソファーが並んでいた。

 

部屋に入ると彼は俺たちにはソファーを勧め、随伴してきた騎士には指輪の代金を取ってくるよう指示した。

そして、俺たちの向かい側のソファーに座り、再度先ほどの決闘について話しはじめた。

 

「ミツオ殿。サボーという狼人族の男もかなりの強者でしたが、貴方がこれほどの強者であったとは。

いや、ハインツ一味の主立った強者を倒しているので相当強いとは思っておりましたが、間近で戦うところを見て、正直驚きました」

 

「あの男に勝てたのは運が良かっただけです」

「そうは見えませんでしたが。

それに、先ほども申しましたが彼女もミツオ殿と同等の強さとお見受けしました。

装備品もなかなか良い物を使われているようですし、ミツオ殿のパーティーは迷宮の高階層でも十分戦えるようですな」

 

「いや。そんなことはありません。

こちらに来た初日に何度も盗賊に襲われましたし、町中でも声をかけてくる連中が多いので、見た目だけでも強そうにすればそのような奴等からちょっかいをかけられることも無くなるのでは?と考えた次第で......

まあ、残念ながら変な連中に絡まれて決闘するはめになってしまったのですが」

 

「それはついてませんでしたな。

ところで指輪の件で、8日ほど前から連絡を取ろうとしていたのですが、仲買人のルーク殿から連絡が行きませんでしたか?」

 

「8日ほど前からですか?

確かクーラタルの商人ギルドには4日前と7日前に行きましたが、彼とは会いませんでした。

すれ違いだったのかも知れませんね」

 

「そうでしたか。

ミツオ殿は仲買人としてルーク殿を指名しているわけではないのですか?」

「彼とは取引してません。

ただ、クーラタルの商人ギルドで彼に勧誘されてこちらに来ましたので、何かあるなら彼を通して連絡いただければと考えております」

 

「ふむ。そういうことですか......

こちらとしてはスムーズに連絡を取りたいと考えていたのですが、残念です。

今後も連絡を取る際は、ミツオ殿の要望通り彼を通すこととします」

 

どうやら騎士団長は俺の言葉から、連絡されたくないという思いを察してくれたようだ。

一安心と言いたいところだけど、ハルツ公爵やカシア夫人は“ザ、貴族”といった感じだったから、油断は出来ない。

 

ただ、この件さえ片付けばもうこの城に来ることは無いから、ルークに捕まることさえなければ、あの公爵と会うことはないだろう。

 

騎士団長は貴族にしては押し付けがましかったり、高圧的だったり、こちらの話を全く聞かずに自分の要求だけ押し付けてくるようなタイプではないけれど、それでも威厳のようなものを感じてしまうので、正直に言うと苦手なタイプだ。

 

共通の話題なんて限られてるし、相手は貴族だから滅多なことは喋れない。

公爵よりはマシとはいえ、彼の顔色を伺いながら会話するのは精神的に疲れる。

早く解放してくんないかなぁ......

 

そんなことを考えていると、俺の願いが通じたのか?

騎士が部屋に入ってきた。

そして、騎士団長に小袋とメモ書きを渡すと、退室していった。

 

「ミツオ殿。先ずはこちらが決意の指輪の代金です」

「確かに」

一瞬、騎士団長から受け取った小袋を開いてみたい衝動にかられたけど、失礼にあたると困るので、言葉をのみ込み懐にしまった。

 

「中身を確認しなくても良いのですか?」

「構いません。その辺は公爵閣下を信用しておりますので」

そう言いながら腰を浮かしかけると、騎士団長に手で制された。

 

なんだ?まだ何か用があるのか?

よく分からないけど、残念ながらまだ家に帰してはもらえないようだ。

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