※この作品はR-18です。

異世界転生した俺は、原作展開を壊して自由に生きる   作:龍いち

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接収品の売却【Side 主人公】

ザマアミロ!

心の中でそう叫びながら、去っていくルークの背中を見送り、それから改めてライザさんに向き直った。

ルークの方から絡んできたとはいえ、彼女を巻き込むかたちとなってしまったことは申しわけない。

 

「すみません。ご迷惑をお掛けしました」

「いえ。私も彼には思うところがありましたので、気にしないで下さい。

ここではなんですし、商談室に行きましょう」

 

そう言って歩きだした彼女に案内されて商談室に入ると、今まで黙っていたカエデが口を開いた。

 

「ねえ満男君。あの男はなんで貴方とハルツ公爵との仲を取り持とうとしてるの?」

「よく分からないけど、たぶん公爵への点数稼ぎなんじゃないか?」 

「たぶんアシッドさんは、公爵を出汁にしてミツオ様の専属仲買人になることを狙っていたのでしょう」

 

俺が首を捻っていると、ライザさんが確信をついた答えをくれた。

なるほど、そうなると......

ヤツは決闘のことを知っていたから、俺がライザさんに会う前に割り込もうとしたのか。

 

「さっき、ルークが焦っている気がしたんだけど、もしかするとハルツ公領騎士団の誰かから、俺が決闘で大量の装備品を手にしたことを聞いたのかも」

「えっ?決闘ですか?」

 

「ええ。

実は昨日ハルツ公領で狼人族のパーティーに因縁をつけられて、反論したら急に名誉を傷つけられたとか言われて決闘するはめになってしまったんです。

しかも、余りにも理不尽な要求を付けてきたので、決闘を受ける条件として奴等のパーティーメンバーも含めて手持ちの全ての装備品と金品を賭けさせたんですよ」

 

「そんなに理不尽な要求をされたのですか?」

「向こうの奴等は俺が負けたら性奴隷としてカエデの身柄を差し出せって言ってきたんですよ」

「そんな酷い要求を......」

 

「勿論返り討ちにしたので俺たちとしては問題なかったけど。

ただ、決闘したヤツは全身スキル付きの装備品でかためていたし、向こうから絡んできたくせに、奴等は反論された途端に言いがかりをつけて決闘を申し込んできた。

それに、勝利の対価として一方的に理不尽な要求を突きつけてきた。

バラダム家とか言ってたけど......

手慣れていたし、たぶん奴等は決闘制度を悪用して私腹を肥やす常習犯だったと思う」

 

「バラダム家ですか。

それならミツオ様の考えで間違いないでしょう。

以前から悪い噂の絶えない商家ですし、私もちょっと因縁がありますので」

「そうなんですか?」

 

「もう5 年も前のことですが、当時お取り引きさせて頂いていたお客様がバラダム家と揉めて、決闘で負けて亡くなっております。

ちょうどそのとき、お客様からの依頼で直近のオークションで競り落としていた装備品があったのですが、その引き取りについてご遺族の方とトラブルになりまして」

 

「拒否されたのですか?」

「まあ、そんなところです。

ミツオ様は高額な物や大量に注文する際は前金を出されますが、そのお客様は前金は払わない方でしたので」

「そうなんだ......」

 

「そのときの私は父のもとで商人の修業をはじめたばかりだったので、うちの経営にどれほどのダメージがあったのか詳しくは教えてもらえなかったのですが、その後しばらくの間はかなり質素な暮らしを強いられました。

ですので、バラダム家が決闘で負けたという話は、私としては気持ちが晴れた思いなのです」

 

「それは良かった。

それで、今日は奴等から接収した装備品のうち、使う予定の無いものをライザさんに売却していただこうと思い、訪ねさせて頂きました」

 

「わかりました。

ですがその前に、ご注文を頂いているモンスターカードをいくつか入手しております。

それと、お預けいただいたスキル付きの装備品が売れておりますので、そちらの精算をさせて下さい」

 

ライザさんはそう言うと、バッグの中からメモ書きを取り出した。

そして、注目していたモンスターカードのうちコボルトが2枚と蟻と牛を1枚ずつ入手したこと、それと強権の鋼鉄剣と防毒の鋼鉄盾がオークションで良い値段で落札されたこと、そして、その差し引き金額が23万ナールになることを説明してくれた。

 

「この時期は装備品の売却には向かないと聞いていましたけど、随分いい値段で売れたんですね」

「ミツオ様。

スキル付きの装備品を欲しがるのは探索者です。

ですから、探索者ギルドで上手く噂を広げられれば、オークションにその装備品が目的の探索者を集めることが出来るのです」

 

「ふむ。そうなると...... 勝手に競り合うってこと?」

「ふふっ。その通りです♪

まあ、探索者ギルドの受付に友達がいる、私ならではの手なんですけどね♪」

 

「さすがライザさんです。

それで、今回の売却品だけど、怒りのバスタードソードと耐風の竜革グローブ。それと耐水のティアラを」

「3点もですか?」

 

「はい。これらは決闘で接収した装備品ですが、今のところ使う予定が無い物なんで」

「そうですか。勿体ない気もしますが......」

「急いでいるわけではありませんが、タンスの肥やしにしておくのも勿体ないので。

なので、ライザさんのタイミングで出品して下さい」

 

「あの......」

「なにか問題でも?」

「いえ、怒りのバスタードソードと耐風の竜革グローブなのですが......

私が個人的に買わせて頂いても宜しいですか?」

 

「それは構わないけど、ライザさんが使うのですか?」

「いえ、弟に使わせるつもりです」

「弟?」

「はい。17歳なんですが、探索者としてそれなりに頑張っているので」

 

「もしかして武器商人か防具商人を目指してるのか?」

「武器商人を目指していて、順調にいけば、あと2〜3年で転職出来るでしょう」

「そうなんだ。

ライザさんに売るのは構わないけど、いくらで買い取るんだ?」

 

「そうですね......

相場では、怒りのバスタードソードは13万ナール、耐風の竜革グローブは12万ナールというところですが、今後のお付き合いも考慮して少し色をつけさせて頂きます。

全部で32万5千ナールではいかがですか?」

 

「いいですよ」

俺が頷くとライザさんは「それでは一応確認してきますね」と言ってニッコリと微笑み、装備品を抱えて退席した。

そして、10分ほどで戻ってきて、全て申告通りの装備品であったことを報告すると、ソードとグローブの代金を俺に差し出した。

 

それを受け取り、俺は改めて耐水のティアラの出品をライザさんに依頼してから、もうひとつのお願いをするため小袋を開いた。

 

「これってライザさんの方で扱えますか?」

俺はそう言って小袋の中から指輪を2つ取り出し、彼女の前に置いた。

 

「これは...... トパーズと...... ガーネットですか?」

「うむ」

 

俺が頷くと、ライザさんはおもむろに指輪を手に取り、小指に嵌めた。

やはりそうするのか。

どうやらこの世界では、指輪は小指に嵌めてみるのがスタンダードのようだ。

 

「この指輪は装備品ではなく宝飾品ですね。

勿論宝飾品も扱えますが......

出処はしっかりしているのですか?」

「2つともバラダム家の奴等から接収した物だ。

どうやって仕入れた物かはわからないけど、少なくても盗んだ物ではないだろう」

 

「わかりました。では確認させて頂きます」

ライザさんはそう言うと、バッグから小さなルーペのような物を取り出して指輪を詳しく確認しはじめた。

そして、ひとしきり指輪を確認すると、少し考えてから指輪を置いた。

 

「石やリングに傷は無く、刻印や紋様のような個人や組織の所有物を示すものもありません。

2つとも良品ですね。

これなら私を通さなくても、宝飾店で普通に売却出来るでしょう」

 

「いや。

俺たちは宝石の価値が分からないから宝飾店で交渉など出来ない。

買い叩かれるのは不快だし、手数料がかかってもライザさんに任せたいんだけど」

 

「そうですか......

少しお時間を頂いても宜しいですか?」

「はい。こちらも急ぎませんので」

「わかりました。心当たりの宝石商を当たってみますので、しばらくお預かりしますね」

「宜しくお願いします」

 

宝飾品は得意分野ではないのか?

ライザさんは少し渋ったけど、なんとか指輪の売却を請け負ってくれた。

大して期待してはいないけど、彼女に任せておけば、少なくても買い叩かれることはないだろう。

俺はホッと息を吐いて、胸を撫で下ろした。

 

その後、ライザさんと少し雑談してから商人ギルドを後にし、ワープで一度帰宅した。

そして、リリア、クレア、ミリアも連れて外出し、食料品店や雑貨店、服飾店をまわりながら、久しぶりに買い物デートを楽しんだ。

 

その夜、夕食の際に雑談していると、いつの間にか話題がパーティーメンバーの最後の1人をどうするかという話になった。

その結果、最後の1人は前衛で魔物の攻撃をブロックするタイプで15歳か16歳の娘。

 

そして......

“狼人族以外とする”ということで意見がまとまった。

 

ミリアをメンバーに加える前にも出た意見だけど、やはり狼人族の加入はNGという考えが根強い。

その意見が出た際、帝都の奴隷商館で会ったロクサーヌのことが一瞬頭をよぎった。

 

身内贔屓と言われるかも知れないけど、うちのみんなの方が可愛いと思う。

でも、流石はヒロインというところか、日本ではお目にかかったことがないくらいの美人だった。

 

あの時は敵対していたから、キリッと引き締まった表情だったけど、たぶん普段の表情は相当可愛いと思う。

最初にベイルでロクサーヌを仲間にしていたら、きっと俺は彼女を一番奴隷に据えていたし、セリーやミリアをメンバーに加えて異世界迷宮の漫画のルートを歩いていたと思う。

 

ただ、あの気の強さと喧嘩っ早さ。

あのとき対峙したカエデとは違い、彼女は気に入らないことがあったら瞬間的にキレるタイプのような気がする。

カエデと決闘した金髪ドリルもそんな感じだったから、たぶん狼人族の種族特性なんだろう。

 

そう考えると、ロクサーヌが一番奴隷だったら心穏やかに暮らせる気がしないし、かと言って一番じゃなければメンバー間に不和を起こしたり、外で気に入らない人に勝手に突っかかって無用なトラブルを起こしそうな気がする。

 

幸い選べる立場にいるし、カエデたちのおかげで性生活は十分満足しているから、ちょっと可愛いからと言ってもわざわざトラブルメーカーを引き込む気なんてない。

だからみんなが主張する通り、俺も最後のメンバーに狼人族を選ぶことは考えないことにしよう。

 

それにしても、もう最後の一人か。

焦っているわけじゃないし、戦力不足を感じているわけではないから今すぐパーティーメンバーを増員しなくても問題ないんだけど、もうすぐクーラタルの商人ギルドで奴隷オークションが開催されるから、この際そこで該当する娘がいないか探してみるのも良いかも知れない。

 

やっぱ勢いって大事だし、幸いライザさんとの取り引きで55万ナール以上の儲けがあったから、資金は130万ナールを超えている。

これだけ有れば、オークションでも十分戦えるはずだ。

 

ただ、生活資金は必要だし、多少は貯蓄も考えたい。

それに、そろそろ税金のことも考えはじめなきゃいけないから、手元に30万ナールは残しておきたいところだ。

そう考えると入札限度は100万ナールか。

 

一応ライザさんに指輪と耐水のティアラを預けてあるからもう少しはイケるけど、リリア、クレア、ミリアの3人のことを考えると、“カエデほどの人材でもない限り60万ナール以上出したくはない”というのが今の本音だ。

 

それにしても......

オークションのルールは前にライザさんに教えてもらってるから問題ないと思うけど、俺一人で参加しなきゃいけないのは少し不安だな。

“周りに嫉妬されるから奴隷を連れて参加するのは避けた方が良い......”か。

 

あのときは奴隷オークションに参加するつもりなんてなかったから話半分で聞いてたけど......

カエデ、リリア、クレア、ミリア......

みんな可愛いし魅力的だ。

 

うん、これじゃ嫉妬されても仕方がないな。

今回はライザさんの忠告を素直に聞いて、オークションには一人で行ってこよう。

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