異世界転生した俺は、原作展開を壊して自由に生きる 作:龍いち
ベスタのオークションが終了した後、しばらくパーティー加入条件に見合わない出品が続いたけど、4人目に探索者が出品された。
メリッサ 女 17歳 探索者Lv16
ふむ。中堅パーティーだったら即戦力だな。
それに、キリッとした美人顔だし、スタイルも抜群だから需要はあるだろう。
でも、あの周りを睨んでいるような眼光を見る限り、かなり気が強そうだ。
奴隷になった経緯が気になるところだけどオークションだと確認することが出来ない。
処女で性奴隷となることを了承していると商館主はアピールしてるけど、なんとなくあの男は胡散臭いからいまいち信用出来ないな。
それに、人間族だと妊娠する可能性があるから、今さら彼女をパーティーメンバーに加えるのはカエデたちに申しわけないし、トラブルのもとだ。
ちょっと残念だけど、アレは見送りだな。
そんなことを考えてるうちに入札が開始されて競り合いが進み、59万ナールで落札された。
オークションでなら妥当な金額なんだろうけど、奴隷商館で買うよりは高めな気がする。
オークションなら希望する奴隷が見つかると思っていたけれど、事前にブースで気になる奴隷を見つけて詳しい情報を聞いておかないと、怖くて入札出来ないな。
メリッサと出品者がステージを降りると、入れ替わるようにあがってきたのはターヘラ奴隷商館主のオランドさんと巫女のユリだった。
オランドさんはユリが10の言語が話せること、当然読み書きも出来ること、巫女のジョブのため全体回復魔法が使えること、性奴隷となることを本人が了承していることなどを簡潔に説明し、深々と頭を下げた。
司会者の合図で入札が開始されると、ベスタを軽く上回るペースで競り合いが進んだ。
俺もはじめのうちは金額吊り上げのために入札したけど、そんなことをしなくても金額がどんどんあがるので、すぐに札を挙げることをやめた。
ユリの入札は開始1分後には金額が100万ナールを超え、最終的には177万ナールで決着した。
落札したのは見るからに羽振りの良さそうな商人風の男だったので、今後彼女は身請け先で十分能力を発揮していくことだろう。
それからまた10件ほどパーティー加入条件に見合わない出品が続いたけど、11人目に暗殺者が出品された。
ターヘラの商館からの出品で、一緒にステージにあがったのはフレアさんだった。
彼女が言っていた通り♂だったので入札には参加しなかったけど、プレゼンが上手かったのか?63万ナールで落札された。
魔法使いや鍛冶師ならともかく、戦闘力のみで評価される♂の奴隷としてはかなり高額だ。
実際、先ほどまでも何人か♂の奴隷は出品されていたけど、40万ナールを超えたヤツはいなかった。
いったいどんなヤツが落札したんだろう?
そう思って何気なく落札したヤツを確認すると、派手なフリル付きのワンピースを着込んだ、大柄でガチムチの女だった。
落札出来たことがよほど嬉しかったのか、叫びながら両拳を天に突き上げている。
うげっ!何だアレは。
可哀想だが、たぶん彼の役目は単なる戦闘奴隷ではないのだろう。
そう考えると落札された猫人族の♂が気落ちしたように見えるのも、仕方がないのだろう。
彼の冥福を祈りつつ次の出品を見ていると、ステージにあがってきたのはベイルの商館のアランと狼人族の♂だった。
ボルタス ♂ 25歳 魔法使いLv22
アレが魔法使いか。
イケメンではないけど、♂だし狼人族だ。
それにベイルの商館の出品か......
三重苦でアウトだな。
さっさと終わんねえかな。
そんな俺の想いが通じたのか?
魔法使いのオークションは入札開始から5分もかからずに決着した。
そして、落札価格は102万ナールで、なんと落札者は朝から騒いでいたオヤジだった。
オヤジが強気で応札を繰り返したことが功を奏したのか、他の参加者が俺と同じように三重苦を懸念したのかは分からないけど、60万ナールを超えた後は3人の競り合いとなった。
そして、更に2、3万ナールずつ金額があがって92万ナールになったとき、オヤジが一気に10万ナールあげると、他の2人からは声が上がらなくなり、そのまま102万ナールで決着した。
フッ。ベスタ以下じゃん。
失笑しながらステージ上のアランを見ると、落札金額に不満があるのか?憮然とした顔をしていた。
もう少し高額で落札されると思っていたのかも知れないけど、オークションだから仕方がないことだし同情する気は微塵もない。
それどころか恨みつらみがある俺からしたら、ザマアミロと叫んでやりたい気分だ。
しかし、迷宮討伐を本気で考えているならともかく、探索を除けば護衛くらいにしか使えない♂の魔法使いに100万ナール以上の価値があるとは思えない。
あのオヤジは競り勝った高揚感で今は小躍りしてるけど、そう遠くない将来に高い買い物だったと後悔するんじゃないかな?
その後も最後までオークションには参加したけど、結局俺たちのパーティーメンバーとして希望するような奴隷は出品されなかった。
いや、正直に言うと何人か触手が動いた奴隷はいたけれど、競り合いには参加しなかった。
というか、オークションに参加しているうちに、直接奴隷商館に出向いた方が希望する奴隷を探すことが出来るし、安く購入出来ることに気付いてしまい、競り合う気力が失せてしまった。
幸い今すぐパーティーメンバーを増員しないとマズイ状況という訳ではない。
焦る必要はないから、少し落ち着いたら今回印象の良かった奴隷商館を訪ねてみるか......
そんな気持ちになってしまい、途中からは入札には参加せずに、どの町に奴隷商館があるのか?
どんな奴隷を出品しているのか?
商館主は誠実そうか?
そんな観点での情報収集に務めながら、オークションには最後まで参加した。
因みに本日の最高落札はターヘラの商館が出品したエリザベートで、落札価格はなんと308万ナールだった。
あの美貌に魅了されてしまったのか?
最後の方は貴族どうしの壮絶な入札合戦となり、落札した方は勝ち誇り、競り負けた方はガックリと肩を落としていた。
2ヶ月前に商館で聞いた価格の2倍近い金額での落札。
ステージ上のオランドさんは冷静に振る舞っていたけど、きっと内心では笑いが止まらなかったことだろう。
◆ ◆ ◆
司会者が最後の挨拶をしたので、俺は会場を出て1階の会議室に向かった。
そして、帝都の商館のブースで片付けをしていたユグドに声をかけ、ミリア購入の後にレオンの従者ともめ事を起こしたことについて、改めて謝罪した。
彼は一瞬呆けていたけど、すぐに俺たちとロクサーヌがもめたことを思い出して笑いながら謝罪を受け入れてくれた。
それどころか、彼とレオンの間には確執があったためあの時は冷静に対処出来ず、厳しい対応をしてしまい申しわけなかったと、逆に頭を下げられてしまった。
なんでも以前レオンは“フレアさんは自分に好意を持っている”と思い込んでいたらしく、小さな頃から嫌がる彼女につきまとい行為を繰り返していたとのこと。
さらにここ2、3年はそれがエスカレートしてターヘラの町中に現れて突然声をかけてくることが何度もあったらしく、フレアさんは身の危険を感じていたらしい。
そして半年ほど前、レオンは彼女とユグドが婚約したことを知るとターヘラの商館に乗り込んできたらしく、たまたま受付にいたユグドと商館主のオランドさんともめて、ヤツはターヘラの商館を出禁になったとのこと。
その際、フレアさんはユグドにピッタリと寄り添っていたのでさすがに2人が相思相愛であることは理解したと思うけど、ヤツは神出鬼没でいきなり目の前に現れたりするし、その後何度か商館の裏手の物陰から様子を伺っているヤツが目撃されているから気が抜けないとのことだった。
つまりレオンはストーカーで、執着心がハンパないということか。
神出鬼没ってことは......
きっとワープを使ってフレアさんの行く先に回り込み、偶然を装って声をかけていたのだろう。
ただ、今はロクサーヌとたぶんセリーがヤツの端にいるから、フレアさんへの執着心は抑えられている気がする。
というか、あの時のロクサーヌの心酔っぷりを考えると、他の女に手を出す余裕などないのかも知れないな。
そんな気がするけど......
アイツは帝都の奴隷商館に来ていたし、今日もオークションでベスタを落札している。
どうやって彼女を説得したんだ?
考えてもよく分からんけど、異世界迷宮のメンバーを揃えることはOKなのだろうか......
もしかして
そういえば......
確かネットで見た異世界迷宮の画像にはエルフの娘もいたはずだけど......
いつ仲間になる
その夜。
夕食の後にオークションでの顛末と、パーティーメンバーの増員について、“最後の一人は少し落ち着いてから今回印象の良かった奴隷商館を訪ねて探してみる”との考えをみんなに伝えた。
すると、カエデから意見が出た。
「それなら冬まで待った方がいいんじゃない?
リリアとクレア、それとミリアみたいに、借金を背負わされて奴隷落ちする人もいるけど、大半は私みたいに税金が支払えなくて奴隷落ちするからね」
「そうなんだ。
それなら、奴隷教育の終了する冬の...... 10日か15日くらいがいいのかも知れないな。
しばらくは装備品の充実を図ることに専念することにしよう」
みんなが頷いたので、パーティーメンバーの増員については一旦忘れることにした。
しばらくは装備品のアップデートと生活を充実させることを目標としよう。