異世界転生した俺は、原作展開を壊して自由に生きる 作:龍いち
金物屋に入り、店員にこの地区の世話役のことを尋ねると、なんとこの店の主人がこの地区の世話役だったのだ。
広い帝都の中で一発で世話役を見つけるなんて、レオン様は本当にすごい人だ。
私の中で彼の存在がどんどん大きくなっていく。
彼の横顔を見ているだけで、胸のドキドキが止まらない。
そんなことを考えていると、世話役のハマルさんというおじさんが出てきて、レオン様の話を聞いて一度店の奥に引っ込むと、空き物件の情報が書かれたパピルスの束を持ってきた。
そして、レオン様の出した条件にあう物件をいくつか紹介してくれた。
その後、レオン様と物件情報を確認し、その中から1軒の家を選んだ。
「ハマルさん。この物件について詳しく説明して下さい」
ハマルさんは頷くと、その物件の説明をはじめた。
その家は第1外壁南門から西側に3分ほど歩いた所で、冒険者ギルド方向の第1外壁南西門から歩いても10分少々の所だそうだ。
さらに冒険者ギルドから直接歩いても、20分もかからないとのこと。
ハマルさんは手を擦りながら話しているので、どうやらこの物件は彼は生活する上で最高の環境だということをレオン様にアピールしたいらしい。
横から説明書きに書いてあるその物件の間取りを見たけど、かなり大きな物件だ。
“こんなに大きいと、掃除するのが大変ね”
そんなことを考えているうちにその物件を見に行くことになり、住宅街の中にある大きな一軒家に移動した。
その家はかなりの大きさなんだけど、左右や向かいにも同じような大きさの家が並んでいるため特に違和感を覚えない。
それと、玄関前には小さな庭があり、花壇とか、小さな菜園くらいなら出来そうだ。
ただ、敷地の囲いが杭に横板を打ち付けただけの簡素なものなので、改善の余地がありそうだ。
家自体は2階建てで、思っていたより中が広い。
1階は玄関横に物置にもなりそうなほど広めのクローゼットがある。
さらに暖炉付きの広めのリビング、10人くらい座れるテーブルが設置出来そうなダイニング、
かまどが二口で流しも大きく、食材を加工するテーブルまで設置してある広いキッチン、
何故かキッチンと同じくらい広い洗濯場、洗濯場には前室があり、洗濯かごをいくつも置けそうだ。
1階だけでもトイレが2カ所もある。
家というより屋敷といった感じがする。
洗濯場に案内された時、レオン様が難しい顔をして思案しだした。
「どうかされましたか?」
「いや、この部屋をうまく使えないかな?とね」
「何か良い使い方があったのですか?」
「いや...... もう少し考えてみるよ。
それより、次は2階を見に行こう」
「かしこまりました」
2階に上がると、リビングと同じ広さで暖炉がついている大部屋があったので、ここは寝室になるだろう。
その他はダイニングの半分のサイズの小部屋が2つ、
顔を洗う洗面台が2つも並んでいる広い洗面所、トイレ、更に、表通りからは見えない位置には広いベランダがあった。
このベランダなら人目につかないので、洗濯物の天日干しも可能だろう。
そうして家の中を一通り見終わると、ハマルさんがこの家の利点についてレオン様に説明を始めた。
どうやら最後のアピールタイムのようだ。
彼曰く、この家は上下水道完備で、全ての壁は遮蔽セメントが塗られているから防犯対策もバッチリ。
衝立や厚布を設置すればフィールドウォークの使用は問題なし。
さらに、ここは周りも似たような住宅で落ち着いた雰囲気があり、実際に治安も良いとのこと。
すごく良い物件だ。こんな所に住めたら......
そんな妄想をしていたのだけど、次の瞬間ハマルさんから現実を突きつけられた。
「好立地で広めの一軒家のため家賃もそれなりとなります。ズバリ、賃貸料は1年間で8万ナール(金貨 8枚)です」
「は、はち......」
思わず声が出てしまった。
それと同時にサーッと聞こえるくらいの勢いで、顔から血の気が引いた気がする。
すると、次の瞬間私の隣から、「フッ」と吹き出したような笑い声が聞こえた。
そして、「わかりました。では、契約書の作成をお願いします」というレオン様の声が聞こえた。
「えっ! レオン様?!」
私は驚いて隣を向くと、私の顔を見て「ぶっ!あははははははは」と大笑いするレオン様がいた。
「なっ!なに笑ってるんですかっ! 8万! 8万ナールですよっ!」
「ああ。すまないロクサーヌ。
家賃としては確かに高いが、別に払えない金額じゃない。だから落ち着いてくれ」
「そ、そうでしたか... それなら...」
笑われたことに動揺して思わずムキになってしまったけど、冷静に払えると言われてしまい、急激に恥ずかしくなってきて、言葉が尻つぼみになってしまった。
その後、私たちは一度金物屋に戻り、賃貸契約を交わした後、追加で調理器具や食器を購入した。
すると、ハマルさんは「明日から1年間の契約だけど、本日分はサービスです」と言ってその場で家の鍵を引き渡してくれた。
さらに、「気前よく即決して頂き、更にうちの商品まで気に入って頂けたことに感激しました。今後も良きお付き合いをさせて頂きたく、心ばかりですがサービスさせていただきます」と言って、支払い金額を5万8千ナールまでまけてくれていた。
さすがはレオン様。
こんな短い時間で商売人の心を掴むなんて、人徳があるのですね。
その後、金物屋で購入した物を抱え、契約したばかりの家に戻った。
そして、家に入って荷物を置くと、レオン様から声をかけられた。
「ここが俺たちの家になる。ロクサーヌ。改めて言うが、これからよろしくな」
「は、はい。あの、レオン様。
私、こんなに大きな家に住めるなんて夢のようです。
あの、今後とも、宜しくお願い致します」
「じゃあ、次は家具屋に行くぞ」
「えっ?家具ですか?」
私が首をかしげると、レオン様は「ああ。良い物件だったので勢いで借りてしまったが、このままでは生活出来ないからな」と言って肩をすくめた。
“8万ナールくらい余裕”って感じだったレオン様が、実は勢いで借りてしまい、素に戻って焦っているなんて。
こんなレオン様。私しか知らないんだろうな。
そう思うと嬉しくてたまらない。
「ふふっ。そうですね♥」
微笑みながら返事をすると、レオン様は照れくさそうに頬をかいた。
「では、必要なものを買いに行こう」
「かしこまりました」
その後、私はレオン様と買い物に出かけ、家具屋、雑貨屋、服屋と回った。
家具屋では、レオン様に“一番大きなベッドを選ぶから一緒に寝るように”と言われてしまったので、「経験はありませんが、そのときは頑張ってご奉仕させて頂きます」とこたえたけれど、恥ずかし過ぎて思わず声が小さくなってしまった。
レオン様は聞き取りにくそうにしていたけど、頬が赤かったので 私の言葉は伝わったみたいだ。
その後、雑貨屋を回ってから服屋に行ったのだけど、その店は大型店舗で新品の服ばかり扱っている店だった。
お店に入った瞬間それに気が付いて、レオン様に「私は古着で十分です」と言ったけど、「ロクサーヌにはいつも綺麗にしていてほしいんだよ」と言われてしまい、反論出来なくなってしまった。
結局レオン様に言われるまま、新品の服をたくさん買って頂いた。
それに、可愛いネグリジェや煽情的な肌着もたくさん買って頂いたので、ご奉仕する際は彼に喜んで頂けるだろう。
その後、服屋の壁からレオン様の移動魔法で家に戻り、買って頂いた物をダイニングに仮置きした。
その際、レオン様が床にシートを敷いたので、もしかして早速なの?なんて少しエッチな妄想をしてしまったけど、レオン様には特にそんな素振りもなく、「あとは武器と防具だな」と言って、移動魔法のゲートを開いた。
“私、一体どうしちゃったんだろう......”
私は顔のほてりを隠しつつ、レオン様の後ろに続いてゲートをくぐった。