異世界転生した俺は、原作展開を壊して自由に生きる 作:龍いち
家具や雑貨、服は買い揃えたので、荷物を仮置きしに一度家に戻った。
これから武器と防具を揃えに行くとのこと。
レオン様の魔法で冒険者ギルドのロビーに移動し、そこから街に出た。
先ずは武器屋に向かうとのこと。
武器屋に入ると、レオン様は私が使う武器を確認し、片手剣を使うと言うとカウンターの奥に飾ってあるエストックを指さした。
「アレなんてどうだ?」
「わ、私には高価過ぎます」
レオン様の指差した武器の下には値札が貼ってあり、なんと5万ナールと書いてあった。
私が慌てて断ると、レオン様は苦笑して、「確かにアレは今の実力には見合わない武器かも知れないな。相応しい実力をつけたとき、あの武器を購入しよう」と言ってくれた。
その後、しばらく武器を確認していると、レオン様が、「ロクサーヌ。これなんてどうだ?」と言って今度は細身の長剣を勧めてきた。
よくよく見ると、それはレイピアだった。
エストックほどではないが、これもすごい武器だ。
本当に良いのかレオン様に確認すると、「前衛で魔物をひきつける役を担ってほしいから、遠慮しないでくれ」とまで言われてしまったので、遠慮せずに使わせて頂くことにした。
因みにレオン様も近接戦闘する時はレイピアを使うので、お揃いの装備だ。
武器を買い終わると、レオン様は「次は 防具だ」と言って、すぐ向かいにある防具屋に移動した。
そして、防具屋に入ると、レオン様は鋼鉄の盾、硬革の帽子、硬革のジャケット、硬革のグローブ、硬革の靴をそれぞれ2、3個ずつ見繕った。
「ロクサーヌ。この中から購入するものを選んでくれ」
「はい...... あの......」
「今は詮索は無しで」
「はい」
レオン様がなぜ数個ずつ見繕ったのか?理由を聞きたかったけど、言葉を止められた。
つまり、内密ってことだろう。
そう思い、私はレオン様に言われた通り、見繕って頂いた中から良い装備を選ぶことに専念した。
それから小一時間ほどかけて全ての装備品を選び終え、レオン様を呼んで会計していただいた。
今日の予定は済んだはずなので、いよいよこの後は......
私は少し緊張しながらレオン様からのお誘いの言葉を待っていたけど、聞こえてきたのは期待したものとは違う言葉だった。
「ロクサーヌ。今日はここまでだ。冒険者ギルドまで戻り、そこから商館に帰るぞ」
「......かしこまりました」
少しがっかりしたけど、次の瞬間レオン様が「続きは明日な」と言ってくれた。
その優しさが嬉しくて、思わず笑顔になった。
その後、冒険者ギルドまで歩き、レオン様の移動魔法でベイルの商館に戻った。
その夜、自室のベッドの上で、ぼんやりと今日起こったことを考えた。
私...... レオン様の奴隷になったんだ......
サビアナさんに“主人が決まった”って言われた時は、奴隷になった時みたいな絶望的な気持ちになったし、憧れていたレオン様との思い出を胸に生きていくしかないなんて考えたけど......
そのご主人様がレオン様ってわかったときはほっとしたし、すごく幸せな気分だった。
その時には薄々気がついていたんだけど、今日1日彼と行動して確信出来た。
私... レオン様のこと、ただの憧れじゃなく、好きなんだと思う。
でも、レオン様は私のことをどう思ってるのだろう......
彼の私に対する扱い方は、外で見た奴隷や、ここで聞いた奴隷の扱い方とは全然違う。
衣食住の全てが、一般の人よりも高級な扱いとなっている。
迷宮探索用の装備品だって、すごく良いものを用意してくれている。
レオン様は、私には100万ナールの価値があるって言ってたし、私のこと、理想の女性って言ってくれた。
でも、全く奉仕を求めないし、キスすらしようとしない。
私って...... そんなに魅力無い?
それとも...... 他に何か理由があるの?
やっぱり、私から積極的にアプローチした方がいいのかな......
夜が更けるまで悶々と考えたけど、結局答えは出なかった。
◆ ◆ ◆
翌日。
午前中は新居の掃除と生活する上で足りない小物類の買い出しなどを行い、午後から家具の設置や引越し荷物の片付けを行なった。
最後にベッドメイキングを終わらせると、レオン様が「ん〜。終わった」と言いながらベッドに寝転んで背伸びをし、それから身体を起こしてベッドの縁に腰掛けた。
レオン様の前に立って「ご苦労様です」と声をかけると、彼は自分の隣をポンポンと叩いて座るよう促した。
えっ、これって... そういうこと?
私の気持ちははっきりしてるけど、“いざ”と思うと足が動かない。
しかし、次の瞬間。レオン様に手を掴んで引き寄せられて、彼の隣にポスッと座らされてしまった。
“もう、これは間違いない。ついにそのときが来たのね”
次の瞬間一気に恥ずかしくなり、思わず俯いてしまった。
こ、この後どうすればいいの?
レオン様が座らせたんだから、レオン様がリードしてくれるよね?
商館では、お慰めをねだるときの話術や手法。
奉仕しているときに主人の気持ちを高める話術や手法など、性奴隷としての教育を受けたけど......
確か、初めてのときや主人が積極的なときは、身を任せるのも一つの方法って言ってたはず。
私、初めてだし、レオン様から積極的に来てる。
だから、今は身を任せる場面のはず。
そのはずなんだけど......
レオン様は私を座らせたっきり手を出してこない。
「ん?まだ何かあるのか?」
「いえ... その......」
な、何かって、何? どう返事をすればいいの?
どうしていいのかわからず俯いたまま黙って座っていたのだけど、チラッとレオン様を見ると、彼は黙ったままジーッと私を見つめていた。
これは... 私の言葉を待ってる気がする。
仕方ないので、一度深呼吸してからレオン様に顔を向けた。
「その... レオン様は、何もしないのですか?」
「えっ?何もって、何?」
頑張って、レオン様に“なんで私に手を出さないのか”質問したつもりだったけど、質問で返されてしまった。
何って...... 私に言わせるの?!
恥ずかしいけど、もう一度しっかり言葉を伝えよう。
「そ、その...... 私はいつ...... その......」
「いつ? 何のことだ?」
「いつ、その...... ご奉仕すれば......」
“ご奉仕”という言葉が口から出た瞬間、ボンッ!と音がなるくらい一気に顔が熱くなった。
そして、恥ずかしくてレオン様の顔が見ていられなくなり、反射的にサッと顔を伏せてしまった。
自分から“ご奉仕”って言ってしまった。
もう後戻りはできないし、これで断られたら... 私は...
そう考えて内心動揺していると、レオン様が両手で私の頬を挟み自分に向かせた。
「ロクサーヌ。君が性奴隷となることを了承していることは知っている。
そして、俺も男だから、君を抱きたいと思ってる」
“君を抱きたいと思ってる”
レオン様はハッキリと言ってくれた。
拒絶されてるわけではないことが分かったので少し安堵していると、彼は「私の気持ちを大切にしたい」とか、「君が俺を受け容れていないのに、無理に抱こうとは思わない」などと言い出した。
私は性奴隷となることを了承しているので、なぜレオン様が“私の気持ちを大切にしたい”などと言い出したのか不思議に思っていると、彼は私がバラダム家という商家から狙われてることや、彼ら狼人族から身を守るために性奴隷となったことを知っていると言い出した。
私はバラダム家に狙われる心当たりがないので驚いていると、逆にレオン様に「知らなかったのか?」と驚かれてしまった。
「私は叔父からは、“狼人族には売られないようにするから性奴隷となることを承諾しなさい”と言われていただけですので」
「そうだったのか......」
バラダム家といえば私が住んでいた町にあった商家だけど、私、何かした?
そんなことより、レオン様は私の境遇に同情してるから、性奴隷としては扱わないつもりみたい。
もしかして、私が性奴隷だから好意的に接していると思ってるのかな?
だとしたら...... 私、もっと頑張らないと!
「はい。ですが、今は承諾して良かったと思っています」
「そうなのか?」
「ええ。承諾したからレオン様に会えました」
私は愛しい気持ちを込めて、全力の上目遣いでレオン様を見つめた。
そして、彼と目があった瞬間、そっと目を閉じて少しだけ唇を突き出した。
“お願い。キスして”
そう思いながら待っていると、私の唇に彼の唇が重なった。
ほんの一瞬だったけど、間違いなく彼からキスしてくれた。
嬉しい。ついに私の想いが伝わった。
でも、ここで手を抜いちゃダメ。
あざとくても積極的に気持ちを伝えて、私が心からレオン様が好きだってことをわかってもらわないと!
そして... ふふっ♥
私から離れられないようにしないと♥
私は心の中でそう決意して、レオン様に向き直った。
“ふふっ♥ レオン様♥ 逃がしませんからね♥”