異世界転生した俺は、原作展開を壊して自由に生きる 作:龍いち
日常業務 奴隷売却1
俺はレオン。20歳の奴隷商人。
ベイルの商館の次期当主として、父の下で研鑽を重ねている。
また、自宅は帝都、南区外側の居住地区の一軒家で、奴隷のロクサーヌと二人で暮らしている。
昨日で引越しが終了し、今日から本当の意味で新生活がスタートする。
今日からは午前中はベイルの商館で奴隷商の執務、午後からはクーラタルの迷宮で探索を行う予定になっている。
ロクサーヌの作ってくれた朝食をとり、俺たちはワープでベイルの商館の俺の私室に移動した。
「ロクサーヌ。午前中の仕事が終わったら、食堂に集合しよう」
「食堂ですか?」
「ああ。軽く食べてから迷宮に行く」
「かしこまりました」
「それじゃあ」
俺はロクサーヌに軽くキスして送り出すと、一度親父に挨拶しに行き、その後に自分の執務室に向かった。
因みにロクサーヌはサビアナおばさんのところに行き、今日の仕事を割り振ってもらうことになっている。
引越しのため2日休みを取っていたが、親父やシモンさんが協力してくれたようで書類は思ったよりも溜まっていなかった。
俺は素早く書類を確認して決済していると、購入希望の顧客応対を打診された。
応接室に出向くと、そこには人間族の中年女性がいたので、こっそり鑑定すると、その女性は33歳で商人Lv7だった。
年の割にレベルが低いから、結婚して商家に入ったってところか。
そう考えながら詳しく話を聞くと、彼女は未亡人らしく、店番をさせていた息子が探索者になって家を出るため、代わりの人手が欲しいとのこと。
種族は問わないので、ブラヒム語にて会話ができる女性で、できれば読み書き計算ができる奴隷が良いとのこと。
非処女でも構わないけど、できれば若い娘が良いとのことだった。
「そうですか。他に希望はございますか?」
「あの、なるべく安くして頂けると」
「そうですね... 年齢や容姿にもよりますが、非処女の家内奴隷ですと12万ナールから20万ナールといったところが相場となりますが」
「そんなにするの」
「はい。年齢の高いものならもう少し価格が下がりますが、現在当商館に該当するものはおりません。
必要なら帝都の商館に紹介状を書くこともできますが」
「いえ。12 万ナールの奴隷を見せて下さい」
「かしこまりました。こちらでしばらくお待ち下さい」
俺は応接室の裏扉から廊下に出ると、奴隷世話係に声をかけ、お客様の要望を伝えて該当者を連れてくるよう指示した。
実は今回みたいなお客様は珍しくなく、最低価格の奴隷はよく売れる。
因みに現在当商館の家内奴隷の最低価格は12万ナールで在籍は2名、戦闘奴隷の最低価格は18万ナールで在籍は3名だったはず......
応接室隣の小部屋で待機していると、すぐに世話係が該当する2名を連れてきた。
俺は世話係に2名の特徴を確認し、まず一人目をつれて応接室に戻った。
「お待たせしました。該当者は2名おりますので、まず1人目から紹介させていただきます」
俺はお客様にそう断ると、隣にいる女性奴隷について説明した。
ハンナ 女 22歳 奴隷
農夫Lv8
身長が148cmと低く、肌は浅黒でお世辞にも見目が良いとは言えない女性だ。
但し、農家で働いていたため人間族の女性にしては体格がよくて力強い。
ブラヒム語での会話は問題ないが、読み・書きは単語まで。計算は問題なく出来る。
「お客様。何か質問はございますか?」
「そうね。あなた、農家では何年働いてたの?」
「7年です。15歳から働いていました」
「具体的にはどんな仕事をしていたの?」
「畑を耕すところから、種まき、栽培、収穫、収穫量のまとめ、野菜の加工、販売店への運搬など、お金を扱わないことは一通りやりました」
「人と関わる仕事は出来ると思う?」
「人と話すのが苦手とか、そういうことはありませんので、大丈夫だと思います」
「そう。わかったわ」
「他に何か質問はございますか?」
「いえ。特にありません」
「分かりました。では、2人目を連れてまいります」
俺は一旦ハンナとともに退室して小部屋に移動し、二人目の家内奴隷を連れて応接室に戻った。
「では、二人目を紹介させて頂きます」
ターニャ 女 29歳 奴隷
村人Lv8
身長は160cmでほっそりした身体つきの人間族の女性。容姿は普通でこれといったアピール点は無いが、ブラヒム語は会話、読み・書きまで問題ない。
計算も問題なく出来る。
「お客様。彼女に何か質問はございますか?」
「奴隷になる前は何をしていたのかしら」
「主婦でした。それ以外の仕事には就いておりません」
「そうなの... では、差し支えなければ、あなたが奴隷になった理由を教えてください」
「義父、いえ、元義父の借金です。
その返済の為、私は奴隷として売られました」
「え... では、他の家族も奴隷に?」
「いえ、私だけです」
「それは... 辛かったでしょう。ごめんなさい。余計なことを聞いたわね」
「いえ、大丈夫です。むしろあの家族から解放されて清々しておりますので、お気になさらないで下さい」
「そうなの?」
「はい。私は性奴隷のように家族全員の相手をさせられていましたので。
詳しくお話ししましょうか?」
「い、いえ結構よ。あの、質問はもう結構です」
ターニャが性奴隷のように扱われていたと聞くと、お客様の顔が引きつった。
それなのにターニャは話を続けようとしたので、打ち切らせようと思ったけど、お客様の方から質問終了を申し出てくれたので内心ほっとした。
「かしこまりました 。一旦下がらせていただきます」
俺はそう言い残すと、ターニャを連れて応接室を出た。
そして隣の小部屋にターニャを連れて行き待機させ、再び応接室に戻った。
「お客様。如何でしたか?」
「店番もさせたいので容姿だけなら二人目の方なんだけど、話を聞くとさすがにね」
「ではお客様。一人目のハンナは如何ですか?
彼女は若くて力強く、何より働き者です。性格も穏和ですので、客商売には向いていると思います。
お世辞にも見目が良いとは言えませんが、そのためお買い得となっております」
「そうね... あなたの言う通り一人目の子でもいいんだけど、数日考えさせて頂いても良いかしら。
数日経ったら新しい奴隷が増えるかもしれないでしょ?」
「そうですか。お客様のおっしゃる通りですが、残念です」
「えっ?どういうこと?買わないとは言ってないわよ」
「本日はお買い求めにならないということですよね?
そうすると、本日のご商談が無駄になってしまいますので」
「無駄にはならないでしょう。後日もう一度買いに来るのよ?」
「お客様がハンナを購入される保証がありませんので、他のお客様からご要望があれば、当商館は彼女を売却いたします。
彼女はお買い得ですので、数日後には売却されていることでしょう」
商談が無駄になると聞いた途端、彼女は呆れたような表情をしたけど、購入する保証が無いことを指摘されると不機嫌そうな表情に変わった。
そして、数日後には売却されていると言い切られると、狼狽しはじめた。
「そ、それは困るわね......」
彼女は俯いてボソッと呟くと、3分ほど思案してから顔をあげた。
「そうね... 決めたわ。一人目の娘を買わせて頂くわ」
「ありがとうございます」
俺はお客様から12万ナールを回収し、「ハンナを連れてまいります」と言って応接室から出た。
ふぅ。何とか決めてくれたか。
この手の客の奴隷購入は五分五分なので、決めてくれて良かった。
そう思いながらもう一度ハンナを呼びに行き、ターニャには自室に戻るよう言いつけた。
俺はハンナを連れて応接室に戻ると、お客様にハンナとの奴隷契約を結ばせた。
その後、お客様に奴隷購入者の義務について説明し、最後に「本日は誠にありがとうございました。また機会がありましたら、是非当商館をご利用ください」と言って深々とお辞儀し、2人を送り出した。
時間を確認するとちょうどお昼に差し掛かるところだったので、親父に本日の業務報告を行って、俺は食堂に移動した。
すると、ほどなくしてロクサーヌもやって来たので、2人で昼食を頂いた。
食事中、彼女に今日は何の仕事をしたのか聞いたところ、「今日は朝イチ食材の仕込みを手伝って、そのあとはひたすら洗濯祭りでした」と言って何故かグッと拳を握った。
そして、「あっ! 因みにこの芋とこっちの葱は、私がカットしたものです」と言って胸を張っていた。
楽しそうにしている彼女を見ながら食事を続け、俺は午後に向けての英気を養った。