異世界転生した俺は、原作展開を壊して自由に生きる 作:龍いち
午後からはクーラタルの迷宮で探索を行う予定になっているので、俺たちは商館の私室からワープで自宅の玄関に移動した。
そして、ダイニングに移動して、迷宮探索の準備をはじめた。
先ず、ダイニングテーブルの上に厚手の綿布を敷き、その上にアイテムボックスから装備品を出して並べた。
それから、探索用のリュックと騎士団が販売しているクーラタル迷宮の地図を数枚用意した。
今回用意したのは、7階、10階、17階、18階の4つの階層だ。
俺は装備品を着けながら、ロクサーヌに今日の探索の予定を話した。
「ロクサーヌ。昨日と同じクーラタルの迷宮に行くが、今日は7階ボスのラピッドラビットと10階層ボスのパーンを集中的に狩り、ある程度兎とヤギの肉が集まったら17階層に上がってマーブリームとボスのブラックダイヤツナを狩って白身と赤身を集めたいと思う」
「はい。つまり今日の探索目的は食材集めということですね♪」
「料理自体はロクサーヌにお任せとなってしまうが、食材はあった方がいいからな」
「はい。料理はお任せ下さい」
そう言うと、ロクサーヌは自信満々にポンと胸を叩いた。
「うむ。その後、余裕があったら18階層に上がってピッグホッグを倒し、豚バラ肉も確保しよう」
「かしこまりました」
本当は29階層のモロクタウルスがバラ肉を落とすのだけど、ロクサーヌに気を使わせないよう今は黙っておくことにした。
ロクサーヌと本日の探索 目標の確認を終え、装備品の装着も完了したので、キャラクター再設定でジョブの組み替えとボーナスポイントの振り分けを行なった。
先ず、俺のジョブ設定と装備は以下の通りだ。
レオン 男 20歳 自由民
所有奴隷 ロクサーヌ
探索者Lv81 勇者Lv31 魔道士Lv34 魔法使いLv72 遊び人Lv33 英雄Lv71 禰宜Lv33
装備 フラガラッハ 硬革の帽子 竜革の鎧 硬革のグローブ 硬革の靴 決意の指輪
ボーナスポイント179 ptの振り分けは、
セブンスジョブ 63pt
獲得経験値上昇20倍 63pt
必要経験値減少3分の1 7pt
キャラクター再設定 1pt
ジョブ設定 1pt
パーティージョブ設定 3pt
レベル制限解除 1pt
ダメージ限界解除 1pt
鑑定 1pt
詠唱省略 3pt
ワープ 1pt
メテオクラッシュ 1pt
武器5(フラガラッハ) 31pt
アクセサリ2(決意の指輪) 3 pt
遊び人の効果設定には勇者の腕力大上昇、スキル設定には戦士のラッシュを設定した。
昨日はロッドを装備していたが、今日は武器5(フラガラッハ)を装備して近接戦仕様にしている。
但し、フラガラッハは両手剣のため盾は装備していない。
尚、17階層にあがるときは、昨日の魔法使い仕様に戻すつもりだ。
ジョブ 編成は変わってないが、魔導士と遊び人の2ジョブは昨日の探索開始時よりレベルが1ずつ上がっている。
次にロクサーヌのジョブ設定と装備は以下の通りだ。
ロクサーヌ ♀ 16歳 奴隷
所有者 レオン
獣戦士Lv17
装備 レイピア 鋼鉄の盾 硬革の帽子 硬革のジャケット 硬革のグローブ 硬革の靴
こちらは獣戦士のレベルが上がった以外、昨日と変わらない。
「ロクサーヌ。今回俺は低階層は近接戦仕様で行く。
並んで戦うからよろしく」
「はい。 あの、その剣は?」
「ああ。これはフラガラッハ。ボーナスポイントで出せる特別な武器だ」
「特別な武器ですか?」
「この武器には攻撃力五倍、HP吸収、詠唱中断、レベル補正無視、防御力無視の5つのスキルが付いている」
「す、すごい武器ですね......」
「複数のスキルが付いた装備品は殆どないから内密にな」
「かしこまりました。あと、ボーナスポイントって何ですか?」
「俺の能力のひとつだ。
このポイントの割り振りで、特別な武器や防具を出したり、複数のジョブに就いたり、特別な魔法を使えるようになったり、特別なスキルが使えるようになったりする。
俺が使っているワープはこの特別な魔法に該当する。
それと、俺は魔法やスキルを無詠唱で使うけど、それは詠唱省略という特別なスキルに該当するんだ。
因みにスキルの中には獲得経験値上昇というパーティー全員に影響する特別なスキルも有るので、俺とパーティーを組んだロクサーヌは今後成長が早くなるよ。
但し、ボーナスポイントには限りがあるから、目的によって何にポイントを振り分けるのか考えないといけない。これが結構難しいんだけどね」
「えっと......」
ロクサーヌは小首を傾げて少し悩んだ後、何かに気づいたのかハッとした顔になった。
「つまり、レオン様がすごいってことですね♥」
「......」
ロクサーヌめ、考えることを放棄したな。
ちょっと呆れて彼女を見ると、めちゃくちゃ笑顔で俺を見つめてきた。
尻尾も盛大に振られている。
クッ!可愛過ぎる!
「まあ、その...... 内密にな」
俺はロクサーヌにもっと詳しく説明しようと思ったけど、うまく説明する方法が思い浮かばないので諦めることにした。
フッ。俺も人のことは言えないな。
そう思いつつ、話を進めることにした。
「話が逸れたのでもとに戻すが、17階層は後衛に下がって魔法主体で戦うから、昨日と同じように前衛で魔物の攻撃をブロックしてくれ」
「かしこまりました」
「じゃあ、先ずはクーラタルの迷宮7階層のボス部屋に一番近い小部屋に移動する。
ゲートを抜けたらこの地図でボス部屋までのルートを確認するから、そちらの方向に魔物がいないか確認してくれ」
「かしこまりました♪」
俺は話しながらクーラタル迷宮の地図をヒラヒラさせると、迷宮に行くのが待ちきれないのか、ロクサーヌの目がキラキラ輝き、尻尾がわさわさ動き出した。
俺はダイニングの壁にワープゲートを開くと、興奮気味のロクサーヌを引き連れてゲートをくぐった。
◆ ◆ ◆
クーラタルの迷宮7階層。
小部屋に移動して地図で進路を確認すると、そちら方向の匂いを嗅いだロクサーヌが不快そうな顔をした。
「どうかしたのか?」
「この先に魔物がいるようなのですが、更にその先に探索者パーティーがいるようです」
「クーラタルの低階層は探索者満載だし、7階層はスローラビットだから人気がある。
この階層で他の探索者に会わないのは難しいから、パーティーがいることだけ報告してくれればいいよ。
何かあっても俺が守ってあげるから安心してね」
「申しわけありません。本来なら私がレオン様を守らないといけないのですが」
「はははは。その気持ちだけで十分だよ。
あと、昨日は少し厳しいことを言っちゃったけど、ロクサーヌ自身昨日1日でだいぶ強くなってるから、後で魔物と戦った時に確認してもらうね」
「えっ!どういうことですか?」
「よく考えてみて。昨日半日だけど22階層でどれくらい 戦ってると思ってるの?
それにさっき話した獲得経験値上昇というスキルの恩恵もある。
因みに昨日は獲得経験値の上昇倍率は20倍に設定していて、100回くらい魔物の群れと戦ったから、得られた経験は魔物の群れと2000回戦った分に匹敵する。
そういう理由で、帰る頃にはロクサーヌが22階層の魔物相手に善戦出来るようになったんだ。
だから、この階層なら余裕で戦えるはずだよ」
「わかりました。私、頑張ってみます」
「じゃあ、行こうか」
俺はロクサーヌと並んで前方の通路を歩き始めた。
「2分程で魔物と接触します。魔物はたぶんスローラビットで、2匹です」
「わかった。会敵したら、ロクサーヌは右のスローラビットに対応。俺は左のスローラビットを殺る」
「かしこまりました」
そのまま進むと、前方にスローラビットが2匹現れた。
俺たちは魔物に向かって駆け出し、ほぼ同時に接敵した。
俺は左のスローラビットの正面に出ると、魔物が戦闘態勢に入る前にラッシュと念じ、フラガラッハを横一線に振り抜いた。
すると、次の瞬間魔物は煙に変わり、兎の毛皮がドロップした。
うむ。久しぶりに低階層にきたけど、ラッシュを使えば一撃だったな。
次はスキル無しで試してみよう。
そう思いながらロクサーヌを確認すると、彼女は魔物の攻撃を躱しながら、何度も斬りつけていた。
そして、接敵してから1分後、彼女が戦っていたスローラビットも煙になった。
「レオン様。やりました!」
「うむ。いい戦いだった。」
「私、前は1階層の魔物を倒すのに5分以上かかってたのですけど、今、1分くらいで倒せちゃいました!
レオン様に私が強くなってるって言われてましたけど、びっくりです!」
「はははは。まあロクサーヌは昨日1日でレベルが11も上がっているからな」
「えっ?レベルですか?」
「ああ」
「あの。私のジョブは獣戦士ですが......」
「ロクサーヌ。獣戦士にもレベルはあるんだよ」
「えっ?レベルがあるのは探索者だけのはずですが...」
ロクサーヌは一般常識通り探索者以外のジョブにはレベルという概念が存在しているとは思っていないようだ。
まあ、探索者はレベルに合わせてアイテムボックスの数が増えるから目に見えてわかりやすいけど、他のジョブにはレベルに合わせて目に見えて変わるものが無い。
だから、いつの間にか[探索者以外はレベルがわからない]⇒[探索者以外はレベルがない]に言葉がすり替わってしまい、間違った言葉が一般常識となってしまっているのだ。
それに、本来レベルとは強さの基準のことなのに、アイテムボックスの数のことをレベルと呼ぶと思い込んでいる人も多い。
俺と行動する以上、ロクサーヌには正しい認識を持ってもらう必要があるので、彼女にはジョブ獲得とレベルの仕組みについて、真実を教えることにした。