異世界転生した俺は、原作展開を壊して自由に生きる 作:龍いち
待機部屋を確認すると、ボス部屋への扉が開いていた。
「ロクサーヌ。近くに他の探索者はいるか?」
「いません。大丈夫です!」
「よし。それではボスマラソン開始だ!」
「はい!」
俺たちはボス部屋に飛び込んで、一気に中央まで駆け寄った。
その後、1分ほどでパーンを倒すと、ワープで待機部屋に戻った。
そしてそれを繰り返し、パーンを7回倒した。
MPも肉も十分得たので17階層の小部屋に移動して、ロクサーヌに索敵を頼み、自分はキャラクター再設定でジョブ編成を魔法使い仕様に戻した。
ロクサーヌに確認すると、「魔物の群れがいます。マーブリーム3匹と知らない魔物が1 匹です。あと、じっと動かない人たちがいるので、たぶん待機部屋に他のパーティーがいると思います」との返事が返ってきた。
「ふむ。ロクサーヌの知らない魔物はたぶんハットバットだな。取り敢えず途中の魔物を倒そう。そこでもう一度索敵して、ボスに挑むか18階層に上がるか、方針を決めよう」
「かしこまりました」
それから3分ほど歩くと、通路の先に魔物が見えてきたので、俺は立ち止まってロッドを突き出した。
“ダートストーム、サンダーストーム、サンドストーム”と念じて1回目の魔法を放つと、魔物の群れは雷撃が走る砂塵に飲み込まれた。
そして、20秒ほど経ち魔法の効果が切れると、魔物の群れは一斉にこちらに向かってきた。
すぐに2回目の魔法を放ち、生き残った魔物に対応するためロッドをしまってレイピアを抜いた。
そして、「ロクサーヌ!後ろの魔物に注意しろ!」と叫んで剣を構えた。
しかし、魔法の効果が切れると、魔物は全て煙に変わっていた。
「えっ?」
俺の指示で気を引き締めた瞬間に魔物が全滅してしまい、ロクサーヌは肩透かしを食って呆然とした。
そして、少し気まずそうに俺の方に振り向いた。
そうだった。
忘れていたが、ハットバットは飛ぶのは速いが魔法には殆ど耐性が無いんだった。
「済まない。ハットバットは火魔法以外の魔法は全て弱点だったことを忘れていた」
俺はそう言いながら、そっとレイピアを鞘に納めてロッドを取り出すと、ロクサーヌに「ふふっ♥そうでしたか」と笑われてしまった。
俺は恥ずかしさを隠すようにひとつ咳払いをして、彼女に索敵を指示した。
「レオン様。待機部屋の手前に魔物が湧きました。マーブリーム2匹とグラスビー1匹です。それから留まっていた人たちは居なくなりましたので、ボス部屋に入ったと思います」
「ふむ。わかった。取り敢えずグラスビーは2回目の魔法でも残るから、次は注意してくれ」
「かしこまりました」
それから3分ほど歩くと、通路の先に魔物の群れが見えてきた。
俺はチラリとロクサーヌを見て、“次は格好良く決める!”と心に誓いながら、ダートストーム、サンダーストーム、サンドストーム”と念じて1回目の魔法を放った。
その後はさっきの戦いと同じだったけど、2回目の魔法の効果が切れ、マーブリームが煙に変わったあとが違った。
俺は、グラスビーはマーブリームの上を抜けてくると思っていたので煙の上を注視していたけど、次の瞬間左側の煙を突き破って、俺を目がけて魔物が飛び込んできた。
「チッ!そこか!」
思っていたより低い位置を飛んできたので少し焦ったけど、俺は左手の盾でグラスビーの体当たりを受け止めた。
そして、次の瞬間レイピアを突き刺すと、魔物は煙に変わり、蜜蝋を落とした。
「ふぅ...」
「レオン様。後ろの魔物が倒された魔物の煙を突き抜けてくるなんて、私、初めて見ました!」
「そうか。実は俺も初めてだったので、ちょっと焦った」
「そうだったのですか?余裕で対処されたように見えましたが」
「いや、余裕がなかったから受けとめてしまった。
この階層だから耐えられたけど、もっと上の階層だったら吹き飛ばされてたかも知れない。
やはり迷宮では気を抜かないようにしないとな」
「はい」
「では、ボス部屋に向かおう」
それから5分ほど歩いて待機部屋に到着したけど、ボス部屋の扉がしまっているので座って休憩した。
「ロクサーヌ。12階層から21階層のボス部屋は、ボスとお付の魔物が1匹出る。
お付の魔物はその階層に出る魔物だ。
因みに23階層から上はお付の魔物は2匹出る」
「私はどうすれば宜しいでしょうか」
「ロクサーヌはボスを引き付けておいてくれ。
俺はお付きを倒してからそちらに合流する。
ボスのブラックダイヤツナは距離を取られると突撃してくるから、なるべく食いつくこと。
あと、動きが止まると回転して尾を打ちつけるか、水弾を放つから、動きを止めたら1歩下がって動き出しに注意すること」
「かしこまりました」
俺はロクサーヌにボスとの戦い方をレクチャーすると、キャラクター再設定で近接戦闘仕様に変更し、遊び人の効果設定とスキル設定も近接戦闘仕様に変更した。
そのまま雑談しながら5分ほど休憩していると、ボス部屋への扉が開いた。
立ち上がると、ロクサーヌはスンスンと匂いを嗅ぎはじめた。そして、「近くに他の探索者はいません」と言ってニッコリと微笑んだ。
「よし。3分以内に倒せたら、ワープでここに戻る。
ロクサーヌ。行くぞ!」
「はい!」
俺たちは気合いを入れて、ボス部屋に飛び込んだ。
◆ ◆ ◆
ボス部屋の扉が閉じると、部屋の中央とやや左に煙が立ち昇った。
中央の煙がやや大きいのでロクサーヌにはそちらに向かわせ、俺は左に向かった。
煙が集まると、俺の前にはマーブリームが現れた。
その瞬間、俺は“ダートストーム、サンダーストーム、サンドストーム”と念じて1回目の魔法を放つ。
そして、雷撃が走る砂塵に飲まれて動けずにいるマーブリームを滅多斬りにした。
すると、魔法の効果が切れる前にマーブリームは煙に変わった。
ロクサーヌの方を振り向くと、彼女はブラックダイヤツナの体当たりを鋼鉄の盾でいなしていた。
俺は魔物の側面に回り込み、至近距離で“ダートボール、サンダーボール、サンドボール”と念じ、3連単体攻撃魔法を放った。
そして、着弾と同時に斬りかかると、チャンスと見たのかロクサーヌも盾を引いて右半身を半歩前に出し、全面攻撃を仕掛けた。
俺も負けじとロクサーヌと同じ体勢でブラックダイヤツナを斬りつけたけど、魔法の効果が切れても魔物は生き残った。
ブラックダイヤツナは強引に体を回転させて尾で薙ぎ払い俺たちを引き離すと、ロクサーヌに向き直って次の瞬間一気に加速した。
しかし、ロクサーヌは紙一重でそれを躱すと、すれ違いざまにレイピアで斬り裂いた。
突撃を躱されたブラックダイヤツナはロクサーヌの後方3mの場所で停止した。
そして、その場で回転をしはじめた。
もう一度突撃するつもりだろうが、それは悪手だ。
俺は一息で駆け寄ると、横向きになったブラックダイヤツナの土手っ腹に至近距離で3連単体攻撃魔法をブチ込んだ。
そして、ロクサーヌと2人で斬りかかり、魔法の効果が切れる前に魔物を煙に変えてやった。
「ロクサーヌ。アイテムを頼む」
俺はロクサーヌに指示を飛ばすと、自分は壁に向かってワープゲートを開いた。
そして、ドロップアイテムを拾ってきた彼女とワープゲートを通り抜けた。
「はぁ~。何か疲れたな......
なんとか3分で戻ってこれたか?」
「はあ、はあ。そうですね。ちゃんと3分以内に戻れたと思います」
ロクサーヌはそう言いながら、俺に白身と赤身を渡してきた。
そして、俺がアイテムボックスを開いて白身と赤身を収納していると、ロクサーヌがスンスンと匂いを嗅ぎ始めた。
それと同時にボス部屋の扉が開いた。
「レオン様。まだ近くに他の探索者はいません。
もう一度チャレンジできると思いますが......」
「もちろんやる! ロクサーヌ、行けるか?」
「はい。すぐに行けます!」
「よし。行くぞ!」
俺たちは ボス部屋に走り出し、ロクサーヌは中央へ、俺はもう一つの煙が集まってきた場所に接近した。
そして、魔物の判別がついたところで全体攻撃魔法3連発を放ち、魔法の効果が切れる前にお付の魔物に攻撃を加えて倒した。
そして、ロクサーヌの方を振り向くと、彼女はブラックダイヤツナの尾による薙ぎ払いを、身体を少し後ろに反らせてギリギリ躱した。
そして、回転が終わり、一瞬止まった隙をついてレイピアを突き入れていた。
俺は先ほどと同じように魔物の側面に回り込み、至近距離で“ダートボール、サンダーボール、サンドボール”と念じ、3連単体攻撃魔法を放った。
そして、ロクサーヌと一緒にブラックダイヤツナに斬りかかり、2回目の3連単体攻撃魔法の効果が切れる前に魔物を倒した。
そして、ロクサーヌにアイテム拾いを任せて、俺はワープゲートを開いた。
そして、ゲートをくぐって待機部屋に駆け込んだ。
その後もボス戦を繰り返し、結局、ロクサーヌの索敵に他の探索者がかかるまで、5回ボス戦を繰り返した。
最初の2回と合わせて赤身を7つも拾ったので、この階層の探索は終了して18階層に上がることにした。