異世界転生した俺は、原作展開を壊して自由に生きる 作:龍いち
俺は気を失っていたのか......
気がつくと、俺は藁の上に寝転んでいた。
えっ!えっ!馬!
「なっ!ま、マジかっ!」
本当にあの世界に来たのか?
もし本当なら、俺はどうすればいいんだ......
混乱する頭で必死に考えた。
あっ! そ、そうだ。 武器、武器があったはず。
ど、どこだ......
落ち着け、落ち着け。確か、えっと... 鑑定だ。
「鑑定!」
チッ!叫んじまった。
蟻、サンダル、ダニ、藁、馬、決意の指輪、草......
あ、あった!デュランダル!
「ぐふふふふふふふ ジュルッ!」
やべっ!涎が出ちまったぜ。
剣を握った瞬間、笑いが込み上げてきた。
この剣があれば俺はこの世界で最強だし、金を稼いで女奴隷を買えば、いつでもヤリ放題なんだよなw
どうせ日本に居場所なんかねーんだから、こっちで生まれ変わるのも悪くない。
しかも俺には漫画の知識があるんだから、これから何が起こるか分かってる。
「フハハハハハハハッ!」
やべっ!マジで興奮してきた!
うまく立ち回って稼ぎまくって、ハーレム作って楽しく生きてやる。
確か最初は盗賊襲撃イベントだったはず。
しかも、村人に馬乗りになってる頭目の首を、後ろから切り飛ばせばいいだけのイージーモードだ。
日本じゃ殺しは出来なかったが、この世界じゃ許されんだよな......
“人殺しが許される”
そう考えた時、俺は思わず身震いした。
殺せるってことは、殺されることもあるって事だ......
一瞬わための悲しそうな顔が頭に浮かんだ。
そして、それまで小躍りしたくなるような気持ちだったのが、嘘のように急速に冷えてゆく。
そして俺の深いところに、仄暗い感情が湧き上がってくる。
殺る!殺ってやる!俺はもう、失うのは嫌だっ!
欲しい物は手に入れて、この力で必ず守り通してやる......
俺はデュランダルを固く握り、この世界での生き方を誓った。
そのためには、まずはこの盗賊イベントを無事乗り切らないといけないな。
俺は気持ちを抑え、馬小屋の小窓から外を覗いた。
そしてのどかな農村の景色を眺めながら、“それにしても暇だ。盗賊早く来ねーかな”なんてことを考えていた。
◆ ◆ ◆
馬小屋の中で盗賊を待ち始めてから1時間ぐらい経った。
俺はのどかな農村の景色をボンヤリと眺めていたけど、何も起こりそうにないので、暇つぶしにステータス画面を開いてパラメータをいじったり、村人を鑑定したりしていた。
そうしているうちに、ふと、この馬小屋の持ち主が気になった。
さっき、そこに落ちてたサンダルを拾って履いたら、ジョブが盗賊になったので、慌ててキャラクター再設定のウィンドウを開いてジョブを村人に戻したけど、履き続けている以上、持ち主がやって来たらマズイよな。
それに、俺が潜んでいることがバレたら、もっとマズイことになるかも知れない。
この後 盗賊襲撃イベントがあるはずだけど、俺まで盗賊の一味だと思われたら、目も当てられない。
そう思案して、俺がこの馬小屋を出ようかどうしようか悩んでいると、畑の先の街道の方が騒がしくなった。
一人の村人が大騒ぎして、それを聞いた他の村人たちがリアカーやら柵のような物を持ってきて、バリケードのようなものを作り始めた。
そして鍬や鎌を手に男たちが集まってきた。
中にはちゃんとした剣を持ってるやつもいる。
これは...... いよいよイベントが始まっちゃうのか?
そう思いながら見続けていると、今度は 街道の先の方から武器を持った集団が向かってくるのが見えだした。
そのまま5分ほど見続けていると、やっと盗賊の集団がバリケードの前までやってきた。
そしてすぐに戦いが始まると思って見ていたが、バリケードを挟んで何やら言い合いを始めた。
盗賊は30人くらいか。全員剣で武装しているみたいだ。
対する村人は...... 25、26...... こっちの方が少ない。
しかも、まともな武器を持ってるやつも少ない。
圧倒的に不利だな。
これ、加勢するのも命がけじゃね?
まあ、デュランダルさえあれば負ける気はしねえけどw
“あー、もう。いいから早く戦えよ!”
俺は心の中でそう念じつつ、さらに3分ほど待っていると、村の奥の方から少しだけ身なりのいいジジイがやってきた。
鑑定をかけると、そいつは村長だった。
“まさか戦わないでイベント終了じゃねえよな?”
そう思いながら見ていると、突然盗賊の頭が号令をかけ、戦闘が始まった。
どうやら盗賊の要求を村長が突っぱねたようだ。
“人数が少ないのに相手の要求を突っぱねるなんて、あいつバカなのか?”
そう思いつつも、俺は馬小屋の入り口側に移動し、戦闘を見守った。
すると、盗賊の頭と剣を持った村人が対峙した。
鑑定をかけると、盗賊の頭はレベル41、村人の方は レベル25だった。
“これは盗賊の圧勝だな”
そう思って見ていると、たちまち村人は劣勢になった。
何撃か剣を打ち合うと、村人は足を引っかけられて転ばされ、盗賊の頭が馬乗りになった。
“ここだ!”
俺は「ハッ!」と短く息を吐いて気合を入れ、盗賊の頭めがけて走り出した。
そして、ニヤニヤしながら村人の腹をグサグサと剣で突き刺している男の後ろからデュランダルを振り抜いた。
次の瞬間、馬乗りになっていた男の頭がボトリと落ちて、鮮血が飛び散った。
「ウッ!キモッ!」
俺はそう叫びつつ周りを見まわすと、俺を見て呆然と立ち尽くしている盗賊と目が合った。
俺は即座にそいつに駆け寄り、慌てて構えた剣をすり抜けるように、心臓めがけてデュランダルを突き出した。
次の瞬間、胸を刺された男は痙攣し、その場に崩れ落ちた。
それからは、俺は村人と対峙してる盗賊の首や心臓を狙って、横から突き刺すという形で戦い、盗賊たちを次々に血祭りにあげていった。
そして、戦闘開始から5分後には、盗賊の数は半分に減っていた。
足元に何人もの死体が転がっていて戦いにくいので、俺は戦ってる連中の周りを迂回して、盗賊たちの背後に出た。
そして前が気になっている盗賊たちの背中を、後ろから突き刺していった。
10分後、結果から言えば盗賊 30人はあっさり倒しきった。
一人も逃がさなかったので、文字通りの全滅だ。
俺が盗賊の服で剣についた血を拭き取っていると、村長が近寄ってきた。
しかし何を話してるかわからなかったので、「済まない。何を話してるかわからないんだが?」と正直に話すと、「失礼しました。ブラヒム語の話者の方でしたか」と日本語で話しかけてきた。
ん?ブラヒム語?
そうだった。確か普通の人間の言葉喋れないんだった。
チッ!ホントに異世界に行けるって知ってたら、もっとましな選択してたのに。
あと、ボーナスポイント87で妥協しちまったじゃねえか。
あームカつく!
まあ、通じる言葉があれば取り敢えずいいか。
とにかく気を取り直してこの目の前の村長に対応しないとな。
「ああ。ブラヒム語で頼む」
「この度は村の窮地を救って頂き、ありがとうございました。できる限りのお礼はさせて頂きます」
「では、少し疲れたからどこかで休ませてくれ」
「それでは私どもの家へお越しください。申し遅れましたが、村長のソマーラと申します」
「俺の名はミツオだ。よろしく頼む」
村長の後についていくと、農村にしては大きな家に連れてこられた。
そして倉庫みたいな部屋に案内され、「体を拭く湯と着替えを用意させて頂きますので、此方の部屋をお使いください」と言われた。
「分かった。ところで盗賊の装備品とインテリジェンスカードは?」
「そちらは今、村の者に集めさせております。村の者が2名だけ倒しましたので、その分は村に還元させて頂きますが、残りは全てミツオ様の物になります」
「うむ。それならいい」
「準備が出来たらお呼び致しますので、しばらくお待ちください」
村長はそう言うと部屋を出て行った。
しばらくすると、婆さんがお湯と着替えを持ってきたので、体についた血を洗い落として服を着替えた。
そして、床に寝転んで休憩していると、30分ほどで村長がやってきた。
村長の案内で少し大きめの倉庫に行くと、ゴザの上に剣や防具などの装備品が並べてあった。
村の取り分は除いてあるので、ここにあるのは全て俺の取り分とのこと。
“フフッ。ここでイベント第2弾だな”
俺は装備品に鑑定をかけた。すると予定通り、盗賊のバンダナが普通のバンダナにすり替わっていた。
「村長。このバンダナは頭目が着けてた物と違うぞ」
「本当ですか?すぐに調べさせます」
村長が焦って周りの村人に話しかけると、何人かが走り去った。
そして10分後。数人の男が1人の男を引っ張ってきた。