異世界転生した俺は、原作展開を壊して自由に生きる 作:龍いち
ああああああああ......
俺は何であんな女に食ってかかったんだ......
おかげでこの町の盗賊を根絶やしにしなければならなくなった。
女を煽ったとき、この商人が止めてくれればこんなことにならなかったのに...
畜生っ!ニコニコしやがって!
八つ当たりであることは分かってるけど、俺は商人を睨みつけた。
すると、不意に馬車が停まった。
コイツの機嫌を損ねたか?
なんて考えていると、「ミツオ様。武器屋に着きました。因みに隣が防具屋ですので、こちらで不要な装備品は全て売却が可能です」と言われた。
商人は積んできた装備品を馬車から降ろすと、先ずは武器屋に入って奥にいた男にわざわざブラヒム語で声をかけた。
「すみません。武器を売却に来たのですが」
「おおっ。これはお客様。わざわざすみません。
では、確認させて頂きます」
そう言って、店員は装備品を物色しはじめたので、俺は後でロクサーヌに渡すシミターと空きスロットが付いた銅の剣を抜き取った。
そして、その2本は売らないと言って商人からもらったズダ袋に詰め込んだ。
店員は1本ずつ剣の状態を確認し、何かの皮のようなものにメモ書きすると、品定めでもするような目で俺を見ながらニヤリとした。
そして、「ありがとうございます。大量にお持込みいただきました。つきましては、全部で9425ナールでお引き受けしたく存じます」と宣言した。
俺が黙って頷くと、店員は「いま代金をお持ちします」と言って、そそくさと店の奥に走って行った。
うーん。騙された?
商人の方を見ると、「相場通りの価格で計算してましたので間違いないかと」と、俺は何も言ってないが的確な答えが返ってきた。
顔に出てたのか?
そのへんツッコミたい気もしたが、店員がトレーに代金を乗せて持ってきたので取り敢えず後回しにした。
しかし硬貨ばっかだ。
銀貨が94枚と銅貨が25枚あるらしいが、数えるのもめんどくさい。
そう思いながらも何とか数えきり、代金を巾着袋に詰め込んだ。
因みに商人も銅の剣を2本売って、500ナール受け取っていた。
剣を売り終わったので、次は防具だ。
そう思って隣の店に行こうとすると、商人から声がかかった。
「ミツオ様。村人が倒した盗賊は防具を着けておりませんでした。私は必要な物を仕入れてから村に戻らせて頂きますので、こちらで失礼させて頂きます」
「うむ。ご苦労だった」
俺は商人を見送ったのちに隣の店に入ると、目の前に店員が立っていた。
どうやら隣が騒がしかったので、俺たちが来ていることに気づいたらしく、店の入り口で待ち構えていたとのこと。
「こちらの売却でよろしいですね?」
「うむ。あ、いや。ちょっと待ってくれ」
俺は先ほどと同じように、防具の中から状態の良さそうな皮の鎧と皮のジャケット、皮のグローブx2、皮の靴x2を選んでズダ袋に詰めた。
おかげで袋はパンパンだ。そして重い......
はぁ。早く探索者になって、アイテムボックスが使えないとキツイな。
それより早いとこ この装備品を売って、商館に戻ろう。
俺は改めて店員と向き合った。
「後は全て売却する」
「では、確認させて頂きます」
店員は防具の査定を始めた。
そして、先ほどの武器屋と同じように一つ一つ状態を確認して、何やらメモを取り始めた。
「いやー、たくさん持ち込んで頂き、ありがたい限りです。鉄の鎧は1800ナール、皮の鎧は200ナール、皮の靴は20ナールで買い取らせて頂きます」
「うーん、分かった」
一瞬迷ったけど、相場が分からないから向こうの言い値でうなずくしかなかった。
商人がいれば買い叩かれることは無いだろうけど、いないものは仕方がない。
「鉄の鎧が1個、皮の鎧が4個、皮の靴が12個あります
通常なら全部で2840ナールとなりますが、今後もご贔屓にして頂きたく、今回は3692ナールでお引き受けさせていただきたく存じます」
「ふむ。それで頼む」
俺が頷くと店員は「すぐにご用意致しますので、しばらくお待ちください」と言って、店の奥に消えていった。
そして2分ほどすると、トレーにたくさん硬貨を乗せて戻ってきた。
「うわ!また硬貨がいっぱい......」
思わず心の声が漏れちまった。
店員に苦笑いされてしまったので、さっと数えるふりをして硬貨を全て巾着袋に押し込んだ。
そして、防具屋を出て商館に向けて歩き始めたが、パンパンに膨れたズダ袋と、おなじくパンパンに膨れた巾着が重い......
俺は大通りから横道に入り、人目につかないようにしながら、いま持っている金を数えることにした。
金貨28枚、銀貨880枚、銅貨237枚。
全部で368237ナール。
確かロクサーヌはメイド服をつけて3割引でも483000ナールくらいだったから、あと115000ナール。
その後のことも考えたら、5日間で150000ナールくらい稼がないとまずいのか。
まあ、賞金首2〜3人分ってことか。
スラムに行けば盗賊はたくさんいるみたいだし、よく分からんが、それくらいなら何とかなるだろう。
まあ、先ずはロクサーヌの購入を予約しないといけないので、取り敢えず商館を目指そう。
そう思って歩き始めたけど、クソッ!商館の場所がわからねえ!
大通りに面していたのは間違いないので、面倒だけど歩き回って探すしかないな。
“はぁ”
俺はため息をつきながらも、闇雲に歩き回って商館を探していると、いつの間にか町外れに来てしまった。
“チッ!”反対だったか......
意気消沈して引き返そうとした時、騎士団詰所で見たような連中が目の前を通り過ぎた。
ん?そういえば迷宮がどうこう言ってたな。
アイツらもしかして、今から行くのか?
俺はなんとなく気になって騎士団の後ろをついていくと、森に入ってすぐに不自然に盛り上がった3mくらいの小山があり、麓に人が入れるくらいの入口が開いていた。
あれが迷宮の入口か?
そう思って見ていると、騎士団員たちは入り口に立っていた男に声をかけて中に入っていった。
一瞬迷ったけど、1回中に入っとけば、あとは ワープで簡単に来れる。
そう思って ズダ袋から皮の鎧を取り出して装着した。
それから、迷宮入口の横にいた男に軽く会釈しながら中に入った。
迷宮の中は思ったよりも明るかった。
床、壁、天井は石造りで、淡く青緑色に光っている。
光源はそれだけなのに、何故か物は色までくっきりハッキリよく見えるのだ。
一体どういう原理なんだ?
これを科学的に説明するのは難しい気がする。
入口は10m四方の部屋のようになっており、天井高は3m。正面と左右には幅3mぐらいの通路が迷宮の奥に向かって延びている。
後ろを向くと、入ってきた場所が幅1m、高さ2mくらいの黒い壁になっていた。
それより、この世界では迷宮と呼んでるらしいけど、石造りだから俺からするとダンジョンって感じだな。
そんなことを考えながら何度か右に左に通路を折れ、ひたすら奥へ向かって歩き続けると、20mくらい先に木が立っていた。
あれはニードルウッドか?
確かデュランダルで一撃で倒せる魔物だったはず。
戦う前にパラメータとかちゃんとしておいた方がいいな。
そう思って5mほど通路を戻って魔物が見えなくなると、キャラクター再設定でステータスを見直した。
加藤満男 男 21歳 自由民
村人Lv9 探索者Lv1 英雄Lv4 装備 決意の指輪
装備 フラガラッハ 皮の鎧 皮の靴
ボーナスポイント97 ptの振り分けは、
サードジョブ 3pt
獲得経験値上昇5倍 15pt
必要経験値減少10分の1 31pt
MP回復速度3倍 7pt
キャラクター再設定 1pt
ジョブ設定 1pt
鑑定 1pt
詠唱省略 3pt
ワープ 1pt
武器5(フラガラッハ) 31pt
アクセサリ2(決意の指輪) 3pt
なんだかんだで10分ほど悩み、パラメータを振り直した。
現時点ではワープやダンジョンウォーク以外の魔法をバンバン使う気はないので、MP吸収は必要ないと判断。
武器はデュランダルはやめてフラガラッハにし、余ったポイントを他に振り分けた。
村人のレベルが1上がったらボーナス呪文のMP全解放をセットして、瀕死にした魔物に使って魔法使いのジョブをゲットするつもりだ。
さあ、やってやるか!
俺は気合を入れて通路を進み、ニードルウッドを視界に捉えた。
俺はニードルウッドに駆け寄ると、そのまま飛び込んで フラガラッハを振り抜いた。
すると漫画と同じように魔物は一撃で煙に変わった。
フッ。余裕だな。
ドロップアイテムのブランチを拾い、ズダ袋に仕舞おうとして、探索者はアイテムボックスが使えることを思い出した。
頭の中でアイテムボックスオープンと念じると、目の前の空間に50cm×30cmぐらいの入口が開いた。
とりあえず、ズダ袋にさしていた銅の剣をしまい、アイテムボックスクローズと念じると、空間に開いた入り口が消えた。
次に重いのはシミターなので、探索者のレベルが上がったらアイテムボックスにしまおう。
それから2時間ほど迷宮内を彷徨い、ニードルウッドを12匹倒した。
そして、途中でちょこちょこ確認し、シミターと皮のジャケット、皮の靴をアイテムボックスにしまった。
迷宮を出る前に自分のステータスを確認すると、村人Lv14、探索者Lv4、英雄Lv6にそれぞれレベルが上がっていた。
魔物は簡単に倒せるし、レベルも少しずつ上がってきたので迷宮探索が楽しくなってきていたけど、このあと商館に行ってロクサーヌを予約し、夕方にはソマーラの村に戻らなくてはならないので、名残惜しいが本日の迷宮探索は切り上げることにした。
俺は迷宮の壁に向かってワープと念じ、商館駐車場の壁面に繋がるゲートを開いた。
因みに、迷宮内を彷徨っているとき、ワープを使えば商館に移動出来ることに気がついた。
もちろん商館の中に戻ることは出来ないが、駐車場の壁面にフィールドウォーク用の衝立が立っていたので、あそこに飛べば問題ないだろう。
それに気がついた時、商館に戻れないと焦っていたときの自分を思い出して、さすがに情けなくなったけど、俺はこの世界の初心者だから多少のミスは仕方がない。
俺は瞬時にそう考え、自分を許すことにした。
さあ、ロクサーヌとご対面だ!
俺は意気揚々とゲートをくぐった。