異世界転生した俺は、原作展開を壊して自由に生きる 作:龍いち
昨日の探索開始時は、探索終了後に騎士団詰所に寄ろうと思っていたけれど、探索終了時には腹を満たすことを優先して先に旅亭に移動して食事をしてしまった。
そして、食事をしている間に騎士団詰所に行くことを忘れてしまい、その後はスラム街の偵察に行き、朝方そのまま帰宅してしまった。
昨日のことを思い出しながら案内役の騎士に盗賊のインテリジェンスカードを渡すと、「一応規定なんで左手を見せてください」と言われたので左手を差し出した。
騎士は呪文を唱えて俺のインテリジェンスカードを確認すると、「問題ありません。確認して参りますので、しばらくお待ちください」と言って、詰所の奥に向かって走っていった。
そして、5分ほどすると戻ってきた。
「お待たせしました。 賞金がかかってる者はおりませんでした」
「そうか。残念だ」
俺は、「じゃ、また来る」と言い残して踵を返した。
そして、その場を立ち去ろうとすると、後ろから声がかかった。
「ちょっと待て!」
「何か用か?」
声がかかった瞬間に相手が誰か分かったけど、そのまま立ち去るわけにはいかないので、返事をしながら振り返った。
すると、女騎士は一瞬驚いたような表情を見せたけど、すぐに少し見下したような視線に変わった。
「お前だったか。
ふんっ!大口叩いた割に、たったの5人か」
「ああ。すまんな」
彼女の言う通り、大口を叩いて挑発したくせに、倒した盗賊はたったの5人。
それも雑魚ばかりじゃ馬鹿にされても仕方がない。
そう思って素直に謝罪をすると、彼女は一瞬きょとんとしたけど、次の瞬間にはまた見下すような顔になり、挑発的な言葉を浴びせてきた。
「まさかそんなペースでこの町の盗賊を壊滅出来るなんて思っているわけではないよな?
真面目にやらないなら、約束通り罪を問うことになるから覚悟しろよ」
「ああ。わかってる。今日の5人はたまたまベイルの迷宮で遭遇した分だ。
今はスラムで盗賊の縄張りとアジトを調査している段階だ。
だから、もう少し待ってくれ」
「そ、そうか......
ところでベイルの迷宮はまだ5階層までしか攻略が進んでなかったはずだが。どこで盗賊にあったのだ?」
「4階層だ。普通に魔物と戦っていた」
「盗賊のくせに戦闘訓練でもしてたのか...」
「若い連中ばかりだったので、そうだったのかも知れないな」
「若い連中か...... お前、何で盗賊って分かったんだ?」
「あ、いや。奴等が魔物と戦っているところに遭遇したので、離れようとしたら若い奴が襲いかかってきたのでな。返り討ちにしたら、魔物そっちのけで手の空いた奴から次々に襲いかかってきたのだ」
「まあ良い。雑魚は要らんから、次は賞金首を狩ってこい!」
「わかった」
俺は女騎士にそう言い残すと、今度こそ騎士団詰所を後にした。
その後、騎士団詰所の裏手にまわり、ワープ ゲートを開いて冒険者ギルドに移動した。
そして、カウンターでアイテムボックスからドロップアイテムを全て出して売却した。
それから毒消し丸を5粒購入し、アイテムボックスにしまい、ベイルの迷宮4階層の入口小部屋に直接移動した。
そして、3時間ほど魔物を探して倒してまわり、本日の迷宮探索を終了した。
迷宮を出ると、周囲は真っ暗になっていた。
夜中なんだから当たり前なのかも知れないが、迷宮案内の探索者もいないので何とも心細い。
森の中を歩く気にはならないので、ワープでベイルの町のベイル亭という旅亭の外側に移動した。
そして、旅亭の中に入ると、俺に気がついた受付の男が声をかけてきた。
「よう!今日も食事かい?」
「ああ。頼む」
さすがに3日連続となると、旅亭の男も俺の顔を覚えたようで、当たり前のように食事だけの利用だと思っているようだ。
何となく鼻につく態度だけど、こんな時間に来ても安全に飯が食える店なんてここくらいしか無いから我慢している。
娼館街には明け方近くまで飲み食い出来る店もあるけれど、あちらは盗賊が蔓延っているから利用出来ない。
これから盗賊を狩ろうと思っている俺からしたら、顔バレは最も忌避すべきことだからだ。
旅亭の男に飯代を払い、食堂で飯を食った。
因みにメニューなんてものはない。
5日に1度しか市が開かれない町の食堂なんて、日替わり定食しかないからだ。
食堂で出された飯を食い終わると、俺は旅亭を出て娼館街を抜け、スラムの入口に移動した。
そこで外套で頭まですっぽり覆って建物の陰に潜み、通り過ぎる盗賊たちを鑑定し続けた。
そして、一人の男に目を付けると、少し後ろから鑑定を使いながら尾行して、行き先を確認した。
行き先を確認するとそれをパピルスにメモ書きして、またスラムの入口に戻って次に尾行する盗賊を待ち受けた。
そうやって盗賊の隠れ家を探し続けて3日目。
どうやら漫画に描かれていた通り、盗賊はいくつかのグループに分かれていることは間違いないようだ。
俺は明け方近くまで観察と尾行を続けて、周囲が明るくなってきたのでワープでソマーラの村の家に帰った。
あとは、朝食を食べてから身体を拭き、2人を抱くと本日の業務は終了だ。
家の裏手の外壁に移動して、玄関から帰宅すると、目の前にティリヒとセラの2人が待ち構えていた。
「オカエリ、サイマセ。ミツオ様」
「オカエリ、なさ、ませ」
「......ただいま」
2人は俺を見ると、深々とお辞儀をして、カタコトのブラヒム語で出迎えてくれた。
待ち構えていたことに一瞬驚いたけど、返事をして中に入ると朝食の用意が出来ており、硬く絞った手ぬぐいも用意してあった。
手と顔を手ぬぐいで拭き、ダイニングテーブルの席に着くと、対面の席についたセラがスープを盛り付けてくれた。
今日のメニューはパンと肉野菜炒め、それと根菜のスープだ。
昼夜逆転生活をしているから、俺の朝食は普通の人なら夕食なんだけど、そんなことは別にしてもおかずが2品もあるのはこの世界ではかなり豪華な食事らしい。
傍から見たら至れり尽くせりという状況に見えるだろうけど、これも仕事だと思うと全く心が躍らない。
それでも食事後に全裸の2人に体を拭かれると、俺の肉棒は激しく自己主張をしてしまうのだ。
俺はキャラクター再設定でジョブに色魔を就けると、2人に3回ずつ種付けした。
そして、2人を抱いて眠りにつく。
今度こそ、やっと本日の業務が終了したのだ。
◆ ◆ ◆
2日後。
夕方、いつも通りベイルの迷宮に行き、4時間ほど探索してからベイル亭に向かった。
そして、食事をすると、俺はいつも通りにスラムの入口に向かった。
ここまではいつも通りだが、ここからは勝負だ。
一応自分のステータスを確認してみた。
加藤満男 男 21歳 自由民
探索者Lv15 英雄Lv12 戦士Lv13
装備 フラガラッハ 皮の鎧 皮のグローブ 皮の靴 決意の指輪
レベルが上がり難くなっているのか、昨日の探索終了時からは戦士のレベルが1つ上がっただけだった。
探索する階層は6階層まで上がったけど、いよいよ一人では厳しいのかも知れない。
盗賊討伐が一段落したら、奴隷でも買うか......
ロクサーヌは手に入らなかったけど、セリーはまだわからない。
確か彼女は兄の薬代が必要で自ら奴隷になったって言ってたはずだ。
ということは自分で商館にやってくるのか......
商館に入られたら、出禁になってるから手を出せないけど、その前に彼女を捕まえれば金次第では俺の奴隷に出来るかも知れない。
父親がどうこう言ってた気がするけど、売却代金を家に持ち帰る人が必要だから、来るときは一人じゃない。
きっと誰かと一緒に来るはずだ。
会えるかどうかは分からないけど、小柄な2人組がいたら注意しといた方がいいだろう。
ロクサーヌと同じでセリーもいないかも知れないけど、そうだとしても、奴隷を買うなら金がいる。
盗賊のやつらに恨みはないが、せいぜい稼がせてもらおう。
そう考えながらも月明かりを頼りに、俺はベイルの町中を歩き、スラム入口の橋を渡った。
俺は、5日間じっくり観察して、スラム内の盗賊の縄張りとアジトの位置はほぼ把握出来ているので、川沿いの細い道を抜けて、一番北側にあるグループのアジトに向かった。
そして、俺は事前に下見をしておいた空き家に移動して、窓からスラムの北側グループのアジトを監視しはじめた。
アジトの周りには不自然に男たちが立っており、なぜか周囲を警戒しているようだった。
物々しい雰囲気なので警戒していると、大きな頭陀袋を抱えた男が2人アジトに入って行った。
そして、少しするとアジトの方から若い女の悲鳴が聞こえてきた。
悲鳴はすぐに収まったけど、何があったのかわからずに監視を続けていると、しばらくしてアジトの中から若い男が出てきた。
そして、周りに立っていた男たちに声をかけると、ソイツを残して、全員アジトの中に引き上げた。
残った男はアジトの入口に立っているので、鑑定すると、男 14歳 盗賊Lv2と出た。
どうやらアイツが今晩の見張りのようだ。
新人盗賊に修業がわりに見張りをさせているのかも知れないが、“あんな奴で大丈夫なのか?”なんていらぬ心配をしていると、30分も経たないうちに壁にもたれ掛かったまま居眠りをはじめた。
そのまま、1時間ほど人の動きを確認したけど、人が出入りする様子はなかった。
なので、俺は気合いを入れて空き家を出た。
アジトの入口に近づくと、盗賊Lv2はしゃがんで外套がわりのボロ布にくるまり、顔を伏せて爆睡していた。
俺は見張りの横をスッと通り抜けると、アジト入口の扉を開いて中に入った。