異世界転生した俺は、原作展開を壊して自由に生きる 作:龍いち
翌日の深夜。
俺は昨日と同じ場所から、盗賊のアジトを監視しはじめた。
そして、奴等が寝静まってから1時間後、盗賊の出入りがないことと監視役の男が眠りこけているのを確認したので、空き家を出て盗賊のアジトの入口に向かった。
俺はしゃがんで爆睡している盗賊Lv2を無視して入口の扉を少しだけ開いた。
すると、明かりが漏れたので一瞬焦ったけど、隙間から中を確認すると廊下に吊るしたカンテラの明かりだったのでホッとした。
誰もいないので身体を滑り込ませて、後ろ手でそっと扉を閉めた。
そして、耳を澄ませて気配を探ると、すぐ先の部屋からイビキが聞こえてきた。
その部屋の扉を少しだけ開いて中を鑑定すると、盗賊Lv11、盗賊Lv10、海賊Lv8、盗賊Lv7、海賊Lv4、海賊Lv4、盗賊Lv3、盗賊Lv3と表示された。
8人いるが、全員下っ端だ。
扉をそっと閉めて、隣の部屋を確認すると、そちらにも盗賊Lv12、盗賊Lv11、盗賊Lv5、盗賊Lv5、盗賊Lv4、盗賊Lv3、盗賊Lv3、盗賊Lv2と表示された。
こちらも全員下っ端。
次の部屋には盗賊Lv26、盗賊Lv21、盗賊Lv19、盗賊Lv18の4人だった。
どうやら中堅どころか。
その先は大きな部屋だから、ここまでの20人が一般戦闘員なんだろう。
大部屋の先には厨房や食堂らしい部屋はあるけど、肝心な幹部の部屋がない。
少し焦りながらも落ち着いて耳を澄ますと、上のほうから“ギシッ、ギシッ”という床が軋むような音がした。
どうやら2階に誰かいるようだ。
階段を探していると、大部屋の奥に見つけたので、慎重に昇った。
そして2階に上がると左右に一直線に廊下がのびており、正面に一部屋。
両側とも正面と左右に部屋があるみたいだ。
先ず、正面の部屋の扉を開いて鑑定をかけると、盗賊Lv17、村人Lv14、村人Lv13、村人Lv11、村人Lv10、盗賊Lv5の6人で、全員女だった。
下の20人は全員男だったから、一般戦闘員は女と幹部がいる2階には上がれないっていうところか。
そう思いながら右まわりで各部屋を調べてまわると、次の部屋には盗賊Lv33の男と盗賊Lv19の女。
その次の部屋には海賊Lv40の男と盗賊Lv8の女。
その次の部屋には盗賊Lv35の男と村人Lv12の女。
その次の部屋には盗賊Lv32の男と海賊Lv8の女。
その次の部屋には盗賊Lv61の男と海女Lv9の女。
その次の部屋には山賊Lv31の男と村人Lv11の女。
不味いな。賊以外の奴がかなりいる。
それと、海賊Lv40と盗賊Lv32、そして、山賊Lv31はセックスの真っ最中だった。
おかげで多少の音なら掻き消してくれそうだけど。
さて、どうするか......
先ずは盗賊Lv61だな。一番レベルが高いから、たぶん奴が頭目なんだろう。
そのあとは寝静まってる奴から殺る!
俺は深呼吸をして心を落ち着かせると、盗賊Lv61の眠る 部屋に侵入した。
そしてベッド脇まで進むと、フラガラッハで仰向けで寝ている男の首を掻き切った。
隣で寝ている女が一瞬身じろいだ気がしたけど、そのまま動かないので放置することにして、左手を回収した。
次は盗賊Lv35を狙う。
部屋に忍び込んでベッドに近づくと、盗賊は俺に気付いたのか、ムクリと上半身を起こした。
次の瞬間、俺はオーバーホエルミングと念じ、叫ばれる前にフラガラッハで喉元を突き刺した。
そして、フラガラッハを引き抜くと、横に回り込んでこめかみ辺りに再度剣を突き刺した。
すると、盗賊Lv35は沈黙してガクッと項垂れたので、そっと寝かせて左手を回収した。
村人の女を確認すると、うずくまったまま動かないし、殴られた跡があるので一瞬死んでるのかと思ったけど、どうやら気を失っているだけのようなのでホッとした。
このまま放置したら“また女騎士に何か言われるかも知れないな”などと思いつつ、俺は逃げるように次の部屋に向かった。
次は盗賊Lv33の男と盗賊Lv19の女にする。
今度は2人とも盗賊だから気を使わなくて良い。
そう思いながら部屋に忍び込み、ベッドに近づいた。
そして、男の首に剣をあてて一気に斬り裂くと、今度は振動で女に気づかれてしまった。
女はとっさに声が出なかったのか?目を見開いてこちらを凝視していたので、叫ばれる前に首を斬り飛ばした。
しかし、首が床に落ちてゴトリと音をたててしまった。
叫ばれる前に首を飛ばせたのは良かったけど、今の音を誰かに聞かれてしまったかも知れない。
俺は素早く2人の左手を回収し、扉に近づいて息を潜め、廊下の様子をうかがった。
そして、1分ほど聞き耳をたてていたけど、廊下が騒がしくなるようなことはなかったのでホッとした。
幹部はあと3部屋だが、全員起きてるからどうするか......
落ち着いて考えようと思ったけど、まごまごしていると それこそ誰かが駆けつけてしまうかもしれない。
なので考えるのはやめ、今の音にも気づかずに隣でハッスルし続けている海賊Lv40の男と盗賊Lv8の女を次のターゲットにした。
俺は廊下に出て、隣の部屋の扉を開き、そっと中に入った。
しかし2人は、俺には全く気づく素振りも見せず、嬌声をあげてヤリ続けている。
どうやら海賊Lv40の男はイキそうになっているらしく、「ヴオオオオオオォッ!」と雄叫びをあげながら腰を激しく振ってラストスパートをかけていた。
女の方も激しく喘ぎ声をあげ、白目を剥いてヨダレを垂らしながら滅茶苦茶悦んでいる。
すると男が、「ヴッ」と短く唸って身体をビクビクッと震わせ、恍惚な表情を浮かべた。
それと同時に女の方も、「イグッ!イグゥゥゥゥゥゥッ!」と叫んでビクビクと身体を震わせて絶頂をむかえている。
俺はオーバーホエルミングと念じて駆け出し、2人の首を斬り飛ばした。
「フフッ。イクまで待ってやったんだ。恨むなよ」
俺はそう呟くと、2人の左手を回収した。
あと2部屋。
次は盗賊Lv32の男と海賊Lv8の女にするか、それとも山賊Lv31の男と村人Lv11の女の方にするか......
再び廊下に出て息を潜めて様子を窺うと、山賊Lv31の部屋の方からは、男の声しか聞こえてこないことに気がついた。
気になったので、そちらに狙いを定めて扉を開くと、女の首を締めながら腰を打ちつけている、筋骨隆々だが小柄な男が目に入った。
どうやら男はドワーフのようで、「もっとじゃ!もっと締め付けんか!」と叫んでいた。
女の方は窒息しているのか?
白目を剥いて口からよだれを垂らし、ぐったりしながら犯されている。
瞬間的に“女が死んだらマズイ”と思い、俺はフラガラッハでドワーフに斬りかかった。
ドワーフは咄嗟に身体を引いて両腕で顔をガードしたけど、俺はフラガラッハを一閃し、その腕ごと首を斬り飛ばした。
次の瞬間、ドワーフの体はベッドに倒れ込んだので対して音を立てなかったけど、切り飛ばされた頭と腕が床に落下して、ボトボトと大きな音を立ててしまった。
さすがにマズイと思い、床に転がったドワーフの左手を回収して、扉の近くに寄って廊下の様子を窺った。
誰か近づいてきたらワープゲートを開いて逃げようと思っていたけど、少し経っても誰も近づいては来なかったので、拍子抜けした。
俺は深呼吸して気を取り直し、最後の1部屋に向かった。
最後は盗賊Lv32の男と海賊Lv8の女だ。
さっきまでは廊下にいても女の喘ぎ声が聞こえていたけど、今は静まり返っている。
しかも、心なしか緊張感が伝わってくる。
さすがに気づかれたのか?
そう思いながら扉に近づいて聞き耳を立てると、部屋の中から小声で会話しているのが聞こえてきた。
すると、床が軋む音が少しずつ近づいてきたので、忍び足で誰かが扉に近づいてきたみたいだ。
俺は扉のすぐ脇の床にしゃがみ込み、斜め上に向かって剣を構えた。
そして、少しだけ扉が開くと、斜め下からその隙間に剣を突き込んだ。
「ゴフッ!」
剣は喉元から延髄に向けて貫通し、目の前の盗賊はビクビクと痙攣した後に扉を開きながら倒れ込んで来た。
盗賊は殺したが、ドサッと倒れ込んだ音が廊下に響いてしまった。
瞬間的にマズイと思ったが、倒れた盗賊が男だったので、素早く左手を切り取って、隣の部屋に飛び込んだ。
すると、廊下にバタバタと人が出てきて、悲鳴や怒号が飛び交い始めたので、ワープゲートを開いてベイルの迷宮3階層の小部屋に移動した。
「はぁ、はぁ......」
やった。やり切った。
今頃盗賊のアジトは大騒ぎだろう。
最後はかなりやばかったけど、あのグループの幹部連中は全滅したはずだ。
そう思いながら頭陀袋を開き、インテリジェンスカードが出た手首を取り出した。
そして、インテリジェンスカードを抜き取ると、手首の方は通路の先に向かって投げ捨てた。
そうやって、全てのインテリジェンスカードを抜き取って手首を投げ捨てると、俺はソマーラの村に移動した。
家に戻り、ティリヒとセラに少しだけ外してもらい、ダイニングテーブルでインテリジェンスカードを整理した。
盗賊Lv61、盗賊Lv35、盗賊Lv33、盗賊Lv19、海賊Lv40、盗賊Lv8、山賊Lv31、盗賊Lv32......
8枚か。
思ったよりも少ない......
疲労感的には昨日よりもよっぽど大変だったけど、討伐出来たのはたったの8人だ。
人数が多くて一般人もいるようなグループの、盗賊だけを殲滅するのは至難の業だ。
ましてや姿を見られずに、それを成し遂げることは不可能だろう。
8人しか倒せなかったけど、俺は姿を見られてないしレベル30超えの幹部らしい盗賊は全員倒せた。
今の俺には上出来だったと思おう。
あの盗賊グループは船頭を失ったから、放っておいても瓦解するだろう。
しかし、一般人も入れるとまだメンバーは30人くらい残っている。
中堅どころの盗賊も残ってるし、何人か集まって新しいグループを作ったりするかも.....
バタバタしてるうちに、もう一度襲った方がいいかも知れないな。
ひと眠りしたら騎士団に行って、話を聞いてみるか。
俺はそう結論付けて考えるのをやめ、2人を呼んで食事の用意を頼んだ。
その後、食事をしてから2人に種付けして眠りについた。
その日の夕方。
俺は騎士団詰所に行き、案内役の騎士に盗賊を討伐した旨を伝えた。
そして、インテリジェンスカードを渡すと、しばらくして女騎士がやってきた。
幹部が多かったせいか、ずっしりと重そうな袋を持っている。
「今回は良くやった。ナジルバのグループは、スラムのグループの中では最大規模だった。
確認したが、騎士団で把握している幹部は全員いたから、あのグループは瓦解するだろう」
彼女はそう言いながら、俺に賞金を手渡した。
後できちんと確認するつもりだけど、パッと見金貨ばかりだったので、50万ナールは下らないだろう。
「そうか。だが、今回は幹部連中しか殺れなかった。
あのグループは、まだ30人くらいいる。
誰かが新しい頭目になって、グループを引き継ぐなんてことは無いのか?」
「そうだな...... 無いことはない。
だが、頭目の座をめぐって内部抗争が起こる可能性が高いし、そうなればグループは縮小する。
仮に内部抗争もなく誰かが頭目になったとしても、今の人数は維持出来ないだろう」
女騎士は少し考えてから結論を出したが、あまり自信がないようだ。
「そうか... 浮かない顔してるが、気がかりなことでもあるのか?」
「うむ...... こういうとき、次の頭目は手下に舐められないよう、実力を示そうとすることが多い。
大抵そういうときは、手下を引き連れて行商や商家を襲うのだが、手下の人数が多い場合は農村を襲うこともある」
「そうか...... ソマーラの村を襲った奴等もその類いか」
「そうだ。
だから今回も、何処かを襲撃する可能性があるのだ」
「分かった。しばらくはあのグループの動きに注意しておく」
俺は騎士団詰所をあとにして、いつも通り夜半までは迷宮探索を行なった。
そして、ベイル亭で食事をしてから、昨晩襲撃した盗賊グループの状況を確認しにスラムに向かった。
スキがあったらもう一度襲撃して盗賊を殲滅してやろうかと思ったけど、見張りが3人もいて厳戒態勢だったので、本日の討伐は諦めた。
そのまま監視を続けたけど、特に何も起こらなかったので、明け方近くに帰宅した。