※この作品はR-18です。

異世界転生した俺は、原作展開を壊して自由に生きる   作:龍いち

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ドワーフの少女2【Side レオン】

『彼は立ち去りました。もう大丈夫です』

『ああ。助かった。アイツはいったい何なんだ?』

『彼は数日前に当商館を騙そうとして、出入禁止にされている信用の無い人物です。

どうやらこちらの女性に一目惚れしたようで、金を払うから自分に寄越せと言っていました』

『そうか。金を払う気はあったのか。

それなら仲介してくれりゃ良かったんだが』

 

ミツオに金を払う気があったことが分かると、ガバールという男は俺に訝しそうな目を向けた。

コイツはコイツで問題がありそうだ。

 

『いえ。彼は信用出来ない人物です。

正当な対価を払う保証はありませんし、彼女をまともに扱うかもわかりません。

ですので、お客様が同意していたとしても、当商館としては仲介はお断りしておりました』

『ふんっ。そうか。

まあ、金払いが怪しいんじゃ仕方ねえか。

あんたなら、ちゃんと払ってくれるんだよな』

『はい。では、こちらにお越し下さい』

 

俺は2人を商館の応接室に案内し、ソファを勧めて対面側に座った。

そして、給仕がさがると商談をはじめた。

 

『それでは改めて。本日のご用向きを教えて頂けますか?』

俺が用件を聞くと、今まで黙っていたセリーが顔をあげた。

 

『あの、出来るだけ高く、私を買って下さい』

『事情を伺ってもよろしいですか?』

『はい。実は兄が迷宮探索中に大怪我をしたのです。

治すためには高価な薬が沢山必要ですので、その費用を賄う為にどうしてもお金が必要なのです』

 

『事情はわかりましたが、貴方は二度とご家族の方に会えなくなりますよ。それでも宜しいのですか?』

『はい。家族との別れは済ませてきました。問題ありません』

『わかりました』

 

セリーは兄の話をしたときは沈痛そうな雰囲気だったけど、家族との別れを語ると決然とした表情になった。

 

『他に何か言っておくことは有りますか?』

『あの...... 私は探索者Lv10になりましたけど、鍛冶師にはなれませんでした。

それから巫女にも挑戦しましたが、そちらもなれませんでした。

ですが、私は処女です。処女なら高く買って頂けると聞いています。

もちろん性奴隷となることも了承します。

ですので、是非、宜しくお願い致します』

セリーはひと息に言い切ると、深々と頭を下げた。

すると、隣にいた男が不機嫌そうに口を開いた。

 

『で、いくらで買ってくれるんだ?』

『そうですね。先ずはインテリジェンスカードを確認させて下さい』

俺はキャラクター再設定で奴隷商人のジョブを就け、インテリジェンスカード操作の呪文を唱えた。

そして、改めて彼女の情報を確認した。

 

『16歳ですか。失礼ですが、お年を召されているのかと思っておりました』

『耳は細いがババアじゃねえぞ』

『失礼しました。ではもう一つ確認したいことがございますので、彼女には当館のものと別室に移動してもらいます』

俺はそう言うと、女性の使用人を呼んでセリーを別室に案内させた。

 

『どこに連れて行ったんだ?』

『別室で彼女が処女であることを確認させて頂いております』

『そういうことか。

ところでいくらで買ってくれるんだ』

 

『そうですね。探索者Lv10では戦闘奴隷としてはそこそこですが、処女という点は高評価となります。

容姿は悪くありませんが、耳が細い点はマイナスです。

ですが、実際は16歳ですので、それほどのハンデにはならないでしょう。

6万ナールと言いたいところですが、彼女の覚悟に敬意を表し7万ナールで如何でしょうか』

  

『なんだ、そんなもんか。鍛冶師じゃなくても処女ならいい値がつくなんてほざいていたヤツがいたんだが。

とんだ肩透かしだな』

 

彼はそう言うと、俺を睨みつけた。

言葉には出していないが、足元見てんじゃねえぞ!と目が訴えている。

仕方がないので少し詳しく説明することにした。

 

『健康体な女性で働き盛りの年齢でも、何の取り柄もない場合の買取金額は3万ナール程度となります。

後は付加価値がどれほどつくかにより査定が変わるのですが、容姿が優れている場合は1万ナールから5万ナール加算。

女性の場合は処女であれば1万ナール加算。

ブラヒム語が話せるなら更に1万ナール加算。

読み書き計算まで出来るようなら更に1万ナール加算。

戦闘が出来る場合は更に1万ナールから3万ナール加算。

特殊な職業についている場合は更に10万ナールから30万ナール加算。

貴族などの高い身分の方の場合は更に10万ナールから30万ナールの加算となるわけです』

『そうか』

 

『彼女の場合、容姿で1万ナール、処女で1万ナール、戦闘で1万ナールの加算と考えて、最初に6万と査定しました』

『ふんっ。そうか。

因みに鍛冶師だったらいくら増えたんだ?』

『30万です』 

『さっ30万......』

 

金額を聞いた途端、ガバールの目は“これでもか!”と言うくらい見開かれた。

しかし、俺が訝しそうな目を向けると、コホンとわざとらしく咳をして、居住いを正した。

 

『そ、そうか。

まあ、鍛冶師になれない出来損ないなんだから、仕方ねえか。

7万もあれば薬代は十分だから、それでいい』

『ありがとうございます。彼女に問題がなければ代金をお持ちします』

俺は使用人を呼んで、代金を用意するよう頼んだ。

 

5分後、セリーと処女検査を頼んだ使用人が応接室に戻ってきた。

俺は女性使用人の下に行き、小声で「どうだった?」と結果を確認すると、彼女は「問題ありません」と言ってニッコリと微笑んだ。

 

俺は女性使用人を下がらせると、セリーを所在なさげに待っていたガバールの隣に座らせた。

そして、検査に問題がなかった旨をガバールに伝えると、彼はニヤリとほくそ笑んだ。

ちょうどその時、代金を取りに行かせた使用人が部屋に戻ってきた。

 

彼は小袋に代金を詰めてきたので一応中身を確認し、問題無いのでガバールに渡した。

すると、彼は袋から金貨を取り出して、テーブルに並べて枚数を数えた。

 

数え終わると、彼はセリーに『お前のような出来損ないでも、しっかり奉仕すれば主人に気に入られることもあるだろう。せいぜい頑張るんだな』と言ってさっさと帰り支度を始めた。

 

俺はガバールの見送りを使用人に任せて応接室の扉の前で彼を見送った。

それから室内に戻ると、セリーは黙って項垂れていた。

ガバールが最後に吐き捨てた言葉が応えたのか、先ほどまでの覚悟ガン決まりの態度とは打って変わって、かなり落ち込んでいるようだった。

 

どうやらさっきの男には弱気な態度を見せたくなかったというところか、一人になってしまい緊張の糸が切れてしまったのだろう。

本来なら彼女を奴隷身分に変えるところだけど、その前に彼女の中に溜まっているものを吐き出させることにした。

 

俺は彼女の前に立つと、その華奢な身体を抱き寄せて頭を撫でた。

彼女は一瞬ビクッと震えたけど、俺が『辛かったんだね。今だけは、思いっきり吐き出してもいいからね』と彼女の耳元で囁くと、すぐに俺にしがみついて号泣し始めた。

 

10分ほど経つとセリーは泣き止み、「ありがとう。大丈夫、です」と、たどたどしいけどブラヒム語で伝えてきて、同時に俺の体に回していた両手をほどいた。

俺も離してセリーを見ると、泣いてスッキリしたのか少し落ち着いたようだったので、彼女をソファーに座らせて、自分も対面に座った。

 

「君はブラヒム語を話せるんだね」

そう話しかけると、彼女は顔の前でブンブンと手を振った。

 

『すみません。ブラヒム語はいくつか単語を知ってるだけなので、ちゃんとは話せません』

『そうだったんだ。聴く方は?』

『短い話なら、いくつかの単語から内容を判断出来ることはあります。

先ほど商館の前で手首を掴まれていたときに、相手の男性が叫んでいた内容も、いくつか理解出来ました』

 

『それならなんで黙ってたの?』

『初対面の人に人身売買を持ちかけるなんて、明らかに犯罪行為だし常軌を逸した行動だったので、片言でもブラヒム語が理解出来ることは見せない方がいいと思ったんです』

『うむ。良い判断だったと思うよ。彼は常識をわきまえているとは思えなかったし、言いづらいけど君と一緒に来た男性も、金さえ手に入れば良いという感じだったので』

俺の言葉を聞くと彼女は『そうですよね』と言って苦笑いを浮かべた。

話が一段落したので、俺は改めて彼女に挨拶した。

 

『では改めて。俺はレオン。この商館の副商館主だ。

先ずは君の身分を奴隷に変更し、今は商館主のアランが不在なので俺の所有奴隷に変更するので了承してくれ』

『わかりました』

 

彼女が返事をしたので、まずは彼女の首に革製の首輪を取り付けた。

この首輪は黒色で正面に鎖に繋げる鉄の輪がついており、ロクサーヌの首輪と同じ物だ。

そして、魔法がかかっているため主人以外は外すことが出来ないものとなっている。

セリーは首輪に付いている鉄の輪に触れると、小さく溜息をついた。

 

『では、左手を出してくれ』

セリーが左手を出したので、俺はその隣に自分の左手を突き出してインテリジェンスカード操作の呪文を唱えると、次の瞬間左手からインテリジェンスカードが飛び出した。

 

カード操作で彼女の身分を奴隷に落とし、所有者を俺に設定すると、次の瞬間、何故か彼女は目を丸くして驚き、バッと俺の顔を見上げた。

 

『あ、あの!』

『話は後だ。先ずはカードを見せてくれ』

俺はそう言って彼女のカードを覗き込んだ。

 

セリー ♀ 16歳 探索者 初年度奴隷

所有者 レオン

 

ふむ。ちゃんと所有者が俺になってる。

問題ないな。

そう思っていると彼女は我慢できなくなったのか、俺に話しかけてきた。

 

『あ、あの!レオン様のジョブが探索者になってます!』

『あっ!』

 

失敗した。一時的にセリーを俺の所有奴隷にするため、俺のインテリジェンスカードも表示させていた。

しかも色々と変えるのが面倒だったので、ファーストジョブが探索者のままだった。

どうやら、俺がインテリジェンスカードを表示させたときに、彼女は俺のカードの記載内容を見てしまったようだ。

 

レオン 男 20歳 探索者 自由民

所有奴隷 ロクサーヌ セリー

 

一瞬どうしたもんかと思ったけど、俺はパーティーメンバーを増やすなら奴隷で固める必要がある。

ロクサーヌに相談する必要があるけれど、彼女はドワーフだから鍛冶師になれるはずだし、パーティーメンバーにするなら最高の人材だ。

 

そう思ったけど、今この場で彼女に話すのは時期尚早だと思い、とりあえず口だけ封じておくことにした。

 

『セリー。すまないが、今見たことは内密にしてくれ』

『えっと、わかりました。ちゃんと内密にします』

 

彼女はそう答えると、先ほどまでの沈んだ表情が嘘のように目をキラキラさせながら、俺のことを覗き込んだ。

どうやら好奇心が抑えられないようだ。

 

『あの。それで、これはどういうことなんですか?』

『うーん、そうだな......

説明するには時間がかかるから、今は難しいな』

そう答えると彼女は明らかに不機嫌になり、ジト目で俺を見つめてきた。

 

仕方がないか......

内密の約束を破られても困るしな......

俺は自分に言い訳をして、彼女に希望を与えることにした。

決してジト目に耐えられなくなったわけでない、ということだけ言っておこう。

 

『セリー。この商館では一般的な奴隷教育だけでなく、料理を含めた家事全般やブラヒム語を含めた複数の言語学習。それに加えて計算や簿記などの商売を行うために必要な教育も行い奴隷の付加価値を高めている。

さらに 戦闘奴隷に関しては、訓練場や迷宮で鍛えることもしているんだ。

その教育を一通り完了することが出来たら、俺のことをちゃんと教えてあげるよ』

 

『本当ですか?レオン様。約束ですよ』

『うむ』

俺が頷くと、彼女はよっぽど嬉しかったのか、満面の笑みを浮かべた。

 

勝手に約束しちゃったけど 、ロクサーヌにどう話をしようか......

そう思いながらサビアナおばさんを呼び、小声でおばさんに「いずれは俺のパーティーメンバーに引き入れるつもりです」と伝えてセリーを引き渡した。

 

サビアナおばさんは一礼すると、彼女を連れて退出した。

それから2ヶ月間。

セリーは個室を与えられ、代わりにミッチリと教育を受けることになるのだった。

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