※この作品はR-18です。

異世界転生した俺は、原作展開を壊して自由に生きる   作:龍いち

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不思議な迷宮探索1【Side セリー】

奴隷になってから15日目。

今日私は、この商館に来てから戦闘奴隷として初めて迷宮に入ることになっている。

 

なんでもこの商館では、戦闘奴隷は定期的に迷宮に入って訓練代わりに魔物を討伐させており、当然危険を伴うから、奴隷の戦闘力に合わせて安全に探索出来る階層を選んでいるそうだ。

 

私は探索者Lv10だから、4階層辺りかな?

そう思いながら朝イチでレオン様の執務室に連れてこられて驚いた。

そこにいたのはレオン様と狼人族の女性、それと私の3人だけだったのだ。

 

一瞬私を連れてきた使用人の方も迷宮探索に行くのかと思ったけど、彼女はレオン様に一礼すると普通に退室していった。

困惑して周りを見ていると、狼人族の女性が声をかけてきた。

 

「あなたがセリーさんですね?」

「は、はい」

「私はロクサーヌ。レオン様の一番奴隷です。

今日はパーティーメンバーとして迷宮探索に同行しますので、よろしくお願いします」

「えっ?一番?......

ヒィッ!

あっ!、しっ、失礼しました!

せ、セリーです。こちらこそよろしくお願いします」

 

私が思わず“一番?”と聞き返してしまうと、次の瞬間ロクサーヌさんから尋常ではない殺気が漏れ出した。

慌てて返事をしながら勢いよく頭を下げ、下を向いたまま彼女のことを考えた。

 

この人は自分を一番奴隷と言った。

それをレオン様は否定する様子が無い。

つまり... 

レオン様が何人の奴隷を所持しているかは分からないけど、彼女は彼から一番寵愛を受け、更に全幅の信頼も得ているということだ。

 

そんな......

私、レオン様のこといいなって思ってたのに、彼にはもうこの人がいたんだ......

そう思いながら、ロクサーヌさんのことをチラッと見返した。

 

すごく美人だ......

私なんて、逆立ちしたって勝ち目はない。

肌ツヤもいいし、髪の毛にも汚れがなくフワフワしてそう。

服装も綺麗だし、立ち居振る舞いもしっかりしている。

それに...... ものすごく胸が大きい!

 

今までずっと気にしないようにしていたけど、この商館に来てみてはっきりと分かったことがある。

それは、男の人はみんな胸の大きな女性が好きってことだ。

何故ならそういう人から売れていくから......

 

私だってドワーフの中でならそれなりに胸は大きい方だし、同年代の女の子の中ではモテていた方だ。

付き合いたいと思う男の子はいなかったけど、何度か告白されたこともある。

だから、レオン様は人間族だけど、私を選んでくれることがあるかも知れない。

そう思って、奴隷になってからずっと頑張って教育を受けてきた。

それなのに......

 

悔しい......

男なんてみんな滅びればいいのに!

 

でも...

やっぱりレオン様には滅びてほしくない。

だって、レオン様は私を助けてくれたから......

それに、奴隷として売られた私に優しくしてくれたから......

レオン様...... 

私、貴方のことが......

 

レオン様のことを考えながらジッと見つめていると、彼はアイテムボックスから装備品を取り出した。

「取り敢えずこの装備品を着けてくれ。着け終わったら迷宮に行く」

「わ、分かりました」

 

我に帰って慌ててレオン様に返事をし、彼から装備品を受け取った。

そして、受け取った硬革のジャケット、硬革のグローブ、硬革の靴、硬革の帽子を装着した。

以前迷宮に入っていた頃よりも良い装備だ。

 

奴隷になった私にこんな良い装備を貸してくれるなんて......

レオン様。あなたは優しいだけなんですか?

それとも私のこと......

その... 好きだったり... とか......♥

 

準備を終えて、ポーっとしながらレオン様を見ていると、頭の中にパーティー加入の要請がひらめいた。

 

えっ?いま、パーティー申請の呪文唱えてた?

一瞬驚いたけど、私が聞き漏らしていただけなのかと思い、とりあえず加入を了承した。

すると、ロクサーヌさんが話しかけてきた。

 

「セリーさん。今からレオン様の移動魔法で、直接迷宮の中に移動します。驚いて騒がないで下さいね」

「えっ?迷宮の中にですか?そんな移動魔法は無いはずですが......」

 

「あるのです」

「あるのだよ」

「......」

ロクサーヌさんが突拍子もないことを言い出したので、訝しみながら彼女を見ると真顔で肯定された。

ちょっと困ったのでレオン様に顔を向けると、彼にも真顔で肯定されてしまった。

 

どうしよう。2人とも常識ではあり得ないことを言っている。

私が困惑していると、ロクサーヌさんがさらに話を続けた。

 

「セリーさん。移動魔法のこともそうですけど、今日は貴方の知っている常識では考えられないことが沢山起こります。

驚くことは仕方がありませんが、大騒ぎしないこと。

質問するときは小さな声で、周りに人がいない時に行うこと。

そして、今日これから経験することは、全て内密にすること。

宜しいですね」

 

ロクサーヌさんは話しながら、ずいっと私に顔を近づけてきた。

すごく笑顔なんだけど、圧がすごい!

まるで、“イエス”か“ハイ”か、どちらか好きな方を選べと言われているみたい。

 

私は背中に薄ら寒いものを感じながらも、なんとか「は、はい」と頑張って返事をすると、彼女から掛かっていた圧力が一気に霧散した。

“た、助かった”

思わず息を吐くと、レオン様が苦笑しながら声をかけてきた。

 

「セリー。スマンな。

ロクサーヌは決してお前をイジメようとしているわけじゃないんだ。

ただ、お前が知りたがっていた俺の秘密は、それだけ重大ということだ」

「やはりそうだったのですね」

「ああ。とにかく俺の能力は他人にバレるとマズイことになる。だからよろしく頼む」

「はい。こちらこそよろしくお願いします」

 

元気よく返事をすると、彼は空いてる壁にゲートを開いた。

今度こそ間違いない。彼は無詠唱でフィールドウォークの魔法を発動させたのだ。

驚いたけど、ロクサーヌさんから注意されていたこともあったので、目を見開いただけで、私は声を出さずになんとか耐えた。

 

そして、2人に続いてゲートをくぐると、そこは迷宮の中だった。

「!」

今さっきの3倍は驚いたけど、目の前にロクサーヌさんがいたので声を出さずに今度も耐えた。

 

“本当だったんだ”

肯定されてはいたものの、実際に自分で体験するまでは受け入れることが出来なかった。

でも、もう自分を誤魔化すのは無理だ。

レオン様は常識外の人なんだ。

 

そう思っていると、今度はロクサーヌさんがスンスンと鼻を鳴らして周りの匂いを嗅ぎ出した。

そして、「左の通路にコラーゲンコーラル2匹とチープシープ1匹の群れがいます。右の通路にはコラーゲンコーラルだけ2匹の群れがいますけど、その先に他のパーティーがいるようです」と言い出した。

 

「ふむ。右の魔物と他のパーティーはどれくらい離れてる?」

「たぶん2分〜3分です」

 

すごい!

魔物がいることだけじゃなく、数や距離までわかるなんて。

狼人族の中には匂いで索敵出来る人がいると聞いたことはあったけど、魔物の種類や個体数、いる場所までの距離まで判断出来るなんて聞いたことがない!

2人とも当たり前のようにしているけど、このロクサーヌさんという人もとんでもない人だ。

 

「あの。よろしいですか?」

「どうした?」

「ロクサーヌさんの索敵能力も、内密にした方がいいと思います」

「ん?どういうことだ?」

 

「狼人族に匂いで索敵出来るという人がいることは聞いたことがありますけど、せいぜい魔物のいる方向とその匂いで魔物の種類がなんとなくわかるという程度のはずです。

魔物の個体数や距離までわかるなんて聞いたことはありません」

「そうなのか?」

「わかりません。私はこれが普通だと思っていましたので」

 

私が常識で知られていることを話すと、レオン様は首を傾げ、ロクサーヌさんは困惑しているけど、大したことはないと思っているような素振りをしていた。

このままではマズイと思い、私は危険性についてちゃんと説明することにした。

 

「ロクサーヌさんの索敵能力は、狼人族の能力を大きく超えています。

これが貴族や有力者に知られると、彼女を手に入れるため、何をしてくるかわかりません」

「わ、私をですか?」

私がロクサーヌさんは狙われる存在となることを説明すると、彼女は素で驚いた。

 

「そうです。普通に考えて、若くて美人でスタイルが良いというだけでも狙われる対象となります。それに加えて能力まで高いことが知れ渡ったら......」

「確かにそうだな。何か防ぐ方法はないか?」

 

「そうですね......

やはり、一番は知られないことです。知らなければ手を出そうとは思わないでしょう」

「わかった。ロクサーヌの索敵能力についても、内密にしよう」

「は、はい!

匂いで魔物の種類や数、およその距離までわかることは、人に知られないように注意します」

 

納得してくれたようで一安心していると、レオン様はアイテムボックスを開いて棍棒を取り出した。

「セリーはこれを使ってくれ」

「わかりました。棍棒は使ったことはありませんが、頑張ります!」

棍棒を受け取りながら宣言すると、何故かレオン様は苦笑いした。

 

「あー。その、なんだな......

取り敢えずセリーは俺たちの後ろからついてきてくれ。

そして、合図したら魔物の前に飛び出して、その棍棒で魔物2体を同時に攻撃してくれ」

「えっ?2体同時ですか?

ドワーフは力の強い種族ですので、前衛で槌を振り回して何体も同時に魔物に攻撃を加える人がいるということは聞いたことがありますけど......」

 

「魔物を殲滅しろと言ってるわけじゃない。

確認したいことがあるので、一度2体同時攻撃が成功したら、もう一度俺たちの後ろに下がってくれ」

「一度だけでよろしいのですか?」

よくわからない戦い方の指示に首をかしげていると、彼は更に困惑することを言い出した。

 

「ああ。後は俺の魔法で殲滅する」

「ま、魔法が使えるのですか?

魔法は貴族か、有力者の子供しか使えないと思っていました。

いや、そうではなくて、レオン様は探索者だから魔法は使えないはずです」

「普通はな」

「レオン様は使えるのですよ」

 

レオン様はそう言うと、ニヤリと微笑んだ。

そして、何故かロクサーヌさんはドヤ顔していた。

 

どうしよう......

本当に常識が通用しない......

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