異世界転生した俺は、原作展開を壊して自由に生きる 作:龍いち
商館の中に入ると、そこは少し広めの玄関ホールになっていた。
俺の感覚では10畳ぐらいか、正面にカウンターがあり、
左右には待合い用なのか?ソファーが置かれていた。
扉を開けた男はやけにがたいの良い男で、腰に 片手剣をぶら下げていた。
その男に話しかけようと思ったけど、その前にカウンターの中から若い女性の声が響いた。
「いらっしゃいませ。ターヘラの商館にようこそ。
本日はどのような奴隷をお探しですか?」
カウンターの中を見ると、俺より少し若いくらいのアイドルみたいに可愛い女の子がいた。
一瞬見惚れてしまったけど、すぐにハッと我に返って返事をした。
「身の回りの世話をする、若い女性を探している。
俺は探索者なので、出来れば戦闘も可能な女性が良い」
「つまり戦闘が出来て、見目も麗しい娘が良いということですか?」
「まあ、平たく言えば、そういうことになる。
ただ、出来れば自分の目で見て購入する者を決めたいと思っている」
そう言いながら改めて彼女を見たけど、残念ながら奴隷の首輪はしていなかった。
すると、俺の視線に気づいたのか、彼女はクスリと笑った。
「ふふっ。お客さまの希望はわかりました。
先ずは商談室にご案内しますので、そちらのソファーでお待ちください。
因みに私は購入出来ませんので、その点はご了承くださいね」
「あははは。それは残念」
俺が軽い感じで返事を返すと、彼女はもう一度クスリと笑った。
俺は踵を返してソファーに向けて歩き出したけど、彼女の名前くらいは知りたいと思い、振り返って鑑定した。
フレア・ソーサー 女 19歳
商人Lv29 装備 ダガー
フレアか。
残念ながら彼女の申告通り、奴隷ではなかった。
それに、護身用なのかダガーを装備している。
19歳で商人Lv29か。
この娘、結構強いのかも。
そんなことを考えながら壁際のソファーに座ると、すぐに男性店員がやってきた。
そして、「ご案内します」と言って、俺を奥の商談室に案内した。
商談室のソファーに座ると、今度はトレーを持った女性店員が入ってきて、俺の前にハーブティーを置いた。
女性店員が一礼して下がると、俺を案内した男性店員が話しかけてきた。
「失礼ですが、2、3 質問させてください」
「どうぞ」
「では、身の回りの世話をする若い女性をご希望と伺いましたが、性的な奉仕もお求めですか?」
「まあ、それは、そうだな」
どうやら受付は、希望する奴隷の大まかな確認をするだけだったようで、こちらで詳細な確認を行なうようだ。
「それでは、同族と異種族の、どちらを求めですか?
因みに性的な奉仕を求める方は、妊娠する可能性の無い異種族の女性を求めることが多いですが」
「そうだな...... 今は子供が欲しいとは思わないけど、かと言って異種族に拘るつもりはない。容姿と性格を見て考えたい」
「なるほど。戦闘に関しては必須ですか?」
「現時点では戦闘能力がなくても構わない。ただ、将来的にも迷宮に入ることを拒むような女性は遠慮したい」
「わかりました。
最後に資金面の確認をさせて下さい」
「ああ」
「当商館には、白金貨が必要な高級奴隷もおりますが、支払い可能ですか?
厳しいようであれば、そちらの者の紹介は控えさせて頂きますが」
「大丈夫だ。資金は十分あるから構わず案内してくれ」
俺はそう答えると、アイテムボックスから金貨を取り出した。
そして、テーブルの上にジャラジャラと積み上げ出すと、店員は慌てて「失礼しました。金貨はしまって頂いて結構です」と言って、俺を止めた。
「うむ」
短く答えてアイテムボックスに金貨をしまいはじめると、男性店員は「それでは、準備が出来たらお迎えに上がります」と言って部屋から出て行った。
それから5分ほど待つと、部屋の扉がノックされた。
そして、「失礼する」と言って、50歳くらいの身なりの良い男性が入ってきた。
太めでちょび髭。髪の毛がだいぶ薄く、いわゆるバーコード頭というヤツだ。
あまりにも怪し気だったので、思わず男を鑑定してしまった。
オランド・ソーサー 男 42歳
奴隷商人Lv35
ん?ソーサー?
受付のカウンターにいた女の子の父親ってことか?
うーん...... 全然似てないな。
しかし、42歳でこの頭か。
ふふっ。なんだか苦労してるんだな。
「私は当商館の主、オランドと申します。
準備が出来ましたので、ご案内いたします」
「ミツオだ。宜しく頼む」
商館主か... 俺に金があるということがわかったから、親玉が出てきたというわけだな。
まあ、気に入らなければ買わないから、誰が出てきても一緒だけどな。
俺は商館主に案内されて、奴隷たちがいる部屋に入った。
そこには、9人の女性が1列に並んでいた。
全員同じ貫頭衣を着ており、見ただけで身体のラインまでわかる。
ふむ。これなら比較確認し易いな。
「先ずはこの部屋から見て頂きます。全部で5部屋まわりますので、気に入った者がいましたら後で一人ずつ面談して頂くということで」
「5部屋か。わかった。因みに部屋割りに意味はあるのか?」
「はははは。なかなか鋭いですな。
お客様のおっしゃる通り、部屋が分かれてるのには理由があります。
先ずこの部屋は非処女の家内奴隷」
「家内奴隷?」
「ああ、家内奴隷とは、いわゆる戦闘には向かない奴隷です。
それで次の部屋は処女の家内奴隷。その次の部屋は非処女の戦闘奴隷。その次の部屋は処女の戦闘奴隷。最後の部屋は処女の高級奴隷です」
「そうか... 因みに非処女の高級奴隷はいないのか?」
「おりません。高貴な身分や貴重なジョブ、取り分け見目麗しい女性でも、当商館では非処女の時点で一般扱いとして仕入れておりますので」
「わかった」
「では、改めてこの部屋からお願いします」
俺は一人ずつ順に女性を見始め、鑑定を使いながら先ずはこの部屋の9人を確認した。
非処女の家内奴隷のせいなのか、全員身請けして欲しそうにアピールしてきた。
中にはあからさまに身体のラインを強調するような娘もいたので不思議に思い、部屋を出たところで商館主に理由を聞いてみた。
「この部屋の娘たちには、自分たちが他の男のお手つきで、価値が下がっているということを言い聞かせております。しかも戦闘職ではないので、主人に気に入られなければ扱いは良くないし、身請けされても娼館などで働かされる可能性もあると言い聞かせております。
だから、購入されたあとのことも考えて、彼女たちなりに必死なのです」
「そんなもんか」
俺の反応をイマイチと感じたのか、商館主は言葉を付け加えた。
「ところで今の9人はどうでしたか?
非処女の家内奴隷ということですので比較的お安くお譲りすることが出来ますが」
「そうだな。申し訳ないが、ピンとくる女性はいなかったな」
「わかりました。では次の部屋に案内します」
次の部屋に入ると、そこには7人の女性がいた。
それに、前の部屋に比べて明らかに年齢が低い気がした。
鑑定しながら1人ずつ確認すると、15歳から17歳で確かに全員若かった。
全員人間族かと思ったけれど、1人だけ猫耳の少女がいた。
小柄でツルペタだったので、さすがに若過ぎないかと思ったけど、鑑定するとちゃんと15歳だった。
俺はロリじゃないから流石にツルペタは無いけれど、この容姿でもう少し胸があったら......
いや、それ以上は考えるのをやめよう。
危ない方向に進んでしまわないよう、全力で気持ちを抑えて部屋を出ると、商館主がニヤニヤしながら話しかけてきた。
「熱心にご覧になられていた娘もいたようですが、如何でしたか?」
「いや、気にはなったがちょっと若いかな」
「彼女は一昨日仕入れたばかりですので、まだ しっかりした教育は出来ていないのですが、彼女のような娘はすぐに売れてしまいます。
購入を決めて頂ければ、教育が完了した時点でお引き渡しするということも出来ますよ」
「そ、そうなのか......」
クソッ!俺はロリじゃ......
いや、この世界ならそんな倫理は無いのか?
15歳なら...... いや、ダメだ。
取り敢えず一旦落ち着こう。
「の、残りの部屋を見てからだな」
「ふむ。それでは次の部屋を案内します」
俺は商館主に気づかれないよう一度深呼吸して、次の部屋に向かった。
次の部屋の娘は非処女だけど戦闘奴隷だ。
つまり今からが本番だな。
部屋に入ると、9人の女性が並んでいた。
そして、前の2部屋と比べて、圧倒的に異種族の割合が高かった。
先ずは並んでいる全員を鑑定すると、手前から
・女 25歳 僧侶Lv18 人間族
・♀ 23歳 探索者Lv21 猫人族?
・♀ 29歳 戦士Lv18 エルフ
・女 19歳 巫女Lv7 人間族
・♀ 20歳 探索者Lv19 狼人族?
・♀ 23歳 戦士Lv18 ドワーフ
・♀ 25歳 竜騎士Lv9 竜人族
・女 29歳 冒険者Lv7 人間族
・♀ 18歳 巫女Lv18 エルフ
見た目とジョブだけではわからない種族の女性もいるけれど、全員即戦力になれる人材だ。
中でも探索者Lv19のたぶん狼人族の女性と、巫女Lv7の人間族の女性。それと、巫女Lv18のエルフ。
この3人は容姿もかなり良い。
俺は一人ずつ順に彼女たちに話しかけ、自身の種族と年齢、そしてジョブと迷宮の何階層辺りで戦っていたかを確認した。
ずっと先延ばしにしてるけど、魔法使いのジョブを取得すれば、俺は前衛、後衛のどちらでも戦える。
だから現時点では、パーティーメンバーのジョブは何でも良い。
つまり俺の好みでメンバーを選べるということだ。
どうするか...... 正直かなり迷う。
部屋を出てからチラッと商館主を見ると、彼はニヤニヤしながら揉み手をしていた。
否定出来ないのがムカつくけど、かなり手応えを感じているのだろう。
「如何でしたか?かなり迷われてるご様子ですが」
「そうだな。3人ほど良い女性がいた。正直迷っているよ」
「ほう。それはそれは。
今の9名は全員戦闘経験が豊富な者です。探索者として即戦力となりますので、是非ご検討ください」
「わかった」
「いやー。本当に頼みますよ。
それでは、次の部屋に参りましょう」
商館主はそう言うと、くるりと振り返って俺を次の部屋に案内した。