異世界転生した俺は、原作展開を壊して自由に生きる 作:龍いち
2人目まで決めた。
残りの3人は甲乙つけがたいけど、計算上ではあと1人が限界だ。
正直めちゃくちゃ悩むな......
「残りの3人からあと1人を決めたいと思う」
「わかりました」
商館主が返事をすると、タイミングを見計らったように次の女性が部屋に入ってきた。
次に入ってきたのは狼人族の女性だ。
身長は160cmくらいか。
ロクサーヌよりは小さいが、EカップとかFカップとか、とにかく胸はかなり大きい。
髪は明るい茶色で肩口で切り揃えられている。
いや、両側はよく見ると耳なのか... 先まで同じ色なのでパッと見は髪の毛に見えるな。
目は大きく瞳の色は濃いブラウン。
顔は普通に美人だ。
「イリスと申します。狼人族で15歳です。
宜しくお願いします」
彼女は俺の前に座ると、自己紹介して一礼した。
「ああ。宜しく」
「私は獣戦士です。迷宮探索の経験は1年ほどしかありませんが、前衛で戦っておりました。
あと、孤児院出身で小さな子の面倒をみていたので、家事も一通り出来ます」
「そうか。
狼人族は鼻が良くて匂いで索敵出来ると聞いたことがあるのだが、お前も出来るのか?」
「えっ?索敵ですか?」
「ああ。迷宮内で魔物を探し、種類や数までわかると聞いたんだが」
「えっと。狼人族は匂いには敏感ですが、魔物の種類や数と言われますと......
申し訳ありませんが、私には無理です。
頑張っても魔物がいる方向がわかる程度です」
「そうか。
因みに魔物がいる方向がわかる程度とは、具体的にどれくらいなのだ?」
「具体的と言われましても......
そうですね。魔物がいると気づいてから、見えるまでだいたい2分くらいです」
「そうか......」
他の狼人族にも話を聞かないとわからないけど、ロクサーヌみたいな索敵は出来ないのか。
魔物がいる方向がわかるだけでも助かるけど、彼女は確か55万ナール......
一旦保留だな。
面談を終わりにし、彼女が退室したところで商館主に狼人族の索敵能力について聞いてみた。
しかし、ロクサーヌのような魔物の種類と数、接敵する時間までわかる人など聞いたことはないとのことだった。
但し、商館主曰く「程度の差は分かりませぬが、優れた嗅覚という点では狐人族も狼人族と変わらないはずですぞ」とのことなので、索敵はカエデが出来るかも知れないということが判明した。
なので、ひとまず索敵能力については次の奴隷選びの条件からは外すことにした。
因みに商館主は、「視覚という点なら猫人族、聴覚という点では兎人族が人間族よりも優れています」とも言っていたので、今後は奴隷選びの参考とさせて頂こう。
その後、金額交渉すると、彼女は52万ナールまでなら値段を下げてもらえることになった。
話がまとまると、またもやタイミングを見計らったかのように、次の女性が部屋に入ってきた。
次はエルフの僧侶だ。
身長は150cm... いや、155cmくらいか。
エルフにしては背が低めで華奢だ。
と言っても胸はCカップかDカップくらいある。
最初に見た時も思ったけど、身体つきはストライクゾーンど真ん中だな。
髪は明るい金色で背中まで届いている。
クセが全くなく綺麗なストレートロングだ。
そして、尖った耳がほんの少し上向きに左右に飛び出している。
目は切れ長で、瞳の色はサファイアブルー。
顔は...... めちゃくちゃ美人だ。
「クラウディアと申します。エルフで15歳です。
宜しくお願いします」
「ふむ。宜しく」
「私は僧侶で、迷宮探索の経験は1年です。
僧侶は回復役なので本来は後衛なんですが、勤めていた神官ギルドの方針で前衛でも戦っておりました」
「ほう。神官ギルドに勤めていたのか?」
「......はい」
「何かあまり話したくないようだな」
「あまり気分の良い話ではありませんので」
彼女はそう言うと少し俯いた。
無理に聞かない方が良い気がしたので、話題を変えることにした。
「では、話題を替えよう。
前衛で戦っていたと言ったが、得物は何を使ってたんだ?」
「槍です」
「僧侶が槍を使うのは珍しいんじゃないのか?」
「そうですか?
神官ギルドでは僧侶になった際に素手による格闘か、フレイルやメイスのような殴打武器による戦闘。
それか槍やハルバードなどの棒状の武器による戦闘のいずれかを選ぶように言われました。
私は非力でしたので、棒状の武器による戦闘を選び、槍の使い方を習いました。
その時は周りで何人も槍の訓練を受けておりましたので、特に珍しいとは感じておりませんでした」
「そうか。前衛で槍は戦いにくい気がしたけど」
「槍は中距離用の武器のように見えますけど、使い方次第で近距離と中距離のどちらでも戦えるのです」
「それは知らなかった。
ところでもう一つ聞きたいのだが、家事はどの程度できる?」
「家事というと、料理とか掃除のことですか?」
「ああ。その家事だ」
「料理に関しては家庭料理しか作れませんが、洗濯、掃除なら普通に出来ます。特に片付け出来ないなんてことはありません」
「わかった」
話が一区切りつくと、商館主から声がかかり彼女は退室していった。
その後、金額を交渉すると、狼人族の女性と同じ52万ナールまでなら値段を下げてもらえることになった。
話がまとまると、次の女性が部屋に入ってきた。
最後は人間の女性だ。
身長は160cmくらいか。
胸はBカップくらい?そこそこありそうだけど、この世界だと小さい方だろう。
切れ長の目で瞳は黒。髪色も黒でストレートロング。
如何にも巫女服が似合いそうな美少女だ。
「ユリと申します。15歳です。
宜しくお願いします」
「ふむ。宜しく」
「私は60日ほど前に巫女になりました。
迷宮探索の経験は1年ですけど、巫女になってからは10日ほどしか迷宮に入っておりません」
「どういうことだ?」
「家が没落した為、それどころではなくなってしまいましたので」
「そうだったのか。すまない、余計なことを聞いたな」
「いえ。隠すようなことではありませんので、お気になさらないでください」
「わかった。
もう一つ聞きたいのだが、家事は出来るか?」
「そうですね。
料理は得意ではありません。掃除や洗濯は一通り出来ると思いますが、その、家が没落するまでは家事は使用人たちがおこなっていましたので......」
「はははは。なら、仕方がないな。
もしかして、他に得意なことがあるのでは?」
「その、家が商家でしたので、色々な言葉が話せます。
実は迷宮に入るようになるまでは、通訳のようなことをしていましたので」
「ほう。何種類くらいの言葉が使えるんだ?」
「えっと、話せるのは... ブラヒムと、バーナと、サリヌクと、ドワーフと、エルフと...... あ、人間の言葉も......
えっと、全部で10種類です」
「す、すごいな......」
ちょっと驚いた。
この娘は戦闘奴隷として活躍するよりも、大きな商家とか、国や貴族の通訳担当とかの方が活躍出来る気がする。
チラッと商館主を見ると、何故か彼も驚いていた。
知らなかったのかよ!
俺は心の中で、商館主に盛大に突っ込んだ。
思わず声に出さなかった俺は、かなり頑張ったと思う。
その後、ユリが退室したので商館主に話しかけた。
「一応確認するけど、彼女は50万ナールだったよな」
「はははは。そうですな」
「少し下げる気は?」
「はははは。ご冗談を」
俺の値下げ要求に、商館主は盛大に目元をヒクつかせた。
ユリの能力を知った以上、この場で販売することは避けたいのだろう。
彼女を選ぶことは出来るけど、俺が彼女の能力を個人的に役立てるのは難しい。
ここは...... 少しばかり恩を売って引き下がるべきだな。
「因みに彼女を販売する気は?」
「いや、その...... はははは。参りましたな......」
「彼女の能力は、俺個人のパーティーには余る力だな。
彼女の将来を考えると、戦闘とは別のステージで活躍させてあげるべきだろう」
「そ、そうですな。お客様のおっしゃる通りでしょう。
面目ございません」
まあ、今から3割引いてもらうんだ、これで俺も引け目を感じることは無くなるな。
俺はそう考えながら、最終の金額交渉に入った。
「それで購入する者だが、1人目は狐人族のカエデ、2人目はドワーフのリリア、3人目はエルフのクラウディアとしたい」
「ありがとうございます」
返事をした商館主は、喜びというよりは安堵の表情を浮かべていた。
ユリの名前が呼ばれなくて助かったという表情だ。
そう思ったけど、次の瞬間には彼の顔が引き締まった。
「先ず、カエデは180万ナール、リリアは33万ナール、クラウディアは52万ナール。
合計で265万ナールとなります。
ですが、お客さまにはユリの新しい価値を見いだして頂いたご恩がございます。
そのご恩返しも兼ねまして、今回は185万5千ナールとさせて頂きます」
「わかった。それで買わせてもらう......
が、ひとつお願いしたいことがあるのだが」
「どのようなことでしょうか」
「一度に3名も購入を決めたので、恥ずかしながら受け入れる準備が出来ていない。
それと、出来れば1日ずつでも受け入れをずらしたい。
そこで、本日代金を払って奴隷契約は結ばせてもらうが、迎えに来るまで3人を預かってもらえないか?」
「ふむ。つまり、受け入れ日をずらして順位付けをされるということですな」
「そんなところだ」
「かしこまりました。一度に3名も購入して頂くのです。
あまり長期間になるのは困りますが、数日ならば喜んでお預かりさせて頂きます」
「うむ。よろしく頼む」
商館主との交渉が完了したので、俺はアイテムボックスを開いて目の前のテーブルに対価を積み出した。
ついでに銀貨と銅貨の枚数を数え、かなりの枚数を混ぜて支払いを済ませた。
その後、カエデから順番に一人ずつ連れてきてもらい、奴隷契約を結んだ。
その際、カエデは俺を見るなり歓喜の表情を浮かべ、奴隷契約が完了すると、自身のインテリジェンスカードを確認して感極まったように涙を流した。
商館主を気にしてか?
その場で涙を流した理由は語らなかったけど、決して悲しんでいた訳では無いはずだ。
無いはずだけど......
本当に、全く、壊滅的に心当たりがないので、気づかないうちに何かしてなかったか?少しだけ不安だ。
リリアとクラウディアは表情は硬かったけど、泣くようなことはなく、俺の奴隷になったことを淡々と受け入れているようだったので、特に問題は無いだろう。
俺は3人をパーティーメンバーに加えた後、住居の準備が出来次第、順番に引き取りに来ることを彼女たちに伝えた。
そして、それまでの数日間はこの商館の売却済みの部屋で待つように伝えた。
3人とも素直に了解したので、俺は商館主に彼女たちのことを頼みターヘラの奴隷商館を後にした。
外に出るとすっかり夕方になっていた。
すごく時間はかかったけど、なんだか充実した気分だ。
さて、もう後戻りは出来ない。
明日には家を決め、家具も購入しなくてはいけない。
そして、明後日には家具を受け入れて、出来ればカエデを迎えに行きたい。
カエデを迎えたら買い物に行かないといけないし、食事の準備をしないといけない。
明々後日にはリリアを迎えに行き、その次の日にはクラウディアを迎えに行きたい。
うーん... 忙し過ぎる......
迷宮に行くのは全員揃ってからにするか......
その前に、どこに住むか決めないとな。
やはりクーラタルがいいのかな?
俺はあれこれ考えながら、宿の隣の大衆食堂に向かった。