異世界転生した俺は、原作展開を壊して自由に生きる 作:龍いち
リリアとクラウディアに2人の関係をどうやって説明しようか困っていると、クスッと苦笑しながらカエデが頷き、小さく手を挙げた。
どうやら彼女が説明してくれるようだ。
「私と満男君は同郷でね、帝国とは別の国の出身なの。
それで、幼馴染で恋人同士だったんだけど、訳あって3年半くらい前に離れ離れになっちゃったの。
そして、3日前にあの商館で再会したのよ」
「そうだったんだ。ご主人様のことを満男君なんて呼んでるし、それを咎められもしないから、昨日一日で何があったの?なんて不思議に思ってたんだけど。
そういうことだったのね」
「そうそう。呼び方もそうだけど、カエデってご主人様に全然敬語を使わないし、全く遠慮しないからどうしようかと思っちゃった。
恋人なら普通のことだけど、出来れば商館にいた時に教えてほしかったわ」
「ふふっ。ごめんね。
彼の雰囲気が少し変わってたし、私もだいぶ変わっちゃったから、忘れられてたらって思うと話せなかったの」
「そうだったんだ。
それよりも、私とクレアも一緒にいていいの?」
「そ、そうよね。2人は恋人同士なんだしね」
「それなんだけどね、リリアとクレアの2人にも満男君の恋人になってほしいの」
「えっ? ど、どういうこと?」
「えっと...... カエデの言ってる意味が、全く理解出来ないんだけど......
わかるように説明してもらってもいい?」
カエデの言葉にリリアとクラウディアは一瞬呆けたけど、すぐに気を取り直して説明を求めた。
「あのね。今から話す私と満男君の能力は、常識外の能力なの。
だから、これからそれを聞く貴方たちは、私たちから解放されることは無くなるのよ」
「内密の話を聞くんだから、それは仕方の無いことなんじゃないの?」
「私もそう思うわ。それに、解放されることはないってことは、一生仕えさせて頂けるって事でしょ。
それって最高じゃない」
「じゃあ2人とも、満男君に一生仕えることに、異論はないのね」
「無いわ」
「私も無いわよ」
「じゃあここからが本題なんだけど.....
私と満男君は恋人同士だから、当然毎晩愛し合うわ。
2人も性奴隷として彼に抱かれることになるけど、愛が無ければ性処理道具として使われるだけになる。
すぐ隣で幸せオーラを放ってるのに、自分は愛されないなんて、そんなの耐えられないでしょ?」
「それは......」
「だからね、2人の気持ち次第だけど、満男君のことが好きになれるなら、ちゃんと恋人になってほしい。
そして、私と一緒に満男君を支えてほしいのよ」
「私は性奴隷として買われてるから、主人となった人に初めてを捧げることになるし、望まれるままに奉仕することを覚悟してた。
だから恋人になれるなんて考えてもいなかった。
でも、2人が受け入れてくれるなら、私もご主人様の恋人になりたい」
「勿論受け入れるわよ」
「よろしくお願いします」
カエデの説得で、リリアは恋人になることを了承した。
次はクラウディアを説得するのか?なんて思っていると、彼女がチラッと俺を見て顔を赤らめた。
そして、カエデの方に向き直って口を開いた。
「あの。私もいいの?」
「勿論よ」
「ありがとう。
ご主人様って優しそうだし、カッコイイなって思ってたから、ちょっとカエデのことを羨ましいって思ってたの。
だから、私も恋人にしてもらえるなら嬉しいわ」
「クレア。それ、本心?」
「本心よ。
アレでしょ。エルフは他種族を見下すっていう噂が気になるんでしょ?」
「一応ね」
「まあ、エルフっていうだけで、よく言われることだけど。私に他種族を見下す考えは無いわ。
昔は多かったらしいけど、今でもそんな考え方をしてるのは、田舎に住んでる人たちか町に住んでる人でもある程度歳上の人だけよ。
あと、ドワーフと仲が悪いっていう噂も同じね。
たぶん排他的な考えをしてるエルフは全体の3割もいないんじゃないかな?」
「そうだったのね。疑ってごめんなさい」
「大丈夫よ。よくあることだから、気にしてないわ」
3割って多いんじゃないか?
クラウディアは大丈夫でも、年配のエルフは注意した方がいいな。
それにしても、俺とカエデの関係性を説明するだけだと思っていたら、いつの間にかリリアとクラウディアの2人も俺の恋人になったみたいだな。
改めて思うけど、なんかカエデってすごいな。
取り敢えず心の中で拝んでおこう。
「リリア。クラウディア。
なんか照れ臭いけど、改めて、これから宜しく」
「宜しくお願いします」
「私も宜しくお願いします。
あと、私のことはクレアと呼んでください」
「わかった。
それじゃ、リリア。クレア。
本題に戻すけど、先ずは俺とカエデの特別な能力について説明する」
そう言うと、和やかだった雰囲気が少し引き締まった。
3人とも真剣な顔つきになったので、俺とカエデは一度に複数のジョブに就けることと、それを自分で自由に組み替えること、それとパーティーメンバーのジョブも変更出来ることから説明をはじめた。
リリアとクレアは初めは訝しそうに聞いていたけど、彼女たちのジョブを入れ替えてアイテムボックスを操作出来なくさせたり入れ替えたジョブのスキルを使わせたりすると、目を丸くして驚いていた。
同じことをカエデも行い、鑑定などのスキルや特殊な魔法が使えることなどを説明すると、リリアとクレアは目に見えて落ち込んでしまった。
「あの...... 私たちじゃ......」
「俺とカエデは特別なんだ。
だからといって、決してリリアとクレアが劣っているわけじゃないし、ちゃんと必要な人材なんだよ。
リリアには鍛冶師になってもらうし、クレアには回復役になってもらうからね」
俺がそう発言すると、リリアが不安で今にも泣きそうな顔つきになった。
「あの...... 私は鍛冶師にはなれなかったのですけど......」
「そうだったな。
でも、今はまだなれないけど、取得条件さえクリアすれば、ちゃんと鍛冶師になれるぞ」
「えっ?取得条件ですか?!」
「そうそう。確か鍛冶師になるには棍棒みたいな武器で、一撃で2匹の魔物を攻撃する必要があったと思う」
「一撃で2匹...... 確か2匹同時攻撃というやつですか......
確かに私にはその経験はありませんが......
そんなことで鍛冶師になれるなんて話は聞いたことが無いのですが......」
「むかし知り合った鍛冶師に聞いた話だ。
但し、あまり知られていないことだし他にも取得条件があるかも知れないので、内密にすること」
「わかりました」
ホントはこの世界に飛ばされるときに、[異世界迷宮でハーレムを]のまとめサイトで得た知識なんだけど、インターネットで見たなんて言ってもカエデ以外には通じないから、リリアには今の説明でいいだろう。
「じゃ、リリアはそれから挑戦しよう。そして条件をクリアしたら、鍛冶師にジョブチェンジする」
「でも、鍛冶師ギルドでは......」
「さっき体験しただろ。俺はパーティーメンバーのジョブを替えられるってこと」
「そ、そうでしたね...... 分かりました」
なんとなく疑わしそうな雰囲気だけど、取り敢えず方向性を決めたからリリアは大丈夫だろう。
「じゃあ次にクレアのジョブだけど、単体回復しか出来ない僧侶より、全体回復が使える巫女になってもらうね」
「あの。私は神官ギルドで僧侶になったあと、そこで働きながら巫女になる修行もさせて頂いたのですが、何度挑戦してもなれませんでした。
それに、私は神官長の不興を買ってギルドから追い出されていますので、もう一度巫女になる修行をさせて頂くのは難しいと思います」
「えっ?クレアは巫女のジョブを取得してるから今すぐなれるよ?」
「えっ?」
「ちょっと待ってね.....」
俺はクレアのジョブを巫女に替えて、彼女に全体手当と念じるように指示した。
すると、彼女は目を丸くして驚き、その後 ポロポロと涙をこぼし始めた。
「クレア。どうした?」
「頭の中に、全体手当の呪文が浮かんできました......
私、何度修行しても巫女になれてないって言われてたのに.....」
「どういうことだ?」
「私の勤めていた神官ギルドの神官長は修行の成果を確認出来るスキルを持っていて、毎回私の修行終わりに成果を確認していました。
そのときは、“残念だが今回も巫女になれてないな。頭の中で全体手当と念じても呪文が浮かんでこないだろう”と言われ、実際何も浮かんでこないので私も修行に失敗したと思っていました」
「取得条件をクリアしても、ジョブに就かなきゃスキルは使えないから、呪文が頭の中に浮かんでこないのは当たり前のことだな」
「神官長からは、“お前には聖なる力が足りないから修行の成果が出ないのだ。
但しそんなお前でも、聖なる気を含んだ私の子種をたっぷり注ぎ込めば巫女になれるぞ”と言われて、何度も肉体関係を求められました」
「うわ、マジか」
「嫌だったので断り続けていたんですけど、そうしたら急に修行にかかった費用を清算しろって言われて......
それが払えないから奴隷になったのに......」
「つまり、神官長はクレアの身体 目当てで騙していたけど、何度脅しても言うことを聞かないから、腹癒せに奴隷に落としたってことか」
「そう...... ですね.....」
クレアは力なく呟くと、俯いて小刻みに震えだした。
「誰か好きなヤツでもいたのか?」
「えっ?」
「いや...... その...... すまない」
悪いことを聞いてしまったかと思ったけど、クレアは顔を上げて一瞬呆けたあと、吹き出すように笑い出した。
「あははははははは。そんな人はいなかったので大丈夫です。
ただ......
神官長には胸やお尻は何度も触られ、その都度「そろそろ私の子種が欲しくなったのではないか?」などと言われてたので、騙されてたと思うと、情けないやらムカつくやらで......
あのハゲジジイにはいつか復讐してやりたいです!」
「そ、そうだな。
ただ、証拠は提示出来ないから、復讐するときは慎重にな」
「はい♪」
クレアは返事をしながらニッコリ微笑んだけど、目は笑ってないので正直怖い。
俺はひと息吐いて気を取り直し、話を進めた。