※この作品はR-18です。

異世界転生した俺は、原作展開を壊して自由に生きる   作:龍いち

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迷宮探索1【Side 主人公】

ベイルの迷宮3階層に移動すると、俺の後ろからゲートを抜けてきた3人が小声で話し出した。

俺はアイテムボックスからリリアとクレアの武器を出しながら、彼女たちの話が一段落するのを待った。

 

「ほ、ほんとに迷宮内だ」

「体験したから間違いないけど、それでもなんだか信じられないわね」

「だから言ったでしょ。因みに私も使えるから、いざってときは任せてね」

 

「いざってどんなとき?」

「ん~...... 逃げるとき?」

「あははは。なんで疑問形なの」

「実はあまり使ったことがないのよ。

あと、咄嗟に使えるかってことね」

 

「ふふっ。カエデって、凄いんだか凄くないんだか、わからないわね。

でも、こんな移動魔法なんて初めてだから、頭ではわかっていても、驚かないのは無理よね」

「そうよね。先に聞いてたけど、ゲートを抜けた瞬間背中がゾワッとしたわ」

 

「あー、でも、それ分かる。

使える私だって最初は背中がゾワッとしたから。

だから今回は仕方がないけど、移動した先に誰かいたらマズイから、次からは驚かないでね」

「うん。次は気をつけるね」

「私も顔に出さないように頑張るわ」

 

俺も初めてワープを使ったときは怖かったから、彼女たちの気持ちは良く分かる。

なんだかJKの会話みたいだったけど、とにかく話が一段落したので探索を始めよう。

 

「じゃ、先ずは魔物を探そうか。

カエデ。もしかして、魔物がいる場所がわかったりする?」

「えっと、ちょっと待って」

 

カエデはスッと目を閉じて、迷宮内の匂いを嗅いだ。

スンスンなんて音は聞こえないけれど、鼻がピクピクと動いて超可愛い!

そしてすぐに右の通路の方向を向いて、「こっちからコボルトの匂いがするわ」と言って指差した。

 

更に左の通路の方向を向いて、「こっちからもコボルトと知らない魔物の匂いがするけど、右の方が近いと思う」と言って俺に向かってニッコリと微笑んだ。

 

「商館主から聞いてたけど、狐人族も魔物を探せるんだな」

「“も”って?」

「狼人族は匂いを嗅いで索敵出来るんだよ。商館主からは狐人族も鼻はいいはずだって聞いたから、カエデも索敵出来るんじゃないかと思ってな」

 

「そういうことね。

魔物のいる方向と、匂いからなんとなくどんな魔物かは分かるけど、匂いを嗅いだことのない魔物は分からないし、匂いが薄い魔物には気付けないわよ?

それでもいいの?」

「ある程度でも魔物がいる方向が分かるだけで十分だよ」

 

「ふふっ♥ それなら任せて♪」

カエデの機嫌が急上昇したので、「じゃ、右に進もう」と号令をかけて歩きはじめた。

それから2分ほど歩くと、通路の前方に魔物が見えてきた。

カエデの索敵通りコボルトで、都合良く2匹だ。

 

「リリア。ここで待ち構えて魔物を十分引き付けろ。

そして、2匹とも棍棒が当たる範囲に入ったら、思いっきり振り抜け!」

「わ、分かりました!」

 

「カエデはリリアの右後方。クレアは左後方に控えて、リリアが打ち漏らしたら、飛び込んで仕留めてくれ」

「分かったわ」

「かしこまりました」

 

こちらが身構えると、コボルトは短めの棍棒を構えてゆっくりと歩いて近づいてきた。

そして、前に立つリリアを見て、ニヤニヤしながら舌舐めずりしている。

そして、彼女の3mほど手前で一度立ち止まると、「ギョエエエェェェェ!」と叫びながら文字通り飛びかかった。

 

次の瞬間リリアは1歩踏み込むと、棍棒をフルスイングした。

そして、2匹のコボルトを横薙ぎに叩きつけ、まとめて迷宮の壁まで吹き飛ばした。

 

かなりの勢いで壁に叩きつけられたけど、コボルトはまだ生きていた。

しかし、リリアの横をカエデとクレアが走り抜け、カエデが先ず1匹を斬り殺し、返す刀でクレアが槍で動きを止めたもう1匹も斬り殺した。

 

「お疲れ様。リリア。ちょっとこっちに来てくれ」

「は、はい」

俺はリリアを呼んで彼女のステータスを確認した。

 

リリア ♀ 16歳 奴隷 探索者Lv12

獲得ジョブ 村人Lv6、戦士Lv1、剣士Lv1、商人Lv1、

鍛冶師Lv1

装備 棍棒、革のジャケット、革のカチューシャ、

革のグローブ、革の靴

 

おお!バッチリ獲得してる。

確認しているうちにカエデとクレアがドロップアイテムを拾って戻ってきたので、俺はリリアのジョブを鍛冶師に替えてからみんなに向き直った。

 

「みんな聞いてくれ!リリアが鍛冶師になった。

但しレベル1だから、しばらくリリアは俺の後ろからついてきてくれ」

「えっ! ほんとですか?」

「リリア。やったね♪」

「リリア。おめでとう!」

 

リリアはなんだか釈然としないような顔をしてるので、俺は頭の中で“防具製造”と意識するよう彼女に伝えた。

すると、リリアは目を丸くして、「あ、頭の中に......」と言ってポロポロと涙を流した。

 

「まあ、鍛冶師と言ってもレベル1だから、たくさん魔物を狩ってガンガンレベルを上げないとな。

カエデもクレアもまだレベルが低いから...... あっ!

クレア。巫女のレベルが3になってる」

「本当ですか?」

クレアは返事をしながら小首を傾げた。

彼女は自分のジョブレベルが見れないから、Lv3って言われてもピンとこないのかも知れないけど......

 

それより、クレアは迷宮に入る直前に巫女にジョブチェンジしたばかりだ。

だから、リリアと同じレベル1だと思ったけど、ステータスを確認したらレベルが2つも上がってた。

コボルトを2匹倒しただけなのに......

どういうことだ?

クレアを見ながら考え込んでいると、隣でカエデが「あっ!」っと声をあげた。

 

「私の妖狐もレベル5になってる!

満男君。これってやっぱり獲得経験値が500倍になってるから?」

「......そういうことだよな?」

「......」

「マジか......

つまり俺とカエデは獲得経験値が500倍、リリアとクレアは100倍になってるってことか......

エグ過ぎだろう!」

 

俺が返事をすると、カエデは目を爛々と輝かせてほくそ笑んだ。

失笑しないよう、頑張って耐えているみたいだ。

俺も失笑しそうなのを堪えてるんだから、間違いないだろう。

俺とカエデが肩を震わせながら必死に耐えていると、少し気持ちが落ち着いたのかリリアが声をかけてきた。

 

「あの。どうしたのですか?」

「あ、ああ。済まなかった。

ちょっと凄いことが分かったんで、笑いを堪えてたんだ」

「凄いことですか?」

「ああ。

クレアも聞いてくれ」

「はい」

 

「俺とカエデは獲得経験値上昇っていうスキルがある。

このスキルは魔物を倒したときに得る経験値が上昇するスキルでパーティーメンバー全員が恩恵を受けるんだけど、2人が持ってるんで上昇率が凄いことになってるんだよ」

「上昇率ですか?」

「具体的に言うと、今はリリアとクレアは通常探索者の100倍。

つまり、いまコボルトを2匹倒したけど、2人は200匹倒した分の経験値を獲得してるんだよ」

 

「に、200匹ですか?」

「す、凄いですね」

「因みに俺とカエデは必要経験値減少という、自分だけに影響するスキルもあるから、実質的な経験値は通常の500倍だ」

「ご、500倍ですか......」

「凄過ぎてなんだかよく分からなくなってきました」

「まあ、単純に成長速度が早いって思っとけばいいよ」

「「分かりました」」

 

2人はあまり実感が無いかも知れないけど、レベルが上がれば力が強くなったり魔力が増えたりするから、そのうち人より早く成長していることを実感することになるだろう。

 

今後のことについて色々と考えた方が良いだろうけど、取り急ぎ今日のところは予定通り1時間ほど魔物を狩ってジョブレベルを上げよう。

 

「カエデ。今日はこのまま1時間くらい、この階層で魔物を狩るから、次を探してくれ。

それと、次の魔物にMP全解放を使うから、すぐに強壮丸を飲ませてくれ」

 

「それって.......

魔法使いのジョブ取得条件をクリアするため?」

「ああ。そうだ」

「分かったわ。

じゃ、次は最初に私がファイヤーストームを唱えるから、その後にMP全解放を唱えてね。

たぶんその方が楽だから」

「そうか? まあ、分かった。カエデの言う通りにするよ」

 

返事をしたあと、リリアから棍棒を受け取って戦斧を渡していると、カエデがリリアとクレアに話しかけた。

 

「魔物が見えたら私と満男君が魔法を使うから、2人は前衛で残った魔物を倒して。

私は後ろで満男君に薬を飲ませてるから、お願いね」

「分かったけど、ご主人様は薬を飲まなきゃいけなくなるの?」

「特別な魔法を使うのよ。だから、驚かないでね」

「分かったわ」

「私も分かった。前は任せておいて!」

 

リリアとクレアが頷くと、カエデは少しだけ顔をあげて目を閉じた。

そして、スッと鼻から息を吸うと、「この先を右に行った方にコボルトがいるわ」と言って通路の先を指差した。

 

彼女を先頭に2分ほど歩くと、前方にコボルトが2匹見えてきた。

 

カエデが頷くと、リリアとクレアが1歩前に出て武器を構えた。

すると次の瞬間、コボルト2匹は炎に包まれた。

どうやらカエデが無詠唱でファイヤーストームを放ったようだ。

 

次は俺の番だな。

俺は右側のコボルトに狙いをつけて“MP全解放”と念じると、狙った魔物が爆散した。

しかし、“やった!”と思った次の瞬間、急激に気分が悪くなった。

 

いや、何がやっただ!

まだ1匹残ってんじゃねーか!

クソッ!

俺はこんな半端な魔法しか使えないのか......

 

こんな役立たず、このまま魔物に喰われて死んじまえばいいんだ。

そう思っていると、カエデが俺に抱きついて何かを口に入れようとしてきた。

でも、俺みたいな役立たずがカエデから何かをもらうなんて恐れ多い。

 

そう思って彼女が口に入れようとしている物を拒み続けていると、今度は強引に唇を重ねてきた。

カエデは強引に舌先を突っ込んで俺の口を開くと、そのまま俺の舌をすくい上げて絡めてきた。

 

俺はカエデのこと以外何も考えられなくなり、彼女に縋り付くように舌を絡ませていると、口の中に丸い何かが送り込まれてきた。

思わずそれを飲み込んでしまうと次第に熱が覚めてきて、何故彼女とキスしているのか疑問が湧き上がった。

そして、周りの状況を確認して、自分が迷宮探索中だったことを思いだした。

 

「か、カエデ。俺は大丈夫だ。前を頼む」

「ふふっ♥ 大丈夫。もう終わったわよ♪」

「えっ?」

彼女の言葉に驚いていると、リリアとクレアがドロップアイテムを拾って戻ってきた。

 

俺は、ドロップアイテムをアイテムボックスにしまいながら自分のステータスを確認した。

すると、予定通り魔法使いのジョブを獲得していたので、俺はフォースジョブを僧侶Lv10から魔法使いLv1に変更した。

 

「満男君。どう?」

「うん。無事、魔法使いのジョブが取得出来たよ」

「満男君。おめでとう♪」

「ご主人様。おめでとうございます」

「おめでとうございます」

 

「みんな。ありがとう。

それじゃ、次は6階層に移動する。

今後、基本的に俺とカエデが後ろから魔法を使うから、リリアとクレアは魔物が後ろに来ないよう抑えてくれ。

それから今日は6階層で打止めにするつもりだから、カエデはどんどん魔物を探してくれ」

「分かったわ」

 

カエデの了承が得られたので、俺はダンジョンウォークのゲートを開いてベイルの迷宮6階層に移動した。

その後、1時間ほど6階層で魔物を狩り、そのあと素材集めのためにもう一度3階層に戻った。

そして、30分ほど魔物を狩って、本日の迷宮探索を終了した。

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