異世界転生した俺は、原作展開を壊して自由に生きる 作:龍いち
リリアを抱いた翌日。
目が覚めると彼女は裸のまま、俺の腕の中でスヤスヤと眠っていた。
昨日は生い立ちを教えてもらっていたのに、いつの間にか眠ってしまい、彼女の話を殆ど覚えていない。
ちょっと申し訳ないけど、朝から聞くようなことじゃないので、そのうちに改めて教えてもらおう。
そんなことを考えながらリリアの頭を撫でていると、俺の腕の中で彼女が目を覚ました。
そして、俺を見上げると、「ご主人様。おはようございます」と言って恥ずかしそうに微笑んだ。
クッ、可愛いじゃねえか!
思わずドキッとしてしまった。
俺は彼女にキスすると、「リリア。おはよう」と挨拶を返して起き上がった。
そして、着替えてリビングに行くと、カエデとクレアがハーブティーを持ってきた。
「満男君。おはよう♥」
「ご主人様。おはようございます♪」
「ああ。二人ともおはよう」
俺は挨拶を返すと、二人にキスをした。
「リリアはどうしました?」
「ああ。なんか、シーツを洗ってくるって言ってたぞ」
「ふふっ♥ そうですか」
「なんで嬉しそうなんだ?」
「ふふっ♥ 内緒♥
それより今夜はクレアの番だから、ちゃんと可愛がってあげてね♪」
「よ、宜しくお願いします」
カエデが楽しそうにクレアを推すと、彼女は少し緊張した感じでペコリとお辞儀した。
カエデがわための転生だったと知ってから、彼女自身が勧めているとは言っても、他の女性を抱くことには少しの罪悪感がある。
だけど彼女の言う通りで、身請けして、しかも一生手放さないのだから、リリアとクレアもちゃんと愛してあげないといけない。
だから昨日はリリアを抱いたし、今日はちゃんとクレアを可愛がるつもりだ。
なので、俺はクレアの耳元に唇を寄せ、「楽しみにしてるよ」と囁いてから、彼女の頬をひと撫でした。
すると、クレアは顔を真っ赤にさせて、「ひゃっ! あ、あの... あっ!料理の途中でした」と言って小走りでキッチンに戻っていった。
カエデは「ふふっ♥」と微笑むと、「満男君。ナイス!」と言って俺にサムズアップしながら、クレアを追ってキッチンに戻っていった。
その後、ハーブティーを飲みながら休んでいると、リリアが朝食が出来たと呼びにきた。
どうやらシーツを洗い終わって、朝食作りを手伝っていたようだ。
彼女は少しガニ股気味で、歩き方がぎこちなかったけど、昨日の朝のカエデと似たような感じなので、俺は気が付かないことにした。
ダイニングに移動すると、テーブルにはパンと何かの肉と葉野菜の炒め物。更に根菜のスープとハーブティーが4人分盛りつけてあった。
俺が座ると隣にカエデが座り、向かい側にリリアとクレアが座った。
そして、みんなが俺を注目したので、「いただきます」と言って食べはじめると、彼女たちも「「「いただきます」」」と言って食べはじめた。
特に何もルールを決めたわけじゃないけど、どうやら食事に関しては、俺が食べはじめるまでみんなは待っているようだ。
朝食を食べ終わりハーブティーを飲んでいると、カエデが話しかけてきた。
「満男君。今日はどうするの?」
「リリアが鍛冶師になったから、モンスターカードを仕入れに行きたい」
「じゃあ、商人ギルドに行くのね」
「ああ。いい仲買人が居ればいいんだけど......」
「昨日も言いましたが、仲買人とは最低限の付き合いとして下さい。
その上でなんですけど、ちゃんとした商人のジョブの者を選ぶようにして下さい」
カエデと今日の予定について話をしていると、“商人ギルド”という言葉が出た途端にリリアが会話に入ってきた。
やはり、ドワーフにとって、仲買人は敵なんだろう。
ところでちゃんとした商人のジョブってどういうことなんだ?
商人じゃない仲買人もいるのか?
リリアは仲買人には否定的だから丸々鵜呑みには出来ないけど、考えても分からないのでココは素直に聞いてみよう。
「ちゃんとした商人のジョブってどういうことだ?」
「仲買人の中には、人との付き合いが上手いだけで商取引自体は苦手な者もいるのです。
そういう者は言葉巧みに客を騙し、他の仲買人と結託して利益を掠め取ろうとしますので、くれぐれも注意してください」
「ふむ。わかった。
取り敢えず商人ギルドでは鑑定してジョブが商人の仲買人を探すよ。
ところで仲買人にはこちらから声をかければいいのか?
それとも受付とかで紹介してもらうのか?」
「商人ギルドに入ってその場で待っていると、仲買人は勝手に声をかけてきますよ」
「そんなもんなのか?」
「ええ。特定の仲買人との取引の場合は、受付でその旨を申し送りすると待合室に通されます。
そうでない人は取引相手が決まっていないということになりますので、声をかけてくるのです」
「わかった。
ところで何処かお勧めの町の商人ギルドなんてあるのか?」
「お勧めですか......」
そう言うとリリアは少し俯いて、ブツブツ言いながら少し考え込んだ、そして1分ほどすると結論が出たのか?
ひとつ頷いてから顔をあげた。
「モンスターカードの入手を目的にするなら、迷宮資源の取引が活発な町の商人ギルドが良いと思います。
ですので、帝都かクーラタルのどちらかが宜しいかと」
「ふむ......帝都かクーラタル......」
確か、異世界迷宮の漫画ではクーラタルの商人ギルドを利用してたはずだ。
ここからなら帝都の方が近いけど、クーラタルならあそこの迷宮に入った後に立ち寄ることも出来るな。
何より探索者の町だから、装備品を着けたままうろついても違和感ないだろうし......
「クーラタルの商人ギルドに行ってみよう。
あそこならデカイ迷宮があるから、探索帰りに寄ることも出来るだろう」
「そうですね。それで良いと思います」
リリアが納得したのでカエデとクレアを見ると、彼女たちは小さく頷いた。
モンスターカードの仕入れは鍛冶に関することなので、どうやら2人はリリアの判断を尊重しているようだ。
その後、朝食の片付けや掃除や洗濯などをおこない、それから出かける準備をした。
その際、商人ギルドに寄ったあとはそのまま迷宮に寄ることを伝え、3人に防具を着けさせた。
それと、敢えて3人の首輪を外し、それからクーラタルの商人ギルドに向った。
◆ ◆ ◆
家の玄関の壁からクーラタルの冒険者ギルドに移動して、ギルドカウンターで商人ギルドの場所を聞いた。
そして、教えてもらったとおりに5分ほど歩いて迷宮の入口に到着し、更に5分ほど歩いて商人ギルドに到着した。
建物の中に入り、入口のホールで周りを確認していると、奥の方に固まっていた一団の中から一人の女性が近付いてきた。
何だか後ろの方で嘲笑っているような感じの中年オヤジや鋭い目つきでこちらを睨んでいるヤツがいるけど、取り敢えず女の方はこちらに真っ直ぐ歩いてくるので、彼女は仲買人なんだろう。
取り急ぎ後ろの奴等は放っといて、俺は彼女を鑑定した。
ライザ・セーブル 女 20歳
商人Lv15
装備 ダガー
おっ!商人だ。ちょうどいい...のか?
俺も21歳だから偉そうに言える立場じゃないけど、20歳って若過ぎないか?
一瞬そう思ったけど、もう彼女は目の前だ。
今さら逃げるわけにもいかないので、俺は黙って彼女から声をかけられるのを待った。
「こ、こんにちは。商人ギルドに何かご用でしょうか」
「こんにちは。モンスターカードの仕入れについて聞きたいんだが、誰に相談していいのか分からなくてな」
「そうでしたか。私は仲買人をしているライザと申します。よろしければ私がお話を伺いたいと思いますが、いかが致しますか?」
ライザは“自分でも良いか”と聞いた後、少し不安そうに俺を見ている。
たぶん仲買人としての経験が浅いのだろう。
ただ、その分誠実な対応をしてくれそうな気がする。
俺はそう考えて、彼女と話をすることにした。
「そうだな。では、話を聞かせてもらってもいいか?」
「では、こちらへいらしてください」
俺が了承すると彼女はパッと表情を明るくさせた。
そして、いそいそと俺たちをギルドの奥にある商談用の部屋に案内した。
案内された商談部屋は4畳半くらいの小さな部屋で、部屋の真ん中にテーブルがあり、その両側に3人がけのソファーがあった。
こちらは4人なのでどうしようかと思っていると、ライザは俺たちに「申し訳ありませんが、お一人方こちらに座って頂けませんか?」と言って頭を下げた。
すると空気を読んだのか、カエデがいち早く「私がこっちに座るわ」と言ってソファーに座った。
反対側に俺が座り、左右にリリアとクレアが座ると、申し訳なさそうな顔をしたライザがカエデの隣に座った。
「狭い部屋しか案内出来ず、申し訳ありません」
「いや、別にみんな座れたし文句は無いが、これが普通なのか?」
「いえ。本来ならこの部屋は1、2名で来られたお客様との商談用なのですが、あいにく大きな部屋は他の商談予定で押さえられておりまして......」
嫌がらせだな。
彼女が若いってこともあるだろうけど、さっきの奴等はきっと俺たちのことも見下しているのだろう。
「嫌がらせだな」
「いえ、決してそのようなことは......」
「ありません。とは言わないんだな。
まあ、俺たちは若いから、他の仲買人からは舐められてるってところか。
ライザさんも若いから、俺たちの相手を彼奴等に押し付けられたってところだろ?」
「も、申し訳ありません!」
彼女は勢いよく立ち上がると、深々と頭を下げた。
図星だったのか......
しかし、こんなに下手に出て、この人は何だか商人っぽく無いな。
一瞬そう思ってしまったけど、可哀想なので黙っていることにした。
「いや、ライザさんが謝ることじゃないよ。
それより舐められてる者どうし、仲良くやろう。
それと、俺はこのパーティーのリーダーで、ミツオだ。
そして、こっちから、カエデ、リリア、クレアだ。
よろしく」
「「「よろしくお願いします」」」
「はい。ミツオ様。皆様。こちらこそ、よろしくお願い致します」
挨拶し終わると、彼女はキリッとした真面目な顔つきになった。
どうやら仕事モードになったようだ。
「それでは、モンスターカードの仕入れということでしたが、どのようなことを聞きたいのですか?」
「先ずはこれらのカードがいくらで取引されているか知りたいのだが」
俺はそう言いながら、欲しいモンスターカードを考えたときのメモ書きを取り出した。
そして、購入したいモンスターカードの相場を聞き、そのうちのいくつかのカードを注文した。
するとライザは、「えっと、芋虫が4枚、それに山羊が2枚、兎が2枚、それに、コボルトが4枚ですか......
一度にそんなに注文するのですか?
全て競り落とすと5万ナールくらいになりますよ?
それに、全部で12枚なので手数料だけでも6千ナールもかかります。
モンスターカードの融合は失敗することが多いから、初めは枚数を抑えてチャレンジし、その後は資金に余裕が出来てから、またカードを注文した方が良いですよ?」と言って、俺たちを気遣った。
「大丈夫。モンスターカードの融合失敗は折込済みだし、ちゃんと余剰資金を充ててるから」
俺はライザにそう言うと、アイテムボックスを開いて手数料の6千ナールと、カード分の5万ナールを取り出して、「余った分は成功報酬として受け取ってくれ」と言って手渡した。
するとライザは目を丸くして驚いていたけど、「自信が無いのか?」と聞くと、「いえ、お任せください」と決意のこもった瞳で返事をした。
「それにしても... 失礼ながらミツオ様たちは初級の探索者パーティーに見えましたので、少し驚きました」
「そうか?」
「満男君。そろそろいいんじゃない?」
なぜライザが驚いたのか疑問に思っていると、カエデが片手で首を指差しながら、もう片方の手を差し出した。
同じようにリリアとクレアも手を差し出したので、俺は3人に首輪を手渡し、順番に装着させた。