異世界転生した俺は、原作展開を壊して自由に生きる 作:龍いち
昨日迷宮から帰宅後、リリアに装備品を作成させている時に、板を獲り忘れたことに気がついた。
なので、今日はターヘラの迷宮30階層の攻略を始める前に、13階層に寄ってラブシュラブを狩ることにした。
ワープゲートを抜けて13階層入口の小部屋に移動し、カエデの案内で1時間ほど魔物を狩った頃、索敵していた カエデが訝しそうな顔をした。
「カエデ。どうした?」
「えっと...... 左の通路の先に人がたくさん集まってる......」
「待機部屋じゃないのか?」
「この階層の待機部屋はもっと先だから、場所が違うわ」
「何処かの小部屋でパーティーが休憩してるとか?」
「それはわかんないけど、どっちにしても離れた方がいいでしょ」
カエデはそう言いながら俺の腕を引っ張った。
確かにカエデの言う通りだ。
迷宮の中では出来るだけ他の探索者には会わない方がいい。
そう思いながら素直に手を引かれて歩き始めたけど、2分ほど歩くとカエデが立ち止まった。
「満男君。何人か後ろからついてきてる」
「分かった。近くに 魔物はいるか?」
「その先を左に曲がるといるけど、右の方はいないわ」
待機部屋じゃない所に集まっていた。
それに迷宮内で人を付け回す。
それに、ここは13階層。
確か迷宮の12階層や13階層には、初級を卒業して少し良い装備品をつけるようになった探索者を狙う盗賊がいると聞いたことがある。
つまり、俺たちを追いかけてくる奴等は盗賊ということか......
「右に曲がって少し進んだ所で追いかけてくるやつらを待ち受ける。
そいつらはたぶん盗賊だけど、鑑定でレベルを確認するから攻撃は待つように。
確認したら、俺が奴等の後ろにバーンウォールを出すから、それが戦闘開始の合図だ。
戦闘を開始したら、奴等が命乞いをしても全員殺す。
それが女、子供でも慈悲はかけるな。
それと、単体攻撃魔法は効くから、俺とカエデは雷系と風系の魔法で攻撃。
リリアとクレアは奴らが突っ込んでこないよう牽制してくれ」
「わかったわ」
「かしこまりました」
「わかりました」
歩きながら話すとみんなが了解したので、右に曲がって30mほど進んだ所で立ち止まった。
そして、振り向いて戦闘態勢を取ると、追いついてきた盗賊たちは俺たちに気づいて足を止めた。
奴等は男ばかり6人で、5人は人間族、残りの1人はドワーフだ。
鑑定をかけると、盗賊Lv37、山賊Lv32、盗賊Lv8、盗賊Lv5、盗賊Lv2 、探索者Lv17と表示が出た。
すると、盗賊Lv37の男が「あー 、警戒しないでくれ。俺たちはその先に行きたいだけだ」と言って、剣を抜かずに近寄ってきた。
奴らは俺たちに正体がバレているとは思っていないんだろう。
警戒していても手は出さないと思ってるようで、剣を腰に差したまま無防備に近づいてくる。
だけど、奴等の中にはニヤついてる奴もいるし、すれ違いざまに攻撃するつもりなのは丸わかりだ。
なので、奴らが10mくらいまで近づいた時に、俺は奴らの後ろにバーンウォールを出してやった。
すると、奴らは後方からの光と熱波に驚いて、6人全員が振り返った。
次の瞬間、俺とカエデの魔法が盗賊たちを直撃し、ある者は雷に打たれ、ある者は風に切り刻まれてその場に崩れ落ちた。
そして、魔法の効果が切れると、探索者とレベルの低い盗賊3人は物言わぬ骸となっていた。
盗賊Lv37、山賊Lv32の2人は生き残っていたけど、麻痺してるようで這いつくばったまま動けずに、うめき声をあげている。
しかし、リリアが山賊の首に戦斧を振り降ろし、クレアが盗賊の首に槍を突き刺すと、2人とも動かなくなった。
リリアとクレアは盗賊どもにトドメを刺した後、無言で死体を見下ろしたまま動かなくなったので、俺は2人を抱き寄せて「2人ともよくやった。ありがとう」と言って抱きしめる腕に力を込めた。
2人とも初めて人を殺して動揺していたようで、抱いた瞬間はビクリとしたし、肩で息をしていたけど、1分ほどで落ち着いた。
もう少しこのまま抱きしめていてあげたかったけど、カエデに袖を引かれてハッとした。
「み、みんな。左手を回収だ。クレア。そこの男の服を切って、袋を作ってくれ!」
「わ、わかりました」
俺たちは慌てて探索者以外の左手を切り飛ばし、クレアの作った袋に入れた。
すると、次の瞬間死体が消えたので、残った装備品や使えそうな備品を回収した。
「みんな、ご苦労様。
どこか近くの小部屋で休憩して、インテリジェンスカードを取り出したら残りの奴等を倒しに行く」
「わかったわ」
「かしこまりました」
「わかりました」
通路を少し戻って魔物の群れを倒すと、近くに小部屋があったので、そこで少しの間イチャつきながら休憩した。
そして、盗賊どもの左手からインテリジェンスカードが出たので、カードを回収して手首をクレアが作った袋ごと通路に投げ捨てた。
「カエデ。盗賊どもが溜まってる場所まで案内してくれ」
「わかったわ」
カエデの案内で5分ほど歩くと、彼女が足を止めた。
「満男君。この先に盗賊たちが溜まってる。人数は分からないけど、さっきよりも多いと思う。
それに... たぶん手前に1人見張りがいるみたい」
「そうか。わざわざ見張りを立てるとは、奴ら何かやってるのかも知れないな。
どちらにしても、盗賊なら全員殺す。
どうやら人数が多そうだから、次は奴らの真ん中にバーンウォールを出して分断し、先ずは前の奴らを単体攻撃魔法で殲滅する。
そして、魔法の効果が切れる前に俺とカエデはワープで奴らの後ろに回り込む。
あとは力押しだな」
「ふふっ。全力を出すわね♪」
「ああ。相手は 盗賊だから、遠慮する必要はない」
カエデは気持ちが昂ぶっているのか、尻尾や耳の毛が逆立っている。
そして、フラガラッハを出して左手に持った。
どうやらキャラクター再設定で結晶化促進32倍を外し、武器5を選んだようだ。
俺も同様に結晶化促進32倍を外して武器5を選び、フラガラッハを出して左手に持った。
初撃の魔法を放った後にひもろぎのロッドはアイテムボックスにしまい、あとはフラガラッハで戦うつもりだ。
準備が出来たので再び歩き始めると、見張りをしていた盗賊が通路の奥に走っていった。
どうやら俺たちに気がついて、奥の仲間に知らせに行ったようだ。
それに構わず歩いていくと、小部屋の手前に3人の屈強そうな男が待ち構えていた。
左右の2人は人間族で、真ん中は猫人族のようだ。
鑑定すると、盗賊Lv21、海賊Lv48、盗賊Lv19と表示が出た。
レベル48か。真ん中のヤツはかなりの手練なんだろうが、さて、どうするか......
想定とは異なる状況のためどうしようかと考えていると、海賊が話しかけてきた。
「おい!そこのボンクラ!
そこで跪くなら、苦しめずに一撃で殺してやる。
ギャハハハハハハハ!」
「......」
こいつ、レベルは高いけどアホだな。
猫人族だからスピード特化なのか?
多分俺なんか敵じゃないと思ってるんだろうな。
まあ、会話するのも面倒だから取り敢えずコイツは殺そう。
「お前、馬鹿だろう。家畜が喋るんじゃねえよ」
「ああっ!テメー!$#%@%&≡!」
真ん中の男を挑発すると、プッツンしたのか俺めがけて突っ込んできた。
俺は“オーバードライブ”と念じて駆け出し、すれ違いざまにフラガラッハで奴の首を斬りつけた。
しかし、剣は首の表面をなぞるだけで刃が通らなかったので、振り返ってもう一度剣を振り抜くと、今度はすんなり奴の首を切り飛ばした。
どうやら奴はどこか目立たないところに、身代わりのミサンガをつけていたみたいだ。
しかし、さすがレベル48だ。
奴は俺のスピードに目は追いついていたようで、驚愕の表情を浮かべながらも必死に振り返ろうとしていた。
だけど、残念ながら体の反応はついていかなかったようで、俺に切られた時は首と上半身がわずかに動いただけだった。
残りの2人を始末するため、俺はもう一度振り返ったけど、既に奴等の前にはカエデがいた。
そして彼女は瞬く間に盗賊2人の首と左手を切り飛ばしていたので、俺はもう一度振り返って海賊の左手を切り飛ばし、それを回収して元の場所に駆け戻った。
すると、オーバードライブの効果が切れて、首を飛ばされた3人が血を噴き上げながら倒れ伏せた。
「想定と違うけど、このあとどうする?」
いつの間にか隣に戻っていたカエデから声をかけられたので 一瞬驚いたけど、すぐ我に帰ってこれからのことを考えた。
「このまま引き上げるって手もあるけど、出来れば殲滅しておきたいな」
「たぶん小部屋には10人はいると思う。
広い部屋で大人数と戦うのは得策じゃないと思うけど.....」
「少しずつこっちの通路に誘い込めればいいんだけど」
「普通に考えたら逃げるわよ」
「とにかく少し下がろう」
俺はそう言って、小部屋の入口が見えない所まで通路を戻った。