皮縛りの呪具 ~強くてカワイイ獣耳冒険者はもう『俺』のモノ~ 作:ドライパイン
夜の冒険者ギルド。必ずしも
お前があの時に魔物に発見される間抜けを犯さなければ。罠に引っかかるミスをしなければ。そんな風に酒が悪い方に回り、最悪の空気になるときも、ままある。
この夜も似た形で。乱暴に自分の料金だけ払った後、ギルドのドアを蹴っ飛ばすように開け、ブツクサと文句を言う男が居た。
「くっそ……! 何が前衛失格だよ! あいつらが
許されるならば、その場で盾でも振り回して周囲のモノを壊してしまいたいと思う程度には──
自分の中での動きは問題が無いはずだった。だが、後衛が動きすぎた結果、彼の防御範囲から外れてしまい。結果として後衛が負傷。「仲間を守れない壁役は無意味だ」とすら言われ、流石に堪えた。
「ちっ、胸糞悪い」
ダーレットはこの街の冒険者ギルドに加入している中でも古参の部類に入る。かつての仲間たちは武勲を上げたり、逆に商才を発揮したりと別方面の生き方をしているが、
彼はパッとした事も出来ないまま、長年この街で戦い続けていた。
「もう俺も、良い時期かもしれんな……」
まだ若い頃なら。ひょっとしたら、跳躍して後衛の彼女を咄嗟に庇えたかもしれない。そんな考えすら頭によぎる。燃え滾るような怒りは、やがて濁った自分への失望に変わってゆく。
ふらふらと目的地もない中、暗い路地を歩いていた時。
「……こんなところに、露店?」
紫色の布で囲った、こじんまりとしたテント。辛うじてダーレットがそれを露店と認識したのは、そのテントの前に立て看板があったからだ。
『この看板が見えた方に、初回限定のプレゼントを無償で提供します』と書かれていたが──テントの大きさは、どう考えても小さい。なんなら、体格の大きいダーレットが
1人で入るにも窮屈そうだったからだ。普段の彼なら無視していただろうが──
「占い師だろうか。……俺の今後でも占ってもらうか?」
そして、背の低いテントに潜り込むように入った──その瞬間。ぐわん、とダーレットの頭に不可思議な感覚が走る。目の前の真っ暗な風景に、急に色がついて……
「は……? 何だ、ここ……?」
目の前には大量の武器、防具が壁にしっかり保管されている。別の棚では、錬金術師が何日もの工程をかけて精製する
そして──外側からは明らかに狭いテントだったのに。今ダーレットが立っているのは、まるで帝国直下にある大規模な武器防具の店かと見紛うほど、広々としていた。
「ふふっ♡ ご来店ありがとうございます、お客様」
「お……おぉ、アンタが……ここの店主なのか?」
「はい。わたくし、しがない雑貨店の店主を営んでおります、ハティと申します。以後、お見知りおきを」
しがない店の店主とは言うが。目の前の銀髪ケモ耳少女は、白色のフリルブラウスに紺色のドレス。名乗らなければ、どこかの令嬢だと言っても通じるだろう。
それに。外側と内側の空間が明らかに違う事を考えると、このハティという店主は──相当の魔力を保有しているのかもしれない。
だが、長年冒険者をしていたダーレットの記憶には、そんな異様なチカラを扱うただの雑貨店主など存在しなかった。
「この店は何なんだ……中に入ったら明らかに空間は違う上に、品ぞろえも異常と来て。ただの雑貨屋とは違うのだろう?」
「ご明察です、お客様♡ より正確に言えば──この店は、お客様を選びますので。普通の人間には、この店も立て看板も見えないように工夫しているのですよ?」
「それは、どういう──」
「この店が見える人は……『今の自分に不満を持っている人』なんです。そんな人の願いを叶えるために、この店を営んでおります。ここの武器や防具は売り物ではなく、『販売物』に付属するものです」
明るい雰囲気の笑顔を浮かべていたハティの顔に──わずかに、邪悪な笑みが混じる。
「もしも──今の人生に不満がたくさんあったら。『他の誰かの人生』を丸ごと奪ってしまえばいいと思いませんか?」
「…………何を、言って」
ハティは。ダーレットの元を離れ、とある棚に近づく。様々な道具が集まっているこの店の中で、そこだけは黒い布が被せてあった。ハティがそこに触れると──
「なッ!? これは──いったい!?」
それらは──様々な色をしていた。褐色、色白、ダーレットと似たような肌の色。それらの『頭』にあたる部分には、それぞれ髪がだらりと垂れていて。
もしも。人間の身体の『皮』だけを取ったとしたら、こんな形状になるだろう。それらが十数体も並んでいた。
「ダーレットさん……今後の貴方が過ごしたい人生。それら全てが、目の前にあります。
凛とした女騎士として戦場を駆けてもよし。可愛くて魔力に優れた僧侶として、皆の癒し手となってもよし。そのための装備も、こちらでご用意しますよ♡」
ダーレットは。その中の一体に、見覚えがあった。小さな体躯、ツインテールに結った金髪の髪飾り。以前、一度だけ冒険者としてパーティを組んだ女性だ。
名前は確か、リリアンと言っただろうか。素晴らしい魔力を扱う魔導士で、若いながらにしてあっという間にダーレットの手の届かないところに行ってしまった存在。
「ダーレットさん。貴方がその『装備』を選べば……好きに、その方の味わう幸福も、悦びも。ぜ~んぶ、ダーレットさんが味わう事ができますよ♡♡」
自身への失望、絶望感に沈んでいたダーレットに。その言葉は魅了のように染み入ってしまう。気が付くと、彼はその『皮』を手に取っていて。
「────料金、幾らだ?」
「お買い上げ、ありがとうございます♡♡♡ お代は──カラダで払ってもらいますね♡♡♡」
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「やぁっ♡♡♡ やらやらやだぁっ♡♡♡♡ とまりゃなぃ♡♡♡♡♡ イくのとまりゃないのっ♡♡♡♡♡ やめれっ♡♡♡♡」
「え~? 今の貴女は、小っちゃくて可愛い『リリアンちゃん』なんですよ? ちゃんと身体に合った言葉遣いをしないと……おまんこをずっと弄っちゃいますよ♡♡♡」
既に魔力によって店の存在を隠して『店じまい』にしているから。店の中のヤリ部屋、ふわふわのベッドの上で。ハティが『リリアン』の膣に指を出し入れして犯していても、誰もそれを止めはしない。
「ほ~ら、貴女はもうオンナノコなんですから♡♡ ちゃんと私のことを『ハティお姉ちゃん』って呼ばないと、止めてあげませんよ~♡♡♡」
「ひぎゅっ♡♡♡ あ、あひゅっ♡♡♡ は、ハティ、お姉ちゃんっ……♡♡♡♡ ちょっと止めてよっ──な、なんれぇっ♡♡♡♡ もっといじるのぉっ♡♡♡♡♡」
「いい子いい子♡♡♡ 言う事を聞ける子には、ご褒美をあげちゃいます♡♡♡」
あれ以来。『ハティ』は冒険者として武勲を上げるという、かつての夢を捨てた。彼女の『内面』がまるまるすり替わったのだから、当然の事。
代わりに彼女は、新しい事業を立ち上げた。かつての自分のように──夢を見失った誰かに、代わりの夢を提供する商人としての役割を。
「『リリアン』さんを皮にしたときに一回、私も試着したんですよ。でも、ここまで感じたりはしなかったかなぁ……きっとダーレットさんと相性が良かったんですね♡♡♡」
「あ、あああ゛っ♡♡♡ そ、そこっ♡♡♡♡ コリコリしないりぇっ♡♡♡♡」
様々な女性を『仕入れる』。その過程で別の姿になることはあったが──結局、『ハティ』以外の姿で居る事が一番幸せであることに気が付いて、彼女を普段着にしている。
「こんなに気持ちよくて、ふわふわして……もう、ムサくて将来のない男の身体になんて、戻りたくないですよねぇ♡♡♡」
「あ、あうっ♡♡ な、なんでっ♡♡♡♡ 胸を揉まれてるだけなのにぃっ♡♡♡♡ ぞくぞく、とまらなぃっ♡♡♡♡」
「ね~♡ 私もそうだったんです♡♡♡ これから、その可愛い顔も、えっちな身体も──全部、『リリアンさん』のものですよ♡♡♡ えぃっ♡♡」
「イ゛っ──♡♡♡♡♡ あ、ぁああ゛~~っ♡♡♡♡」
小さな体に、強烈な快感が襲い掛かって。『リリアン』はベッドに倒れこむ。ぐったりとして、呼吸することしかできないが。『彼女』は、とても幸せであった。
「リリアンさんのための装備と魔道具の一式も差し上げます──その代わり。私も新しい装備を『仕入れる』必要がありますので」
絶頂でふわふわとした思考のままの『リリアン』に、ハティは囁く。
「幸せそうで、綺麗で可愛い女の人が居たら、
商人らしく、明るい笑顔で。ハティは、彼女に告げた。
後日。失踪していたと思われた魔導士『リリアン』が冒険者ギルドに復帰した知らせが街に広がる。彼女はあっという間に武勲を上げたが──
そのパーティは女性だけを集めていた事を、不思議に思う冒険者も居たらしい。
とある人は、彼女たちが性的関係を持っているのではないかと噂したこともある。
──その噂は、事実だ。だが……彼女たちの中身が、元々の彼女たちではないという事実は。当事者以外には誰も知りえないだろう。