※この作品はR-18です。

うたわれるものヒロインとイチャイチャする話   作:クラムP

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ハク視点→オウギ視点


第二十七話 今は亡き者たち(多数)

 

 昼下がりの山道を走る、二台の荷車。

 自分たちは帝都からはるか北、旧ウズールッシャ領へ再び向かっていた。

 

 目的は、ミトの爺さん直々の依頼である。

 先の戦の後、拡大した領土内にて未調査の古代遺跡が発見され、その調査を頼まれたのだ。

 

 前金も出たうえに報酬もタンマリ。先遣隊の調べでは野生のケモノもいないという。

 上手い話には裏があるとも言うが、それはそれ。二つ返事で引き受けた。

 ウズールッシャの残党による小競り合いもほぼ沈静化したようで、道中も比較的安心安全……だったのが。

 

 

「んぶっ…あむ……んむ……♡」

 

 

 荷車の中、なぜか自分は目隠しに耳栓をされた状態で、股間の逸物を食われていた。

 

 ちゅるるっ♡ くちゅ♡ ぴちゃ♡

 

 逸物が深く飲みこまれ、喉奥で止まる感触がする。

 

 ちゅぽっ♡ ちゅぽっ♡ ぢゅる♡ れる♡ ちゅりゅ♡

 

 小さめの口内を補うように喉奥まで使い、陰茎を丹念に奉仕してくれようとする気遣い。呑み込みきれない裏筋の根本には、細長い舌を伸ばして刺激することを忘れない丁寧さ。なにより、陰茎と睾丸の境を優しく愛撫する、覚えのある指先の感触。

 

「ルルティエか?」

 

「……! 正解、れす……♡」

 

 目隠しが外される。

 するとそこには鈴口に下唇を当て、我慢汁に吸い付くルルティエの姿があった。

 

「はややぁ、ホンマにわかるもんなんやねぇ」

 

「自分でも吃驚(びっくり)だわ」

 

「相変わらず、仕事の役に立たん特技だけは豊富なのだな」

 

「ほっとけ」

 

 ノスリの言葉に凄んでみるが、股間を女子連中に晒け出した状態では迫力も何もない。

 いきなり目隠しをされ、今誰が触ってるのか当てろ、だなんて言われた時は「無理に決まってるだろ!」と思ったが、なぜか当ててしまった。

 

「ハクさま、お心地はいかがでしたでしょうか……?」

 

「あー、ルルティエの心遣いが端々に感じられて良かった。いつもありがとうな」

 

「は、はい…………」

 

 照れたようにはにかむルルティエ。

 口淫の出来に対する評価なのだが、それでも彼女は満足らしい。

 

「優しいルルティエがああも不埒な……。ううむ、なんだかイケナイものを見ているようだ……」

 

「じゃあ次、いってみようかな」

 

 ワナワナするノスリをよそに、淡々とした態度のクオンにまた目隠しをされる。

 

 

「ふぐっ、ん、んぶ、んお、ゅっ、むぶっ♡」

 

 

 ルルティエと比べて、一段と温(ぬる)い口内。

 

 くぷぷぷ……ずるるるっ、ずるっ、じゅるっ♡

 

 ゆっくりとした、一面的なストロークである。

 一見すると特徴を見出しにくいが、自分なりに工夫をこらして舐める箇所を変えるのが感じ取れる。だが、こだわり過ぎてあまり快感は強くない。いつもは乳房と一緒だから、口技自体はあまり上達していないのだろう。

 この既視感ある、凝り性さが裏目に出てる感じは……。

 

「ノスリじゃないか?」

 

「ぷふっ!?」

 

 驚いたのか、ノスリは盛大にせき込む。勢いあまって嚙みちぎられそうで気が気じゃない。

 

「すまんすまん、当たるとは思わなかったからな」

 

「………私だと確信してなかったのか?」

 

「いや?ノスリしか思いつかなかったんだが、こんなのに確信なんて持てんだろう」

 

「……ふん、まあ許してやろう。……ふふふ」

 

 少し不満げな面持ちになったかと思えば、すぐに機嫌を良くしてコロコロと表情を変える。相変わらず忙しなくて面白い奴である。

 

 

「…………ふふ♡」

 

 

————くちゅ♡♡ ぢゅりゅりゅりゅぅ♡♡♡

 

 

「クオン」

 

「……………………」

 

 口に入る前から貯められた唾液。絶妙な加減の唇の圧。何より、ほぼ毎日世話になっている上の口蓋のカタチ。

 これは間違えようがない。

 

……ぺろっ♡ ぢゅるる♡♡♡ べろぉぉ♡ ぺろっ♡ ぢゅぷっ♡ ぢゅぷっ♡ ぢゅちゅるっ♡

 

 自分の回答を無視して、執拗な口淫が続く。オイ。

 睾丸と恥骨の間の皮を手で揉みこむ一方で、陰茎の左の中腹、初手で自分が好きなところをピンポイントで弄ってくる。

 

「クオンだろ」

 

 そんなことまで熟知してるの、クオンしかいないんだよ。

 

「おいクオン」

 

「ねえ! 私(わたくし)にもちょっとは迷ったり、いい感じの言葉をかけたりしてくれたっていいんじゃないかなあ!?」

 

「うぐほぉ!?」

 

 クオンの尻尾が陰茎に巻き付き、ギチギチと締め上げ始めた。おい、やめろ!

 

「まあまあ。当たって良かったではないか」

 

「釈然としない……」

 

 ノスリに優しく肩を叩かれながらも、不満たらたらのクオン。

 そのまま四人目へ。

 

 

「は……っ、あ……ん、んん……!」

 

 

 ちゅぷ、ちゅぱっ、くぷ、くぽっ

 

 唇の先で亀頭に浅く吸い付くも、すぐに口を離してしまう。数回トライするも、結果は同じ。

 比較的薄めの口輪の膨らみ。亀頭が吸われる時、たまに歯が当たる感触。大分昂ってきた今の状態でも、これでは射精できない。刺激が弱すぎる。

 

 ——モミモミモミモミィ♡♡♡

 

 んん!??

 

 しかし、ここで予想外の刺激が加わる。

 

 スリスリ♡ モニュモニュ♡ パタ♡ パタタ♡

 

 急に睾丸が巧みに揉みこまれたかと思えば、手慣れた手つきで陰毛を撫でたり、玉袋を弾ませたりする。

 これは一体……?

 

「いや、まさか………ネコネ、か?」

 

「…………どうしてわかるですか」

 

 目の前にいたのは、まさかのネコネだった。

 

「ネタばらし」

「陰嚢にご奉仕させて頂いていたのはわたし達でした」

 

 道理で、タマを弄るのだけやたら上手いと思った。

 ていうか、さっきまで外でウマ(ウォプタル)の手綱握ってたハズじゃ。

 

「なぁ~? このまままっすぐでええのけ~?」

 

 荷車の外からアトゥイの能天気な声が。いつの間に入れ替わったんだ。

 

「まったく、妙な遊びに付き合わされるこちらの身にもなってほしいのです」

 

「それでも、こうしてやってくれるんだから、ネコネも大概付き合いがいいよな」

 

 ネコネの頭をそっと撫でると、跳ねのけない代わりに口をとがらせる。いやホントに、ネコネがこんな戯れに付き合うだなんて思わなかった。行為が行為だけに、手放しでは喜べないが、ネコネも変わりつつあるようだ。

 

「こうやって女をたらしこむのですね……」

 

 おい。今、人聞きの悪いこと言ったろ。

 

 

 

 

***

 

 

 ジュル……♡ チュパ……♡ ベロォ……♡

 

 引き続き、美しい少女たちが醜悪な肉棒を取り囲む。

 

 ペロ♡ チュパ♡ ペロ♡

 

 変わる代わる吸い、舐める。最初は戸惑っていた者も、徐々に率先して励むようになる。

 異常事態としか言いようが無い。

 

 ヂュルルルル……チュポン♡

 

 口淫の仕方にも個性が出て、睾丸がどんどん精液を生産していく。できれば、車内を汚したくはないのだが。

 

「ネコネ、裏のとこをカキカキしてみて?」

 

「う……はいです」

 

 クオンの指導を受けたネコネが、恐々とした手つきで裏筋を擦ってくる。

 

「あ、ピクってなったです」

 

「……」

 

 バレると恥ずかしいが、良い所を触られるとつい反応してしまう。

 クオンめ、余計なことを吹き込みおって。

 

「じゃ、このままハクの弱いところを勉強していこうか」

 

「なんで自分ひとり、辱めを受けにゃならんのだ……」

 

 尊厳破壊タイムが始まりそうな気配に、ため息が出る。

 

 

「主様を一人にはさせない」

「わたし達も恥辱に塗(まみ)れれば問題ありませんね」

 

 

 いや、その発想はおかしい。

 

 反論を述べるより早く、ウルゥルとサラァナが自分の眼前に立った。すると、生足が透けて見えるほど薄い下衣と下着をずらし——自ら秘所を晒したではないか。

 

「くりとりすがじんじんしてる」

「主様のご立派なおちんちん様を舐めただけで、こんなに淫らに硬く尖ってしまいました」

 

 二人は、両手で自分に向けて陰部を見せつけくる。

 しかも充血した陰核の状態を解説するオマケつき。

 これには、ちんこしゃぶりに精を出していた女性陣も釘付けにされてしまう。

 

「主様に抱かれることを考えて」

「待ち焦がれすぎて、勝手に包皮から飛び出してしまいました」

 

 陰核の周囲の粘膜を伸ばしてまで、双子はピンと張った蕾を誇示してくる。辱めというより、これでは何かのショーのようだ。

 

「太いちんぽを思い出して、うずうずしてる……♡」

「えっちなちんぽ穴が、主様のカタチになろうとひくひくしています……♡」

 

 内唇をひくつかせ、己の股から滴る蜜を手で弄ぶ二人。自分たちの卑猥さを誇らしげに紹介する彼女らは、やはり他の子らとは一線を画している。

 

 ゴクリと、誰かの唾を飲み込む音が響く。

 車内にはイチモツを出した男に、二人して女性器をさらけ出す双子。それに挟まれる女性陣の心境たるや。

 

「次」

「ノスリさんもいかがですか?」

 

「はぁ!?」

 

 双子はノスリを指名。どうやら、この流れを続けるつもりのようだ。

 

「不公平」

「主様や私達だけ羞恥に晒されるのは、平等ではありませんよね」

 

「いや……そう、なのか?」

 

 相変わらず押しに弱いノスリ。納得しかけるんじゃない。

 

「あなた方は自分から見せただけでしょうに……」

 

 ネコネが小声で呟くが、思考の迷路にハマったノスリの耳には届かない。肉棒を握ったまま、ネコネは呆れ気味に嘆息した。

 

 

「あっ、あんまりジロジロみるな……!」

 

 結局、ノスリは渋々といった様子で丈の短い裳(しょう)をめくり上げた。

 

 

 すると——陰部が表に出た瞬間、もわりと白い湯気が立ち上った。

 

「の、ノスリさま……」

 

「へ…………あぁっ!? これはその、最近興奮すると、こうなってしまってだな……」

 

 蜜壺から生暖かい熱気を放ちつつ、ノスリは必死に弁明する。羞恥がさらに発情に拍車をかけるのか、陰部からの発熱が収まる気配はない。

 

「腹の奥がむずむずとしてくると、股のところがじんじんとして……切なくなるんだっ!」

 

 しどろもどろになりつつ、結局は全て正直に白状してしまった。律儀というかなんというか。

 

「またピクってなったです」

 

「言うな」

 

 こんなモン見せられて、なんも反応せんのも失礼ってものだ。

 

 

「私(わたくし)のなんて、もうとっくに見飽きたんじゃない?」

 

 

 ノスリと交代して、今度はクオンがシームレスに自分の前へと膝をつく。

 

「いや、別にそんなことは」

 

「じゃあ、見たい?」

 

「えっ」

 

「見たい?」

 

「………見たい」

 

「フケツなのです」

 

「どうしろと!?」

 

 クオンはコロコロと笑う。だから言いたくなかったんだ。

 

「ほら、これがハクがいつも入れてるおまんこだよ。……やっぱり明るい所だと、なんか照れちゃうね」

 

 着物の裾をたくし上げる。褌を外す。

 たったそれだけで、ほぼ毎日お世話になっているクオンの性器がお目見えになった。

 

「見て、ひだひだが皆よりおっきいでしょ。私(わたくし)も、最近気づいたんだけどね」

 

 小陰唇を指でまざまざと見せびらかし、他の子らとの違いをわざわざ解説してくれる。

 

「ここがおしっこの穴で、こっちがおまんこの穴。まあ、もうとっくに知ってるよね。ここでいつも、その子とえっちな口づけしちゃってるんだよ」

 

 クオンが腰をこちらへ突き出し、真っ赤な膣口を見せつけた。

 少しは恥じらっているかと思いきや、彼女の口元には愉しそうな微笑み。自分の反応で遊んでいるのか。

 

「……ねぇ。ちょっと早いけど、入れてみる?」

 

「————!?」

 

 クオンの性器が、ネコネに握られた肉槍のもとへと寄ってくる。

 

「こんな真昼間に、こんな人前で。後ろの荷車には他のみんなもいて。もし見られたら……大変だよね」

 

「あ、姉(あね)さま……?」

 

 クオンの雰囲気の変化を、ネコネも気づいたようだ。

 

「でも、きっと……気持ちいいよ♡ 時間も場所も気にせず、思いっきり交尾するの♡」

 

 しゅるるっ♡ しゅるっ♡

 

 男根にクオンの尻尾が巻き付き、包まれていく。温かい。

 

 ちゅこっ♡ ちゅこっ♡

 

 尻尾で緩やかに陰茎を擦って、誘惑してくる。

 

「それともノスリや、ウルゥルやサラァナが良い? それでも良いよ? ハクの精液、みーんな私(わたくし)たちに注いでくれれば♡」

 

 ちゅぷっ♡♡ ちゅぷっ♡♡ ちゅぷっ♡♡

 

 クオンの発言の意図は図りかねるが、愚息をこねくり回されてそれどころではない。

 やはり、この中で一番エロいのは間違いなくクオンだろう。

 

「とりあえず今は……はい、ネコネ♡」

 

「うなっ!?」

 

「お口をこうやって、ほら♡」

 

 クオンがネコネの肩に手を置き、ゆっくりと彼女の唇を亀頭の先っぽへと近づけてゆく。

 

 しゅるる♡♡ しゅるる♡♡ しゅるっ♡♡ ——きゅっ♡♡

 

 やばっ、出る!

 

「召し上がれ♡♡」

 

 ドビュルル!♡♡♡ ビュルルルルルル!♡♡♡

 

「ぅうっ!?!?」

 

「じゃ、私も混ぜてもらおうかな♡」

 

 トクッ♡♡ トクッ♡♡ トクッ♡♡ トクッ♡♡ トクッ♡♡ トクッ♡♡ トクッ♡♡ トクッ♡♡ トクッ♡♡ トクッ♡♡ トクッ♡♡♡

 

「ん゛っ♡ ん゛っ♡ ん゛っ♡」

 

 射精の起こりで口いっぱいに精液を受けたネコネを、クオンが優しく後ろへ引き戻す。そして間髪いれずにクオンが亀頭を咥え込み、次弾の精液を慣れた様子で呑み干していった。義姉妹のコンビプレーである。

 

「う゛ぷ……」

 

「ネコネさま、どうぞこちらに。んっ♡」

 

「ぶふ゛ぅ!?」

 

 トポトポ…♡トポ…♡♡♡

 

 咽(む)せそうになっていたネコネの唇を、ルルティエが啄(ついば)む。

 ネコネの口内に溜まった精液がルルティエに吸い上げられ、譲渡されていく。他人の体液を直接口移しされる感覚に、ネコネは目を白黒させている。

 

「すごいね二人とも。とってもえっち♡」

 

 そして、それを恍惚とした目で眺めるクオン。完全にスイッチが入っている。

 

「さて、どうする? 一回出しちゃったけど、後は夜のお愉しみ? それとも……もう少しアブナイ遊び、しちゃう?♡」

 

 陽がのぼる中での少女の誘惑は、自分の目にはこれまででもひと際蠱惑的に映った。

 

 ……。

 

 ……。

 

「なんや楽しそうやな~。ウチも混ざりたいぇ」

「ぷるぷる」

 

 中で始まった乱痴気騒ぎを他所に、外ではアトゥイとペットのクラリンが、退屈そうにウマ(ウォプタル)の手綱を握っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

「やれやれ、相変わらず辺鄙な場所じゃない」

 

「あれだけ大きな戦の後だというのに、静かなものですね。……いえ、だからこそでしょうか」

 

 深く感じ入る様子のヤクトワルトさんに、遺跡入口に佇む兵たちくらいしか見当たらない閑散とした周囲を見渡すキウルさん。

 

 また数日かけ、遺跡へ到着した隠密のお歴々。

 先んじて現地調査に派遣されていたマロロさんの案内で、遺跡の奥の未開拓領域へ進むことに。

 

 しかし、ハクさんが警邏(けいら)へ帝の特使たる証の印章を提示した時には、さすがに驚きました。

 やはり、このヒトはただ者ではない。

 

「やっぱりマロは戦場(いくさば)より、こういう場所の方が性に合ってるでおじゃるよ♪」

 

 マロロさんは先の戦で何やらひどい目に遭われたらしく、帝都で再開した時は大いに泣きはらしていた。かの悪名高いデコポンポ将軍の麾下では、気苦労も絶えなかったことでしょう。

 

 皆さんが他愛のない話を交わしながら暗い道を進むなか、クオンさんとネコネさんは鼻息荒く遺跡の考証に花を咲かせていた。

 彼女らは遺跡に強い関心があり、気づけば進んで探索の先頭に立っていた。適材適所、今回はあの二人に任せれば良さそうです。

 

 しかし、その辺りからでした。

 ハクさんの様子がおかしくなり始めたのは。

 

 陶器で出来たような質感の割れた天井。苔や蔦が生え放題ながら、強固な未知の素材でできた壁面。扉らしきものの横に毎回設置された、黒い半透明の結晶体。

 遺跡内部の景色を視界に収めるたび、ハクさんは顔を歪ませていった。顔色も明らかに青ざめ、尋常ではないご様子でした。

 

 未知の領域において司令塔の不調は致命的です。有事の際、全員の安全に支障が出かねません。これ以上体調が悪化するようであれば、一度引き上げることを進言すべきか。

 

 ちなみに姉上は……特に気にされていないご様子。さすがは姉上。

 であれば、僕が姉上の歩みを止めるような真似をする訳にはいきますまい。

 

「旦那、どう見ても普通じゃないねえ」

 

「ハクさんは隠し事が下手ですからね」

 

 ひとまずは私とキウルさん、ヤクトワルトさんで警戒を巌とすることで、調査を継続することに。

 

 

 

「む、また一段と暗いな」

 

「明かりを増やすですか」

 

 道行きの先に、広間らしき暗闇が顔を出す。

 

 

「『点灯』」

 

 

 パチッ! パチッ! パチッ! パチッ! パチッ! パチッ! パチッ! パチッ! パチッ!

 

 ハクさんがおもむろに発した声にあわせ、広間一面を光がまばゆく照らし出す。

 光石をいくつ重ねようと、これだけの光量は生み出せません。古代の叡智というのは、現代の文明よりかくも優れているものなのでしょうか。

 

「ネコネさん。これは一体」

 

 周囲の警戒を行うキウルさんが、部屋の隅に配置されたナニカについてネコネさんに問いかけます。

 

「これはお墓なのです。過去にも同じものが発見されていて、古代のヒトの遺骨が埋葬されていたとの事なのです」

 

 部屋を取り囲むように整然と並ぶ透明な箱。これが墓所とは。

 

「むっ!? これは!?」

 

 その時、姉上が箱の中身を指差しました。その中には、

 

「――――――ッ!」

 

 『ヒト』が、凍りづけにされたまま安置されていた。

 

「ハク!?」

 

 『それ』に気づいたハクさんは乱暴な手つきで箱の前の板を操作し始めた。すると、箱の透明な蓋の部分が開き始める。

 

 周囲に散る冷気。

 やがて現れる、ハクさんと同じ身体的特徴を持った『ヒト』の姿。

 冷凍保存されていた男がうっすらと目を開け、ゆっくりと身体を起こしました。

 

「「「!?」」」

 

「あやや、生き返ったぇ」

 

 生命の気配を感じなかったはずのヒトが、息を吹き返した。あり得ない現象です。警戒を最大限に引き上げる。

 

「あ、あ」

 

 男がこちらへ、のそのそと近づいてくる。刀の握りに手をかけ、目の前の人物の観察に徹する。

 

「ああ゛……あぁぁぁぁぁぁぁ……」

 

 虚ろな目の男の躰が少しずつ、どろりと溶(・)解(・)を(・)始(・)め(・)た(・)。

 

――――――は?

 

 グチャ……びちゃぁっ!!

 

 表皮が溶け、血や肉が混ざり、ただ赤黒い塊を形成していく。

 やがて四肢の輪郭を失い、不定形の怪異と化す男。

 その存在の名は、

 

「タタリ……」

 

 ネコネさんが、各地に出没する特異な生態をしたケモノの名を呼ぶ。

 

 

 びちゃびちゃびちゃびちゃびちゃびちゃびちゃびちゃびちゃびちゃびちゃびちゃびちゃびちゃびちゃ!!!

 

 

 他の墓所からも開放音が連続して響き渡り、半固形状のタタリが群れとなって飛び出してきます。

 

「っっっ!!?………撤退する!」

 

 不死なる怪物・タタリウンカミ。

 

 切り裂いても死なず、燃やしても灰にならぬ。まともな手段では殺せない、どこから発生したかも不明な人食いのバケモノ。そのバケモノに、ヒトが変貌した。

 

 遺跡の冷気を閉じ込めた管を利用してタタリ(人だったモノ)の群れを足止めし、扉の向こうへ閉じ込めることで、なんとか全員無事に遺跡を脱出することが叶いました。

 

 その後、クオンさんから口外無用の提案がなされ、先ほどのヒトであったものの正体が語られた。

 

 御伽噺にて聞いたことのある、遥か太古に生き高度な文明を築いたのち、突如として表舞台から姿を消した存在————うたわれるもの。

 

 このヤマトにおいて尊き者として奉られる存在、

 大いなる父(オンヴィタイカヤン)。

 

 それらがタタリの正体だ、などとヤマトの民が知れば、混乱は避けられません。

 

「この件は他言無用だな。オウギもそれでいいな?」

 

「よろしいのですか?この情報は色々と使い道がありそうですが」

 

 危険と同時に、価値を秘めているのも事実。それこそ、朝廷の上層部に揺さぶりをかけることも。

 

「そういうのは好かん。それだけだ」

 

「姉上がそう仰るのでしたら」

 

 是非もなし。遺跡内でのハクさんの挙動。ハクさんと同じ特徴をもった大いなる父。タタリの正体。

 

 

――どうでも良いことですね。綺麗さっぱり忘れました。

 

 

 しかし、ここで目にした内容について概ね意思統一がなされたその時、ハクさんの身体が糸の切れた人形のように崩れ落ちました。

 

「ハクさん!」

 

 突如として気を失うハクさんを、地面と接触する寸前で抱き留める。

 

 クオンさんの診察の結果、身体に別状はないとのこと。ひとまず、私達は宿のある集落へ移動することに。

 結局、ハクさんの異変は何だったのか。あの存在と関係があるのか。

 

…………いけませんね。

 

 本人が話してくれるまで、邪推するのは無しにしておきましょう。我々は、仲間なのですから。

 




 ハク殿はね。
 抱えてる事案から目を背けて後回しにするクセに、目の前で起きる問題には嫌な顔をしながらも逃げなくて。サボリ魔風吹かすクセに絶望的にダラダラするのに向いてなくて。仲間に対しては和やかで大体何でも許しちゃうクセに他人に対しては異様に疑り深くて。自分が正しい道を歩んでいないことを理解しながらも進むのを途中で止めたりはしなくて。
 デリカシーが無いクセに要所で女心に突き刺さってくる厄介な女ったらしでなきゃいけないの。

あなたのうたわれ歴は?

  • 散りゆくのみ
  • 偽りあるいは偽り二白のみ
  • 散り~二白三部作
  • 三部作+ロスフラあるいはモノメビ
  • ロスフラのみ・モノメビのみ
  • 白への道標まで全て履修済
  • うたわれは未履修
  • その他
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