デジモンアドベンチャー 〜剣と妖精の世界の物語〜 作:藤林 明
ということでお久しぶりですが本編どぞ!
ナレーションサイド
エギル・リーファ・シリカのSAO組と太一たち選ばれし子供、アグモンたちパートナーデジモン組が獣の王≪イルファング・ザ・コボルトロード≫を撃破した頃、八神家のリビングにはヒカリと木綿季、そして見知らぬ白い猫と八神家の飼い猫ミー子がそれぞれ思い思いの場所で寛いでいたのだった……
ヒカリとユウキ
???視点
何故だ……何故私の存在があの女にバレた?
気配はしっかり消していたし、音も立ててない。…なのに、気づかれた。
「…………」
……今分かっているあの女の情報は名前がヒカリというらしい事と今は風邪を引いているという事だけだ。
というのも家に入って直ぐにさっき知り合ったであろう別の女「ユウキ」がキッチンで「オカユ」なるものを作るといいリビングを出てからテレビを見始めてしまったからだ。
……くそっ。早く8人目を見つけて抹殺しなければならないのに
「……猫ちゃんは、木綿季さんのお友達かな?ずっと私たちの方を見てたけど」
「!?」
焦っていた私は不意にそう問いかけてきたヒカリの言葉に驚き、座っていたソファから落ちてしまった。
……一体何なのだ。この女は…
「…ううん嘘。本当は雰囲気が全く一緒だったから気になってね……どうなのかな?」
「…………にゃあ」
まずい。ここから早く離れろ。
私の長年の勘がそう警鐘を鳴らす。…ここは野良猫を装って逃げなければ…!!
「お待たせ~…ってアレ??」
「あ、木綿季さん!どうしたんですか?」
「ニャッ!?」
ゆっくりと窓側に後ずさっていると背後からユウキの声が聞こえて更に焦る。
そしてユウキは首を傾げながらこっちを見てこう言った。
”どうして
と。
……あ
・・・
木綿季視点
ヒカリの家に入って直ぐにお腹が鳴ったヒカリの為に台所でお粥を作ってリビングへと戻ると不思議な光景を見かけた。
それは驚き目を見開いて二本足で”立っている”白い猫ちゃん。さっきヒカリが家に招いた、ボクがずっと感じていた気配の正体でもある猫ちゃんだ。
「うーん……まぁいっか。それよりヒカリは卵粥食べられる?」
「あ、うん大丈夫です。…ごめんなさいお客さんなのに作らせてしまって」
「大丈夫大丈夫!気にしなくていいよ♪……味は保証できないケド」
猫ちゃんの正体も気になるけど、今はまず病人のヒカリにご飯食べてもらわないと!
「ありがとうございます♪…いただきます」
「どうぞどうぞ!あ、猫ちゃんも何か食べ……っていないや。窓から帰ったんだ」
ヒカリにお粥を渡してから白い二足歩行の猫ちゃんのいた方を向くとそこにはだれも居なかった。…開いてなかった窓が開いてるし、きっと窓からどこかに行ったのかな。
~~~
??視点
危なかった。
あの女――ユウキ――が視線と意識をヒカリに向けてくれたおかげで隙を突いて脱出する事ができたが……これで完全にこちらの存在を認識されてしまったか。
……だが、運がいいのか悪いのか。あの場で私の持つデジヴァイスが何の反応を示さなかったのは何か気になる。
今はまだ家の近くのせいかまだ反応を示す音が鳴らないが、昨日この場に来た時はあの音が鳴っていた事から恐らくあの家の住人の誰かが8人目だとは想像がつくが……
「……仕方ない。ウィザーモンにでも相談してみるか」
私は今後の方針をそう決めると茂みの方へと移動した。……あ、また鳴りだした。
・・・・・・
木綿季視点
お粥をヒカリが食べ終わってからはテレビを観ながらいろんな話をした。学校の事、家族の事、テレビ番組の事、……そしてボク自身の事。
ボクの話をしたときは、ヒカリは自分の事のように思ってくれたのかすごく泣いてた。宥めるのに1時間以上掛かるとは正直思わなかったけどね。
それからヒカリ自身の事も聞く事ができた。幼い頃から大事な日に病気がちでそのせいで自分の兄が怒られた事を気にしている事や出来れば自分もスポーツをやって体を鍛えたい事。そして……昔から人にはない。勿論兄にもない。そんな不思議な力を持っている事とかを聞いた。そして――
「だからね、私には分かるんだ。今の木綿季さんは
「…………そっか。ならきっとヒカリの言う通りなのかもね」
「え……?」
「AIDS…HIVキャリアのボクが現実世界をこうして生きてるなんておかしいとは思ってたし、ね」
「……(ジワッ)」
「わ、わーーーっ!!だから泣かないでってばーーーっ」
「…だって、木綿季さん家族いないんでしょ…?もう余命もそんなに無いんでしょ?…そんなの……グスッ…悲し…過ぎるよっ…!」
「……ヒカリは本当に優しい人なんだね。」
ボクはまた泣き始めてしまったヒカリを抱き締めながらできるだけ優しく話かけた。
「…あっちの現実世界ではこの話を知ったほとんどの人は近付いただけでも嫌悪感の込められた罵声を浴びせてきたけど、ヒカリはこうして家に招いてくれたり、こうして抱き締めても嫌がらない。…ボクにとってはそれだけでもすっごく幸せなことだよ?…だからねヒカリ、どんなに残酷で悲しい人生を歩いてきても、必ず良い事・幸せな事はあるんだから、そんなに辛いものじゃないんだ。…だから、ね?泣き止んで笑おう?」
そうボクが言うと、ヒカリはボクの顔を見上げてきた。だからボクは嘘偽りのない精一杯の笑顔を向けた。
……そしてヒカリも――涙の跡はあるものの――最高の笑顔を見せてくれた。
……ほっ、これで安心。
「……けど、ボクにも今の状況ってよくわからないんだよねー」
「そうなんですか?」
「うん、さっきも言ったけどゲームしてたらいつの間にかこの近くの森にいてさ。それで猫ちゃんの後を付いていったらここに、って感じで…」
「そうだったんですか……じゃあ木綿季さん、この後どうするんですか?」
「う~~ん…………どうしよう?」
そうなんだよねー
今はヒカリの好意で中に入れてもらったけど、今のボクって家なき子…なんだよなぁ~
――――――”ただいまー”
と、そんなこんな悩んでいると不意に女性の声が聞こえてきた。…あ、そっか。ヒカリ病人なんだよね…そりゃあ家の人も早く帰宅するか。
「…あら?ヒカリのお友達?」
リビングに入ってきた女性(多分お母さんかな?)がそう問いかけてきた。…っと、自己紹介しないと
「えっと、ボクは紺野木綿季といいます。ヒカリさんが外にいた時に知り合いまして…」
「えっ!?ヒカリ外にいたんですか?」
…お母さん、すごくビックリしてる。そりゃそうか、病人だしヒカリは
「あ…えっと、猫ちゃんが急に外出たから連れ戻しに出たらしくて……」
「…あぁミー子の事ね」
「はい。たまたま外で見かけたんですが付いてきたらここに…という具合で…」
「そうだったの……ヒカリ、大人しく寝てなさいって言ってたでしょ?」
「…………ミー子が心配だったんだもん」
お母さんがヒカリを窘めると、ヒカリはボクの後ろからそう言い返した。
……親子の仲が良さそうで良かった。
「……はぁ。太一が心配するからあんまり無理しちゃだめよ?」
「はーい」
なんて眺めてたら親子間での決着はついたみたいだね。……さて、それじゃあ
「それじゃあボクはこの辺で失礼しますね」
家族水入らずになるように退散しますか。……今後についてはまだ何にも決まってないけど。
「え?木綿季さん今日泊まる所無いんじゃ……」
「えっ?そうなんですか?」
ボクの言葉にヒカリが反応し、お母さんはそれに驚いている。
「えっと…その…まぁ」
「…それなら今日は家に止まって行ってください。娘がお世話になったみたいですし」
ボクが答えに困っているとお母さんがそう提案してきた。……気持ちは嬉しいんだけど…
「…………良いんですか?」
どうしても気になってしまう。……ボクの身体の事を知った時に邪険にされてしまう可能性が頭に浮かんでしまうから。
「ええ。それに、あの子は貴女に泊まって行って欲しいみたいだしね?」
そう言われてヒカリの方を見ると
「…………(キラキラ)」
……物凄く輝いた期待の眼差しをこちらに向けていた。
…うはぁ…これは断ったらマズイなこりゃ。…絶対大泣きされる。
「……じゃあ、すいません。お世話になります」
――――パアアッ
「やったーー!!」
ボクの返事を聞いたヒカリはもの凄い勢いで顔を輝かせて喜んだ。
……どうやら本当に断らずに正解だったみたいだね。
「木綿季さんと一緒にお話しできる~楽しみだなぁ~♪」
「ふふっ…それじゃあ私は夕飯の支度しちゃうからその間ヒカリたちの部屋に居なさい。いろいろと準備も必要でしょ?」
「うん、わかったー…木綿季さんこっちです♪」
「わわっと!」
そしてボクはヒカリの部屋へと連れていかれた。…多分、遠目で見たら引きづられているようにしか見えなかったろうな~……ま、いろいろと楽しみだからいいけどね♪
八神家に帰宅した太一とアグモン。自宅という空間に油断した彼らが自室で見たものとは…
そして明かされる真実とデジヴァイス。奇妙な縁
これらが意味するものとは果たして……
次回!デジモンアドベンチャー 〜剣と妖精の世界の物語〜 「不慮の事故」
そして、少年は進化する・・・