ここは鬼神界。
鬼族が住む世界だ。
闇夜に血のように赤い月が浮かんでいる。
鬼神界でも、五本の指に入る恐ろしい場所と言われる凶骨樹の森。
花も葉も付かぬ、骨に似た禍々しい木で、近づいた者の精気を吸い取り養分とする性質がある。
勇猛な鬼族でさえ凶骨樹の森を生きて抜けるのは至難の業だ。
その凶骨樹の森に囲まれた岩山の上に、奇妙な城が聳え建っている。
絡み合う裸の男女の彫刻が、外装のいたる所に飾られ、城の内部は禍々しい瘴気に満ち溢れていた。
この城に住むのは淫鬼族の姫、蜜羅みつらと、その家臣たちだ。
蜜羅は淫鬼の王、邪淫凶王の娘であり、その性質は淫らにして残虐無慈悲と言われている。
城の大広間で、玉座に座り退屈そうにしている女鬼がいた。
彼女こそが蜜羅である。
額に2本の立派な角を生やし、燃えさかる炎の様に赤い髪、彫刻のように端正な顔に、金色に輝く目、鬼の姫として相応しい、威厳と美貌の持ち主だ。
筋肉の発達した美しい肉体、皮のビキニの下では、豊満な乳房と尻が存在を主張している。
この鬼神界に、彼女の美貌に心を奪われない男鬼はいなかった。
「退屈じゃ……」
蜜羅が呟いた。
周囲にいた家来達は、主の不機嫌そうな様子に気を揉んでいた。
家来達の多くは鋭い角と牙を生やし、屈強な肉体を持った鬼達だ。
鎧を纏った者もいれば、腰布を巻いただけのものもいる。
シースルーのガウンなどの妖艶な衣装を纏った女鬼もいた。
「今日も姫様のために、とっておきの余興を用意しております」
親衛隊だろうか、立派な甲冑を纏った鬼が言った。
そして、甲冑の鬼は指をパチンと鳴らした。
すると、大広間の扉が開き2人の腰布の鬼が、車輪のついた拘束台を運んできた。
拘束台の上にはベルトで両手足を固定された裸の女が寝ていた。
角や牙は無く、人間の女のようだ。
目隠しをしているが、なかなかの美人のようだ。
だが、恐怖心のあまり顔を崩れた粘土細工のように歪ませ、泣き叫んでいる。
思い切り金切り声を上げたい所だろうが猿轡がそれを塞いでいた。
篭った泣き声が、寂しく響き渡る。
「人間界で捕まえてきた女です! これから、この者を使った拷問ショーをお披露目します!」
甲冑の鬼が嬉々とした様子で語る。
「ほう、面白そうじゃな……」
蜜羅がニヤリと笑った。
その目には、蝶の羽をもぎ取る子供のような無邪気な残酷さが宿っていた。
拘束台を運んできた鬼の一人が、女の陰部にごつい指を伸ばした。
そして、陰部をピアノを演奏するかのように、優しく撫でまわす。
「んっ…ああっ……ああ…」
女が卑猥な声を漏らす。