「落チ着イテクダサイ、時間ハカカリマスガ解決策ハアリマス」
「一体どういうことかな?」
精神が抑制されているという割にアインズは怒りを隠そうともしなかった。
「アルベド様ノ様子ヲ見テ気ガツイタンデスケドアインズサン以外ニアインズ・ウール・ゴウンノメンバー、コチラニ来テイマセンヨネ?」
アインズは何も話さない、やはりと言うか彼も捨てられなかったのだろう。
「アルベド様ノ態度ハ怖ガル子ドモノソレデシタ、ソシテ私ニ尋常デハナイ敵対心ヲ持ッテイマス」
「アルベドが、怖がる?一体何を……」
「アインズサント同ジ立場デアルプレイヤーノ私、対等ナ立場ニナリ得ル存在ガ現レタコトデ居場所ヲ奪ワレルト危惧シタノデハ?」
「何を馬鹿な、そんなこと」
あるはずがないと言おうとしたのだろうが否定できなかったのだろう、口ごもるアインズはたった一人自分を押し殺していた者の苦悩が見て取れた。
「アルデショウ、現ニ貴方ハ私ニ組織ノ福利厚生ヲ任セマシタ。ソレダケナラマダシモ暗ニ密談ヲトリタイトイウ提案マデ受ケ入レタ。同郷トイウ理由ダケデ得体ノ知レナイ者相手ニスル態度デハナカッタ、無意識ダッタカモ知レマセンガ区別シテシマッタノデスヨ」
「俺、私はそんなこと」
「ダカラアルベド様ハ取リ乱シタノデスヨ、アインズサンノ重圧ヲ考エレバ理解デキマスガ守護者ノ方ノコトヲ考エレバ正直言ッテ悪手デシタ」
アインズはゆっくりと腰を落とすと頭を抱えた、それだけで彼がナザリックとNPCをどれだけ愛しているかが見てとれる。
「特ニ取リ繕ウコトガデキナカッタアルベド様ニツイテハ早急ニ対策ガ必要デス、彼女ハ忠誠以上ノ感情ヲ抱イテイル様ニ見エマシタ、力アル子ドモガ親ヲ取リ上ゲラレタラ一体何ヲスルカ」
その言葉にアインズは今までにない程の動揺を見せた。アルベドに対して何かしらの行動をしていたのはそれで明らかだった。
「何カ心当タリガ?」
「……彼女は、アルベドは、私を愛する様にと、書き換えを」
自分の行動がアルベドを追い込んでしまったということに気がついたアインズは深い後悔に押しつぶされそうな悲痛な面持ちでうつむく。
「ナルホド愛情デスカ、デアレバ簡単デスネ」
「何を」
「彼女ニダケ弱サヲ見セテ上ゲテクダサイ、二人ノ時ダケモモンガト呼バセルデモ良イデスシ立場ヲ忘レタ態度ヲ少シ見セルダケデモ構イマセン。ドンナ者モ自分ダケノ特別ニハ憧レマスカラ」
「それは、私にそんな資格は」
拳を握り自分に対して深く憤る姿は彼の責任感の強さを思わせた。
「アチラデモ思ワセブリナ態度ヲ取レバ責任ヲ求メラレルモノデスヨ、支配者トシテノ態度ヲ
示シテキタノナラ次ハ男トシテノ態度モ示シテミテハ?好意ヲ寄セラレ嫌デアッタ訳デハナイノデショウ?」
「まあ、それは……」
「デアレバ問題ハナイカト、罪悪感ガアッテ難シイノナラ彼女ニ溶カシテモラエバ良イ。叶ウ愛トハ基本相手ノ気持チアッテノモノデスカラ」
言いたいことを言ってしまえば静寂が部屋を満たす、数分の逡巡が過ぎればアインズは決心がついたのか顔を上げる。
「責任は、取らねばいけませんよね」
「エエ」
ため息を一つ漏らすと先ほどとは打って変わり為政者らしい面持ちをしたアインズが居た。
「しかしさくさくぱんださんはよくすぐに気が付きましたね、腕と足を切り落としたのもこちらの空気を察してですか?」
「マア仕事柄顔色ヲ伺ッテバカリデシタカラ、敵意ノ察知ニ関シテハ自信ガアリマシテネ……タダ以前ノ自分デハ確実ニヤラナカッタデスネ、迷ワズ逃走シタト思イマス。コレガ思想変容ト捉エルカナザリックニ対シテ無意識ニ執着シテイタカハワカリマセンガ」
「執着?」
その言葉に過去の記憶が浮かぶ。美しい思い出と主人の笑顔が。
「アア、ナザリック攻略時ニ神話級アイテムヲ一ツ失ッタノデスガ図ラズモソノアイテムガ形見トナッテシマイマシテネ……結局引退モデキズ拠点ヲヘルヘイムニ移シ、ナザリックヲ眺メテ数年間過ゴシテイマシタカラ」
「それは……良ければこちらで探してお渡ししましょうか?」
俺はアインズの言葉に首を振る。
「イエ、ソレニハ及ビマセンヨ失ッタモノデスシネ、ソレニ発覚スレバ余計ナ軋轢ヲ生ミマスヨ?」
「まあそれはそうですが……形見なんでしょう?本当に良いんですか?」
「意地モアリマスシネ、イズレナザリックニ認メラレタ時ニオ願イスルトシマスヨ。ソレマデハ精一杯魔導国ノ為に働カセテイタダキマス」
そう言って居住まいを正せばアインズもそれに倣う。
「ええ、それではさくさくぱんださんの今後の働きに期待していますよ」
「是非ニ、早速デスガ守護者各位ノ休暇ト褒美ノ件ナノデスガ」
こうして俺達は会議を再開した。