会議から数時間後、玉座の間にて集められた階層守護者と共に跪く。
「面を上げよ」
支配者の言葉に各位が顔を上げる。
「皆の働きによりスレイン法国への報復行為が完了した、ついては皆の働きに報いる為褒美を与えることとする。詳細については提案者としてさくさくぱんだに報告してもらう」
「ハッ」
アインズの言葉に立ち上がり守護者の前に移動する、畏怖、好奇、疑心、憎悪が込められた視線がそれぞれ刺さる。
「始メマシテノ方ハ始メマシテ、私ハサクサクパンダト申シマス。此度アインズ・ウール・ゴウン魔導国ニ仕エル名誉ニ預カリ、魔導王陛下ヨリナザリックニオケル福利厚生ノ相談役ヲ拝命サセテイタダキマシタ。不肖ナル身ナレド皆様ニ認メテ頂ケルヨウ死力ヲ尽クサセテイタダキマスノデドウゾヨロシクオ願イ致シマス」
礼を取り、顔を上げても視線は変わらなかったがそのまま続ける。
「私ガ提案致シマスノハ一ヶ月ニ2日間階層守護者各位ニ休日ヲ設ケルモノデス、マタ魔導国ヘノ貢献度カラパンドラズ・アクター様ニ関シテモ同様ニ扱ワセテ頂キマス」
「休日?魔導国の為に尽くすは臣下の努め、何もせずにただ休むなど背信になるわ」
「そうでありんす!新参者が何を馬鹿なことを!」
予想通りと言うかアルベドとシャルティアは反対の声を上げる。
「アルベド様、シャルティア様ノゴ意見ニツイテハゴ尤モデス。シカシコノ先魔導国ノ支配ヲ拡大サセルニ至ッテ、ナザリック外ノ劣等種ハ休マネバ効率的ナ労働ガデキマセン。下ノ者ハ上ノ者ニ倣ウモノデス、上位者ガ休マズ働クヨウデハ効率的ニ魔導国ヲ運営サセルコトニ支障ガ出ルモノト思ワレマス」
二人はそれを聞いて押し黙る。
「無論皆様ニオキマシテハ魔導国ニ貢献デキナイコトハトテモ心苦シイコトモ理解シテオリマス、ナノデコノ度報復行動完了ノ褒美トシテ魔導王陛下カラ多大ナルゴ慈悲ヲ頂ク運ビトナリマシタ」
そう言えば集められた守護者の視線はアインズへと向く。
「うむ、各月一名ずつとなるが休日のうち一日、私と二人だけで過ごすことを許可しよう」
アインズの発言に守護者はどよめき、それを制止して静まったのを確認してから話し始める。
「タダ過ゴスダケトナルト問題ガアルト思ワレマスノデ次ノ提案ナノデスガ陛下ト過ゴサレル守護者ノ皆様ニ置カレマシテハ自分ガ楽シムトイウコトヲ条件トシマス」
「た、楽しむ?条件?」
「エエ、二人キリト言イマシテモ休日デスノデ。陛下ヲモテナスノデハナク二人デ楽シムコトヲ念頭ニオイテオ過ゴシクダサイ、例エバ二人デ娯楽施設ヲ楽シムデモ良イデスシ、模擬戦闘ヲ行ッタリ、支配地域ノ観光、自ラガ好ムモノ……物語デアッタリ美意識デアッタリ有能ナ配下ノコトヲ語ッタリスルノモ良イカモシレマセンネ」
敬愛する支配者と過ごせることを考えた守護者はそれぞれ自らの妄想に耽りそれぞれ笑みを浮かべる。
「ソシテ陛下ト過ゴサレル際ノ注意点ナノデスガ主ニ肉体的欲求ニ基ヅイタモノ、所謂三大欲求ト呼バレル睡眠、性行為、過度ナ食事ハ陛下ガ楽シメマセンノデオ控エ頂キタク。マタ食事ニツイテデスガ、陛下ハ味ワウコトハデキマセンガ見タ目ノ美シサト香リヲ楽シムコトハデキマスノデ希望ガアレバ事前ニ料理長ニオ伝エクダサイ」
守護者各位はそれぞれ頷く、そして間を置いてアインズが気まずそうに口を開いた。
「それから、その……すまないがアルベド、デミウルゴスに関しては知略を用いた娯楽、例えばボードゲームなどは控えてもらいたい」
「それは!その、アインズ様のお言葉とあれば従うのは当然ですが……不敬ではございますが理由を教えて頂いても」
デミウルゴスから当然の疑問が上がればアインズは気恥ずかしそうに口を開く。
「お前たち二人はナザリックが誇る知恵者だ、そんなお前たちと知略を用いた娯楽をしてしまうとどうにも魔導国の今後の話しに繋がりそうでな……それはそれで非常に楽しいものだが折角休日としているのに仕事に繋がることは避けたい。お前たちの望みを完全に叶えられないことは私の不徳とすることだ、許せ」
「滅相もございません!私達の為にその様に心を折って頂いているのに謝れることなど!」
「そうですアインズ様!アインズ様の御心に叶うことこそ我らが使命!不肖なる我々にそこまでして頂けることこそ最大の幸福となるでしょう!」
アルベドとデミウルゴスはそう言って頭を下げる。
「二人の言葉非常に嬉しく思う、今後もナザリック及び魔導国の為尽くしてくれ」
「ハッ!」
「続キマシテシャルティア様、デミウルゴス様ニオケル注意点デス」
そう告げれば二人がそれぞれこちらへ顔を向ける。
「陛下ハアンデットデアリナガラ非常に慈悲深キ御方デス、ナノデ種族的本能ヲ刺激スル様ナ嗜虐的ナ娯楽ヲ行ワレマスト、ハズミデ血ノ狂乱ノ様ナ状態ニ移行スル恐レガアリマス。ナノデ陛下ガ望マレタ時ノミ嗜虐的ナ娯楽ヲ行ワレマス様オ願イ致シマス」
「そうですか……少し残念ですがアインズ様の思いを踏みにじってしまうことになりますからね、そちらを踏まえた上で考えましょう」
「そうでありんすね……折角アインズ様と二人で過ごせるんでありんすから」
「次ニ陛下トオ過ゴシニナラレル順番ナノデスガ特例トシテ初月ハアルベド様、最終月ニデミウルゴス様トナッテオリマス、理由ニツキマシテカラハ陛下カラ」
促されたアインズは鷹揚に頷くと口を開く。
「まずアルベドを初月にした理由だが魔導国運営に関して多大な貢献をしているのにそれに見合った褒美が少なかった故の処置である。アルベド、今までお前の多大なる働きに報えなかった私を許して欲しい」
「な、何をおっしゃいます!守護者統括として、当然の……」
アルベドはそれだけ言って頭を下げると肩を震わせる、シャルティアが一瞬不満そうな視線を送ったがすぐにうつむいた。こちらも少しケアが必要か。
「次にデミウルゴスについてだが、お前にはその有能さ故魔導国外への働きを多くしてしまっている為だ。起こり得るであろう不測事態への対策を十全にしてもらいたい、第二、第三のスレイン法国が現れる可能性もあるからな。無論お前の働きに関しても別の褒美を与えるつもりであるから安心して欲しい」
「おお!過分なご配慮感謝致します!今後も褒美に見合う働きができるようアインズ・ウール・ゴウン魔導国により一層の忠誠を」
デミウルゴスに続いて守護者全員が頭を下げる。
「それでは残りの順番であるが、シャアルティア、コキュートス、アルラ、マーレ、ヴィクティム、パンドラズ・アクター、こちらへ来い」
呼ばれた守護者は玉座の前に移動し、アインズは立ち上がると煌めく棒が刺さった豪華な箱を取り出す。
「公平性を保つ為単純なくじにて決める、棒の先にはそれぞれ数字が書かれているからそれが順番となる。さあ引いてみてくれ」
促され各自くじを引いていけばそれぞれが一喜一憂する。
「やった!アタシ二番だ!」
「くっ!四番でありんすか!」
「な、七番かぁ」
「私は五番ですね」
「フム、六番カ、フフフ」
「やったぁ、さんばんです」
反応だけみればやはり幼さが見えるものだ、俺もNPCを作成しておけば比較対象として観察できたかもしれない。
「フフフ、こう言った催しも中々に楽しいものだ。さくさくぱんだ、今後も何か思いついたものがあれば提案して欲しい」
「ハッ、今後モ皆様ガヨリ良イ環境デ過ゴセル様努力致シマス」
「今回の提案、皆の喜び様を見れば素晴らしかったことが理解できる。故に褒美を与えよう、何を望む?」
アインズの言葉に守護者の視線が集中する、悪感情は少なくなったが相変わらず訝しむ様な気配はあった。
「ソレデアレバ過去ニ決別スル為新タナ名ヲ名乗ルコトヲオ許シ頂キタク」
「良かろう、皆異存はないか?」
「「「「「「「「ハッ」」」」」」」」
「有難キ幸セ、ソレデハ今後サクサクパンダ改メロータスと名乗ラセテ頂キマス、ヨロシクオ願イイタシマス」
「うむ、ではロータス!今後もアインズ・ウール・ゴウン魔導国に忠誠を抱きこの名を世界に轟かせよ!」
「ハッ!」
こうして俺は二度目の忠誠を誓った。