アインズの私室にてパンドラズ・アクターとアインズに休暇についての詳細を話す前にパンドラズ・アクターを問いただすことにした。
「パンドラズ・アクター様、陛下に今回の件について報告をお願いしていましたがどうなっています?どうやら陛下は詳細をご存知なかったようですが」
「なんのことですロータス殿、私はンアインズ様にしっかり報告しましたとも!」
この野郎とぼけるつもりか。
「私は人選理由についても話しましたよね?私が失念していたことも問題ですがそもそも三吉様のお話からソリュシャン様を推薦したのも貴方ではないですか」
「お前が犯人だったのか!」
跳ねる様に立ち上がりパンドラズ・アクターに詰め寄るアインズ、問題点について懇々とパンドラズ・アクターに説いていたが俺は何故気が付かなかったのかを考える。
思えばアインズがNPCに対して並々ならぬ感情を抱いていたことは知っていた筈だ、それを考えれば異性であるソリュシャンに体を洗わせることに抵抗感を持っていても不自然ではないと容易に推測できる、ならば一体何故。
「しかし今後のことを考えると陛下はそういったことに慣れてもらった方が良いかも知れませんね」
「いや慣れるといっても、それに今後のこととは?」
俺の言葉にアインズは疑問を浮かべる。
「今後魔導国の支配地が栄えれば陛下に長期視察を行ってもらうことがあると思われますので、そうするとどうしても今回の様な問題が出てくるかと」
「いや、まあそれはそうだが……だとしても今回の様な対応で良いのではないか?」
「威厳を分かりやすく示す為にもそういった行動は効果的かと、ソリュシャン様でなくともナザリックの女性陣は現地民と比べるまでもない容姿をお持ちですから……それにもしチャンスを頂けませんと私がソリュシャン様に恨まれそうですし」
「あー確かにそれはあり得る、か……パンドラズ・アクター何故事前に報告しなかったのだ」
頭を抱えるアインズにパンドラズ・アクターは本当に何が何やら分からないといった雰囲気だった。
「いえ、私としては何が問題なのか、アルベド様に多大なるご寵愛を与えたことから他の者にも機会をと」
「何でお前知ってんだ!!!」
取り繕うことも忘れたアインズが叫び思わず驚く。
「え、予想以上に早かったですね、もう少し理由つけて先延ばしにしているのかと」
「ロータス!貴様そんな風に思ってたのか!そもそもあれは逃げ場が、いやそれよりパンドラズ・アクター誰に聞いた!」
「ここ数日のアルベド様の様子が余りにも異様でしたのでそれとなくお聞きしたのですが……」
そこまで分かりやすい振る舞いしていたのか、いやまあ無理もないとは思うがなんというか。
「そうなると他の女性守護者にケアが必要ですね、シャルティア様辺りまずいかと」
思い当たった様でアインズが頭を抱える、振る舞いから精神抑制が間に合わない程動揺しているらしい。
「パンドラズ・アクター様、理解はしましたがそういった事情があるのならば事前に教えて下さい」
「私としてもてっきり周知の事実だと思っていたのですが、ロータス殿が知らないのも無理はありませんでしたね。いやいや私としたことがうっかり」
茶目っ気たっぷりに話すパンドラズ・アクターを殴りたくなったがなんとか堪え対策を考える。
「とりあえず緊急措置として勉強会をしましょう」
「勉強会?」
落ち着いたアインズに聞き返され突貫で考えた案を話す。
「守護者各位は将来的に領地運営を行って頂くことになるでしょうから隔週か、開催頻度はお任せしますが陛下が行っている政務を共に行ってもらいましょう、アルベド様より事前に資料を渡して頂いて、当日それを元に政務を行い適宜疑問点や問題点を解消して頂くといった感じですかね、そこにシャルティア様、アウラ様、マーレ様、コキュートス様に参加して頂きます。ヴィクティム様は状況が少々特殊ですのでナザリックを離れるのには問題があるでしょうからまた別の案を考えましょう」
「おお……なるほど」
「陛下はその際シャルティア様のケアを行ってください、私の方からもエ・ランテルでの計画が進み次第シャルティア様に有用そうな業務をお願い致しますので」
「うむ、うむそうだな、助かるぞロータス」
「お役に立てたのなら何よりです、という訳でパンドラズ・アクター様は後で陛下と勉強会についての計画を詰めてください」
「私が?ロータス殿の立案なのですから貴方が決めたほうが良いでしょう?」
「あまり私がナザリック内のことを多く決めるのは問題があるでしょう、そもそもパンドラズ・アクター様は私を」
そこまで言ってあることに気がついた。
「陛下、パンドラズ・アクター様を創造されたのは陛下ですか?」
「ん?ああそうだが」
まさか、いやまさかな。
「パンドラズ・アクター、貴方こうなること分かっていてやりましたね?」
「おお!お気づきになられましたか!流石はロータス殿!こうも早く看破されるとは!」
「どういうことだパンドラズ・アクター」
怒気の籠もった声をアインズが上げるも俺は力が抜けて座り込んでしまった。
「アルベド様と同じ、嫉妬ですよ」
「は?嫉妬?」
思いがけなかったのであろう言葉にアインズは毒気を抜かれた様だった。
「恐らくですけどパンドラズ・アクターは唯一創造主が残っていることに優位性を感じていたのでは?で、アインズさんと対等な立場たり得る私が来たことによって自分が持っている優位性がなくなった。言うなれば父親が取られそうになって悪戯したくなったんでしょ?」
「まあそこまで可愛らしい理由ではないですが概ねは正解ですよ」
開き直りそう告げるパンドラズ・アクターを見て頭を抱える。
「本当質悪いですよ、貴方あわよくばナザリックから私のこと追い出そうとしていたでしょう?」
「企みに気が付かなければそうしたでしょうね」
「そこまでやろうとしていたのか……やりすぎだぞパンドラズ・アクター」
呆れた様にアインズが声をかければパンドラズ・アクターは大仰に芝居がかった動きを取る。
「何をおっしゃいますン父上!私は以前おっしゃられた通り父上が知らぬ私の一面を見て頂きたかったのです!」
「アインズさん絶対そんなつもりで言ってませんよ……」
「本当だよ、もうちょっと何かあるだろお前」
「陛下、素が出てますよ」
思わず突っ込んだがアインズも力が抜けた様で頭を抱えていた。
「おお!父上の新たな一面を見ることができ、このパンドラズ・アクター息子として大変嬉しく思います!」
興奮に小躍りするパンドラズ・アクターを見ながらこうも遊ばれたことに内心怒りを覚えるも仕方ないと諦めることにした。
「まあ今回は私としても確かめたいことがありましたので」
「確かめたいこと?」
「ええ、色々と考えないといけなくなりましたね……しかしご安心を!何があろうともこのパンドラズ・アクターが全て解・決!しますとも!では私はやらなければならないことがあるのでこれにて!」
「いやちょっと待!」
アインズが止める間もなくパンドラズ・アクターは部屋を出ていってしまった。
何だ、一体何に気がついた?しかし今回のことで確かめる?俺の行動について?一体何を。
「アインズさん」
「どうした?」
「念の為私の監視を強化してもらえますか?責任者はパンドラズ・アクターに任せます」
「一体何を、二人して何に気がついた」
半ば無意識に喋っていた、だがそうするべきだと確信を持てた。