俺とヒルマはしばらく抱き合っていた、寝室には互いの呼吸音が響き彼女の鼓動の音が安らぎを与えてくれた。
こうも優しく抱かれるのは一体いつぶりだっただろうか、心地良さと撫でられることで知らずのうちに張り詰めていた気持ちが解けていくのを感じる。
「ヒルマ」
気がつけば頭を上げ彼女の名を口にしていた。
優しく微笑む彼女の顔には初めて見た時の恐怖と絶望は見えていなかった、ただそれは瞳の奥底に覆い隠されているだけだ。
哀れな、痛みを知るから痛みを癒やす、哀れな女。
頬に手を当てれば僅かな震えが伝わる、それを誤魔化そうとしているのか、それとも別の感情からかゆっくりと瞼を閉じる。
俺はそんな彼女の唇を優しく塞ぐ、見た目を偽るだけの幻惑の腕輪、その筈なのに感じるのは自分の唇が合わさる感触。
赤子の肌の様な柔らかなそれを唇で食み、徐々に互いの吐息を塞ぐ様に重ね合う。
口内にねじ込まれた舌を受け入れてそれをなぞる、この体では人間の舌の様な動きはできない筈なのに俺はそれをヒルマの口内に入れ嬲る様に味わった。
互いに唾液を交わし、漏れる吐息を交わし、指を絡めていく。
それに耐えきれなくなったのかヒルマはベッドに俺を押し倒した、それが少し以外で驚いて彼女を見る。
艶のある笑顔を浮かべる彼女はまだ味わい足りなかったのかまた唇を重ねる、ただそれは今までとは違い貪る様な激しさを帯びていた。
俺はそれを受け入れ彼女に合わせて舌を這わせる、時にこちらからヒルマを味わいそれを止めようと優しく噛まれ、また彼女に合わせる。
その時間が短かったのか、長かったのか、俺達には分からなかったがそれを取りやめたのはヒルマだった。
「情熱的ですね」
「合格はもらえそうかい?」
「ええ、満点ですよ」
口づけに疲れたのか浅く肩で息をする彼女の言葉が本心かどうかを見極めようとして止める。
今は純粋にヒルマと向かい合い、ただお互いの熱を交わしたかった。
それが俺なりの誠意だ。
その意図を汲んだのかは分からなかった、だがほのかなランプの光に照らされているだけなのに分かる程に紅潮した顔はただ俺を愛そうとする、ただそれだけの意思を感じた。
ゆっくりとローブを脱げば、扇状的な黒色の下着に包まれた瑞々しい果実が顕になる。
俺は彼女に応える様に蛇のタトゥーをゆっくりとなぞる、漏れる吐息が鼓膜を震わせ、不規則なそのリズムが合わさって踊るように動いた。
「ロータス、様」
か細い声が室内に響く、悦楽と怯えが混じったそれを抑える様に唇をなぞる、指先から伝わる彼女の温度が同じ生命としての声を上げている様に感じた。
「ヒルマ、愛しているよ」
その言葉に彼女は大きく体を震わせ、ゆっくりと穏やかな笑みを浮かべた。
「私も愛します、ロータス」
互いに言葉を交わせば彼女の動きに熱が籠もった。
熱と湿り気を帯びた秘部が重なり、求める様にヒルマが腰をうねらせる、物欲しそうな彼女の首を噛めば彼女も俺の首を噛む。
お互いに誓いの証の様に傷を与え、それを舌でなぞる。
熱を帯びた艶めかしい声が響く。
誘われる様に下着の上から胸に手を当て優しくなぞると高い声が上がる、軽く爪を立て掘り起こす様に動かせばまた違う声が。
俺がヒルマを奏でれば彼女はそれを抑えようと唇を塞ぐ、お互いの口内を貪り甘露な密を味わう。
頬に口づけをしその耳に舌を這わせ、下着を外せば抑えられていた果実が溢れる、それをすくい上げ薄紅色の種を口にふくみ舌で転がす。
口が開いて抑えきれなくなった声が室内を嬌艶の空気で満たす。
「ロ、タス」
か細く縋るような声に応える様彼女の腹部を指でなぞる、そのまま下へ、下へと指を進めれば絹糸に隠された蜜門にたどり着く。
堪えきれず悶え動き、腫れ上がった門番を指で撫でれば跳ねるように嬌声を上げ、それを封じ込めるため唇で塞いだ。
「ヒルマ」
彼女の名前を呼べば縋るような動きが止められ僅かに腰が浮く、彼女は煌めく柱を手で折り膨らみきった肉風船を求めるまま組み合わせる。
ゆっくりと肉壁に包まれていく感触に飲まれ、互いを本能のまま導いていく。
飲み込み終えればまた求める様に動く、互いを貪り粘着質な水音と漏れ出ていく縋る声が奏でる交響曲が情欲を掻き立てる。
肉虫が蠢く壺の刺激はあちらでも感じたことがないほどの快楽を与え、それに耐えきれずに楔が漏れ出ていった。
打ち込まれる楔を受け止めようとより一層腰を沈める彼女の表情は恍惚に満ちており、その全てが放たれたのを確認するとゆっくりと胸に倒れ込んできた。
「良かったよヒルマ、ありがとう」
そう言ってヒルマを抱き寄せ頭を撫でれば彼女はそれに合わせるよう身を委ねた。
「ええロータス、私もとても満足できたわ」
予想通りの言葉に思わず笑ってしまう。
「どうしたの?」
「いや、君に出会えて良かったよヒルマ」
本心からそう告げれば思いが伝わったのか彼女は虚をつかれた様子を見せすぐ顔を胸に埋めた。
「私も、貴方と一緒になれたのは思いがけない幸福だわ」
その言葉に続いて彼女の肉壺が絡みつき、それに呼応して肉風船が膨らみだす。
「やっぱり満足してもらえてはいなかったか」
「いえ、とても満足しているわ。貴方は私に向き合ってくれているんだもの、でも夜はまだ長いんだから楽しみましょ?」
「それは応えなくては男が廃るな、良いよ、日が昇るまで楽しもう」
「あら、それは素敵ね、溢れる程に満たしてちょうだいロータス」
甘える様に蠱惑的な声で囁くヒルマ、そして言葉通り彼女は自らを満たそうと蛇の様に絡み始めた。
こうして長い夜が始まり、言葉通り陽光が彼女の顔を照らし始める頃には多幸感で満たされ穏やかな表情を浮かべるヒルマがそこにいた。
その瞳の奥に潜む怯えと畏れは今度こそ溶けた様だった。