その後戸惑うアインズと何とか別室で二人になることになった。
アインズは俺に対しどう対応したものかと思案している様だったので緊張を解す目的で軽く話すことにした。
「イヤハヤ、流石ハアインズ・ウール・ゴウンガ誇ルNPCデスネ。調子ニ乗ッテタノガ悪インデスケド転移早々死ヌカト思イマシタヨ、ハハハ」
「あーいや、本当この度はウチのシモベが申し訳なく……」
「イエイエ気ニシナイデクダサイ、アノ感ジダト魔王軍ロールデ設定シタNPCナノデショウ?昔敵対シテイタナンテ知ラレレバコウモナリマスヨ」
そう言って俺は肘から先がなくなった腕を動かしながら肩を竦めればアインズは申し訳なさそうに縮こまる。
「しかし同郷の方にこの様なことを、本当に」
「本当ニオ気ニナサラナイデクダサイ、結果的ニハコウシテ生キテイラレルンデスカラ……デモマサカ相手ガアインズ・ウール・ゴウンダトハ思イマセンデシタヨ、微塵モ信ジテイマセンデシタガ思ワズ神ニ信仰ヲ捧ゲソウニナリマシタ」
「ああ、以前ナザリックに挑まれたんでしたっけ?」
「エエ、ホラギルド連合ノ攻略時ニ参加シテイマシテ」
「あの時の!懐かしいなぁ八階層まで来られた時は中々焦りましたよ」
「主要ギルドノ下部組織デシタケドネ、相性ノ問題デ私ノギルドハ地底湖ノ対城ゴーレムニ全滅サセラレタノデソチラマデ行ケマセンデシタガ、到達シタプレイヤーハ大半ガシバラクログインスラシナクナッテ……懐カシイデスネ」
「ええ、本当に……懐かしい……」
アインズは思い出を噛みしめる様に浸っている様だった。
「私ノ所属ギルドハ先ノ敗北デ心ガ折ラレ解散シタノデスガ、ドウニモ私ハ諦メキレマセンデ、引キ継イダ資産ヲ対価ニタッチ・ミーサンニPVPヲ挑ンダンデスヨ。特記戦力ニ勝利デキレバ幾ラカ無聊モ慰メラレルト思ッタノデスガ……マア結果ハ先ホド伝エタ通リデスガネ」
「たっちさんは戦士職の中でも特に優れていましたからね」
「ソレデモマサカワールドアイテムヲ使用シタ不可視ノ攻撃ヲ反応スルドコロカ受ケ流サレルナンテ思イマセンデシタヨ、噂ノ攻撃スキルスラ発動サセラレマセンデシタカラ……モウ完敗デシタ」
「ああ次元断切ですか、あれは本当に凄かった……結局運営に許可されているアレ以上の攻撃力を持つスキルなんて出てきませんでしたからね」
「エエ、他ニモ移動阻害ヤラデバフ重ネマクッタノニ真正面カラ叩キ伏セラレマシタカラネ、本当ナンダッタンデスカアノ人」
「我がアインズ・ウール・ゴウンが誇るワールドチャンピオンでしたから、彼も正義を信条として真っ向勝負するのを好んでいましたし」
脱力して背もたれに体を委ねればアインズは愉快そうに体を震わせていた。
「セメテアノスキルダケデモ引キ出セレテイレバマタ違ッタ未来モアッタデショウガ……マアタラレバデ話シテモ仕方ナイデスネ」
「まあそれは、そう、ですね、たらればを語っても仕方がない」
アインズは机に目を落とす。
その姿からは呼び起こされた郷愁に対して強い思いを抱いていることが見て取れた。
「ソウ言エバコチラニ来テカラ精神に違和感ヲ感ジテイルンデスガ、アインズサンハソウ言ッタ影響ヲ感ジマスカ?」
「ええ、種族特性による影響で生死に対する忌避感や感情が昂ぶると沈静化されることがあります。冷静になれるのは良いのですが高揚も抑制されるので正直参っていますよ」
そう言うアインズは今までの会話の中でも何度か感情を抑制されたのだろう頬をかきながらため息をついた。
「ソレハ大変ソウデスネ、私ハ感情抑制コソアリマセンガ……コウ、道徳心ヤ倫理観ニ変容ガアルミタイナンデスヨ。カルマ値ニヨルモノダト考エテイマシタガ種族特性デスカ……コノ世界ノ蟲人ハ他種族カラ忌避サレテイルカモシレマセンネ」
「正直カルマ値による感情変化は少ないかもしれません、私自身カルマ値は極悪なのですが嗜虐嗜好になるといったこともないですし」
「トナルト長期的ニ影響ガ出ルトイウコトモ考エテオイタ方ガ良イカモ知レマセンネ、種族特性デ価値観ヤ精神ヘノ影響ガアルノデアレバ、カルマ値ニヨル影響モ完全ニナイト考エルノハ危険デスカラ」
「そうですね、その点についてはお互い考慮しておくことにしましょう」
会話が一段落したところで俺は本題を切り出すことにした。
「ソウ言エバNPC、守護者ノ皆サンノコトナノデスガ」
その言葉にアインズは動きが止まる。
「現状ノママダト私ノセイデ幾人カハ壊レマスヨ」
そう告げればアインズは立ち上がりこちらに殺気を放った。