※この作品はR-18です。

唾王フェルター陵辱記   作:じょりほー

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誓約士セラニア・ホーガイル

 

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「ここ……か」

 

 リヴィスは目的の施設を発見しそうつぶやいた。

 

 見たことのない外観だった。全体的にはただの直方体にしか見えない。削り出した白い石を積み重ねた建造物である。国章や家紋など、出自を示す飾りは見当たらない。それどころか意匠と呼べるものは何一つとしてない。簡素を越えて無機質な印象を受ける。

 

 場所は魔導森林グラヴィカ。調査に当たっていたリドベダが発見した魔術師の工房だ。曰く、工房の主である魔術師型のギフトホルダーが奴隷傭兵に捕獲され、地下に囚われているとのことである。

 

 入り口も既に発見した。長方形の一辺に人二人分ほどの隙間があった。奴隷傭兵が二名、見張りに立っている。情報の確度は高いと考えて良さそうだった。

 

 ギフトホルダーが奴隷傭兵の手に落ちる――という事態を、リヴィスは最初、怪訝に思っていた。奴隷傭兵ではギフトホルダーには太刀打ちできない。それが、剣姫庭園では常識だった。厳密には剣士型が奴隷傭兵に対して圧倒的な優位を持つだけで、魔術師や盗賊では不慮の事態は往々にして起きるものらしい。

 

「奴隷傭兵とフェルター、どちらがマシなのかな」

 

 憂う眼差しで彼女は独りごちる。だが、その解答などはなく、彼女には命令に逆らう余地はなかった。

 

 奴隷傭兵の数はおおよそ百だと聞いている。だが、リドベダは内部にまで侵入したわけではないので、確かではない。ただ前述のように奴隷傭兵はリヴィスにとって敵ではない。

 

 重要なのは囚われたギフトホルダーを奴隷傭兵が自在に操れるのか。そして、他にギフトホルダーがいるかどうかだ。

 

 地底唾王城の盟主、フェルターは普段であれば特に供も連れずにふらっと出かけてはギフトホルダーを伴って帰還する。つい先日もリヴィスの旧知であるヴァスカを奴隷にしてきた。

 

 つまり、この場所はフェルターからしても相応の危険を孕んだ場所なのだと推定できる。

 

「戦力の逐次投入は愚策――ということくらい、あの男も分かっていそうではあるが」

 

 にも関わらずリヴィス単独の任務というのは腑に落ちない。ヴァスカやレビアはリヴィスと同等には腕が立つ。加え魔術師のロザリンドのサポートもあれば、並大抵の砦なら落とせよう。四名のギフトホルダーを投入して落とせないのは、アウレリアが駐留するガロッザ城塞くらいのものだ。

 

 考えている間、リヴィスは手で首に触れているのに気づいた。首輪はない。というより、奴隷宣言以降、一度も首輪は与えられていない。

 

 ――臆病になったものだ。

 

 リヴィスは自嘲する。かつてなら魔導森林の工房を見つければ止められてもひとりで踏み入っただろう。目を閉じて大きく息をして、彼女は怯懦を掻き消した。

 

 それから、茂みから身を出して、門番たちに姿を見せた。

 

「おい、そこのお前たち。ここに魔術師型のギフトホルダーが囚われていると聞いたが、それは事実か?」

 

 ぎょっ、と一瞬奴隷傭兵たちは身を凝固させた。戦場に立つ女はギフトホルダーだと考えていい。噂ではギフトホルダーの振りをする女剣士などがいないわけでもないらしいが――それは稀少な例外だ。

 

「ち、嗅ぎつけられたか……おい!」

 

 見張りの片方がこちらに斬りかかってくる。その命を一撃で奪う。もう一名は工房の中へと逃げ込んだようだ。リヴィスはその姿を追った。

 

 すぐに追いつく。逃げる相手を斬るのは気が咎めたが、彼女は背後から一撃を与え、瞬時にふたりをふたつの死骸へと変えた。

 

 気配を探りながら慎重に歩を進める。だが、気配が見当たらない。隘路を抜け、やがて開けた部屋にたどり着いた。

 

 毛皮や布が直接床に敷いてある。おそらく、ここで奴隷傭兵たちは寝泊まりしているのだろう。あまり換気ができない構造のようで、室内には男たちの汗の臭いが漂っている。しかし当人たちの姿はない。

 

「……出ているのか?」

 

 いや、違う。ならば、先ほどの見張りが中に入る必要はなかった。あれは間違いなく工房にいる仲間に危険を知らせるためのものだ。

 

 部屋をぐるりと巡ると、布が不自然にかけられた壁があった。それをめくってみると、そこから地下への階段が伸びている。

 

「なるほど……そうか」

 

 フェルターの手で奴隷傭兵に差し出されたときのことを彼女は思い返した。

 

 囚われのギフトホルダー。ならば、その現状は彼女の予測通りに違いない。魔術師型とて、肉体的には一般人より遙かに頑強で、それでいて美貌を有する。本来手に入らない女を手に入れた奴隷傭兵たちは、蔑称通りサルの如くギフトホルダーを輪姦し、青臭い汁を垂らしているに違いない。

 

 音を立てないようにして、彼女は地下へと降りていく。

 

 無音に沈む彼女と対照的に、地下からは狂宴の音が聞こえてくる。自分の身に降りかかった惨状を思い返してリヴィスは耳を塞ぎたくなったが、なんとかこらえる。

 

 腰が尻を打つ音。愛液と先走り汁が混じり合う水音。体だけに飽き足らず心まで穢そうとする野卑な声。堪えきれずに上がる嬌声や喘ぎ声。

 

 不快な音に彼女は思わず剣を抜いた。

 

 ――汚らわしいサルどもは皆殺しにしてやる。

 

 女を辱める連中を許せない。彼女はそう自己弁護したが、それはただの八つ当たりだ。彼女が殺したかったのは自分を汚した男たちだ。普段は極力考えないようにしているが、彼女の心を薄皮一つ剥げば、その下にはあの日自らを陵辱した男たちの眼差しと嘲笑が残した傷が見えるだろう。

 

 階段を降りきると、地下牢があった。そのほとんどの牢から音は漏れ聞こえている。これほどの数のギフトホルダーを捕らえたのか?

 

 彼女は最大限に警戒したが、退くつもりはなかった。

 

 入り口にもっとも近い牢は無人だった。その斜向かいでは少女がひとり文字通り嬲られている。

 

 怒りが沸いて、彼女は剣を構えた。男たちが汚しているのはギフトホルダーではない。

 

 ただの村娘だと思われた。目に光はなく、口からは卑猥な語を吐き出して、快楽に溺れている。全身を汚す白濁液の量から、半日以上は輪姦を続けられているようだ。

 

『こちらですよ』

 

 と脳裏に声が鳴り響く。

 

 魔術による念話だ。極端に高等な魔術ではないが、誰しも用いるものではないと聞く。少なくともここに魔術師がいるのは間違いないようだ。

 

『一番奥に、私はいます』

 

 どうやらこの魔術師の精神は安定しているようだ。度重なる陵辱に心が慣れたのかもしれない。だが、なら目の前の娘を救うのが先決だとリヴィスは思った。

 

 が。

 

『早く』

 

 急かされて、リヴィスは精神と肉体の乖離に気がついた。リヴィスの意思は無辜の少女たちを救うことを優先したがった。だが彼女の体は意に反して、奥の牢へと歩を進めている。

 

 ――なんだ、これは?

 

 似た経験が彼女にはあった。奴隷契約による命令だ。奴隷になった直後、彼女は愛する相手との性交を、フェルターに対して行わされた。口も体を全霊でフェルターとの交わりを喜び、しかし、精神はそれを見て屈辱を抱いた。

 

 最奥の牢の前にたどり着く。中にはひとりの女性がつながれていた。

 

 黒髪が腰まで伸びている。絹による白い衣服と、それに劣らぬ肌触りを秘めるだろう雪白の肌が暗い牢の中に光る。その黒い瞳が穏やかな光をたたえてリヴィスを見つめていた。

 

 部屋には、奴隷傭兵の姿はなかった。彼女はひとり、静かに牢につながれているだけだ。少なくとも陵辱の痕跡はなかった。

 

「あなたは誰ですか」

 

 女は穏やかな声音で尋ねた。

 

「リヴィス・オーシアン」

 

 ――何故、応えた?

 

 リヴィスは自らの口が勝手に名を告げたことに愕然とした。

 

「なんのためにここへ来ましたか?」

 

「囚われたギフトホルダーの救出のために」

 

「誰の指示で?」

 

「アウレリア様だ」

 

 ここだけは事実と異なる内容だった。リヴィス自身の意思が関与しない自白である。奴隷契約は肉体だけではなく精神まで厳重な命令を可能とするが、今リヴィスを操っている何かは、肉体のみを操っているようだ。

 

「わかりました。それではあなたからはいただけるだけ情報と魔力を提供してもらいましょう。リヴィス・オーシアン。幸い、牢がひとつ空いています。あなたはそこで、男たちの欲望に身をもって応えなさい」

 

「わかりました」

 

 またも、口が勝手に応じる。

 

「安心しなさい。これよりあなたは騎士ではなく娼婦。他の娘たち同様、奴隷傭兵たちとの行為に恥辱を感じる必要はありません。肉体も極めて感じやすくしておきました。なんの懸念もなく、肉欲と悦楽に溺れなさい」

 

 それが、本当にリヴィスのためだと、そう思っているような慈母のような笑みで、女は言った。

 

 下腹に熱をリヴィスは感じた。メス穴が、埋められることを望んでいる。いや、それ以上だ。膣という器官は肉棒をくわえ込むためだけにあると、彼女の体が勝手に叫んでいるような、激しい肉欲の迸りだった。

 

 堪えがたい欲求に、膝が震える。牢を出たところで奴隷傭兵たちが彼女を取り囲んだ。彼らは既にいきり立った逸物を晒していた。他の牢で娘たちを犯していたのを中断し、リヴィスに群がってきたようだ。

 

 ――っ! いやだ、そんな真似、私は望んでなどない!

 

 胸の奥で上げる悲鳴は、彼女の体には些かの影響も与えなかった。リヴィスの体は慣れた手つきで鎧を全て外し、産まれたままの姿になる。

 

 押さえつけられる前に、リヴィスの体は両腕と舌を手近な奴隷傭兵へと伸ばし、濃厚な口づけを交わした。積極的な彼女の求めに、周囲の奴隷傭兵が嘲りの声を挙げる。

 

 男の首に両腕を回し、体を持ち上げる。抱きついていた男が、リヴィスの腰を抱え上げ、肉棒を彼女の蜜穴に沈めていく。

 

「ああっ! いいのお! おちんぽ気持ちいいのぉっ!」

 

 口をついて出る信じた難い己の嬌声に、耳を塞ぐことができない。それどころか、男の体臭と口臭を感じながら、確かにそのメス穴を埋められる刺激は、自らの体さえ自由にできないリヴィスにも届いていた。

 

 ――なんだ……! これは……!

 

 今まで感じたことのある快楽とは比べものにならない快感だった。脳が蕩けそうになるのを彼女は感じる。肉欲に溺れるという表現を、彼女は実感した。

 

 自らの肉体という暗い牢獄に閉じ込められたリヴィスは、完全に乖離した体が需要した情報と向き合わざるを得ない。唾液が糸を引いて、それで口吻が終わったと思いきや、彼女は首を回して肩越しに背後を見やる。そして彼女の指が、尻穴を開いて背後の奴隷傭兵たちにペニスをねだる。

 

 肛門に黴びた牢獄の大気が触れるだけで、気が狂うほどの刺激があった。

 

 ――あ……だめ……そんなことをされたら……!

 

「お尻にも入れてぇ……。はちゃめちゃに壊してほしいのぉ」

 

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 誘因と拒絶。肉体と精神は異なる反応を示しつつも、同じ未来を夢見ていた。 

 

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 誓約士セラニア・ホーガイル。彼女は不世出の誓約士だ。

 

 誓約。それは通常であれば、互いの了承を必要とする。また、強制させるのではなく、特定の行動を禁ずるのが常だった。

 

 よく用いられるのは情報漏洩の防止である。ある作戦について知った者全員に、作戦の口外禁止させ、破ろうとすれば絶命と誓約させる。了承をしなければ当然、情報を流すつもりがあると見做せるために処刑されてしまう。

 

 誓約士の技量は、誓約をかける際の手順こそ端緒に出る。誓約内容を書面にするのが一般的な技量の誓約士だ。普通の誓約士は長い巻物や数枚の書面を要する。書面一枚で誓約を締結できるようになれば、大陸中のどこでも重用され金銭には困るまい。

 

 魔術師型のギフトホルダーあれば専門ではなかったとしても口頭の誓約を可能とする。

 

 ギフトホルダーのセラニアが誓約士として不世出なのははさらにその上の段階に達しているためだ。

 

 暗黙の誓約。

 

 彼女はそう呼ぶ。

 

 特定の場に誓約を仕掛け、ある条件を満たすだけで誓約をした扱いになる。

 

 彼女が自らの工房に仕掛けた誓約は、「工房内に入った者は工房の主に逆らうことを禁ずる」である。

 

 工房の中心にある、彼女の本来の部屋に、彼女は魔術で生み出した遠隔端末を用いて作業を続けていた。彼女は新たに増えた雌奴隷の魔力で、宝石に魔力を込めていく。宝石は大量の魔力を蓄積できるため、余剰魔力の保管に便利だ。後数日、リヴィスという雌奴隷を支配下の奴隷傭兵に犯させ続ければ一段階工房の規模を拡張できる。

 

 そうなれば必然、外から奴隷傭兵を呼び寄せ、ついでに彼らに資源――村娘や宝石を更に集めれば、ギフトホルダーをおびき寄せられるかもしれない。

 

「ひとり――素晴らしい子がいましたね」

 

 悠然と彼女は語る。それは地下牢で奴隷傭兵の慰み者となっていた村娘のひとりを指している。

 

「器量は確かに良かったですが――他の娘さんたちと異なり、全員を相手にしても壊れる気配がありませんでした。貴重なサンプルです。生み出す魔力もリヴィスさんに匹敵している」

 

 セラニアはそれがイヌと呼ばれる半端なギフトホルダーであることを知らなかった。ただ、そういった存在は陵辱される際に発する魔力濃度がギフトホルダーに匹敵し、しかも謀反の心配がない。魔力の苗床としては極めて優秀で、彼女は地下牢をイヌで埋めたいと考えていた。

 

 最終的には数万の奴隷傭兵とイヌを工房に住まわせる。さすれば――。

 

「私も、それなりの発言力が魔導森林で得られるでしょう」

 

 そうなれば今のように本体を地下牢につなぎ止め、自らを虜囚だと偽る必要もなくなる。

 

 自分のやっていることが魔導森林においても異端だとは分かっている。だからこそ、セラニアは奴隷傭兵に捕まった被害者という逃げ道を用意していた。

 

「――あら?」

 

 奴隷傭兵のひとりが、リヴィスの牢から外に出たのを感知した。新しく増やした奴隷傭兵だ。リヴィスの魔力で工房の格納人員に余裕ができたため、数人増員したのだ。支配下の奴隷傭兵は外部で仲間を募り、工房に戻る。彼らは工房に踏み入れた時点で主たるセラニアの下僕となる。

 

 奴隷傭兵への誓約は強力ではあるものの、外部に看破されぬよう自我を残してある。彼らはギフトホルダーを隷属化し、勢力を拡大しているという認識していた。ただ、セラニアは彼らに当然のことながら体を許してはいない。彼らがギフトホルダーだと認識して嬲っていたのは村娘で、当初は娘を一夜ごとに交代させて保たせていた。

 

 今は頑強なイヌがギフトホルダーとして毎夜、身に覚えのない苛烈な責めを一身に受けている。そんな哀れな村娘に対し、セラニアは同情はしていなかった。リヴィスにしたように、身も心も娼婦として誂えた――セラニアはそう思っている。

 

 蕩けた顔で肉竿を求めるリヴィスの牢から離れた件の奴隷傭兵は、まっすぐにセラニアの本体が眠る最奥の牢へ向かっていた。

 

「そちらには入っては駄目ですよ」

 

 無人の牢だと認識しているためか、時折奴隷傭兵が最奥の牢へ向かってしまうことはこれまでにもあった。そのたびに彼女は誓約を重ねて追い返してきた。セラニアの本体を遠隔端末が作業している部屋に運ぶわけにはいかない。囚われの身だった、という証明を失えば仮に工房が外部から落とされた場合に彼女の身の安全が確保できないためだ。

 

 今もまた、彼女は奴隷傭兵に誓約をかけた。だが、歩みは止まらない。

 

 深刻には思わなかった。条件付けが甘く、遠隔地からだからだと彼女は考えた。暗黙の誓約はギフトホルダーにまで有効だった。ならば奴隷傭兵に通じない理由がない。

 

 面倒だったが意識を本体に戻す。視点が切り替わり、一瞬だけ酩酊にも似て視界が揺れる。

 

 彼女の正面に奴隷傭兵の姿が見える。安物の剣に安物の鎧。支配下の奴隷傭兵の顔と名前は一致していない。増員した奴隷傭兵だと思ったのも見覚えがなかったからだと思っていたが、思い違いだとセラニアは気がついた。

 

 ――大きすぎませんか?

 

 正面に立つ男の、そびえ立つ逸物を見てセラニアは思った。こんなサイズの剛直を持つ奴隷傭兵はいなかった。それは確かだ。

 

 遅れて、奴隷傭兵が新たな獲物を見つけたかのように、野卑な笑みを浮かべたのに気がついて、彼女は蛇に睨まれた蛙のように硬直した。

 

「さがりなさい。この部屋には誰もいない。リヴィスの体に不満であれば、他の牢の娘にその精をぶつけなさい」

 

 面と向かった状態での命令だ。セラニアの工房に足を踏み入れた時点で、セラニアの命令に従う誓約に従ったと見なされる。破棄条件が設定されていないため、命令に背く思考そのものが不可能となる。

 

 ――なのに、何故。

 

 男は悠然とした足取りで、彼女に向かって歩み寄る。予想だにしなかった事態に、セラニアは判断を誤った。大声で牢の中に命令を下し、自分に迫る男を排除させるべきだった。今、セラニアの支配下には奴隷傭兵だけでなく、ギフトホルダーのリヴィスがいるのだ。

 

 だが、その前に彼女の口は男の手で塞がれた。

 

「なるほどな。自分の工房に入った時点で、強制的に誓約をかけるのか。内容は恐らくはお前の命令に従うこと――だな。リヴィスに先行させていなかったら危なかったか」

 

「……どうやって」

 

「あ? 強制的だろうが誓約は誓約だろう。先んじて「これ以上誓約は誓わない」という誓約をしておけば対処は簡単だろうが、こんなもん」

 

 男は暗黙の誓約を見抜いていた。また、意図的に奴隷傭兵に紛れて工房へ侵入したようだった。

 

 確かにそうすれば誓約はかけられない。誓約そのものに強弱はなく、常に先んじてかけられた誓約が優先される。そうでなくては情報漏洩を防げはしないのだ。

 

 ――ギフトホルダーを従える奴隷傭兵なんて。一体――。

 

「俺はフェルター。――いや、奴隷も増えたし名乗るのも悪くないか。唾王フェルターだ」

 

 まるで内心の問いに応じるように、フェルターは言った。だが、名前だけ知っても、知らない肩書きを聞いても、彼が何者なのかの判断材料にはならない。しかし、男はそれで会話は終わったというように、空いた片方の手で彼女の白いローブを力任せに引き裂いた。秘部が晒され、彼女は喉の奥で悲鳴を漏らした。じたばたともがき、もごもごという声が牢の空気を微かに揺らす。

 

「いいのか? さっき、この部屋には誰もいない――そう俺に認知させようとしたよな? ってことはつまり、お前は奴隷傭兵たちから姿を隠しているってことになる。なのに連中はギフトホルダーをふたり飼っていると言っていた。誰かをお前だと誤認させて、当人は奥の牢で真の主ごっこだ。連中はお前に――いや、誰かに従っていることを知りさえしない。よって、ここに連中が来たら、俺と一緒にお前を犯すんじゃないのか?」

 

 男の推察は正鵠を射ており、セラニアは体が震えた。まず、フェルターという男が自分を犯すのは前提らしい。セラニアが声を挙げれば支配下の奴隷傭兵たちをこの部屋に呼び寄せてしまう。誓約の条件を把握したこの男が、奴隷傭兵たちに命令させる隙を与えるとも考えがたい。

 

 男の手が口から外された。そして、代わりに剛直が差し出された。声を出さなかったセラニアに、フェルターは満足そうにうなずいた。

 

「良い子だ。じゃあ、交渉の時間だな。俺が交渉の場に置けるのは、お前の身の安全だけだ。堅く閉じたぴっちりおまんこを、俺のこの肉棒でかき回す。それでもわからなきゃ、ケツも胸も全身をくまなく犯す。最後は奴隷傭兵たちを呼び寄せて楽しい楽しいぐるぐる輪姦のお時間だ」

 

 ひっ、と彼女は体を強張らせた。牢にいる村娘やリヴィスは、彼女の命令で娼婦にしている。だからきっと、さほどの苦痛は味わっていないだろう。だが、セラニアは違う。処女のまま激しい陵辱を受ければ、きっと耐えられない。

 

「な……なにを、すれば許してくれますか?」

 

 青ざめた顔で彼女はフェルターに尋ねた。すると――。

 

「いっ」

 

 ぺちんと音を立てて、陰茎で横頬をはたかれた。屈辱的な仕打ちだが、他の男より遙かに大きい剛直への恐怖が勝る。何が気に障ったのかわからずセラニアは押し黙るしかなかった。

 

「お前が交渉の場に出せる手札は体と純潔だけなんだよ。まずは自分の価値を俺に示してみろ」

 

 男の両手がセラニアの両頬を挟み込んだ。口元にペニスが押し付けられる。既にあふれ出しているカウパーがセラニアの口元を唾液のように汚した。

 

「わ、わかりました……」

 

 素直に口を開け、自分からペニスを迎え入れた。工房で村娘たちが奴隷傭兵にしていたように、目を閉じて顔を前後させる。唾液と先走り汁が混じった液体が喉に溜まる。吐き出したかったが、フェルターを怒らせるわけにはいかず、意を決して嚥下した。

 

 セラニアはいつか、こんな日が来ると予見していた。魔術師型にとっては大量の奴隷傭兵も十分に警戒に値する。もちろん膂力だけでも奴隷傭兵に対抗はできる。だが、それでも数の暴力に押し切られ口を塞がれれば魔術師型は少々力の強い女でしかない。

 

 だからこそ、彼女は陵辱されそうになったときの対策を考えていた。だが、フェルターがその猶予を与えてくれるようには思えない。

 

 純潔を奪われるのも覚悟しよう。

 

 最悪、奴隷傭兵たちの相手をするのも仕方がない。

 

 だからこの交渉に勝ち取るべきなのは、自分で自分に誓約をかける権利だけだった。

 

「じゅぷ……じゅぷ……ん……! む……ごぉ!」

 

 丹念にしゃぶっていたセラニアは、フェルターに頭を掴まれたかと思うと喉奥に衝撃を受けて目を剥いた。

 

「下手くそ。こうやって奥まで咥え込むんだよ。舌もしっかりと動かせよ」

 

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「ん……は……ぇ……」

 

 頭を掴まれて物のようにペニスを突かれていては返事も言われたようにすることもできなかった。喉の奥が涙腺を刺激するかのように眦から止めどなく涙が溢れてくる。

 

「いいツラだ。美味しいちんぽ咥えた嬉し泣きとは。……さあて、ご褒美をくれてやる」

 

 フェルターがセラニアの喉をさらに激しく犯す。それから鼻先が彼の陰毛に触れるほど突き込まれ、男の手がストップする。舌の上で陰茎が脈打った。

 

  爆ぜるような勢いで、喉に熱い液体が注ぎ込まれる。どくどくと流し込まれた精液を、涙ながらに彼女は飲み干した。口からペニスが引き抜かれようとする。カリが唇に触れる。そのとき、セラニアは従順さを示すために亀頭に吸い付いて尿道に残った精液を吸い出した。

 

「立場がよくわかったみたいじゃねえか」

 

 荒々しく男は、彼女の頭を撫でた。

 

 セラニアはそのまま後ろに倒れ込んだ。ひんやりとした牢の床が火照った体に心地よく感じる。大きく息を吸い込む。羞恥をかみ殺して、彼女は自分の膝を両腕それぞれで抱え、足を開いて男に秘部を見せつけた。

 

 獣はへそを見せるのが服従を示すように、彼女は自分から密壺を晒して無抵抗を訴えた。

 

「処女を……捧げます。どんなことでも受け入れます。だから……、私が私に誓約をかける許しをください」

 

 セラニアの哀願に、彼は笑みを浮かべたままで覆い被さる。形の良いセラニアの乳房が、男の指先によって歪んだ。力強くそれでいて性感帯を知り尽くしたかのような愛撫が、セラニアの内にある雌の本能を暴き立てた。一度の射精では物足りないようで、堅さを維持したままの亀頭が、閉じた秘部に触れる。

 

「そりゃあいい。俺の奴隷になるならどんな誓約だってさせてやるよ。……それで、どんな誓約をかけるつもりだ?」

 

 首筋に口づけをし、乳房や乳首を弄びながら、フェルターはペニスでセラニアの秘部を擦る。まるで欲しがるように彼女の膣穴から唾液のように愛液が漏れ出した。

 

「牢に捕らえた皆様にしたように……娼婦になります。そうすれば、心が傷つかなくてすむからです」

 

 淫蕩になれるものなら、セラニアはそうなりたかった。そうなれば、男たちを恐れずにすむ。ギフトを持とうと、個体能力として優れていようと、自分には男が求める体があると彼女は知っていた。魔導森林――否。大陸中で毎日どこかで行われている。ギフトホルダーには懸賞金がかけられ、ひとつのミスで陵辱に苛まれる。剣士が魔術師を端金で売り渡し、魔術師は剣士型を罠に嵌める。恩讐の連鎖から脱却するには、最低限領主クラスの権勢を得なければならない。

 

 そのために生み出したのがこの工房だ。上手くいけば魔導森林の領主となって、領地に入った全員を陰ながら支配できる。そうなれば安泰だ。誰も彼女の居場所を掴めず、足を踏み入れれば強制的に誓約がかかる絶対王政の中、彼女は死ぬまで平温を享受できるだろう。

 

「……なるほどな。悪意はなかったわけか」

 

「……?」

 

 男の問いに、彼女は首をかしいだ。

 

「いや、いい。――すぐにわかる。なら言った通り、処女はいただくぞ。そして、俺が果てる前に、約束を遵守しろ」

 

 男がセラニアの頬を舌でなぞった。その生暖かい感触に背筋が震え、身の強張りが一瞬だけ揺らいだ。そのとき、激しい痛みが下腹部から脊髄に向かって槍でうがち抜かれたかのように走った。

 

「いっ……」

 

 声はそれしかあげられなかった。悲鳴など出せるほど生やさしい痛みではない。

 

 本当にこれが、陰茎が膣内に入った痛みだとは信じられなかった。

 

 処女膜を破られ、まだほぐれていない膣穴を剛直で無理矢理に掘り進めていく苦悶だ。背中を弓なりに反らして、彼女は必死に苦痛に耐える。

 

 二度――そして三度。

 

 陰茎が膣内を前後するたびに、彼女の膣から分泌された卑水が滑りをよくし、徐々に痛みが収まっていく。そうして、痛みによって一度沈められた雌の本能がにわかに顔をもたげ始めた。

 

「はっ……はっ……、はあっ……はん」

 

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 彼女の声に甘ったるい色が混じっていく。それは彼女の体が行為に適応し、膣内を動く肉棒から快感を摂取し始めたことを意味している。セラニアの四肢は抵抗らしき動きはひとつもしていない。この交尾を他者が見たならば、多くのものが合意の上だと認識するだろう。

 

「くっ、流石によく締まるな……。……いいのか? そろそろ約束の時間だぞ?」

 

 男は腰の動きを速めていく。

 

「あ……はっ、はっ……はっ、はっ。わったしは、フェルター様の、ドっレイで……すっ」

 

 喘ぎに紛れ、彼女は奴隷であると宣言した。言い終えた報償のように、どくどくと音を立てて彼女の奥に熱い精液が注ぎ込まれた。

 

 ペニスが膣口から引き抜かれたかと思うと、腹ばいの姿勢に変えられた。尻穴に刺激を受けて、彼女は四つん這いの姿勢で肩越しに男を見やった。

 

「いいのか? 誓約はしないで。今から俺はお前の尻を堪能する。せいぜい――それが何を意味するか身をもって体感するんだな」

 

 フェルターが何を言わんとしているのか、セラニアにはわからなかった。だが、尻穴を犯されるという背徳的な行為は自分に耐えられない苦痛を与えると彼女は予測した。

 

「私は――肉便器です。羞恥も恥辱もなく、私はあらゆる行為を受け入れます……」

 

 セラニアは自らの体に誓約を科し、紛れもなく地下牢の住人と化した。

 

 最前犯されたばかりの膣が、餓え乾くかのような渇望もって愛液をしたたらせる。尻穴は先っぽだけ入れられたフェルターの指先をきゅっと締めつけた。

 

「お尻……に、おちんぽくらはい」

 

 情欲への餓えが、滑舌にまで影響している。蕩けた彼女の顔は、淫らな笑みをたたえていた。

 

 しかし。

 

 ――ああ、そんな。

 

 体は情欲の虜となり、男の体温や指先、そして肉槍をひたすらに待ちわびている。

 

 だが、彼女の心は違った。

 

 体と心が乖離する。それは、ただ犯されているだけより遙かに屈辱的だった。

 

「聞こえるだろう? これが、お前がこの地下の女たちに与えた屈辱だ」

 

 フェルターは最初からセラニアの心得違いを悟っていたように言った。尻穴にペニスをあてがい、背後から彼女の胸をまさぐりながら、耳元で囁いてくる。そのどれもが肉奴隷と化した彼女の体には絶頂へ至るための導線でしかない。

 

 ――私はこんなことを皆様に――強制させていたのですか?

 

 後悔が彼女の魂を蝕んだ。尻穴を前後するペニスへの恐れを抱く。同時に、それを待ちわび快楽を貪る自らの肉体がおぞましい。体を制御できないのに、ただ快楽と自らの体に加えられる陵辱だけが別個のものとして彼女の心を苛み続ける。

 

「あはっ……素敵です。ふっとい……おちんぽ大好き……。このままじゃ……、私、腸で孕んでしまいそう」

 

 自らの意思では絶対に放たれない卑語が放たれ、セラニアを辱める。肉体に備えられた雌の本能が、理性という軛を失って暴走していた。

 

 ――いや、もうやめて。けど……。

 

 耐えがたい苦痛だった。だが、彼女にはもはやどうすることも叶わない。不世出の誓約士セラニアは、終了条件を定義せずに誓約を可能とする。彼女の心は肉体が感じた悦楽を、精神の牢獄の中で受け止めながら、一生を過ごすことになったのだ。

 

 ――お願い……。許して……。

 

 適うことのない哀願を、彼女は闇の中へと放ち続けた。

 

「もっと、もっと……! ああん、もう。どうしてフェルター様のおちんぽ、ひとつしかないのお……、前も後ろも一緒に犯してほしいのにぃ」

 

 肩越しに振り返って、セラニアは舌を伸ばしてフェルターに口吻を求めた。初めてのキスとは思えないほど、雌としての顔になった淫らな口吻だった。

 

 やがて尻穴に濁流のような量の精液が注がれ、さらに彼女の喉が卑語を繰り返す。

 

「誓約を解け」

 

 絶頂を繰り返していた彼女に、フェルターが語りかけた。

 

 すると、セラニアが自分でかけた永続的な誓約が解かれていた。貪った快楽が残した虚脱感に襲われ、彼女は床に倒れ込む。それでも心が闇から逃れ、自由を取り戻したことは得難い喜びだった。

 

「あ……ありがとう……ございます……」

 

 涙で顔を汚して、彼女は心底からの感謝を口にした。

 

「……でも、どうやって……。私の誓約を……」

 

「俺は奴隷契約というギフトを持つ。奴隷は俺の命令には絶対的に従う。だから解除できた」

 

 男は再び、誓約が解除された彼女の尻穴にペニスを突き入れた。むず痒い快楽はあるし、汚されている屈辱も感じている。だが、それでも誓約をかけた際の、自分が自分でなくなりながら、しかし淫蕩にただ情欲を求めるよりは耐えられるものだった。

 

「これが、お前の罪だ。罰としてお前は支配下の奴隷傭兵に飽きるまで犯させてやる。なんなら……同じ誓約をもう一度かけさせてやってもいいが?」

 

「お願い……誓約だけは許してください……」

 

 恐怖に涙をこぼして、彼女は膣穴をぎゅっと絞った。背後から犯される中で、唯一できる男への奉仕だった。締め付けた膣穴を男のペニスが押し開いていく。カリところか血管の凹凸まで感じ取れるほどに、彼女の膣壁は肉竿に絡みついていた。

 

「よおし、良い子だ。じゃあ、ちゃんと犯されて禊ぎを果たさないとな。ここの奴隷傭兵どもはお前の手駒だろう? なら、お前に操られて好き放題された連中の下剋上だ。その設定で一晩犯されぬけよ」

 

 そこまで言うと、フェルターは膣内の奥底になみなみと射精した。ペニスが引き抜かれて、床に倒れ込んだ彼女は、命じられるがままに奴隷傭兵に命令を下した。

 

 狭い地下牢に奴隷傭兵がなだれ込んできて、雄の臭いが濃度を増した。体は動かなかった。フェルターによる命令によるものか、彼女が既に抵抗の意思を失ったのか彼女自身にも判断がつかない。

 

「お、こいつか。俺らをいいように使いやがったクソ女は」

 

「いいザマだぜ。あんたか? こいつの支配から俺らを解き放ったのは?」

 

 などと言いながら、男たちはセラニアの体に群がり始めた。

 

 ちょうど後背位で犯されうつ伏せになっていたためか、男のひとりが彼女の尻肉を強く揉みしだきながら持ち上げると、躊躇いなくペニスを突っ込んだ。

 

「お、こりゃあいいぜ。ふざけた真似した分、体で返してもらうとすっかな」

 

 パンパンと乾いた音と彼女の愛液が鳴らす瑞々しい音が地下牢に響く。犬のように四つん這いになって、膣内を肉棒が擦る悦楽に耐えていたが、前に回った男がペニスを鼻先にぶら下げる。

 

「……ごめんなさい。ごめっ……んなさい」

 

 下腹からこみ上げる快楽の波に耐えながら、彼女は謝罪をし続ける。それは彼女が地下牢で陵辱した娘たちに向けられたものだったが、しかし、男たちは自分たちに許しを乞うているのだと誤認し、力強くペニスを隆起させた。

 

【挿絵表示】

 

 前後から肉竿で貫かれながら、セラニアは自分が犯した非道を悔いて、涙を溢れさせた。

 

 




パラメータで分かる! 現在の状況

地底唾王城総戦力
フェルター  戦術33.5→39 諜報15

※フェルターの戦術レベルは奴隷の半分が加算される
※ただし、地底唾王城以外では相手の戦術レベルに合わせてレベル制限される

特殊オプション
毒合成レベル6
魔術工房レベル20→40
オーク2匹
→奴隷傭兵50人
→保護中:村娘9人、イヌ1人
地下牢
作戦会議室
→魔術工房×2(セラニア、ロザリンド分)
※魔術工房レベルは戦術レベルと同等まで上げられる
新規開放施設:
工房レベル40達成。地底唾王城領地拡大。鉱山、農地、領海、山林が開放。
現在指揮者(鉱夫、農夫、漁師、木樵不在で資源活用不可)

保有奴隷
傭兵リヴィス    戦術10 
騎士アウレリア   戦術20 
剣士レビア     戦術10 諜報2
魔術師ロザリンド  戦術9  諜報5  工房20
暗殺者リドベダ   戦術8  諜報8  特技:特殊毒
槍騎士ヴァスカ   戦術11
→誓約士セラニア   戦術11 工房20 特技:領地誓約

※戦術レベルは単純な戦闘力ではなく、完全な指揮でベストの戦果を発揮したらそうなるという塩梅

大目標
魔導森林領主 戦術40 諜報30
剣姫庭園領主 戦術50 諜報40
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