華やかな街灯に照らされた夜の都市を、ひとりの少女が駆ける。
短い漆黒の髪が風に揺れ、赤いトップスに包まれた豊かな胸が、彼女の尋常ならざる速力に激しく上下する。黒のホットパンツから伸びる白い太ももはまばゆささえ感じられた。
商業都市デュダル。剣姫庭園でも有数の歓楽街を誇る街だ。多数の豪商が財を成し、中には発言力で騎士に匹敵する者もあると言う。
そんな街だからこそ――彼女は生き生きと仕事にいそしむ。
今日もひとつ仕事を終えた。速度を落とすことなく、彼女は屋根から屋根へと飛び移る。一歩間違えれば落下して命を落としかねない状況でありながら、彼女はウエストポーチにしまい込んだ成果物を取り出した。
親指の爪くらいの大きさがある、アクアマリンの指輪だった。正規のルートであれば金貨十枚はくだらないだろう。こうした盗みを繰り返し、彼女の名はデュダルでも知れ渡り手配書さえ作成された。
街盗賊ジリ・スカーレット。
ジリは知り合いから見せられた手配書を思い出してほくそ笑んだ。生け捕りのみで金貨三百枚。どうやら彼女に商品を盗まれた商人の誰かが手配したらしい。
「止まれ! さもなきゃ――」
眼下には必死になって彼女を捕縛しようとする警備兵の姿があった。商人の私兵だ。高額の給料で雇われている以上、商品を盗まれれば沽券だけではなく職を失う可能性もある。必死な形相で彼女を追う中年のヒゲ男が何を言うのか気になって、彼女は足を止めてみた。
「さもなきゃ?」
唇に指を当て、挑発的に彼女は屋根の上から地上に向かって問いかけた。
警備兵はしばし困ったように口を止めてから、やがて何かを思いついたように彼女を見た。
「――剣姫様に、報告するぞ!」
「あはっ」
ジリは警備兵の言葉に破顔した。
「へえ? それをあんたたちの雇い主が許してくれると思う? 騎士団からも覚えがいい商人が、大事な商品を小娘ひとりに盗まれました――って?」
豪商と呼ばれるほどの連中にとって騎士団とのつながりは重要なものだ。剣姫庭園の騎士団は基本的にいずこかの商人と専属契約を行う。奴隷傭兵団と異なり、騎士団は質と量を揃えられる商人を必要とするためだ。
有力な騎士団を後ろ盾にした豪商は、商人として絶大な信頼が得られる。どこの商会も煌びやかな横断幕でなんとか騎士団御用達――と喧伝しているのはそのためだ。
騎士団には重要な商品を必要に応じて騎士団に納品する役目を負う。揃えた武具を野盗に襲われて失いました、領主謁見で着飾るために誂えた装飾を泥棒に盗まれました――などは言い訳にもならない。商会としてのメンツを捨てるに等しいのだ。
だからこそ、彼らは私兵を雇う。私兵は奴隷傭兵よりは腕が立ち、それでいて騎士団には入れない程度の兵士が多い。
それはつまり、ジリのような野良のギフトホルダーを捕縛するのは不可能なのだが、だからといって騎士団が商品の紛失を許すかどうかは別問題だ。
警備兵が押し黙ったのを見て、ジリはからかうように人差し指を彼に向けてから、勝利の笑い声を闇夜に響かせると彼女は再び屋根の上を駆けだした。
デュダルの夜は長い。どこの商会も時間を問わず商品の搬入、納品を受け付けている。高級店から場末まで、酒場や娼館は夜こそが本領だ。
――まだまだ稼げるな。
彼女は笑って次の獲物を探しに駆けだした。
目当てはつけてある。盗みに必要なのは情報だ。そして情報は、自分の目で確かめたものしか信じない。それがジリの流儀だった。
基本的に彼女が狙うのは豪商の自宅だ。商会には卸すための商品こそ大量にはあるが、一点物は少なく、重量を踏まえると効率は極めて悪い。対して自宅には彼らの成金趣味を満たすための、彼女の目には無価値にしか映らない高級品が眠っている。その中には違法な手段で手に入れた品も多く、より騎士団へ被害を訴える危険も少ないときている。
先ほどの指輪もそうだが、装飾品や宝石ははかさばらない割に高級で盗むには最適だ。ジリの頭に豪商たちの顔が並ぶ。どいつもこいつも肥えて脂ぎった顔をしていて、小洒落たサイズの指輪やブローチが似合う造形ではない。
だから飴玉みたいな大きさの、ともすれば下品とも言えるサイズの宝石で己を着飾るのだ。
「まあやっぱり、お得意さんに挨拶しておかないとね」
闇に紛れて彼女は悪戯な笑みを浮かべる。
大商人コブロキ。
デュダルでも随一の商人だ。小太りの商人が押しくら饅頭した末に産まれたかのような風貌の男である。似合いもしない特注の赤い背広に身を包み、肉がつきすぎた手は既に本来の機能を喪失しているらしく、短い指には馬鹿でかい宝石の指輪が陳列されている。
ジリはコブロキの家に何度も盗みに入っている。もはや警備隊長とは顔なじみだ。顔を真っ赤にして追いかけてくるむくつけき巨漢には、ある種の同情を禁じ得ない。彼が特段に無能だというわけではないのだから。
ジリの盗みを防ぐには、コブロキ邸宅の警備体制には無理がある。まず、邸宅が広すぎる。その上で窓やバルコニーなど、出入り口が多すぎた。さらには警備兵の数が圧倒的に不足している。下手な砦よりも広いにもかかわらず、警備兵は三十やそこらだ。それでは警備の手が足りるはずがない。
ではコブロキが愚昧なのかと言えばそれも違う。ジリが盗みたいと思う高価な品が複数ある屋敷だ。奴隷傭兵崩れを雇えばむしろ被害は拡大しかねない。
「まあ、あくどいことして稼いだ分の税金ってことで」
ジリには盗賊として最低限の矜持がある。富める者から盗むこと。貧したものには施すこと。
歓楽街がデュダルの光なら、彼女の生まれ育ったスラムは闇だ。光に潜って得た金銭は、闇でばら撒く。金貨十数枚になる指輪も、数千いるスラムの孤児の腹を満たすには足りない。
だから彼女は夜ごと盗みを繰り返している。
「さて――始めるか」
彼女は笑みを消し、夜風に気配を沈めてから気配探知を始めた。コブロキが易々と他者を信用しないのはわかっているが、それでも注意は怠らなかった。
まずは屋敷に住まう給仕たち。この大陸において、ジリが警戒すべきなのは女だ。彼女と同じギフトホルダーなら、単独で彼女の脱出を邪魔するのも可能だ。給仕の総数に変化はなく、気配から察するに入れ替わりもない。
次に警備兵の数を探査する。こちらは三十前後――いや、ひとり増えている。一応警備の数を増やすつもりはあるようだ。ジリの盗みを咎めるには最低でも倍はほしい。が、その程度まで警備の数が増えれば、ジリはターゲットを変えるだけだ。リスクはとらない。手配書にもある生け捕りのみの字。散々盗みを働き、彼らを嘲ったのだ。捕まればおそらく死ぬよりも苦しい目に遭わされるのはわかっていた。
屋敷に入る。警備体制に大きな変化はない。屋敷のいくつかの部屋にカテゴリ別でコブロキ秘蔵の品が眠っている。美術品や武具、それに目当ての宝石だ。
警備は半数が出入り口を固め、残りが宝物室の警護をしている。彼女の目当てはあくまで宝石のついた装飾品に限られるが、だからといって宝石の警備だけが厳重だったりはしない。
他の部屋に入った経験がないので推測しかできないが、宝石は屋敷の中ではまだ安い部類なのかもしれない。宝石部屋にあるのは高級なものではあったが、由来がありそうな指輪や首飾りなどはなかった。そこまで高級が過ぎると今度は闇といっても販売が難しくなる。だから狙うつもりもないのだが。
目指す宝石部屋の前には警備兵がふたりだけ待機していた。盗賊型とはいえギフトホルダーのジリは、彼らに気づかれる前に気絶させるくらい簡単な作業だった。
部屋に入り、彼女は盗む品を吟味する。相変わらずコブロキの商売は儲かっているらしい。幾度となく訪れているが、盗んだ分以上に品物は増えていく。金貨十枚前後の価値はあるだろう指輪を三つほど決めた。
獲物を手にする前に、彼女は深呼吸をする。ここからが本番だ。この部屋に置かれた品を動かすと、邸宅全体に警報が鳴り響く。魔道具によるものだろうが、彼女は魔導に長けてはいないので何を壊せば警報を解除できるのか判別できなかった。
なので鳴り響いた警報の中、邸宅を脱出するしかない。捕まればどんな目に遭うかは想像に難くない。だから、この緊張感は格別だった。
指輪を掴む。けたたましい警報が鳴り響く。苛立たせる音量の中で、彼女は集中する。邸宅内の警備兵の動きを読むためだ。
そこで、彼女は警備兵たちが普段と異なる動きを見せているのに気がついた。通常であれば警備兵は彼女が品を盗んだこの部屋に殺到する。ただし、彼らは邸宅内全域に散らばっているため、警備兵が少ないルートが無数に発生する。手薄な道を選んで悠々と脱出すればよかった。
だが、今回は警備兵はここへは向かってはこなかった。屋敷全域にある出入り口を固めようとしている。
「考えたみたいだけど、お馬鹿さんばかりだね」
ぺろっと舌を出して、彼女は行動を開始した。少数の警備兵なら彼女は容易に突破できる。戦闘態勢に入った十名前後を正面から相手にするのは避けたい。それがジリの自己評価だった。
ただ、邸宅は広すぎたし、出入り口も相応にある。警備の割り振りも意味不明だ。正面入り口に十五人。バルコニーに十人。キッチンにある裏口に五人だ。窓などは無警戒。不思議なのは屋上への脱出路がある屋根裏部屋の前にひとり配置されている点だ。
「――新顔に挨拶しておくか」
気配から屋根裏部屋の警備を新人が任されていることを知ったジリは、そうつぶやく。
情報は得られる際に得ておくべきだ。配属されてから即ひとりでの警護を任されているのは、相当に腕が立つのかもしれない。男とて誰しもが弱いわけではない。閃銀騎士団の副団長は確か男だったはずだ。複数と対峙した状態で、凄腕が混ざっていたら厄介だ。
というわけでジリは新顔の待つ屋根裏部屋に向かった。
扉を開けると警備兵がこちらを見た。気配を隠していたため、扉を開けるまでジリに気づかなかったのだろう。部屋の構造は単純だ。ジリが入った扉と、反対側にもうひとつ扉がある。奥の扉から屋根裏部屋に上がっていける。鍵がかかっていても二秒もあればジリは解錠できる。彼を打ち倒す必要はない。
「はぁい、新顔くん。私が盗賊のジリ・スカーレットよ」
「ハ。聞いてた通り随分と跳ねっ返りみたいだな。俺はフェルターだ」
フェルターと名乗った男は、狼狽えた様子もなくそう応じた。警備兵には制服があるわけではない。ただ、私兵には重武装が認められておらず、鎧や真剣は持てない。フェルターも皮をなめした黒い上下に、木剣を一本握っているだけだ。
「見逃してくれたら痛い目見なくて済むわよ?」
「なるほど、あまりの優しさに涙が出そうだ」
フェルターは余裕の笑みを崩さぬままで言い、横に退くと手で扉を示した。意外な反応にジリは一瞬迷った。コブロキは失態した警備兵に懲罰を加える。見たことはないが、給仕が話しているのを聞いたことがある。女性の給仕に鞭で叩かせるのだそうだ。女性に鞭で痛めつけられ、警備兵は屈辱を抱く。男を痛めつけた給仕に、コブロキは劣情を催す。給仕にとっては警備兵を鞭打つのとコブロキに抱かれるのはセットらしい。給料は娼婦をするより遙かに高いらしく、件の給仕は満足そうにしていた。
「ん? まあ簡単に逃がしてもらえると思いはしないか」
フェルターが部屋の端に向かい、そのままこちらへ向かってくる。距離を保つという証明だろう。ジリはその誘いに乗った。壁を背にしフェルターへの注意を外さず、一歩一歩慎重に進む。
特にフェルターが動くこともなく、彼女は奥への扉にたどり着いた。安堵の息を漏らし、解錠を始めようとする。フェルターは彼女が入ってきた扉に体を向け、彼女に襲いかかる気配もない。
そこで、彼女は気がついた。鍵穴が埋められている。彼女の解錠は魔術ではなく技術だ。鍵穴がなければ解錠はできない。
――嵌められた!
と思って背後を見る。フェルターは彼女が入ってきた扉の内鍵を破壊していた。
つまり、この部屋には現時点で脱出経路はない。扉くらい多少時間をかければ壊せなくはないが、それをフェルターが黙って見ているとは思えなかった。
「さあてと、こっからは楽しい鬼ごっこだな」
下卑た笑みを浮かべると、フェルターはズボンからいきり立った逸物を取り出した。肉竿の膨張が、自分の体に対しての劣情だと思うと、ジリは寒気がした。未経験の彼女には確かなことは言えなかったが、怒張の太さと長さが常軌を逸していると思った。
だが、怯むわけにはいかなかった。ジリはウエストポーチから短刀を取り出す。殺してでも脱出する。警備の業務に当たっているだけの警備兵を殺害するつもりはジリにはなかった。だが、フェルターは明確に彼女の純潔を奪おうとしている。紛れもない敵だ。
フェルターは木剣を不意に投げてきた。ジリが身を捩って避ける。直後、フェルターが木剣を追うように駆けてきて態勢を崩したジリの短刀を持つ腕を掴んだ。
恐ろしいまでの怪力だった。腕を引っ張られて彼女は木偶のように成すがままになった。短刀は放り投げられて、床に組み伏せられる。どんな力をしているのか、彼女のホットパンツの股部分が引きちぎられた。
「お、早くも濡れてやがんな」
フェルターが嬉しそうに笑う。
「……汗に決まってるじゃない。こんな状況で興奮するわけないでしょ」
「これは自己防衛だよ。俺のペニスを見て、おまんこ塗らしておかなきゃ壊れちゃうって体が判断したわけだ」
フェルターはそう言うと彼女の膣を優しくなぞった。ジリから分泌された液体に濡れた指で、男は彼女の頬をなぞる。汗ではない匂いがして、彼女は自分の体を恨めしく思った。
「今からジリちゃんの体で楽しませてもらうわけだが。丹念にご奉仕して身も心も俺の奴隷になるって言うんなら、先行きは変わってくるぜ。何せ俺は、コブロキに雇われはしたが、お前が欲しかっただけでな。捕らえた場合のお前の処遇は俺に一任されている」
「……まさか。コブロキがそんな約束守るわけないでしょ?」
「商人ってのは約束の履行が第一だ。いくらあくどかろうとその最低限の約束事を守れないんじゃどうあがいても大商人には成れやしない」
ジリは考えた。フェルターの言うように約束をコブロキが守るのであれば、フェルターのものになった方がいい。現時点で脱出の可能性は潰えた。フェルターひとりに犯されるのと、コブロキを含めた警護兵に輪姦されるののどちらがマシか。
当然ながら前者だった。
「わかったわよ」
ジリは顔を羞恥に染めて、赤いトップスをたくし上げた。フェルターが囃し立てるように口笛を吹く。フェルターが荒々しく彼女の乳房を揉んだ。強引な愛撫に体が火照るのをジリは感じた。
「……初めてだから、下手かもしれないけど」
上目遣いにフェルターを見上げ、ジリは自分の手に収まらない乳房を揉む。そうしていきり立った逸物を、乳房で挟み込んだ。巨大なペニスは大きな彼女の乳房に埋もれることはなく、先端がはみ出ていた。フェルターは何も言わず彼女を見下ろしている。
胸を上下してペニスを扱きながら、彼女は舌を伸ばして亀頭に触れる。独特の精臭がして、彼女は一瞬だけ顔を歪ませたが、そのまま先端を咥え込んだ。
「謙遜するな。初めてにしてはよく出来てる。淫乱の気があるんじゃないか?」
フェルターがジリの頭を掴む。ペニスが脈打つのを胸の谷間でジリは感じた。ペニスから口を離したかったが、頭を抑えられて抵抗ができなかった。
口の中に凄まじい量の精液が放出された。フェルターが彼女の頭を引っ張って頭上を向かせられた。吐き出すのを許さないという声明だろう。仕方なく彼女は青臭い精液を嚥下する。
そうして顔を下ろした彼女を待ち構えていたのは、射精したばかりなのに萎えていない剛直だった。乳房を動かして再び扱こうとしたが、男は腰を退いて乳房からペニスを引き抜く。
「さあて、前戯は終わりだ。本番としようか」
ジリは悔しげに目を細めた。男の性欲は無限ではないと聞いている。だから、射精させてしまえば純潔を守れるかもしれないと淡い期待を抱いていた。
フェルターがジリの片足を持ち上げ、露出した膣口にペニスをあてがう。目を逸らしたい光景だったが、同じくらいに目を離せない。フェルターのペニスは彼女のそんな考えを見透かしたように、前後に小刻みに動いている。
じわり、と膣口から愛液が漏れ出す。
「違う……これは」
「ああ、そうだな。犯されそうになって愛液出すような女じゃないよなジリちゃんは」
煽るように言われ、ジリはキッとフェルターを睨み付け。
「いっ……」
と呻いて、弓なりに背を反らした。目を離した瞬間にペニスが突き込まれたのだ。
「痛い……痛いってば! 無理よぉ、お願いだから抜いてぇ!」
「いいのか? そんな大声出して。さすがに俺もこの場に他の警備兵が来たら混ぜてやるぜ?」
フェルターの言葉に、彼女は声を出す自由さえ奪われた。代わりのように涙が漏れ出す。
「淫乱なジリちゃんはそっちの方がいいのかもしれんがな」
「そんな……ことないっ。ひとりで十分よ。……そう、フェルター様のおちんぽだけで、満足です……」
屈辱に身を焼かれるような思いを抱きながら、口だけは従順にした。逆らっても意味はない。
「ほう、俺の奴隷になるか?」
「なります……。フェルター様の奴隷になるから。お願いだから他の人にジリを抱かせたりしないで……」
フェルターは彼女の奴隷宣言に気を良くしたのか、腰を振る速度を増した。パンパンと乾いた音と淫水が混じる音が部屋に響く。その音に徐々に彼女の甘い声も混じり始めた。
――嘘、私、感じてる。こんな風に犯されて……?
そう思った羞恥が、更に彼女の体を敏感にした。膣襞が肉竿をしっぽりと包み込み、さらなる性感を促す。
「いいな、お前のおまんこは。精液を絞り出すことしか考えてねえ」
ジリは必死に首を振ったが、フェルターの言葉を否定するつもりではなかった。ただ、下腹からこみ上げてくる堪えきれない快感に、彼女は首を振って抵抗したかったのだ。
「おら、膣内に出すぞ!」
その宣言にジリは目を剥いた。だが、ボルチオに届いた亀頭が、子宮口に向かって精液を迸らせると、薄皮一枚残っていた彼女の自制が破れた。
ジリは腰を浮かし、体を全霊で弓なりにして、顎を上げた。誰が見ても文句のない派手なイキっぷりだった。
「こりゃあ見事にイッたな。処女喪失でそのままイケるなんて素質あるぜ」
フェルターがそう言って、ジリの体をうつ伏せに反転させる。覆い被さって彼はジリの胸を揉みしだく。イッたばかりで敏感な彼女は、こらえきれずに小さな喘ぎ声を漏らしてしまう。
「さあて、次はこっちにお邪魔するぞ」
と告げられ、ホットパンツを下ろされた。尻に堅いものが押し当てられて、彼女は恐怖で青ざめた。
「そんな……お尻なんて……」
肩越しに振り返り、ジリは哀願するようにフェルターに訴えた。だが、フェルターはそんなジリの表情でなおさらペニスを硬くするだけだ。
ぐっぐっ、と徐々に尻穴が亀頭によって押し広げられていく。抵抗したかったが、どうするのが抵抗になるのかも彼女にはわからなかった。ギフトホルダーにとって尻穴とは無用の長物だ。何せ彼女らはあらゆるものを栄養に分解可能なため、排泄物を出したりはしない。
「あっ、あっ、あっ」
抽送に合わせて、抑えきれない喘ぎ声が漏れる。ギフトホルダーは多くの場合尻穴が弱い。それは排便の快楽を知らぬためだ。誰しもが排泄によって慣れた行為が、彼女らにとっては未知数の快楽を生む。
「はっ、ケツの具合もほどいいな。こいつは立派な肉奴隷になる」
覆い被さったフェルターが彼女の耳元で囁く。いつもなら屈辱としか思えないはずの彼の言動にも、彼女は被虐的な快楽を感じ始めていた。
程なくして、直腸に精液が注がれる。未踏の腸に栄養を注がれて、彼女の体はイキよがった。
――私、お尻でイッちゃった……。
自分に淫乱の素質があると知って、ジリは羞恥と快楽の反動でぐったりと床に倒れ込んだ。
フェルターが彼女の顔の方へ移動し、肉竿を彼女の口に押し当てる。無意識に彼女は唇で愛撫しつつ、ペニスを咥え込んだ。
「ほら、残った精液を吸い出せよ」
言われるがままに彼女は尿道から精子を吸い出し、言われもしないのに飲み干した。つい最前まで彼女のアナルを犯していた肉竿を、である。
フェルターが彼女の頭を両手で掴むと、ペニスを喉奥に突き入れた。突然の暴挙にジリは目を見開いた。そのまままるで性器にするが如く、肉槍で彼女の喉を犯す。激しい抽送に、舌で愛撫など考えられもしなかった。
ろくに呼吸もできない苦しみで、口淫が長く感じられた。やがて、男は彼女の口内になみなみと精子を注いだ。それをジリは涙目で飲み干す。
「ちゃんと飲めたか?」
そう尋ねられてジリは口を開いた。一滴も精液は残っていない。
フェルターはそうした彼女を満足そうに見やると、彼女の体を仰向けに反転させた。
――まだ、何かするの……?
その無尽蔵の精力と体力にジリは怯えた。
フェルターは仰向けの彼女に多い被さると、強引に口吻をしてきた。元来なら性交の始まりにするであろう行為だ。フェルターの舌がジリの口内に侵入し、歯や舌をなめ回す。
じわり、と一層ジリの目に涙が溢れた。ああ、と失って彼女は初めて気づく。心を許せた異性に、してみたいことはフェラチオでもパイズリでも、もちろん性行為でもなく――ただのキスだった。
それを無理矢理に奪われて、ジリは自らの惨めさに泣いたのだった。
「さあてと。一通り楽しませてもらったぜ。俺の肉奴隷のジリちゃんよ」
フェルターはそう言うと陰核を指先で弾き、それからホットパンツを上げ、たくし上げたトップスを戻した。
「着いてきな。コブロキに報告しておさらばだ」
「じゃあ……」
コブロキには引き渡されなくて済む。彼女はフェルターの気分を害さなかったことに安堵した。
フェルターの後に付き従ってたどり着いたのは、正面扉の近くにあるエントランスだった。そこには三十名の警備兵に加え、脂ぎった肥満体型の中年がいた。
コブロキである。
「むほほ。これが儂の商品に手をつけた泥棒娘か。たまらん体をしておるな」
コブロキの視線がジリの股に注がれる。服は着させてもらったが、フェルターに破かれた部分はそのままだ。他の警備兵もジリの姿から、フェルターによって陵辱されたことを悟っているのか、にやにやとした笑みを彼女に向けている。
「ああ、悪くなかったぜ。……さて、約束通り報酬をもらおうか」
「うむ。多少の悪さなら許してやったところじゃが、流石に買い手が見つかった品に手をつけられては儂の信用に関わる。約束通り娼館をひとつ、お渡ししよう。じゃが……働き手の目処はついておるのか?」
「当然だ。俺の奴隷に客を取らせる。誓約士も準備してあるから情報が漏れることもない」
言って、フェルターはジリを抱き寄せると、警備兵に見せつけるようにジリの豊かな胸に指を沈めた。ジリの痴態に警備兵たちが声をあげる。
「ふむ……。ということは……」
コブロキがいやらしい笑みを浮かべ、露わにされたジリの性器を目でなぞった。物理的な感触さえ感じさせるほどのおぞましい目つきだった。
「その泥棒娘を一晩買うことも可能かの? なに、儂は随分と枯れておるがのう。警備の者たちは虚仮にされたままでは許せんじゃろう」
「値段次第だな」
フェルターの返答に、ジリは視線で抗議した。しかしフェルターはジリを一瞥もせずに、コブロキとの交渉に入っている。
「金貨千枚でどうじゃ?」
「まったく、立派な大商人だ。相場の倍以上出されちゃあこっちも断るわけにはいくまい」
フェルターがジリの背中を押して、彼女はコブロキの方へと投げ出された。ぼろんとコブロキは醜い逸物を取り出すと、ジリの太ももに擦りつけた。さらには短い舌を伸ばして、彼女の頬を舐める。
「……嘘つき……っ!」
体をひねってコブロキの愛撫から逃れようとしながら、ジリはフェルターを罵った。だが、彼とジリの間に、遠巻きに彼女たちを眺めていた警備兵が群がってきて、すぐに姿を見失った。
「さあて、泥棒娘のおまんこの締まりはどれほどかの?」
鼻息を鳴らしてコブロキがペニスを膣穴にあてがう。眦から涙を溢れさせながらも、ジリは気丈にコブロキを睨み付けた。それが、コブロキをさらに欲情させるとも気づかずに。
「……っあ。……ん」
懸命に息を堪えるが、絶頂の余韻が残った膣襞は熱心にコブロキのペニスに絡みつき、敏感に快楽をジリにもたらした。ジリの反応に気を良くしたか、コブロキは口元を更に緩めて、腰をゆっくりと突き出した。
フェルターの暴力的な抽送とは異なる、ゆったりと沁みるようなストロークである。
「儂ももう年でのう。そなたの若い張りのある体をひとりでもてなすのは億劫じゃ」
ゆっくりと腰を動かしながら、コブロキが短い指をジリの胸に沈めていく。
「警備隊長。散々に弄ばれた借りを、ケツ穴を犯して返してやるとよかろう」
コブロキは手で警備隊長を呼び寄せる。コブロキに犯されたまま、ジリは肩越しに振り返った。すると、剛直をいきり立てた警備隊長と目が合う。
「あ……やだ……いやぁ」
コブロキに体を抱えられて、彼女には首を振るくらいの抵抗しかできなかった。背後から彼女の腰を警備隊長が掴む。尻穴に堅いものが押し当てられたかと思うと、一気に奥まで突き入れられた。
「二本……同時に、なんてぇ」
彼女の中で二本のペニスが擦れ合う。
「テメエの盗みで俺がどんだけ折檻されたのかわかってんのか、クソが!」
警備隊長はジリの乳房を激しく揉みながら言った。
「ほっほ。全くのう。その泥棒娘が儂らに挟まれてこんな雌の顔を見せておるとは。老いたとはいえ、儂もたぎるわ」
背後から高速でアナルを犯され、前の穴はコブロキが蝕むような遅々とした抽送を繰り返す。異なる種類の刺激が彼女の口元に締まりをなくさせ、徐々に唾液が溢れた。その無様な彼女の姿に前後から犯すコブロキと警備隊長だけでなく、周囲を囲む警備兵たちの興奮が伝わってくる。
尻穴に熱い迸りが放たれた。コブロキはすぐに他の警備兵に、ジリの尻穴を埋めるように指示を下す。
自分の足で立つのも無理になり、彼女は尻を犯される衝撃に従って、コブロキに身を預ける形になる。彼女の豊かな乳房がコブロキの肥満体にぶつかって歪む。
「ひぃ……い……ぐ」
ふたたびの絶頂に彼女は弓なりに体を反らす。
「ほう、感じやすいのう。そなたが娼館で働くのであれば儂らが常連になってやってもよいの。一晩金貨千枚とはなんたる高級娼婦。ただこの絡みつく膣壁ならあながち高いとも言えぬな」
耳元でコブロキが語りかけてくる。醜い成金男に犯されながら、ジリはだらしなく口から唾液をこぼして絶頂を晒していた。
またも、尻穴に精液が放出され、別の警備兵が彼女の尻を犯し始めた。
そうして十人ほどが彼女の尻穴で果てた後、ようやくコブロキがジリの膣内に埒を空けた。コブロキはジリにペニスを咥えさせると、精液を吸い出させた。
「さて、後はそなたらの好きにして良いぞ」
コブロキはそう言って、部下たちにジリを突き出した。既に一度、ジリのアナルを犯した警備兵たちも混ざって彼女はまず全身をもみくちゃにされた。それから、犯されている間に徐々に衣服が剥ぎ取られ、一糸まとわぬ姿にさせられた。
獣のように背後から犯され、同時に口も犯される。順番待ちをする男たちは彼女の胸を弄んだり、彼女の黒髪に精液をかけ白く染め抜く。
「や……もう、許してえ……」
光を失った目で、ジリは男たちに慈悲を願った。
だが男たちはむしろそんなジリの姿に陰茎を硬くし、さらに彼女を激しく責め立てた。
警備兵全員がジリの口と膣を十分に堪能した頃、朦朧とする彼女の前にコブロキがおっ立てたマラを差し出す。
「ふぅん……じゅ……ぽ……じゅぽ」
淫靡な音を立ててジリはコブロキの陰茎をしゃぶる。
「舌使いも堂に入ってきたのう。ほれ、こっちを見ぬか」
言ってコブロキはジリの頭を掴んで上を向かせた。自分の置かれた状況に、羞恥で顔を赤く染めながら、ジリは上目遣いにしてコブロキの脂肪だらけの顔を見る。
「フェルター殿。そなたのデカマラで、これのいやらしいメス穴を塞いでみてくれんかのう? それでどう目の色が変わるか楽しみじゃ」
コブロキの提案に、ジリは小刻みに顔を揺らした。警備兵たちの逸物とは太さも堅さも異なるフェルターのペニスに貫かれたら、正気を保てないかもしれない。そんな恐ろしさが彼女の内心で荒れ狂う。
「ほっほ。デカマラを求めるように腰を振りおって。助平な娘じゃ」
コブロキが言葉責めをしながら、ジリの乳首を指先で弄んだ。応えるようにジリはコブロキの尿道を舌先で刺激しながら、顔を前後に動かして射精を促す。
「……ったく。人使いの荒いおっさんだな」
そんなフェルターの声が耳に届くと、ジリの膣から夥しい量の愛液があふれ出た。一際巨大な亀頭が膣内に侵入し、性感を得ようとジリの膣襞がフェルターの陰茎に絡みつく。
口と膣から卑猥な淫水の混ざる音がエントランスに大きく響いた。
「お、やはりとびっきりの淫乱じゃな。スラム育ちの雌豚め。目が蕩けてきおった。ほおれ儂の高貴な子種をくれてやる。丹念に舌で味わってから、一滴も零さず飲み干すのじゃぞ?」
コブロキが喉を犯す速度を増した。陰茎が喉奥に突き刺さり、視界がコブロキの脂肪に押し潰される。ただの肉奴隷になった惨めさに、涙が溢れたがそれさえコブロキの汗と入り交じる。
膣を犯していたフェルターのストロークの早さを増した。まるで尻をはたかれているように、乾いた音が鳴り響く。絶頂へのボルテージが高まっていき、彼女は快楽に思考が真っ白になりながら、腰を浮かしてフェルターの逸物を絞り上げる。
びくん、と痙攣とともにジリの胴体が弧を描いた。それと同時に膣内と口内でペニスが爆ぜる。
言われた通りに彼女は飲まずそして零さずに、コブロキの白濁液を舌上で転がして、むせ返るほどの精臭と苦味を味わった。言われずともフェルターが子宮に満たした精液も漏らさぬように、彼女の膣はきゅっと締まった。
コブロキもフェルターも自分の射精で汚れた穴からペニスを引き抜きはしなかった。イッた直後の口と膣の余韻を感じるようにゆったりと抽送をし続ける。
「さあて。フェルター殿。そちの娼館が繁盛するのを期待しておる。以後も金貨千枚で構わぬか?」
「ああ。高い分マンネリにならないようにやりたいプレイを決めてからにしろよ?」
「ほっほ。若いのに機微をよう理解しておる。互いの素性を詮索せん――というのが商売の秘訣じゃがな。儂はそちが気に入ったぞよ。儂が手伝えることはなんなりと世話してやろう。――もっとも、多少娼館で値段に融通は利かせてもらうがの?」
「無論だ。あんたもプレイ内容で困ったら相談するんだな。俺は自分の奴隷を色々と操れる」
「ほほう、それは頼もしい!」
コブロキとフェルターはジリをペニスで串刺しにして、勝手な交渉を続けるのだった。
パラメータで分かる! 現在の状況
地底唾王城総戦力
フェルター 戦術39→46 諜報15→30
※フェルターの戦術レベルは奴隷の半分が加算される
※ただし、地底唾王城以外では相手の戦術レベルに合わせてレベル制限される
特殊オプション:
毒合成レベル6
魔術工房レベル40
調教道具:
オーク2匹
奴隷傭兵50人
→娼館(セラニアが娼館主。領地誓約発動可能)
保護中:
村娘9人、イヌ1人
設備:
地下牢
作戦会議室
魔術工房×2(セラニア、ロザリンド分)
※魔術工房レベルは戦術レベルと同等まで上げられる
鉱山
農地
領海
山林
現在指揮者(鉱夫、農夫、漁師、木樵不在で資源活用不可)
保有奴隷
傭兵リヴィス 戦術10
騎士アウレリア 戦術20
剣士レビア 戦術10 諜報2
魔術師ロザリンド 戦術9 諜報5 工房20
暗殺者リドベダ 戦術8 諜報8 特技:特殊毒
槍騎士ヴァスカ 戦術11
誓約士セラニア 戦術11 工房20 特技:領地誓約
→街盗賊ジリ 戦術7 諜報15 特技:ピッキング
※戦術レベルは単純な戦闘力ではなく、完全な指揮でベストの戦果を発揮したらそうなるという塩梅
大目標
魔導森林領主 戦術40 諜報30→条件クリア
剣姫庭園領主 戦術50 諜報40