※この作品はR-18です。

唾王フェルター陵辱記   作:じょりほー

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調教:アルガナ(スラム娼館)

 

 

 

 

 連日連夜アルガナはブタ二匹に犯され続けた。

 

 眷族の強靱な肉体は一切意識を飛ばしてさえくれなかった。淫魔の秘所はオークにとって垂涎のようで代わることはあっても、空くことは許されなかった。首輪の効果で淫魔の特性は

 

 全身の浅黒い肌はほぼ白濁に染められ、腹部は妊娠したように精液が溜まり、その上で床には足首を埋める程度の雄汁で満たされていた。

 

「ほへ……ほへいに……」

 

 口内を犯すブタのペニスに刺激を与えるだけと知りながら、アルガナは「奴隷になる……」と嘆願を繰り返した。この果てしない責め苦から一秒でも早く逃れたい。意識は磨り減らされてその一心しかアルガナには残されてはいなかった。

 

「あら、いい姿ですね」

 

 両手で頭を固定されているので視線しか向けられない。だがあいにく、顔にぶちまけられた大量の精液が視界を封じていて声の主の顔は見られなかった。だが声でリラだとわかった。

 

「はふ、はふけ……」

 

 ちょうどその時、アルガナの口でオークのペニスが爆発した。喉ちんこを楽しむような勢いで、オークはペニスを奥に擦りつけた。

 

「……このままボクを置いておくの、なしだからね」

 

「もちろん。私の護衛がいなくなってしまいますから」

 

 リラが言うと、斬撃音が走り、アルガナを支えるものがなくなった。彼女は地面に突っ伏し、床に溜まった精液に顔を埋める形になる。

 

「はあい、雌豚さん。早くこっちに出てきてください。……レビア様。あなたがブタの四肢を三回切るまでが時間制限です。この雌豚さんが奴隷の自覚もないのなら、もう少しブタさん同士戯れてもらいましょう」

 

 や、とアルガナの眦から涙が零れ落ちた。摩滅した心とは裏腹に、彼女の体は四つん這いで十分に動けた。ただ床に溜まった精液に手を取られ体勢を崩す。

 

「二回」

 

 ばしゃり、と音を立てて倒れた彼女の耳にそんなリラの声が聞こえた。

 

 呼吸も忘れてアルガナは精液溜まりを這って進んだ。牢の扉に手がかかり、なんとか全身が出せる。

 

「はいはい、無事脱出! これでボクらの奴隷仲間だね。よろしくねっ」

 

 レビアと呼ばれたオークを足止めしていた剣士が、アルガナの背後で扉を閉じ、牢を封じた。

 

 虚ろな眼差しでアルガナはリラを見上げた。ギフトホルダー紛いなだけの小娘を見上げるなど、眷族のアルガナにとっては最上級の屈辱である。だが、そんなアルガナは精液の絡んだままの喉でひっと悲鳴を押し殺した。

 

 嬉しげに楽しげに、目の前に差し出された供物を嗜虐的な笑みで眺めている。

 

 その目は、女神を思わせた。

 

「リ……リラ様」

 

 奴隷だと宣言をしようとし、名を呼ぶと短鞭が彼女の頬を叩いた。なんで叩かれたのかさえ理解できず、アルガナは怖じて見上げるだけだった。

 

「唾王城はフェルター様の元に平等な肉奴隷と給仕のみ。その下にあるのが私で、最下級が調教中のあなたです」

 

「あ、確かにリラはボクにも様をつけるよね?」

 

 脳天気にレビアが相づちを打つ。

 

「はい。なんなりと肉奴隷の皆様からのご用命は受け付けますとも」

 

「……けど、リラにはボクらへの、フェルターの代行権があるじゃないか」

 

「はい。私は肉奴隷の皆様にフェルター様と同等の命令を下せます。というより、フェルター様が肉奴隷に「リラからの命令も聞け」という縛りを入れているためですね」

 

「それに。リラはこうやって調教もするだろう? その時に反撃されちゃうんだから、やっぱりリラが格上じゃない?」

 

 至極当然の論理をレビアが開陳する。だが、リラがにっこりと笑みを浮かべた。

 

「フェルター様に誓って。仮にレビア様が空き時間はずっとブタの相手をしていろというなら従いますとも。だからといって調教を苛烈になどしたりはいたしません」

 

「そんな命令出すわけないだろ。ボクだってオークの相手はもうこりごりさ。ボクは自分が嫌なことを人に命じたりしないよ。リラに恨みが――ないとは言わないけど、それでもさ」

 

「仰る通り。かの有名なオークのペニス落としを趣味とするレビア様はよくわかっております」

 

 は、こいつバカか? という顔でアルガナが見上げると、レビアが困惑気に両手を挙げて首を振った。リラにはそれについて責める気持ちはなかったようで、静かに続ける。

 

「私の調教は十段階に分けられます。オーク二匹による陵辱であれば……一月連続であれば二段階ですね。これは個体差や地形も関わってきます。リドベダ様などのような特異体質はイキ狂い方が天井知らずなので、少々状況も変わってきましょうが――基本は安全重視で三段階から五段階を限界としましょうか」

 

 レビアが顔を青ざめさせるのを、アルガナは呆けた様子で眺めた。眷族たる自分が落ちたこれが、一段階の調教だという事実と、どこまでも苛烈になっていく調教に対してだ。

 

「だからレビア様。ご安心ください。その調教段階で言うと、八段階までなら私は苦痛に感じません。もちろん復讐や恨みも抱きません。だからこそ、責任をもって五段階までは壊れないと言えるのです」

 

 穏やかに目を閉じてリラは語った。

 

 この時、産まれて初めてアルガナは、憎むべき騎士型のギフトホルダーと目を合わせ同じことを考えた。

 

 ――壊れている。

 

「さて。ここまでを聞いて豚さんは素直になれましたか?」

 

 もちろんだった。既に奴隷になることはアルガナの中で決まっていたが、更に背中を押された。奴隷になれば五段階、拒否し続ければ八段階までは起こりえる。

 

「はい、奴隷に、ならせてくださいっ」

 

 もはや屈辱は失われた。目の前の給仕服の娘は、女神と同じだ。逆らっても意味がない。

 

「頬」

 

 リラが言うと、短鞭がアルガナの鼻を打った。

 

「そこは鼻でしょう? 私が叩きたい場所を差し出しなさい? 頬」

 

 アルガナは素直に頬を向けた。まだアルガナには奴隷契約はなされていない。あれはフェルターにしてこそ意味を持つ。だから、これはリラの威圧のみでアルガナが従っただけだ。

 

 短鞭が頬を打つ。満足そうにリラがうなずき。

 

「お手」

 

 パッと手の甲を上げた。指示通り犬がお手をするようなポーズになる。すぐにその手が打ち抜かれた。

 

「おまんこ」

 

 条件反射が仕込まれていたような動きで、アルガナは四つん這いから即座に腹ばいになって、両足を開いて未だ精液が零れ落ちる秘所を差し出した。それだけが間に合った。叩きつけられた短鞭に堪える覚悟は刹那遅れ。

 

「ひゃあああぁぁああああ」

 

 という甲高い声を挙げて、衝撃と痛みだけで彼女はイキ声を地下牢に響かせる。

 

「リラ。どうしましたか?」

 

 そのイキ声に、誰かが地下を駆け下りてくる。白い服の魔術師だ。

 

「セラニア様。申し訳ございません。少々、話が興に乗ってしまいまして。レビア様と一緒にオーク牢の方をお掃除いただけますか? 私はアルガナ様のお掃除をしなくてはならないので」

 

 ビクッとセラニアは体を震えさせる。

 

「そのために呼んだわけではありません。誓約士のセラニア様にはご同行願いたい場所がありまして。その前にレビア様と一緒に牢の掃除をしていただきたいのです」

 

 ふたりはオークのいる牢に入っていく。入っている間は全く気付く余地はなかったが、水はけや水道が用意されていて、精液や血液が洗い流しやすくなっていた。

 

 隣の牢にはさらに布や石鹸が用意されていた。リラはアルガナの体を泡立たせ、丁寧に洗っていく。最後には懐から出したカリつきのディルドで、膣穴や尻穴からブタの精液取り除いていく。手慣れた仕草に戦慄すると、内心を見透かしたようにリラが笑う。

 

「豚さんが肉奴隷になりたい旨、ご承知いたしました。ただ、豚さんのままでは肉奴隷にはなれません。私は豚さんに頑張って肉奴隷に這い上がってもらいたいのです」

 

「――何を、されるのだ……?」

 

 リラは応じず、全裸で立つ彼女の体を拭いて、アルガナの普段着である、面積の少ない樹脂製の衣装と網タイツを履かせる。

 

「今度開く娼館があるんですよ。もちろん、唾王城の肉奴隷が働きます。その宣伝をしにいきます」

 

 娼館。淫魔としてはむしろ心地よい響きだ。金を貢がせ精を搾り取る。ギフトホルダーの運用方法としては悪くあるまい。それを眷族であるアルガナがさせられるのは業腹ではあったが、それ以上の苦悶はなかろう。

 

 そうしてリラ、レビア、セラニアにアルガナが連れてこられたのは、忌まわしき剣姫庭園の商業都市デュラルだった。有数の歓楽街を持つこの街であれば、娼館くらい無数にある。

 

 奴隷に落ちたギフトホルダーを要する高級娼館も目立つことはない。

 

「……道を間違っておるのではないか?」

 

 余裕を取り戻したアルガナはフードの付いたローブ姿で言った。頭と背から生えた羽は、いくらなんでも街では目立ち過ぎるためだ。

 

「いいえ、こちらですよ?」

 

 リラが嘲弄するような顔で言った。向かっているのは明らかにスラムと分かる、荒れ果てた地域だった。ギフトホルダーだけなく、リラも器量が良い。スラムの住人にとっては格好の獲物だ。

 

 魔術師型と騎士型がよもやただのごろつき程度に敗北するはずがないが、力を封じられているアルガナにとっては心細い状況である。

 

 ただ、男たちは襲ってくる気配はない。ただ、距離をとってこちらをにやにやと眺めている。粘つくような視線と、男たちの体臭にアルガナが顔をしかめた。

 

「ひょっとしてセラニア、周囲一帯に誓約を敷いてるの?」

 

「ええ。フェルター様の知己の商人から、スラム一帯の権利を買い上げたようです」

 

 なるほど、とアルガナは感心した。誓約においてはセラニアという魔術師は大陸上でも、有数の技量だ。もし魔導森林にいたのなら、カサンドラと同等に重用していただろう――と、見積もった。セラニアは魔導森林の体質を恐れ、自分の力を拡大してから領主に相対し発言力を得ようとしたのだから、残念なすれ違いと言える。

 

 そのとき、ローブがたくし上げられた。尻がスラムの腐敗した空気に触れる。

 

 ここでようやく、アルガナは自らの末路を曖昧に悟った。男どもでも最下層。スラムの小汚い住人に、リラはアルガナを差し出すつもりだと。

 

「それは……それだけは」

 

 最前までの傲然とした歩き方から、アルガナは身を縮めた。声を押し殺したい気持ちもあったが、晒された尻に加え、ローブの下に潜む豊かな双丘を男たちの視線から隠したくもあった。しかし、それはむしろ胸ををアピールする結果になり、男たちの喚声が一段と増した。

 

 やがてひとつの廃屋にしか見えない建物にたどり着くと、リラが集まったスラムの住人に語りかけた。

 

「長くお待たせいたしました。本日は我が秘密娼館が商業都市デュダルに開店する記念すべき日となります。ですが……富は一箇所に集約され、流動がありません。心苦しくも我々は娼館を維持するのが精一杯で、この社会状況を劇的に変化させることはできません。ただ――同じ女を提供することは可能です」

 

 そこまで言ってからリラはアルガナのローブを脱がせた、既にこれから何が起こるのか、何が許されるのか分かっているようで、スラムの男たちからは先走り汁どころか精液の臭いまで漂ってくる始末だった。

 

「雌の亜人」という声が聞こえてきて、流石にアルガナはその声の出所を睨み付けた。今のアルガナに発言者を見つけるだけの力はなかった。

 

「通常であれば一晩で金貨千枚は稼ぐ高級娼婦を今から数日、この場でご提供いたします。今後も我々はこういった施策で皆様に還元させていただく所存です」

 

「今後もって……セラニア知ってた?」

 

「ええ。まあお鉢が回ってこないように奴隷の数が増えるのを祈るのみです」

 

「セラニアはセラニアにしかできない仕事あるじゃん。ボクなんて騎士型最弱だよ?」

 

「完全に上下ではないですよ。あなたは厳密には剣士で、騎士に盗賊要素が備わっています」

 

 などと、レビアはこの話を知らなかったらしく、アルガナの前でセラニアと語り合っていた。奴隷同士はそれなりに仲は良い――というか、レビアはオーク牢から出る際にも特に怖じずにアルガナに話しかけた。それなりに奴隷たちにも人間関係が構築されているようだ。

 

「一発銅貨一枚。この価格でご提供させていただきます」

 

「ふっ!」

 

 ざけるな、と言いかけてアルガナは口をつぐんだ。貧民の銅貨。平民の銀貨。貴族の金貨。それが一般的な用いられ方だ。使うコインの種別は生活圏で分けられている。

 

 銀貨一枚であれば、貧民街なら人を買える。

 

 だが、銅貨一枚で買えるものなどこの世にはない。限りなく無価値に近い売春を、淫魔であるアルガナにさせようとしているのだ。

 

「事前にお話いたしましたが、誓約をかけさせていただきます。娼婦の外見を口外せず。ただし、スラム外から客を引っ張ってきても良しです。その場合も一発銅貨一枚。上手く唆せて連れてこれば、差額は皆様の懐に収めてくださいませ」

 

 短いスカートを両手でつまみ、恭しくリラは一礼した。

 

 どよめく群衆は、狂宴の開始を待ち構えている。リラに背中を押され、アルガナは廃屋の中に入れられた。奥は開いていて川が近くにあった。汚されたアルガナを洗う準備まで整えられている。

 

 廃屋にスラムの住人が雪崩れ込んでくる。老若を問わず、ただ共通しているのは襤褸切れから出した陰茎がそそり立っていることと、異常な臭気を発していることだった。

 

 鼻先に無数のペニスが突き出された。チンカスが溜まっていて、咥えるどころか手で触れたくさえない醜悪なものばかりだ。嫌悪が顔に出たのか、男たちはそんなアルガナの思考に先走り汁を滴らせ、彼女の浅黒い肌に塗りつける。

 

 やがて業を煮やしたのか、ひとりがアルガナの手を掴むとその手にペニスを握らせ、その上から扱き始めた。

 

「うおお……たまんねえ。手コキだけで全然イケちまう」

 

 手を犯されているような感覚に、アルガナは背筋に寒気を感じた。

 

「止めろ……我を誰だと……っ」

 

「銅貨一枚の娼婦だろうが!」

 

 抵抗のため開いた口に、ペニスが突っ込まれた。酷いエグ味が舌を襲った。さらに空いていたもう一方の手でもペニスを扱かされる。

 

 もうペニスの相手をする部位は残っていないというのに、さらに無数のペニスがアルガナの顔に近づく。頬や髪などに押し当て擦りつけ始める。

 

 頭が抱えられ激しく喉を犯された。舌を動かしたりはしなかったが口の中ですぐに射精が終わる。吐き出すために口を開くと、即座に別のペニスを咥えさせられた。

 

「おら、どうした? 娼婦さんよお、そんなんじゃまるで無理矢理してるみてえじゃねえか」

 

 下賤な男どもの、更に最底辺のスラム住人に口を犯されながら言われ、アルガナは眼差しを鋭くした。その反応だけで男は興奮したようで口内に出し終えた。それだけでは終わらなかった。髪や顔、手でペニスを扱いていた連中が、アルガナの顔に肉竿を向けて、にやけながらペニスを扱き始めた。

 

 一斉に精液が迸り、彼女の浅黒い肌が白く染まる。遅れて地面に銅貨が落ちる音が響いた。無論、そこで陵辱が終わるはずはない。こんなものは前菜でさえない、ただの余興に過ぎなかった。

 

 数十本の手が連携して彼女の服を剥がしにかかった。乳首や陰毛、さらには秘所が露出する度に男たちは喚声を上げた。乳首も秘所も鮮やかな桃色に光り輝き、スラムの淫売のくすんだ色とは別次元の美しさを帯びていた。彼らの知らない瑞々しい果肉は、妖しく色づき男たちの獣欲に火をつける。

 

 ひとりの男がアルガナの足の間に体を入れると、亀頭を秘所に押し当て一気に貫いた。

 

「あ……ふぁっ」

 

 湿った声がアルガナの朱唇から漏れ、男たちは射精したばかりのペニスをいきり立たせた。膣を犯す男は彼女を抱き寄せると、アルガナを自らの上に跨がらせた。

 

「こりゃすげえ! すぐに出ちまいそうだ! おら、尻が空いてんぞ! とっとと突っ込め!」

 

 一番アルガナの尻に近かった男が荒い息を上げながら、アルガナに迫った。尻を二度、三度と揉みしだくと、尻肉を開いて菊座を貫いた。

 

「あっ、あっ……むぐ」

 

 前後から揺り動かされ、法悦を漏らすアルガナの唇に、またもペニスが咥えさせられた。前後の穴をほじられ、彼女の淫魔の血が沸騰していた。チンカスの臭いまでもが、彼女の理性を蕩かせている。丹念な口淫をアルガナはし始めていた。舌でカリ裏に溜まった滓をこそぎ落とし、唾液を塗りたくって唇で性感を与える。

 

「うおっ、こりゃあ、たまらん……!」

 

 口内に再び射精された。誰に言われるまでもなく、アルガナは注がれた精液をごくりと飲み込み、眼前に突き出されたペニスを吟味する。舌を限界まで伸ばして、目の前の男たちに見せつけた。突き出された肉竿のうち二本を同時に加え、舌と唇で愛撫を始める。その最中にも彼女の腰は前後にグラインドし続け、膣と尻を埋める肉竿から精液を搾り取らんと淫らに動いていた。

 

 前後の穴に埒を空けられ、銅貨が床に落ちる音が聞こえる。空いた穴にはすぐに次のペニスが埋まり、アルガナの膣壁も肛門も絡め取るように狭まり、またも射精を促す。

 

 アルガナを囲むスラム住人は入れ替わり立ち替わり彼女を犯し、白く染めて、銅貨を落とす。

 

 妖艶な舞のように彼女は男たちの上でくねり続ける。その眦から涙が溢れた。

 

「おい、こいつ嬉しくて泣いちゃったわ」

 

「そんなにおちんぽが好きだなんてなあ。ここにゃあいくらでもあるからたっぷり楽しめよ」

 

 心と体が乖離している。

 

 アルガナの目は焦点が合わなくなってきているが、絶頂にはほど遠かった。淫魔であるアルガナだが、彼女は気に入った雄をつまみ食いするのが癖であって、こうやって慰み者になることを好んでいるわけではない。

 

 そして、今の彼女はフェルターやオークによって穴という穴を開発されたばかりである。フェルターやオークの剛直や持久力、精液の量と濃さに対して、スラム住人は数くらいしか勝るところがなかった。

 

 アクメを求めて彼女は激しく体を動かすが、しかし、スラムの痩せこけた雄のペニスでは物足りない。ゆっくりと絶頂を目指して高まっても、すぐに彼らは射精してしまう。入れ替わりに要する僅かな時間でアルガナのボルテージは下り、結果いつまでも絶頂に至れない。

 

「もっとぉ……もっとぉ! 激しく……してえ!」

 

 アルガナの方から腰を振るのではなく、一方的にケツもまんこもズタボロになるまで突き回してほしい。しかし、彼らの責めなどアルガナにとっては愛撫未満でしかなく、結果彼女の方から求めて動くしかなかった。それでは被虐に目覚めた彼女はいつまで経ってもイけなかった。

 

 銅貨が落ちる音が鳴る。焦点がズレているためか、眦に貯まった涙のせいか。視界は歪んでいたが、それは見えた。銅貨は床に山をなし始めている。最底辺の男たちに体を汚されたという事実が、銅貨によって可視化されている。

 

 屈辱だった。それでも腰を振り、口でペニスを求める。

 

【挿絵表示】

 

 蹲踞になって杭打つような騎乗位で、荒い呼吸で初めての絶頂を迎えるその直前、男が先にイってしまい、またもアルガナはお預けを食らう。

 

「お願い……イかせて……。このままじゃ狂ってしまう……」

 

 膣の入り口を痙攣させて、アルガナはスラム住人に哀願した。だが、彼らはイキよがった娼婦の戯れ言だと誤認して、彼女を川に運んで白濁に染まった肌を洗い流した。

 

 また遠のいた絶頂に至るため、彼女は獣のように背後から犯されながら、ペニスを咥えた。

 

 そんな狂宴が数日続いた。

 

 銅貨が廃屋の床を埋め尽くし、彼女を犯していた群衆が随分と姿を消した。

 

「あら……ざっと見ても五桁はありますね」

 

 アルガナは山積みになった銅貨の上で犯されながら、声の方に視線を向けた。リラだ。

 

【挿絵表示】

 

 リラの護衛は初日同様にレビアがついていて、誓約士のセラニアも帯同していた。

 

 残っていた群衆も、リラが期限が来たことを伝えると、存外素直に散っていった。セラニアという誓約士が詳細に縛っていたのだろう。スラム住人にしては順番を乱す者もなかったし、銅貨一枚はしっかりと支払っていたのも同じ理由だ。

 

「ええ……これどうやって持って帰るの……? 無理だよ、ボクひとりじゃさあ」

 

 レビアが大量に詰まれた銅貨を見て呻いた。

 

「大丈夫です。……やはり、いましたね。セラニア様?」

 

「少々お待ちを。……見えました。一名、誓約がかかった方がこちらに向かってきています。恐らくはただの連絡役でしょう。今しばらく待てばこちらにたどり着くかと」

 

「え? 何々?」

 

 レビアが目を白黒とさせている。

 

「賢しい相手はこうやって炙り出すに限りますね。私も常に自分が誰かの手のひらにいないか警戒しなくては……。それで? 雌豚さん?」

 

 リラが視線をアルガナに向けた。

 

「満足できましたか? でしたらこれからは長らく、肉奴隷はお休みです。フェルター様のおちんぽも私の調教もなく、淫魔としてのお力をふるっていただくことになりますが」

 

 リラは全てを見透かした笑みを浮かべた。レビアが「よかったじゃん」とでも言いそうな顔でうなずいている。アルガナはリラに対しより一層の恐懼を抱く。

 

 操られている自覚がありつつも、アルガナにはそれ以外の選択肢はなかった。女神にするように叩頭し、願った。

 

「お願いだ。調教を続けておくれ。このままでは狂ってしまう……」

 

 ずっと犯されながら一度もイケなかった。寸止めの苦しみは飢えや渇きにも似た苦悶をアルガナに与え続けていた。

 

「はい、よく言えました。ご褒美を上げますから口を開けてくださいね。ちゃあんと次はイケるようなおちんぽをご用意いたしますので、今はこれで我慢してください」

 

 リラは天使のような笑みを浮かべて、懐から何かを取り出した。小さな硝子瓶に入った透明の液体だ。言われるがままにアルガナは口を開け、言われずとも舌を伸ばした。

 

 リラが硝子瓶を開けて、液体をアルガナの口に入れる。その瞬間、アルガナの膣奥で爆発じみた衝撃が起きた。甲高い獣の絶叫が廃屋に響きわたったのを人ごとのように感じた。

 

「あ……それ、リドベダ液? すごい体質だよね。ボクなんて使いっ走りしかしてないもん。絶対次、ボクここでアルガナみたいなことさせられるんだ。やだなあ……」

 

「ああ、レビア様。妙に自己評価が低いと思えば、そんなことを気にしていたのですね。確かに冒険者であるレビア様には分かりづらいかもしれません。なまじ名が知れていると動かせなくなるんですよ。リヴィス様、ヴァスカ様が見知らぬ魔術師と剣姫庭園で行動していると不審ですし、魔術師が徒党を組むのも不自然。ジリ様はデュバルでは著名な盗賊で、リドベダ様は液の提供のお仕事がありますし、そもそも盗賊型は護衛としては不安なので」

 

 そんな会話を耳にしながら、アルガナは絶頂を堪能した。穴にペニスを受け入れていない絶頂は、微かに不満が残ったがそれでも十分なオーガズムだった。

 

 そうしてから、セラニアが口元に指先を立てる。うるさいと叱られたようにアルガナは錯覚したが、廃屋の扉に人影がひとつ現れ、事態を理解した。

 

「失礼ながら。ここに手紙を届けるよう頼まれたんだが」

 

 ローブ姿のフードで顔を隠した小柄な人影が言った。しわがれた声だが、老人のようには思われなかった。

 

「はい、どなたから?」

 

 リラが応じると、人影は首を振った。

 

「あたしゃ何も存じません。内容も、差し出し主も」

 

「わかりました。受け取らせていただきます」

 

 最初からそう答えると気付いていたかのように、リラは恭しく一礼すると、人影から手紙を受け取った。手紙からはしゃりん、と音がした。

 

 人影が廃墟から音もなく離れていく。リラはそれを見送ると、封蝋を破り中身を見た。

 

「予測通り、換金の申し出ですね。レートも随分と譲歩されている。銅貨数万枚が、金貨五枚に化けました」

 

「それは確かに高額だけどさ。秘密娼館ではもっと稼げるんだろう? ならそんな誤差レベル意味ないじゃないか」

 

「現段階ではお互い探っているのですよ。先方も私たちがどこの手の者かわからない。この高額換金は先方からこちらへの利益供与ではなく、私個人への賄賂とも考えられます。無論、手紙にはどちらとも書いてありません。たとえば、商会の末端構成員が賄賂だと錯誤して一部を抜いたのであれば、先方はその末端構成員を脅迫できる立場になる」

 

「とはいえここでの一件で、そこまでその――『彼ら』が私たちを気にする理由にはならないと思いますが」

 

「今回のことで一番重要なのは、銅貨の価値が上がった点です。アルガナ様を買った中には平民も混ざっていたでしょう。平民は銀貨で暮らしていて、銅貨を手に入れる手段がない。今後も同じことを行えば、銅貨一枚が銀貨にも金貨にも化けるようになった。恐らく彼らは銅貨を確保した。結果、多少は利益を保証できると計算したのではないかと思います。今は双方そのくらいを考えるくらいで終わりでしょうか」

 

「つまり、リラはデュバルの経済を最初から破壊する目的だったと?」

 

「いえいえ。これはあくまでおまけです。商人型のギフトホルダーが闇に潜んでいるのなら、暗がりから引き出して奴隷に加えられればと考えただけです。自分を賢いと思い込んでいるギフトホルダーがぐちゃぐちゃに犯されるのって、絶対面白いですからね」

 

 リラはそう告げると、表情だけは愛らしく笑った。

 

 

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