魔導森林の僻地には山村が各地に点在している。
そのひとつで、武器を持った奴隷傭兵たちに囲まれ、ひとりの少女が青ざめた顔で震えている。
村娘ティナ。
ブラウンの軽い癖のある髪。同色の瞳は前髪で隠れている。頬のそばかすは純朴さを飾り立てるようだ。異性の視線から豊かすぎる胸を隠すため、ゆったりとした麻の服を着ているが、その努力は囲む男たちの下卑た笑みが否定している。
「上玉はっけぇん」
喜色に塗れた声を上げ、奴隷傭兵のひとりが彼女に手を伸ばす。突然の事態に腰が抜け、彼女は地面に座り込んだ。
山村を奴隷傭兵が襲撃するのは稀だ。奴隷傭兵はまともに武芸を修めているわけでもなく、鍛え上げられた村民が農具で武装した場合と比して優位ではない。優位になる人数を揃えたなら、今度は得られる対価があまりにも薄い。
ただ、そんな彼らの判断を変える例外がひとつだけある。
山村の男衆を上回る人数で襲撃し、その人数を満足させられるもの。
若い女である。
地面に倒れ込んだティナに覆い被さり、奴隷傭兵が彼女の衣服を剥ぎ取りにかかる。どれほど滾っていたのか、男はティナの局部だけ露出させると前戯もなく、腰を持ち上げ地面に杭打つように腰を振り始めた。
「おっ、いいぜえ、処女だけあってキツキツだっ」
あまりの蛮行に、ティナは目を見開き悲鳴を上げる。男から視線を逃すように顔を上げたが、その先には多くの奴隷傭兵と、彼らによって無力化されている村民の姿が見えた。幸いにもティナ以外の女性は同じ目には遭っていない。それを、幸いだと思うのが、ティナがまだ己の末路に気がついていない証左だった。
「やべ、もう出ちまうわ」
きゅぽっと卑猥な音を立て、破瓜の血で濡れたペニスが引き抜かれる。男は陰茎をティナの陰毛に押し当て、太ももの合間で扱き始め、やがて彼女の腹に白濁した液をぶちまけた。
男が離れると、虚脱した瞳でティナは地面に倒れ込んだ。
――終わってくれた。
ティナはそう安堵したのだ。彼女にとって、性交とは生殖のための行為だ。男の陰茎が精液を外に吐き出したところで終わりという認識だった。
だからその先は、ティナの想像の埒外だった。
「ひっ……」
男たちは当然、彼女の思惑など知りもせず、陰茎を扱きながら彼女に群がる。男の手が無数に伸びてきて、彼女を一糸まとわぬ姿にした。大きな胸が陽光に晒され、被服の束縛から解き放たれて大きく撓むと、男たちから口笛が聞こえた。
――まだ、続くの?
そこに至ってもまだティナは甘い考えしか知らなかった。
四つん這いの姿勢をとらされ、まだ痛む膣の入り口に亀頭が押し当てられた。敏感になっていた秘部が、それが先の男とは別のものだと知って衝撃を受ける。無論、犯されたからといって、最初の男の妻になるものだと考えていたわけではない。ただ、ティナにとって――山村という閉じた世界に住んでいた彼女にとって、番う伴侶は生涯ただひとりで、生殖を成すのも当然ただひとりだ。例外があることさえ、彼女は知らなかった。
尻肉をがっしり掴まれ、男が抽送を開始する。ティナの膣から愛液が漏れ出し、淫靡な湿った音が村に響く。
「い……たい。や……だ……やだぁ!」
「愛想のねえ泣き声だぜ。これなら突っ込んだ方がマシだなあっ」
不意に頭を両手で掴まれ、悲鳴を漏らしていた口に陰茎が侵入してきた。男はティナの舌技になど期待していなかったのか、喉奥まで貫いた。ティナの鼻先が男の陰茎に押し当てられ、男はそのままでしばし感触を愉しんだ。
「噛むんじゃねえぞ。噛んだら誰かをぶっ殺すからな」
背後から性器を犯され、口にはペニスが奥まで咥え込まされている。その姿勢でできる抵抗は涙腺から涙を流すことくらいだった。
体の奥に熱いものを感じる。膣内に精液が吐き出されたのかと絶望したが、そうではなかった。背後からティナを犯す男は射精のためにさらなる加速を始めたところだ。
熱い何かはティナ自身の内側から生じていた。陵辱に抵抗すれば、その圧力でやがて精神に異常を来たす。だからこそ、雌の本能はこれを快楽として変換し、受け入れを理性に要求する。
膣からペニスが引き抜かれる。膣がきゅっと締まった。それは、次なるペニスを拒絶するためではなく、犯していたペニスを引き留めようとする反応だった。尻肉にペニスが押し当てられ、狭間で数度扱かれると、背中に熱いものが吐き出される。
「これじゃあ全員回るのに夜が明けるぜ」
「よし、じゃあもっと人数増やそうなあ」
口を犯されたままで、彼女の体が浮いた。太ももを掴まれて担がれているようだ。それからまたも膣穴がペニスで塞がれたかと思うと、男の上に跨がらされた。
最初は上から、次は背後から。今度は下から――男たちはありとあらゆる角度から彼女の膣穴を味わおうとしているようだ。
「いいねえ。下から突き上げてやるとでっけえ胸がやらしく揺れるぜ」
「おお、そうだ。これは試しておかないとな」
口を犯していた男が言うと、唇からペニスが引き抜かれた。何が行われるのか検討もつかぬまま、村の中央でティナは男に下から突かれ、揺らされた。上下する視界の中で、村民たちの顔を見る。男衆はティナの父や兄も含めて全員が家の外に揃っていた。
「ひ……そんなっ」
予想外の衝撃を受け、ティナは目を瞬かせて声を上げた。背後から男のひとりが彼女の尻穴にペニスを突き立てようとしている。その瞬間、膣を犯している男がそれを補助するように、一番奥まで彼女の体を沈み込ませてから、ティナの尻肉を押し広げた。
めりめりっという音が聞こえ、一気に肛門が掘削された。産まれてから何に使うでもなかった部位である。
そう、ティナはイヌだった。
イヌとギフトホルダーを見分ける術は乳児期にはない。幼少期になるとギフトホルダーは何らかの異能を見せ始め、イヌは器量がよいだけの普通の少女となる。イヌが耐久力に関してはギフトホルダーと同等だと知るものは少なく、普通の人生を歩める。
今のティナのような不幸に遭遇することがなければ。
「な……なんで……」
お尻の穴に、ペニスを入れたのか。ティナにはまるでわからない。口に突っ込んだのはまだ、彼女の声を黙らせるという意図が読み取れた。
続いて、彼女の豊かな乳房が揉みしだかれ、その谷間にペニスが埋められる。
「でっけえ胸ならこれやっとかないとな」
男は下卑た顔でそういうと、乳房でペニスを挟み込み、肉竿を上下に動かし始めた。
「手も遊ばせとくわけにはいかないぜえ」
下から膣を、背後から尻穴を、そして前から乳房を犯された上に、左右の手で男の肉竿を握らされた。そこでようやく理解した。
男たちは彼女の膣と生殖をしたいのではなく、彼女の体の各所を使ってただひたすらに射精をしたいだけなのだ――と。
顔を掴まれて、再びペニスが喉奥に突き込まれた。
「良い眺めだ。あとは自分から腰振れるようにならなきゃなあ。それまではこっちで動いてやるぜ」
下から子宮を突き上げる男の速度が速まった。全身で奉仕させられている状況に、ティナの膣がさらに締まる。膣襞が咥え込んだ陰茎の脈を感じ取る。陰毛や尻肉で感じたものと同じ、射精の前兆に、ティナの瞳の絶望が色濃くなってゆく。
ただの少女に過ぎないティナには、全身を犯す男たちの筋力に一切抵抗ができない。ただ体を強張らせるのが精一杯で、それは各部を犯す肉竿への刺激を高めるだけだった。
「おっ締まる。やべえ」
「いねえ、感じてんのか?」
どろりとした熱い液体が、ティナの子宮注ぎ込まれた。その衝撃に彼女も絶頂を迎え、体が弓なりにしなる。それが最後の引き金となって、全身を犯す男たちが一斉に精をほとばしらせた。
直腸に、喉に、そして、乳房や顔、それに背中に。
液状をした男の欲望が、彼女の白い肌にぶちまけられた。精を放った男たちが彼女から離れていく。
はじめての絶頂による虚脱感で、ティナは倒れ込みたかった。しかし、そんな暇は与えられなかった。すぐに肛門に肉竿が突き立てられ、そのまま背後から抱え上げられる。広げられた太ももと、その狭間にある濡れた密肉が生まれ育った村の住人たちに晒された。
「やめてくだ……さい……もうやだぁ」
何故自分がこんな目に遭っているのか、何もわからない彼女にはそう言うしかなかった。ギフトホルダーとは違う。彼女たちは自分の優れた資質を用い、それぞれ何かを成している。それは他者からの恨みを醸成し、結果、ギフトホルダーは陵辱に対し赦しを乞う。
ただ肉欲によって求められているだけのティナには、男たちの肉欲が治まるのを願うしかない。そんなティナの内心とは裏腹に、男たちによってどろどろに穢された彼女の肢体は、ひたすらに男の逸物をいきり立たせるものだった。
肛門を犯しながら彼女を抱えた男が、彼女の密壺をいきり立った別の肉竿に降ろした。わずかな時間で飢えたかの如く、ティナの膣襞は新たな肉竿に激しく絡みつく。
空いた彼女の各部位に、またも幾本の肉竿が向けられ、犯し始める。
終わる気配のない陵辱に、ティナの意識は徐々に薄れていく。だが時折、内側からこみ上げる絶頂によって強制的に覚醒させられてしまう。
いつの間にか、彼女を犯す男たちの中に知り合いの村人が紛れ込むようになっていた。
「よかったなあ、こんな上玉がいたから、他の娘さん方は許してやるんだぜ」
「そうそう、ティナちゃんだっけ? この子いなかったら何人かさらってたわ」
「種もみ食い尽くすほど俺らもバカじゃねえからよお。また、こんなエロい体したべっぴんをこさえてくれよ」
「育てるだけでもってかれたらたまんねえだろうからなあ。あんたらにもしっかりやらせてやってんだ。せいぜい楽しめよ」
優しかったはずの知り合いたちの顔が、肉欲に突き動かされた獣の顔に変わっていく。思考を放棄したくて、彼女は悦楽を貪ろうと徹した。雌の本能が目覚め、次第に腰の振り方や舌遣いが淫蕩に染まっていく。
また、新たなペニスが下と後ろから、膣と肛門を埋めた。ちょうどその時、絶頂の兆しを感じた。それはこれまでに感じたどれよりも甚大であるように思われた。
「こ……わい! やだ……。私が……私じゃ……なく……なっちゃうっ」
意識が爆ぜる直前、彼女は瞼を開いた。
目が合ったのは父だった。その背徳に目を背け、嫌な予感に突き動かされて首をひねると、兄が彼女の肛門を犯していた。
だから、もはや彼女は空を仰ぐしかなかった。
生まれ育った村から奴隷傭兵たちに連れられてたどり着いたのは、魔術師の工房だった。その地下に彼女は閉じ込められ、昼夜問わず犯され続けた。睡眠も食事もなく、ただひたすらに全身で男たちの精を浴びる日々が続いた。
「あっあっ、おちんぽぉいいのぉ……もっと、激しくっ」
恍惚に満ちた顔をしながら、自らの乳房を揉みしだき、挟み込んだペニスに刺激を与えながら、つま先立ちで腰を上下に打ち据えて、寝そべる男の肉竿を密壺でしゃぶり尽くしていた。
魔術師の工房に入ると、ティナの体は男の体を求めるようになった。雌の本能に理性が屈したのとはまた違う。現にティナの自我は自己の動作も発言も制御できず、泥濘んだ暗黒の中に閉じ込められている。なのに五感を通して全てはティナの自我に伝えられる状況だった。
――やだ……もう……頭が、おかしくなっちゃう……。
「へっへ。大量の肉奴隷を連れてきたが、やっぱしティナちゃんが一番だなっ」
尻穴に肉竿を前後しながら、ティナを背後から犯す男が言う。
どうやら、この地下牢には多数の女性がティナと同じように囚われ、犯され続けているらしい。確かにうっすらと、ティナ以外の嬌声も聞こえてきている気もした。乳房で扱き、口で果てさせ、前後から密壺と肛門を犯され、各部位から響く湿った抽送の音が狭い牢で谺しているうえ、自分の口からは知りもしなかったはずの淫語が吐き出されている。本当に聞こえているのか確証は抱けなかった。
「あっ……イグっ! ティナ、イくのっ! みんなも……一緒に射精して――!」
もはや犯されているのではなく、犯させているような有様で、彼女は指揮者のように全身を犯す男たちを絶頂へと誘った。前後の穴は引き抜くことを許さぬとでも言うように激しく締め付け、舌が的確に陰茎の弱いところをつき、敏感になった自らの乳首を弄びながら、谷間に挟み込んだ陰茎を扱く。
ティナは闇の中で、ただそうしている自分の感覚と、男たちの熱と陰茎と精液を感じながら、絶頂を迎える。この時だけ、闇が晴れる。否、内側から発光したかのように、世界が真っ白に染まるのだ。
おかしくなるのではなく、ひょっとしたらもうおかしくなっているのかもしれない。
ティナはそんな風に思った。彼女はこの地下牢で産まれ育ち、ただ男の性欲を処理するためだけに生きてきたのではなかったか? 時間の感覚は用をなさない。もはや、いつからここにいるのかが思い出せない。日の差し込まない地下牢では昼夜を数えることも不可能だ。
奴隷傭兵の数もわからない。徐々に新たな顔が増えているようで、結局総数は不明だ。何故ならもう、彼女には数という概念が喪失している。イッたかイッてないか。出したか出してないか。そんな簡単な二者しか理解できず、それに合わせて射精を促すだけの雌肉でしかなかった。
「ハッ」
不意に、ティナは目を覚ました。天井を見上げ、彼女は今の自分の輪郭を削り出した。
名はティナ。魔導森林のギフトホルダー、セラニア・ホーガイルによって奴隷傭兵の肉便器にさせられ、セラニアが唾王フェルターに屈してから、唾王城に保護された。
部屋は――リラと共同のものだ。まだ過去の体験に支配されがちなティナが、リラに介護されているためだ。同じくセラニアの地下牢から救出された少女たちは産まれ育った場所に戻るか、ここで過ごすか選ばせてもらい、全員がこの唾王城に残った。ティナ以外は既に給仕として働き始めているが、ティナだけが復調が遅かった。
「大丈夫?」
優しい声音に、自然と笑みが浮かんだ。蒼いショートカットの少女が自分の寝台に腰を下ろし、悪夢から目覚めた彼女の額に手を当ててくれていた。
「リラちゃん……」
リラは唾王城の最古参給仕――というか、実質的に唾王フェルターの副官ともいえる立場だ。少なくとも「給仕長」を名乗っていいはずなのだが、リラは一介の給仕であることにこだわる。 その癖、今もこうしてうなされていたティナを見守ってくれていたように、ティナはリラが眠っている姿を見たことがなかった。
「あ……」
ティナは、自分の指先が今日も濡れていることにそのとき気がついた。臭いを確かめるまでもない。これが自分の愛液だというくらい、感触だけで確信が持てた。
覚醒時のティナはすでにひとりで最低限の生活はできる。食事も、着替えも。給仕としての職務の大半はこなせるだろう。だが、それは現時点ではこの部屋の中だけだ。
雄の臭いを感じると、今のティナは雌奴隷に戻ってしまう。誘蛾灯に誘われるように、男の元へと向かい犯されようとする。
地下牢での生活は、半年にも及んだらしい。その中で彼女の脳のどこかが、犯されている状態こそを正常ととらえ、普段の生活が異常と感じるように適応するようになったのだとか。
それでも最近は、ルクレティアという修道女が親身になって治療してくれているため、随分とマシになってきた。
――本当に戻るのかな。
という弱気な内省をしたとき、柔らかい香りと感触に包まれた。そっとリラが膨よかな胸にティナの頭を受け入れてくれたのだ。
そのまましばし、リラの心拍を聞いていると、ティナは幾ばくか心が安らいだ。それを察したのかリラがティナの肩を掴んで、慈母のように微笑みかけてくれる。
青い瞳は湖面のようだ。透き通ったまるで汚れを感じさせない色に思えた。
だが、違った。その湖の奥底にはぐつぐつと煮えたぎるマグマのような怒りが沈んでいる。それがティナには何故だかわかった。無論、怒りはティナに向けられた感情ではない。
――ああ。
ティナは理解した。リラはティナ以上の凄惨な目を生き抜いてきたのだと。
「リラちゃん……。わたしも、リラちゃんのお手伝いできるよう、頑張るね」
「ありがとう。ゆっくりとでいいからね」
リラがティナの頬に優しく触れた。