※この作品はR-18です。

唾王フェルター陵辱記   作:じょりほー

49 / 53
戦争女神アテナ

 雲ひとつない蒼天の下、どこまでも草原が広がっている。

 

 地に生える草花は穏やかな風によって、葉や花が微かに揺れる。

 

 大陸全土に広がる弱肉強食の理から解放され、軍勢と戦争という雅典戦国の象徴さえも存在しない静かな地。此の地こそが女神アテナが君臨する太平翠野アテナイである。

 

 一面の緑に一点、光輝なる黄金の艶姿があった。金の髪が風にそよぐ中、同じく黄金の鎧を身につけた肢体は地に生えたように揺るがない。左右の手には槍と盾を持っている。武装している――わけでもない。彼女にとって武具は五体の延長である。脱着の必要性はなく、それぞれには彼女の権能の一部が宿っている。

 

 戦争女神アテナ。

 

 雅典戦国の神であり、大陸全土で覇を競う七女神の一柱だ。

 

 飽くなき時間を狂宴に費やした頃から千年。アテナを始めとした神々は児戯にも等しい戦いに明け暮れている。

 

 人。亜人。魔獣。そして、ギフトホルダーや眷属たち――それも、王たるメドゥーサでさえこの戦いの意味は知らない。知る必要もない。女神にとって配下とは即ち己が世界を構成する要素に過ぎない。

 

 女神同士で戦えばすぐに決着はつく。無論、戦いを旨とするアテナには勝利の予感しかない。だが、それでは意味がない。

 

 七柱の女神の戦いは自らの世界同士の戦いだ。故に各国には明白な文化的相違がある。領土ごとの細かな違いはあっても崇める女神の在り方に沿ったものとなる。

 

「何年ぶりか」

 

 つい、彼女は独りごちる。

 

 王に任じたメドゥーサが下剋戦をアテナに仕掛けてきたのだ。女神に対する下剋戦は国ごとに差異はあるが、絶無ではない。雅典戦国では百年以上もなかった。正確な時間は記憶は当然、記録もしていない。暦など女神であるアテナには無関係だ。

 

 メドゥーサが下剋戦を挑んできたのには驚きはない。メドゥーサは王として全領土を盤石に支配している。そうなれば頭上に君臨するアテナを鬱陶しいと思うのは理解できた。

 

 当然、怒りはある。挑んだということはつまり、勝機を見いだしたという意味だ。だがそのような浅薄な考えは正面から蹂躙し、敗者の末路を味わわせれば溜飲は下がる。

 

 一方で高揚もあった。羅刹境国の女神アスラほどではなくとも、アテナも戦いを好む。メドゥーサがどれほどの準備をしてこの地へ参るか、楽しみですらあった。

 

 やがて、アテナは遠くに一団の姿を認めた。メドゥーサを筆頭に十名にも満たない者たちが徒歩で草原を向かってくる。

 

 蛇眼メドゥーサ。

 

 絡新婦アルケニー。

 

 獣母エキドナ。

 

 戦乙女ヘルミーナ。

 

 剣姫ヴィオレンティーナ。

 

 雅典戦国の名の知れた領主が勢揃いだ。他に知らぬ顔がいくつかある。

 

 顔さえ覆われた巨躯の黒鎧は巨大な槌を構えている。

 

 羅刹境国出身らしき太刀を帯びた剣士と弓使い。

 

 それに淫魔に魔術師が二名だ。

 

「メドゥーサ。それで全部か?」

 

 尋ねる声に圧が乗ったのをアテナは自覚した。他国のギフトホルダーを揃えるのはいい。ヘルミーナ擁する神馬騎士団には他国出身のもある。騎士型は他国のギフトホルダーを従える度量を持つ。強さ故に裏切りを恐れず、配下の質を上げられる。

 

 質――そうだ。質だ。眷属でさえ、メドゥーサ以下五名。他国の眷属は淫魔だけだ。他はギフトホルダーで構成されており、その絶対数さえ足りない。

 

「いえ――出し物はいくつか、用意しております故」

 

 メドゥーサは慇懃な口調で良い、口端を持ち上げた。その振る舞いにアテナは苛立ちを覚えた。国土中から吸い上げたアテナの魔力量はメドゥーサも感知しているはずだ。まさか、その程度さえ見抜けぬほどに節穴なのか。他の面々も恐懼に震える様子もない。出し物とやらによほどの自信があるのだろう。

 

「まあ、いい。ギフトホルダーども。名乗れ。名くらい覚えておいてやろう」

 

 ギフトホルダーたちは素直に名乗り始めた。唯一、黒鎧だけが口を利かなかった。

 

「こやつは寡黙でなあ。儂も滅多に声を聞かぬ」

 

 聞いてもいないのにアルガナと名乗った淫魔が不調法にも口を挟んだ。淫魔如きが馴れ馴れしく話しかけてきたのが不愉快だったが、どうせ許しはしない。同じ口で「殺してくれ」と叫ぶ羽目になる。

 

「いつでも来るがいい。どうせ、易々とは死なさぬが――せめて無聊を慰めろ。出来次第では今生だけで許してやる」

 

 女神の呪いは魂を蝕む。大陸を巡る魂は再利用される。眷属に昇格した者は来世ではギフトホルダーとして生を受けるが、ギフトホルダーのままで生を終えたものは産まれた時点で敗者となる。

 

 魔力を放出できないが、美貌を有する頑丈な存在。それは戦場で敗れ捕らえられたギフトホルダーと同じだ。弱肉強食の世界において、彼女たちは亜人や男たちの欲望のはけ口になる運命しかない。

 

 つまり、アテナの宣言の意図はこうだ。

 

 不甲斐なければ、眷属もギフトホルダーも、来世は敗者として生を受ける。楽しませれば眷属はギフトホルダーで来世を得て、ギフトホルダーは眷属に変性してやる。

 

 別段、固い意志があるわけでもない。叛意を示した者に温情を与えることもある。前回の下剋戦でも何人かは生かしたはずだ。誰を許し、誰を殺したのか。そんな無為な記憶はアテナには欠片も残されてはなかったが。

 

 アテナの脅しにメドゥーサたちは怯懦を見せず、陣形を整え始めた。定石どころか無難とも呼べるものだった。

 

 騎士型を前に出し、魔術師や弓兵を下がらせる。ただそれだけで、見るべきところは何もない。

 

 怒りを通り越して呆れさえアテナは覚えた。アテナの配下は騎士型が多くなる。騎士型は向き合った際の強さが絶対的過ぎて、策や謀略を必要としない傾向があった。戦力で言えば隣国の降魔呪国など飛沫にも等しいはずだ。それでも国土を拡張できない原因がアテナにも理解できた。メドゥーサの治世は盤石ではあったが、成長線は閉じている。

 

 となるとこの下剋戦は、国全土の領主を刷新する良い機会になったと言える。

 

 メドゥーサの瞳が妖しく光る。見た者を石像と化す魔眼である。そんなものが女神に通ずる筈もない。盾をかざすと、メドゥーサの瞳から光が失せた。

 

「独裁――領域?」

 

 メドゥーサの漏らした驚愕の声に、アテナは失笑した。あのような欠陥だらけの異能とはわけが違う。

 

「別に当たっても効かぬがな。不敬な魔力で余に触れることは許さぬ」

 

 自分の魔眼が発動をしていないことに気付いたか、メドゥーサは狼狽を見せた。その奥から影が奔る。六本の腕に無骨な剣を構えたアルケニーだ。奇襲にしては速度が遅すぎる。

 

 一瞬六斬の斬撃が迫る。大陸最強の剣士。その称号に相応しい斬撃だ。アテナは槍を回転させ、六刀を弾いた。

 

「――くっ!」

 

 ただの一撃で六刀が粉砕される。剣など斬れればそれでいい。その認識は誤ってはいない。切れ味は悪くないようだが耐久性に難がある。そも、アテナの一撃に耐えられるような名剣が大陸にいくつあるかは不明であるが。

 

 アルケニーに遅れて四種の攻撃がアテナに迫る。魔術による熱衝撃波と飛ぶ斬撃、それに戦乙女の槍に弓兵の矢だ。盾で全て防ぎきれる。だが、彼女は己の絶対性を誇示するために槍で打ち落とした。

 

 頭上に光が生まれた。数は百以上。視線を転ずるとアルガナとカサンドラが魔術詠唱を続けている。黒鎧とトモエが術者を守るべく構えていた。発動を邪魔するほどに無粋ではない。

 

 折れた剣でなおもアルケニーは斬りかかってくる。力任せに弾けばまたも砕けてしまう。打ち合いを楽しむべく、相手の剣を気遣い、受け流すことに終始する。動揺から立ち直ったメドゥーサも鱗を生やした手で攻撃を仕掛けてきた。

 

 連携は取れている。合間にはヴァレンティーナやヨイチ、ヴェレディアが遠距離攻撃を挟んできた。

 

 各国の王であろうとこれらを防げる者はいまい。

 

 しかし、アテナは神だ。彼女にとっては眠気を覚える程度の出し物である。

 

 受けながらアテナはメドゥーサやアルケニーの顔を眺めた。驚愕から焦燥に変じた彼女らの表情は、今では絶望を感じて蒼ざめている。

 

 頭上の召喚が終わる。天から降り注いだのは百の奴隷傭兵だ。意識を失っているのか、彼らは静かに落下してきた。そのままではただ死ぬだけだ。

 

 アテナはヘルミーナに視線を向けた。赤い光弾――英雄変性だ。空中でハーキュリーと化した奴隷傭兵たちが轟音を立てて着地した。

 

 戦乙女の異能によって発生した最強の亜人の軍勢がアテナに殺到する。入れ代わるようにメドゥーサとアルケニーが飛び退いたのを見て、アテナは安心して槍を振るった。

 

 上位のギフトホルダーに迫る力量を持つハーキュリー。しかし、逆に言えばその程度でしかない。そんなものが百いようと千いようとアテナの足止めにもならない。

 

 アテナは槍を全方位に回転させる。肉袋が弾けた音が連続し、彼らの腹に溜まっていた悪臭が大気を汚す。

 

 不快な臭気に眉をひそめ、アテナは盾をかざした。それだけで、血煙も悪臭も遺骸さえもが消滅する。残骸が魔力に還元され大気に失せたのだ。

 

 起きた現象が信じられないのか、アテナを囲むものたちは一様に絶句していた。

 

「余の盾は魔術や異能が起こした事象を否定する。やろうとすれば当然、召喚の時点で消せたさ。だが、部下が折角用意してくれた出し物を見ずに消滅させるなど了見が狭かろう?」

 

 傲然とアテナは笑み、メドゥーサに目を向けた。 

 

「メドゥーサ。まさか余を一歩も動かせずに終わるというのではあるまいな?」

 

 アテナの眼差しに怒気が籠もったのを見抜いたか、メドゥーサはたたらを踏んでたじろぎを見せる。

 

「エキドナ。時間を稼げっ!」

 

 メドゥーサが吠えるとエキドナが這いずって近寄ってくる。ゆっくりと槍を突き出してやると、エキドナは蛇の下肢で槍に巻き付いた。

 

「――硬いっ! なんじゃあこれはっ」

 

「我が槍がそなたの膂力で折れると思ったか?」

 

 盾と同じく槍にも権能がある。本来アテナの槍は握って振り回すものではない。戦乙女が携える魔槍同様、もうひとつの四肢にも等しい。一度狙いをつければ相手の急所を必ずや突き穿つ必中の槍だ。生命を感知するが故、槍を投げるだけで並大抵の軍勢は死に絶える。故にこうし手にで使わざるを得ない。女神に反旗した彼女らに、栄誉ある死など賜わせてたまるものか。

 

 柄に絡みついたエキドナごと、アテナは片腕で軽々と持ち上げる。二度、三度と草むらに叩きつけるとエキドナは目を回したらしく、槍に巻き付かせた尾を離した。

 

 目聡くアテナは続く相手の手を待っている。懲りずに召喚魔術を起動している。此度の数はおよそ三十にも満たない。

 

「期待していいのか? メドゥーサ?」

 

 傲然と尋ねると、メドゥーサは苦々しげに歯噛みした。どうやらこれが最後の一手。それも、大した自信はないようだった。

 

 眩い光から飛び出してきたのはギフトホルダーたちだった。羅刹境国風の装具も見られたが、その大半は剣姫庭園で良く見られるタイプの鎧ばかり。おそらくはヴァレンティーナの部下だろう。

 

 銀、赤、青、茶――南部のギフトホルダーたちの名などアテナが知る由もない。彼女らは最前のハーキュリーにも勝る速度で一息にアテナに接近し、長剣や大剣、細剣や槍、斧などの武器で思い思いの攻撃を繰り出してくる。

 

 全てを足してもアルケニーの連撃にさえ劣る。容易くそれらをいなすと、アテナは殺さぬように加減し、足蹴にて吹き飛ばす。

 

 怒りも呆れも通り超し、哀切さえアテナは覚えた。女神に反するのであれば、この十倍の戦力があっても尚足りない。あまりにも目算が甘すぎる。

 

 今、ここに集った蛮勇の徒たちにはもはや期待や寛恕は不要だ。彼女らの魂はこの戦が蔓延る大陸には無用である。アテナはそう断じた。

 

 肉体を弄び魂に烙印を与える。来世は敗者として下等な雄どもの精を受け止める生涯を与えよう。

 

「女神の力を軽侮した無知蒙昧どもよ。せめて魂に刻みつけよ」

 

 蒼天を万雷が埋め尽くす。大陸よりなお広き天蓋さえも隷属させるのがアテナの世戒だ。

 

 世戒(ワールドビュー)

 

 七女神だけに許された、女神が理想とする世界を擬似的に再現する力である。

 

 他の女神の世戒をアテナは知らず、アテナの世戒も他の女神たちは不知だ。女神同士で世戒の打ち合いになったら結果は未定だ。臆病者は避ける手段を講じているだろうし、不遜者はおそらく防ぐに違いない。

 

「これが――余の世戒だ」

 

 宣言した直後、天を埋め尽くした雷霆が大地に降り注ぐ。否、違った。アテナの世戒による雷霆は敵対者の体内にある魔力を起点として上向きに電撃が生じるのだ。

 

 魔術のようなまがい物とは異なり、世戒による現象はエフェクトと衝撃には時間差がない。むしろ効果の方が先に発生しており、自然が世戒を物理的に再現するために、雷霆を選んだに過ぎなかった。

 

 効果は全身に対する痺れと、対象が保有する魔力の天への還元だ。

 

 加え――その最大射程は雅典戦国全域に達する。

 

 女神が国を治めるのに威光など必要ない。アテナはいとも容易く、ただの一瞬で己が国を制圧できる。

 

 アテナを囲んでいた面々はその全てが痛苦に喘ぎ地に伏していた。

 

 アテナの世戒は相手を殺すことなく、ただ戦闘能力だけを奪う。回避は不可能で耐えきることも叶わない。撃つだけで勝利が確定する切り札。それがアテナの世戒である。

 

 軍勢はアテナの世界を生み出す道具に過ぎず、戦争も手段でしかない。

 

 アテナの世戒。

 

 それはただひたすらに一方的な――『勝利』だった。

 

 倒れ伏した挑戦者たちを冷酷に見下ろして、アテナは槍の穂先で指先を突いた。白く美しい指先に赤い血の玉が浮き出し、指を前方に差し出すと一滴の雫となって地面に落ちる。

 

 槍と盾に次ぐ第三の権能。地を塗らした一滴の血は見る間に増殖して人型となる。

 

 アレス。

 

 アテナの血から生まれ出ずる軍勢である。亜人でもなければ魔獣でもない。強いて言うなら亜神と呼ぶべき存在だ。アテナの意志に沿って動く無謬の兵隊であり、一体一体の戦闘能力は上位眷属にさえ匹敵する。

 

 そして、彼らにはアテナが唯一持たない器官が備わっている。

 

 血が凝固して形になったアレスの股ぐらには、雌を射殺さんばかりに突き出した陰茎が生えている。

 

 一滴の血から現れた百にも及ぶアレスたちは、身の程知らずどもを陵辱するために女たちに覆い被さった。

 

 ぴちゃり、と音がして、アテナはそちらへと首を向けた。音に反応しただけであり、何を目にするか予測を一切していなかった。この戦闘とも呼べぬ勝利に至るための前奏において、彼女の予想を上回ったのはこの一瞬のみだった。

 

 顔を向けたときには、既に黒鎧が彼女に向かって凄まじい速度で接近してきていた。メドゥーサやアルケニーの比ですらない。その速度は女神に伍する。名乗らなかった不敬なギフトホルダーのひとり。ただそうとだけ認識していた黒鎧に、アテナは判断を誤った。

 

 槍を手放せば必殺の槍は彼を殺すまで幾度となくその肉体を穿ったに違いない。

 

 女神の呪いで生きるだけの男の肉体は、盾を翳されれば霧散しただろう。

 

 アテナは横薙ぎに振るわれた巨槌の殴打を、己が肉体の延長たる槍で受けた。

 

 それがアテナが犯した唯一の失策だった。

 

「がっ――!?」

 

 奇しくも、その一撃による影響はアテナの世戒と同一だった。打った相手の魔力を奪い、相手を無抵抗な敗者とする。衝撃で体が吹き飛ばされた。メドゥーサたちを相手取りながら、ただの一歩も動かずに済ませたアテナは、敗着に至る一撃でようやく矜持を崩された。

 

「流石だな……」

 

 野太い男の声が黒鎧の中からしたと思うと、黒鎧が外れて内側から男が姿を見せた。その全身は血に塗れている。一見すれば倒れただけのアテナより、男の方が遥かに重篤で死に近い。頭は上半分が吹き飛び、潰れた脳が露出している。両腕は破滅的に折れ曲がり、両の足はどうやって全身を支えているのかわからぬほどに壊れている。

 

 その中で唯一、股間の逸物だけが盛んに膨張し、亀頭の先端が倒れ伏した彼女を見据えているように思われた。

 

 立ち上がらなければ――と、アテナは思う。思うだけだ。体は全く言うことを聞かない。動く眼球は男に吸い寄せられたようで目が離せない。全身の大怪我はまるで時間が逆戻しになったかのように再生していく。

 

 傷が癒えた男は股間を怒張させたままで動けないアテナに近寄ってくる。

 

「バカな……」

 

「バカはあんただろ。アテナ。下々をしっかり見ていねえからこうなるんだ」

 

 無礼な口ぶりで、男はアテナを嘲笑う。男は座り込み、アテナの体を仰向けにさせた。蒼天を背景に男の姿が大写しになる。

 

「メドゥーサは一度あんたに敗れてんだよ。だからあいつは槍や盾、それに血に宿る権能も、世戒のことだって知っていた」

 

 蛇眼は別にメドゥーサしかいないわけではない。以前の下剋にメドゥーサも混じっていたらしい。気まぐれに生かした相手をアテナは忘失していた。ならば策を講じるのも不可能ではなかったろう。

 

「だからと言って……な、何をっ」

 

 男の伸びてきた手が、彼女の鎧を外しにかかった。千年もの長きに渡り、鎧の中に秘されていた乳房が青空の下で露出する。

 

 これ見よがしに男は舌を伸ばし、アテナの乳頭を嬲るように舐める。むず痒い感触に怒りと羞恥が湧いた。しかし彼女の体は指一本動かすこともできない。その事実が女神の心胆を寒からしめた。

 

「あ……まさか……そんな……」

 

 絶望に喘ぐアテナの顔を眺め、男は満足そうに頷いた。彼女の両手から槍と盾が奪われる。感覚がふたつ閉じ、暗渠に放り出されたような心細ささえ抱く。人間のような生活を必要としないアテナは、槍と盾を手放した経験さえなかった。

 

 動けないアテナの両の乳房を揉みしだく。

 

「おう、そのまさかだ。お前は今から俺――フェルター様のデカマラで蜜壺を掻き回されるってわけだ」

 

 名残惜しげに乳房から手を離すと、残った鎧を剥ぎ取りにかかる。これらも当然、千年間脱いだ経験はない。女神の体に穢れは産まれない。だから湯浴みなども必要なかったのだ。

 

 秘部に風が触れた。アテナは全身が熱を帯びるのを感じる。大気に触れさせたのも初であるにも関わらず、フェルターがまじまじと彼女の秘部に視線を向けている。

 

「千年おぼこだとこうもぴったりと閉じるってわけか。丁寧に開いてやんなきゃなあ」

 

 アテナ自身というより膣口に語りかけるような口ぶりでフェルターが言う。暴れたくとも体の自由は未だに利かない。アレスたちを操作することも無理だ。彼らは今、ギフトホルダーたちのそばで倒れているに違いなかった。

 

 膣口を濡れた軟体が這ったような感触があった。

 

「ひぃっ……!」

 

 悍ましい感触に悲鳴が喉から溢れた。鼻息が陰核や恥毛を揺らす。その感触で舌が閉じた膣口をなぞっているのだとアテナは理解できてしまった。

 

「や……やめ……」

 

 体が動かせず好きにされるような事態は、この千年――否、それ以前からなかった。無抵抗のままで男に好きなようにされている。大陸全土で日常的なその光景が、女神である自分自身に訪れる日が来ようとは想像するはずもない。

 

 膣口が指先で押し広げられ、秘肉が晒された。

 

「綺麗な桃色してるじゃねえか。じゃあ、ここを掻き回すってんでいいか?」

 

 嘲弄するようにフェルターは言った。蒼ざめた顔でアテナは首を振ろうとするが、その程度さえ体が動かない。女神の身で男に犯される。それは実体を持った恐怖そのものだ。これまで積み上げてきた価値観が一瞬で根底から覆された。

 

「嫌なら俺の奴隷になれ。そう誓えば無理矢理に犯したりなんかしねえよ」

 

 憐れみを込めた笑みでフェルターが言う。純潔を失う恐怖に、アテナは頷いた。

 

「ん? そりゃどっちへの答えだ? やっぱり突っ込んでほしいんだな?」

 

 フェルターは野卑に顔を歪めて、アテナに明言を求めた。このような卑賤な交渉をアテナが耳にしたことがあるはずもない。

 

「奴隷に……なろう。余が貴様の敵を全て殺してやる」

 

 だから彼女は己の貞淑を保持せんと、フェルターの持ちかけた選択肢に飛びついた。

 

「はっ。驚きだ。突っ込まれてもいねえのに奴隷宣言したのはあんたがはじめてだ」

 

 嘲弄の言葉が放たれたが、アテナは安堵に胸をなで下ろしたい気分だった。女神たる自分を奴隷にしようとする雄への怒りはあっても、純潔を失う恐ろしさに比べたら微々たるものだ。

 

「おっと。アテナ。おまんこから涎が垂れてるじゃねえか。なんだ。やっぱり俺の逸物で蓋をしてほしいってわけだな?」

 

「なっ!」

 

 話が違う――とアテナは目を剥いた。アテナは肩を掴まれ身を引き起こされる。それから頭を押さえられて視線を下げさせられた。フェルターが怒張を彼女の下腹部に乗せる。尋常ならざる肥大した逸物は彼女の臍より上までを覆っていた。

 

「あ……」

 

 恐怖が音として喉から零れた。処女を奪われる事実より、純粋に大きすぎる男根が自らの体にねじ込まれる現実が彼女の身を強張らせる。

 

「き……貴様っ。まさか」

 

「貴様じゃねえ。雌奴隷だろ、アテナ。ご主人様と呼べや」

 

 髪を掴まれて理不尽な命令を受ける。先に契約をご破算にしたのは相手だ。だから彼女も奴隷などという卑俗な立場に甘んじる必要はない。睨み付けようとした眼差しの下で、彼女の唇が当人の意志を無視した。

 

「ご主人様……」

 

 自由が聞かないどころか、喉はアテナを裏切った。睨むこともできず呆然とフェルターを見やるアテナを、フェルターは楽しげに見返した。

 

「偉い偉い。良く言えたな。千年未使用の女神おまんこに、ご主人様のデカマラをぶち込んでください、って言ってみな」

 

 低俗に過ぎる発言を命令される。そんな語彙は彼女の内側にはない。当然、口に出せるはずもない。だが、既に口の支配権はアテナ自身にはなかった。

 

「千年未使用の女神おまんこに……ご主人様のデカマラをぶち込んで……ください」

 

 口を閉ざすことは叶わず、その無為な努力の甲斐は熱い吐息と化して台詞の後に続いた。

 

「奴隷に頼まれたら仕方がねえな」

 

 フェルターがアテナの腰を掴んで高く持ち上げる。そのままフェルターは背中を地面に倒れ込ませると、アテナの体を自分の下腹部に座らせようと高度を下げていく。

 

「や……やめろ……! 余は――女神アテナ、この大陸を統べる七女神の一柱だっ!」

 

 自由を失い、裸体を晒し、純潔を無様に奪われるその直前の名乗りは、崇高さや気丈さよりむしろ滑稽に映るとアテナは知らなかった。

 

 秘部に硬い先端が触れる。彼女の体がさらに沈む。膨らんだ亀頭がゆっくりと彼女の体に挿入っていく。

 

 ――何故だ。私は何故、こんな目に遭っている?

 

 ――私の世戒を破る手段はない。それなのに。

 

 思考が千々に乱れ、純潔を失う恐怖と自らが戦いの最中で犯した失策への考えが錯綜する。それは一種の逃避であった。

 

「ぎいっ!」

 

 突然の痛みに叫びが漏れる。槌で殴られたときよりも鋭い痛みだった。

 

 先端だけを突き込むと、フェルターはアテナの腰部から手を離した。だらりと垂れ下がったアテナの両手は、体を支えることはできない。重力に従って、怒張を蜜壺が呑み込んでいく。膣襞は亀頭に拡げられながら、その後の陰茎を丹念に搾っていた。摩擦によって生じる熱と刺激がアテナの脳髄に突き刺さる。あまりの衝撃にアテナの口角には泡が溜まった。

 

 鈍い衝撃を受け、一度彼女の体が宙空で止まる。口端の泡が顎に向かって垂れ落ちる。亀頭が子宮に突き立ったのだろう。落下はそれで完全には静止せず、ゆっくりと目線が下がっていき、やがて尻肉が男の下腹部に接地した。肌と肌の合間は濡れていた。愛液と先走り汁と破瓜の血が混じったものだ。

 

【挿絵表示】

 

「おっと、まだ動けないか。じゃあ、こっちで動いてやらんと……なあっ」

 

 フェルターが腰を跳ね上げさせた。反動で彼女の体が浮かび上がる。擦れ合いながら男根が彼女の体から抜かれていき――カリの部分で止まって再び落下が始まった。

 

「ああ……ひぃ……っ」

 

 喘ぎとも呻きともつかない声を漏らすしか、アテナにできることはなかった。何せ体は未だ微動だにしないほどに重かった。ベクトルを変じ、今度は蜜壺が再び男根を咥え込む。

 

「あがっ」

 

 アテナの体が落ちるのを待たず、フェルターは腰を再び縦に揺らした。力強く突き込まれた衝撃は、自由落下とは比べものにならない衝撃があった。口を閉じ歯噛みすることも、声を我慢することさえアテナにはできない。性器同士が擦れ合う感覚は彼女に熱を与える。熱はむず痒い刺激となって全身を駆け巡る。恍惚が彼女の脳を麻痺させた。閉じれない口からは幾条も涎が垂れて、フェルターの胸に水たまりを作る。

 

 幾度となく下から突き上げられる度、感じたことのない感覚が子宮に溜まる。感覚はやがて、爆発するように全身に放散した。瞬間、頭が真っ白になる。背中が弓なりに反り、視界が青空だけを映した。そのまま背後に倒れそうになったアテナの両手をフェルターが掴む。

 

 腕を引っ張られ、アテナは髪を淫靡に揺らしながら前のめりになる。フェルターの腰使いに合わせ、乳房が激しく上下に揺れる。硬くなった乳首は高速で空気に触れるだけで快楽を生じさせていた。

 

「いい顔だぜ、アテナ。もっと、乱れてみな」

 

 自分がどんな顔をしているのか、アテナに自覚はない。だが、これまでの千年で浮かべたことのない顔なのは間違いがなかった。頬が熱い。紅潮しているのは間違いなかろう。目はきっと蕩けている。未知のこの快感を、神経全てが貪っている。

 

 下卑た男に犯されている事実がよりその快感を鋭くする。被虐的悦楽に対する欲求が、この戦女神の奥には潜んでいたらしかった。

 

 膣内で陰茎が蠕動を始める。全身が悪寒を感じ震え始める。その程度の知識はアテナにもあった。目に絶望が滲んだのがわかったのか、フェルターは一際笑みを強めた。

 

「女神ってのは孕むのか? 俺の特濃をぶちまけて試すとするか――なっ」

 

 最後の一突きの直前、フェルターは腰を掴んで叩きつけるような勢いで、アテナを自らの腰上に引き寄せた。ちょうど、アテナの体が二度目の絶頂に達し、敏感になった体がどくどくと流し込まれる熱く多量の精液を感じとる。

 

 女神が孕むかどうか。フェルターの問いに対する答えは、七女神の誰もが持ってはいないだろう。女神にとって男とは、眷属やギフトホルダーが敗者となった際に罰を与える存在だ。敗者を慰みものとして徹底的に陵辱する。女神が支配する大陸において、力を失った女は女神の代わりに情欲の贄となる。

 

 男に犯されるような女神はこの千年、誰ひとりいなかった。その最初のひとりに自分がなったこと、そして自らの体が卑しくも性楽に溺れ始めている事実にアテナはおののいた。

 

「ああ……違う。そんなはずはない」

 

 茫洋とした瞳で現実の受容を拒みながら、アテナは何を否定しているのかもわからずに呟いた。

 

 膣内で果てたはずの肉棒は硬さと熱を維持したまま、なおもアテナを貫いたままだった。

 

 アテナの背に手が回り、力任せに引き寄せられる。伏したフェルターに跨がったままで、彼女は抱きつくような姿勢を取らされる。口と口が触れ合う。

 

 フェルターの舌がアテナの口内に侵入する。噛みちぎる力はない。無作法に入ってきた舌が、アテナの舌を組み伏せる。実際の体位は女性上位の騎乗位だったが、精神的な状況は舌の方が事実に即していた。力なく一方的に押し倒され、辱めを受けている。

 

 男の臭いと体温が鼻腔と肌から伝わってくる。互いの唾液が混じり合い、淫靡な湿った音を奏で続けた。その上、フェルターは緩やかに腰を動かしてくる。舌の絡み合う音が、性器同士の擦れ合いによるもののように錯覚する。

 

「むぐっ……むぅ……」

 

 フェルターの手が尻肉を揉みしだき始めた。そして、不意にその指先が彼女の肛門に触れた、おぞましい感覚があった。目を剥く彼女に、フェルターは楽しげに笑った。

 

「おぐ……ちゅぴ……ぬはぁ」

 

 何を呟こうとしたのかは自覚さえなかった。拒絶であるのは間違いなかったが、それだけだ。当然、フェルターがアテナに斟酌する理由は何一つなく、一本の指が肛門に突き入れられる。括約筋がアテナの意志を無視して指先を呑み込む。

 

 口と性器から唾液と愛液の量が増したような感覚があった。挿入される指先が増え、やがて三本もの指をアテナの肛門は悠々と咥え込んだ。

 

「――」

 

 何事かをフェルターが囁く。その言葉は何故かアテナの意識には残らなかった。

 

 体が引き剥がされ、アテナの体はフェルターに抱えられて宙を浮く、離れる際に名残惜しげに彼女の唇から舌がはみ出た。自分の意志ではない。フェルターの舌が無理矢理に引き出したのだ。少なくともアテナはそう信じた。膣口から陰茎が抜け落ちる。愛液と精液の混合液が垂れ落ちる音が聞こえた。

 

 散逸しそうになる自意識をかき集めて、アテナは逆転の好機をうかがった。

 

 奴隷になると明言したために、フェルターの命令にアテナは逆らえなくなった。そんな異能があるなど知らないし、何より男が異能を有するのは奇妙ではある。だが、他の女神による策謀であれば不可能ではあるまい。

 

 必殺の槍と無敵の盾は奪われた。槍は放てば相手を殺すまで動きを止めないし、盾は相手のギフトそのものを無効化できる。魔力が枯渇している以上、アレスたちもろくに動かせない。

 

 だが、女神の魔力回復はギフトホルダーや眷属の速度と訳が違う。如何に苛烈に犯されようと、やがて世戒を放てるだけの魔力は回復するだろう。

 

 問題は何故、この男に世戒が聞かなかったのか。

 

「ご主人様……何故、世戒が――」

 

 その事実を確認しようと尋ねたとき、尻穴に何かが触れた。思索に耽っていたアテナは、すぐに何をしようとしているのか思い至る。冒涜的なその発想に全身の血が凝固したかのように寒気を覚えた。

 

「正気か……っ」

 

 言えたのはそれだけだった。体内を通してめりめりとこじ開けられる肛門の悲鳴が伝わってくる。しかし亀頭を咥え込むとあとは指と変わらない。括約筋は意志に反して異物を易々と受け入れた。

 

 乾いた音が晴天に響きわたる。串刺しにされたアテナは背を限界まで反らし、衝撃の激しさを物語った。

 

 フェルターがゆっくりとだが力強く、腰を突き上げ始めた。先走り汁のみを潤滑とした抽送だ。無理矢理に拡張される感覚がアテナを貫く。彼女にできるのはその痛みを口から逃がすために精一杯の声を上げるだけだった。

 

「ああああ……はぁぁぁっ!」

 

 少しずつアテナの肛門と腸壁はフェルターの陰茎に適応していく。その度にフェルターの腰使いは速度を増し、必然的に肌が打ち合う音が速まっていく。

 

「世戒か? ありゃあ相手の魔力を完全に奪うもんだろう? 確かにそりゃあ聞くがな。俺は魔力の出力制限がかかっている。今の上限は女神より高いんでな。一度魔力が枯渇しても、充填されるだけだ。回復とは違うから速度も一瞬だ」

 

 肛門を激しく犯されながらも、アテナはフェルターの発言をしっかりと聞いていた。

 

「あは……ぐっ、誰……だ。ご主人様を……差し向けた女神は……っ?」

 

 激しい突き上げに対し、性感を押さえるために少しでも楽にしようとアテナも腰を動かしていた。まるで馬を乗りこなすような腰使いだ。傍から見れば自分から腰を振っているようにしか見えなかった。

 

「マリマノート。そして、俺は――千年前に貴様らに呪われたブタの王だ」

 

 フェルターは言うと、アテナの腰を力強く掴んで、逸物で彼女の身を引き裂こうとするように自らの体に押し付ける。肛門の中で始まる射精の予兆さえ、アテナは他人事のように感じ、呆然とした顔で彼女はフェルターを見下ろした。

 

「マリマノートだと……奴が、地上に? それに、まだ……生きていた、のか……っ」

 

 その目には絶望だけでなく恐怖の色があった。それを見たフェルターは、嬉しげに歯を見せる。

 

「何をして、俺は呪われた? 話を聞かせるか、蓋をされた記憶を蘇らせる方法があれば教えろ」

 

 どくどくと尻穴の中に精液が注がれる。精液が直腸で吸収される。高密度な魔力を帯びた精液により、アテナの魔力が漲る。

 

 もう少し、もう少しで世戒が放てる。一瞬でも隙が生まれれば、あとは盾を翳せばいい。いかに七女神が総出でかけたブタの王への呪いであっても、アテナの盾なら無効化できる。ただの人間に戻してしまえば、再生能力は消失する。

 

「我が盾なら……解除できる。我が盾は翳した相手が持つ異能を打ち消すだけでなく、ギフトも消せる。呪い全てを打ち消すわけではなく、縛鎖を指定して外せる」

 

 時間稼ぎでもなんでもない。盾の真価はアテナ以外誰も知るまい。本来なら隠しておきたかったが、アテナは既にフェルターの命に逆らう権利がなかった。

 

「はっ、そうか。楽しみだ。その目に宿った恐怖。どうやら、恨まれるだけのことはしたっつう自覚はあるみたいだな。――アルガナ、メドゥーサ。準備はできたか?」

 

 不意にフェルターがアテナから視線を外し、部下たちに声をかけた。

 

「けひっ。当然じゃ。処女神とも謳われたアテナ様よ。なんとも高尚な趣味をもっておるのう。儂のインキュバスでさえ、逸物と感覚はつながっておらぬ」

 

 フェルターの上で揺らされながら、アテナは声の主の方へと首を巡らせた。見えた光景に、彼女の全身を恐懼が襲う。

 

「下剋で敗れた者はアレスに執拗に犯される。それで愉悦に浸っているのは知っていた。ならば――我々もフェルター様同様、アテナ様を犯すとしようか」

 

 アテナが生み出したアレスたちが、仰向けに倒れていた。アテナの情動と繋がっているためか、アレスたちの逸物だけは天に向かって屹立している。場に集ったギフトホルダーたちは下履きを脱ぎ、アテナが今そうしているような騎乗位で、アレスを犯し始める準備を終えていた。命じられて無理矢理に従っている者もあれば、意気揚々とアテナの反応を眺めている者もあった。

 

「さてと、アテナ。この場ではお前が一番下だ。というわけで……」

 

 フェルターが彼女の肛門から陰茎を一度引き抜き、体位を変えた。四つ足を強制される。獣じみた後背位だ。引き抜かれたばかりの肉竿で、すぐに尻穴が埋め立てられた。

 

「この……くっ、許さん……、……ん……ほぉ」

 

 突き立てられる確度が違うためか、先ほどの抽送とは異なる未知の悦楽がアテナを襲った。

 

 激しい官能に突き動かされ、喘ぎ声を漏らしながらも、アテナは世戒を放てる好機をうかがう。何故、フェルターがアテナの世戒を受けてもなお動けたのか。その理由は判然とせずとも、次は侮らない。世戒を撃った直後、槍を放ち完膚なきまでに絶命させる。アテナが男に犯された事実もろとも、この場に集った人間を皆殺しにするのだ。

 

 背後からフェルターがアテナを犯す。乾いた音と湿った音が響く中で、アテナは大きな乳房を揺らして性感に耐える。

 

「ん……っ。ひぃぃ、ぐぅっ!」

 

 耐えられずに声を上げたのは、陰核から射精と同等の性楽が伝わってきたためだ。血から生まれたアレスたちが、ギフトホルダーたちに犯されている。ギフトホルダーたちを犯すだけなら悦楽として楽しめたはずの行為が、尻穴を激しく犯されながらであると意識が飛びそうになるくらいの快楽を生んでいた。

 

 当然、ギフトホルダーたちがアレスを犯す動きには細々とした違いがある。よって、アレスから伝わる性感には差異があった。射精の快感が連続してアテナを襲い、その上で直腸はフェルターに犯されている。

 

「いぎぃっ! お……おおおおっ! こわ……壊れるっ!」

 

 アテナの反応が面白かったのか、メドゥーサやアルケニーの嘲笑が聞こえてきた。本来であれば歯牙にもかけない連中に嘲笑されている。その事実がアテナの羞恥を強め、だからこそより快楽に絡め取られた。

 

「無様だな、アテナぁ。おら、たっぷりと俺の子種を直腸に注いでやる……ぜぇっ!」

 

 宣言通り、フェルターが尻奥に精を放った。直腸に注がれた精液は二度目だ。フェルターの精液は二回だけでアテナに世戒の準備をさせるほどに高濃度の魔力を帯びていた。

 

 ――許さん。必ずや余の受けた屈辱を数百倍にして返してやる。

 

 そう誓ったときだった。

 

「ぎゃあああっ」

 

 アテナの全身を激しい痺れが襲い、再び魔力が枯渇した。

 

 力なく地面にアテナは倒れた。しかし彼女を犯すフェルターも、アレスに馬乗りになったギフトホルダーたちも腰使いを止める気配はない。一切動けない彼女を、ただひたすらに強姦している。

 

「はっ。まさか俺が世戒とやらを警戒していないとでも思ったのか? 俺の奴隷契約は絶対的な命令権が備わっている。さっきあんたにゃ、魔力が溜まったら世戒を自分に放てと命じておいた。その命令を忘れろという指示も加えてな」

 

 なおも激しく肛門を犯しながら、フェルターは勝ち誇った口調で告げる。アテナの表情には絶望の色が浮かんだ。フェルターの発言が事実なら、彼女に逆転の目はない。そして、女神の体はあまりにも強靱で死という救いさえない。

 

【挿絵表示】

 

「……ああっやだっ。誰か……助けてっ!」

 

 自らが陥った現状を理解したアテナは、そんな懇願を口にした。それ以外には何も許されなかった。

 

 再び直腸に精液が注がれ、アテナの体も絶頂を迎える。肛門と陰核を多数の人間に責められれば果てるのを繰り返すより他はない。

 

「一応教えておいてやるか。俺の奴隷契約は支配下の奴隷から魔力を調達できる。現段階でその総量は女神より上だ。ただし、対面する相手と同等までに制限されていてな。奇しくも俺の槌とお前の世戒は似たような効力だ。試したところ、保有している魔力を喪失した直後、超過していた魔力が即時補填される。だからお前の世戒を受けても俺は行動できたってわけだ」

 

 勝ち誇りフェルターが詳細を伝えてきた。だがアテナはそれをろくに理解できるような状態ではなかった。獣の体位で背面から肛門を犯されながら、アレスたちが大量にギフトホルダーたちに搾り取られている。雄と雌の絶頂が連続し時には同時に起こる。

 

「むはっ……! がああああっ!」

 

 艶冶な声を出せるような余裕はない。そして、女神の体の頑丈さは折り紙付きだ。気が狂いそうなほどの快楽が脳に突き刺さりながらも、死という救いさえ残されていない。

 

 幾度となく直腸に精液が吐き出され、己の世戒を受けて悶絶するのを繰り返した。アテナはもはや自分の体を支える力さえなくし、地面に体を預けてひたすらに肛門を掘削されていた。

 

 ようやく逸物が尻穴から抜け落ちる。満足したのか、とアテナが思ったのはつかの間だった。

 

 目の前に天に向かってそそり立つ陰茎が差し出される。むせ返るほどの精臭に、アテナ自身の蜜壺の香りが混じっていた。

 

 フェルターがアテナの頭を掴んだ。唇に亀頭が擦りつけられる。

 

「おら、口を開けろ」

 

 命じられると素直に体が従ってしまう。茫洋とした瞳のままでアテナが口を開くと、間も置かずに肉竿が口内に滑り込んできた。

 

 頭を掴まれ激しく前後に揺すられる。舌遣いなどには期待していない、暴力的な口淫だった。幾度となくフェルターの陰毛が顔に刺さり、喉から鼻先に雄の臭いが上がってくる。

 

 力強く彼女の顔がフェルターの腰部に押し付けられる。喉に陰茎が突き立ち、餌付きそうになるがその自由はアテナにはなかった。喉奥で陰茎が震える。些かも減じない夥しい量の精液が喉に放たれた。

 

【挿絵表示】

 

「口開けて無様な様を見せてみな。それから飲み干せ」

 

 言われ、アテナはそうせざるを得なかった。口内に溜まった精液をフェルターに見せつける。彼が満足そうに頷いたのを見てから、雄汁を嚥下した。

 

 フェルターは彼女の頬を逸物で二度、三度と叩いてから、再び彼女の口の中にペニスを突き入れた。

 

「次は自分でしゃぶってみろ」

 

 命じられてアテナはゆっくりと頭を動かした。陰茎がどのような刺激を求めているかなどアテナは知らない。ただ膣を再現するように、口元を窄めて舌先を肉棒に絡め、顔を前後させる。

 

「はっ。女神様の舌遣いはぎこちねえな。上手くなるよう徹底的に教え込んでやる」

 

 アテナの口淫を罵ったフェルターだったが、やがて再び口内に埒を開けた。青臭い汁が溜まったが飲み干す権利も吐き出す自由もなかった。

 

 その最中も彼女はひたすらにギフトホルダーたちが動くために陰核には強い刺激が加わっている。

 

「おぼ……ぐっ。ふぅ……っ」

 

 精液を口に留めているためにろくな声も上げられない。フェルターはアテナの豊かな胸元にペニスを挟み込み、腰を前後させた。尿道口が顔に突きつけられ、乳房で陰茎を扱かされている。

 

「たっぷりそのお高貴なツラにぶっかけてやるからな。そうしたら全部飲み干すのを許してやる」

 

 反論する権利さえ奪われたまま、彼女の乳房は逸物を扱く。終わりの予兆として陰茎が蠕動を始めた。胸元から突き出た亀頭から大量の精液が飛び出て、宣言通りアテナの顔を白く染め抜いた。

 

 熱い液体が顔を覆う。アテナは口中の精液を嚥下すると、顔にかかった白濁液を指先でより集め、口に含んでそれも飲み干す。

 

「さて……と。俺の封された記憶を解除してもらうとするかね? 覚悟しろよ? ブタの王としての俺はこんなに生やさしい態度じゃねえ。お前らが俺に何をしたのか――それ次第だ」

 

 フェルターは加虐的な笑みを浮かべて、アテナに盾を差し出した。

 

 恐懼がアテナの身を焼いた。千年前、ブタの王にした行為。七女神がかつて災団と呼ばれていた時代に起きたそれを、アテナは流石に記憶していた。

 

 許されるはずがない。

 

 ブタの王とマリマノートが通ずるなど想像もしていなかった。

 

 果てのない性欲と強靱な再生力を持つブタの王が、千年もの間放浪していたのが何のためか――それを知ればフェルターはアテナを許さないだろう。

 

 だが、彼女に拒絶する自由はない。そして、盾を用いてフェルターを消滅させることも許されていない。盾もアテナの四肢の延長で、呪いや祝福の解除も感覚の一端だ。フェルターの記憶にかけられた呪いだけを照準し、アテナが盾をかざしたその瞬間。

 

「がああああああああああああっ!」

 

 と、フェルターが怨嗟と憎悪が激しく混じり合った咆哮をあげた。ただでさえ常軌を逸していた逸物が、一回り太さを増した。その目には正気など一欠片も残ってはない。

 

 ブタの王と化したフェルターは、手近にあった女体――アテナの両足を拡げ、その蜜壺に逸物を突き立てた。

 

 フェルターが生やさしいと評した、嗜虐的な責め方とはまるで違う。雌とみれば獣だとしても犯し、九相において膿爛相に至るまで抽送を止めない。

 

 千年前。確かにアテナは見た。腐敗した女の股ぐらに延々と腰を振り続けるその様を、七女神と呼ばれるようになった者たちは狂宴の出し物として眺めたのだ。

 

 獣じみた咆哮が蒼天を揺らす。生殖のためでもなく、快楽のためではなく。本能が何をもって女を犯すのか。

 

 我々こそが霊長であり、男はブタで女はイヌ。

 

 災団に蔓延していた思想の結実こそが、ブタの王である。

 

 犯される身となったアテナは、顔を青ざめさせて許しを求めて首を振る。だが、ブタの王には知性はない。

 

 晴天が赤く染まり、夜の帳が落ち、また空が白み――

 

 それが幾日続いたのか、アテナは時間感覚さえ失い、ただ一匹の雌として、ブタの王の性の捌け口としてイキよがるだけだった。

 

【挿絵表示】

 

 





【挿絵表示】


パラメータで分かる! 現在の状況

【遠征中】
アウレリア→ガロッゾ城塞
カサンドラ→廃霊城(魔導森林領主)
フリーダ→鍛冶場(冒険者組合所属)
ヴァレンティーナ→剣姫城(剣姫庭園領主)
アテナ→太平翠野アテナイ(雅典戦国女神)
レオナ→北防城
カスミ→忍者の里
ナギサ→忍者の里

【地底唾王城総戦力】
フェルター  戦術368→468(アテナ) 
E唾王槌
E唾王鎧
E麻痺剣

※フェルターの戦術レベルは奴隷の半分が加算される
※ただし、地底唾王城以外では相手の戦術レベルに合わせてレベル制限される

特殊オプション:
毒合成レベル6
魔術工房レベル120
※魔術工房レベルは戦術レベルと同等まで上げられる

調教道具:
オーク5匹
奴隷傭兵50人
娼館(セラニアが娼館主。領地誓約発動可能)
自動張型(フリーダが供給)
インキュバスの館(各地に点在。拘束宙吊りが可能)

保護中:
村娘9人→給仕隊
村娘ティナ→給仕隊
未亡人ヨダ→給仕隊
治療中奴隷型1名(カスミ編でインキュバスが買った分)
治療中 ギフトホルダー3名(エキドナ編で回収した分)

調教中:
修道女ルクレティア

設備:
地下牢
作戦会議室
→図書室(多分最初からあった)
→調理場(多分最初からあった)
魔術工房×4(セラニア、ロザリンド、ヴェレディア、アルガナ分)
機動教会(ルクレティア)

鉱山→カーラ。鉱婦20。必要な金属・宝石類の獲得
農地
領海→マリーナ。漁師20。新鮮な魚をお届け。売れる。ご飯レベルアップ。
山林
現在指揮者(農夫、木樵不在で資源活用不可)

【保有奴隷】
傭兵リヴィス    戦術10 
騎士アウレリア   戦術20 
剣士レビア     戦術10 諜報2
魔術師ロザリンド  戦術9  諜報5  工房20
暗殺者リドベダ   戦術8  諜報8  特技:特殊毒
槍騎士ヴァスカ   戦術11
誓約士セラニア   戦術11 工房20 特技:領地誓約
街盗賊ジリ     戦術7  諜報15 特技:ピッキング
魔導妃カサンドラ  戦術20 工房20
魔導姫ヴェレディア 戦術18 工房20
淫魔アルガナ    戦術40 工房20 特技:亜人魅了
漁師マリーナ    戦術6  漁師20
修道女ルクレティア(調教中) 戦術15 特技:機動教会、暴力結界
山賊カリスタ    戦術10
鉱婦カーラ     戦術5 鉱婦20
鍛冶師フリーダ   戦術18 鍛冶40 特技:武具鋳造、武具修理、張型開発
軽騎士ステラ    戦術16
新米騎士シルビア  戦術6
重騎士レオナ    戦術20 芦竜号 鋼壁鎧
剣姫ヴァレンティーナ戦術50 魔剣グラムフェムト
下忍カスミ     戦術8 諜報20 忍法嫁水
亡領将トモエ    戦術18
戦乙女ヘルミーナ  戦術60 魔槍 英雄変性
召獣師アレグラ   戦術16 王狼 ハゲワシ 魔獣調教
弓将ヨイチ     戦術18
刀武人トオシ    戦術8
槍武人タダヨ    戦術8
追剥ゼヌゼ     戦術6 諜報10
修道騎士オリヴィア 戦術14 独裁領域
上忍ナギサ     戦術12 諜報30 魔眼
絡新婦アルケニー  戦術80
獣母エキドナ    戦術82 魔獣招聘
蛇眼メドゥーサ   戦術100 石化の魔眼 蛇
戦争女神アテナ   戦術200 必殺の槍 ギフト消失の盾 アレス 世戒

※戦術レベルは単純な戦闘力ではなく、完全な指揮でベストの戦果を発揮したらそうなるという塩梅

【領土】
魔導森林グラヴィカ
剣姫庭園ゴロッザ
英霊楽土ヴァリアーザ
糸縛渓谷ラーニェア
獣母辺獄カリエーカ
無名孤島ケアノス
太平翠野アテナイ

【目的】
降魔呪国ナウプリア→ヘラ討伐
他国→橋頭堡確保目標
忍者の里→下忍カスミ上忍ナギサを奴隷化
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。